やはり俺のネタは間違っている?   作:kue

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春の陽気は彼を魅了する

 俺はボッチである。ゆえに告白罰ゲームなんてものに引っかかったとしても数日も経てばその関係者以外には話題にはならないし、その関係者も俺が告白した人物以外は忘れてしまうだろう。

 だが俺は今まで生きてきて2回だけそれに引っかかってしまった。1回目は同じクラスの女の子に引っかかってしまい、そして2回目は中学3年の時に引っかかってしまった。

 あの強化外骨格を身に纏っておきながら俺にだけは中身を見せてくれるあの人に俺は……恋をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ……か」

 案内状を手にしながら俺は総武高校という学校の門の前に立っていた。

 今日は総武高校の文化祭らしく多くの人々が学校内を歩き回っており、校舎はどうやったんだよって思うくらいにそこら中に旗がいっぱいたてられている。

 確かに俺は来年ここを受験する気だがボッチである俺からすれば家にこもっておきたかったのだが……あの人に無理やり招待状を渡され、ここに来たのである。

 ていうか招待状にあの人の名前書かなくても入れるでしょ……出すの恥ずかしすぎてたまらない。

 門を潜り、受付の肩まであるミディアムヘアーは前髪がピンでとめられており、見えているお凸が綺麗な女子生徒に招待状を渡すと一瞬、驚いた表情を浮かべ、俺の顔をマジマジと見られる。

 

「あぁ~。もしかして君が八幡君?」

「は、はい」

「そうなんだ~。陽さんからよく話は聞いてるよ~。なんでも目が腐ってて色々悟っていてボッチなのに私に惚れて大変なんだよ~って」

 

 おい、ちょっと待て。確かに彼女に恋をしたのは認めよう。だが告白はまだしていないし、なんで相手方に俺のピュアな恋心がばれているんだ。あまつさえ、他人にまで伝達されているというね。罰ゲームかよ!

 

「あ、ごめんごめん。いろいろ見ていってね。あ、陽さんは」

「じゃ、じゃあ!」

 

 これ以上ここに居たら何を話されるか分からなかったので招待状の半券を奪い取るように受け取り、ダッシュで受付から離れて校舎の中に入る。

 ふぅ……マジであの人怖い。なんでも見透かされてるわ……ただまああの人と一緒にいたいのは変わらない……ただ告白しても振られる未来しか見えない。

 俺はカーストの最底辺。対してあの人はトップカーストで男なんてひょいひょいやってくるし、頭いいし仕事できるし気遣いできるし……要するに釣り合っていないのだ。釣り合わない恋愛程成就する確率が異常に低いのは常識だ。まあ俺の場合は叶いそうだった恋すらハンマーで粉砕された後にバーナーで溶かされたけどな。

 まあ適当にぶらついて帰るか……でもそうしたら後でメール攻撃されそうだ。

 

「はっちまーん!」

「うぐっふ!」

 

 後ろから呼ばれ、振り返った瞬間に満面の目みの陽乃さんに抱き付かれ、変な声を出しながらも何とか踏ん張るが周りの視線が痛い。

 

「やーやー。よく来てくれたね八幡」

「あんたが前日の夜にメール攻撃したんでしょう」

 

 文化祭の前日、つまり昨日の晩に陽乃さんからメールが来てあの黒歴史を体験した俺は一瞬、強張ったのだが恐る恐るメールを開いてみると明日、文化祭が行われるから来いというメールだった。

 それで来るか来ないかを返事しろとあったのだがそれを無視していたら一時間ごとに20通もメールが送られてきて結局、来ると返事をしてしまったのだ。

 

「ねえねえ。この後有志で演奏するんだけど来てくれるかな?」

「嫌だな~。それと離してください」

「そこはいいとも~って言わないと……というわけで一名様ごあんな~い!」

「え、ちょっと」

 

 陽乃さんのクラスの前で立ち止まってしまっていたせいか逃げる間もなく教室に押し込まれ、彼女が抱き付いている状態で入ったのでそれはもう凄い数の視線が飛んでくる。

 まあこの人は頭もいいし、気遣いもできるし、それに美人だしな……まあ強化外骨格をつけたこの人しか見ていない奴なら勘違いでコロッと落ちることだってあるさ……きっと俺もその一人なんだろう。そう思いたい。

 

「で、なんで俺を教室に押し込んだんですか」

「一緒に遊ぶため~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局あれから陽乃さんの遊びにつき合わされた挙句、陽乃さんが出るという有志ステージが行われる体育館の一番前の座席に座っている。

 なんでも俺のために無理を言って開けておいたらしい。

 いや、マジでそんな気遣いいらないから。なんだったらそのままフェードアウトするくらいに気にかけてもらわなくて結構です。

 だが有志が始まる時間の3分前になってもステージに誰の姿も見当たらない。

 

