やはり俺のネタは間違っている?   作:kue

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ボッチな仮面ライダードライブ

 目の前にばらばらの状態で置かれている銃、そしてストップウォッチを持った薄ハゲのおっちゃんが俺の視界に入っており、俺はその時が来るのを待っていた。

「……はじめ!」

 おっちゃんの声が響くと同時にストップウォッチが押される。

 俺はすばやく両手にパーツを取り、素早く・迅速に銃を組み立てていき、それが終われば弾を込めて前方に設置されている的に向け、引き金を連続で引くと室内に銃声が響き渡る。

「はい。そこまで~。うん、中々いいタイムじゃないですか~。八ちゃん成長しましたね~」

「そりゃ、どうも……」

 本願寺純、それがストップウォッチのおっちゃんの名前だ。階級は警視の立派な警察官で特上課という部署の課長を務めているこれでも列記としたキャリア組……らしい。あくまで噂だけど。

 俺の名前は比企谷八幡。こうやって銃を撃っているけどまだ高校2年生の17歳。何故、未成年の俺が銃をぶっ放しているのかと言えば特殊訓練の最中だからであり、その特殊訓練というのは秘密らしい。

 なんでも将来、俺は警察官になることは既に決定済みらしく去年から1年間、このおっちゃんにみっちりと警察のことを教えてもらっていたりする。

「銃を撃っている様はほんと、お父さんそっくりですよ」

「はぁ」

 帰り支度をしながら課長の話しを半分聞き流す。

 俺の親父は警察官だった。だったっていうのは殉職したからで名誉ある殉職だったらしい。

 そしてもう一つ、俺が未成年でありながらこんな場所にいる理由がある。

 それは親父が死んだ日に俺宛に手紙が送られてきた。

 

 

『比企谷八幡。君は来たるべき日のために体を鍛えておきたまえ』

 

 

 それだけ書かれた手紙が送られてきた。最初は半信半疑どころか気にも留めてなかったんだがあの日、グローバルフリーズが起きてからその手紙に書かれていることが嘘ではないと言う事を知り、その日から体を鍛え初めて今じゃ5対1位なら圧勝できるくらいにまで強くなった。

 俺マジパネェ……未だに鍛える理由は分からねえけどな。

「そう言えば今日でしたっけ? 高校の新学期の始まりが」

「ええ、まぁ……余裕で遅刻ですが」

「だいじょぶ~。そこは私に任せておきなっさい! 八ちゃんは気にせず学校へ向かっていいですからね」

「さいですか……失礼します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グローバルフリーズという名前はもう知らない奴はいないんじゃないかと言うくらい広まっている。

 全世界で重加速現象が発生し、それと同時に見たこともない怪物による襲撃が行われた人類史上まれにみる大規模災害……それがグローバルフリーズ。

 重加速現象は今ではどんよりという名称で一般市民に親しまれているもので周囲の人間や物体の動きが遅くなり、発生している間、有効範囲にいる生物は意識は明瞭なまま体だけが鈍重になるような感覚に陥る。

 それが重加速現象。

「お兄ちゃーん!」

「あ? 小町。なんでお前……学校どうしたんだよ」

「いや~忘れ物に気づいて家に帰って今学校行くとこなんだけどさ。あ! お兄ちゃんまたスマホ忘れてー! はい! ちゃんとどんより検知アプリも入れておいたから」

「いいって。お前が持っとけよ」

「持っとけってこれお兄ちゃんのだし」

 正直、スマホなんて俺のボッチ化を加速させるだけの重加速発生装置ならぬボッチ化加速発