『あ~マイクテスト~』

 と、そんなことを思っているとあの人の声が体育館内に響く。

『八幡君八幡君。至急集合!』

 

 …………マジであの人は何を考えているんだ。

 そんなことを思いながら席を立ち、陽乃さんが大きく手を振っている場所へ向かうとそのまま舞台裏へととおされ、白衣を着た教師らしき女性と受付にいた女子生徒がいる場所まで案内される。

 

「お願いがあるの。八幡」

「……お断りします」

「お願い。急に予定していた子がいなくなっちゃってさ。確か八幡カラオケ上手かったよね?」

 あぁ、そうとも。あり得ないとまで言われていたカラオケの採点マシーンで満点を連発するほど俺は歌がうまいですとも。

 

「歌ってほしいの」

「……何で俺なんすか」

「逆になんで?」

「俺なんかよりももっと見栄えのいい奴はいるでしょ。それに俺は部外者っすよ」

「……私に取ったら八幡は見栄えが良くてカッコいい男の子だよ」

 

 笑みを浮かべながらそう言われ、俺の心臓が大きく鼓動を上げる。

 …………強化外骨格からの一言なのかそれとも彼女の本心なのかさえ、分かってしまうほど俺はこの人に恋をしてしまっているらしい。

 

「分かりましたよ」

「静ちゃんもいいよね?」

「構わんさ。有志は部外者ありきのものだからな」

「めぐりもいいよね?」

「はい。陽さんが信じる人ですから」

「じゃあ、行こうか!」

 

 陽乃さんに言われ、舞台裏からステージへと向かうと眩しいほどのライトと観客からの歓声、拍手が俺達に向かって放たれてくる。

 陽乃さんから観客に見えない様に渡されたメモ用紙にはよく彼女につき合わされてカラオケボックスで歌っていたあの曲だった。

 

「みんなお待たせー!」

 陽乃さんのその一言に待ってましたと言わんばかりに大歓声が響く。

「有志の最後を飾っちゃうぜ! 曲はBright Gneration!」

 

 曲名を言った瞬間さらに歓声が沸き上がり、それと同時にステージに集まっていたライトが落され、体育館が真っ暗になる。

 大きく深呼吸し、陽乃さんの方を向くとちょうど目が合い、笑みを向けられた。

 あぁ、はいはい…………よし。

 俺が歌いだした瞬間、体育館の中に音楽が流れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石カラオケボックス泣かせの八幡。大盛り上がりだったよ」

「そりゃどうも」

 文化祭も終わり、何故か片付けの手伝いまでさせられた俺は陽乃さんと一緒に靴箱がある生徒用の玄関の近くにいた。

「はぁ。ここでの文化祭も終わった~」

「そうっすね」

「……ねえ、八幡」

 

 歩き出そうとしたその時、後ろから抱きしめられた。

 温かみが俺の全身に駆け巡るがそれと同時にその温かみが俺の心を大きく揺さぶる。

 ……もう経験しただろ…………一回やらかしたことを俺はもう一回やらかす気はない。

 

「何か言う事……あるんじゃないのかな」

「…………無いっすよ。別に」

「そっか……お姉さんはあるよ」

 

 そんな声が聞こえると同時に無理やり後ろを振り向かされ、陽乃さんの顔がドアップで映ると同時に俺の唇に柔らかいものがあてられ、口で呼吸が出来なくなる。

 突然のことに後ろへと後退るがそれでも口呼吸はできず、壁に押し付けられる。

 押し飛ばせばいいのにこんな状況を心のどこかでほんの少し望んでいた俺は押し飛ばすという選択をせず、それどころか陽乃さんを抱きしめるという真逆の選択を取った。

 

「……ぷふぅ…………何か言う事は?」

「…………す、好きです。陽乃さん……俺と……付き合ってください」

「よく言えました。ご褒美」

 そう言われ、もう一度俺はキスをされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ八幡」

「はい?」

 学校を出た俺達は手を繋ぎながら帰り道を歩いていく。

「私に妹いるのは知ってるよね?」

「ええ。まあ」

「妹も総武高校を受けると思うんだ……だからもしも一緒の学校に入れたら……雪乃ちゃんのことよろしくね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから半年以上が経過し、陽乃さんはとっくに卒業し、俺は1年生になったわけだが陽乃さんの妹らしき人物が奉仕部なる部活を立ち上げたという情報を聞き、俺は特別棟にある奉仕部の部室へと向かっていた。

 ……あの人に任された以上は……な。

「どうぞ…………何か用かしら」

「あぁ、用があってきた……俺を奉仕部に入れて欲しい」

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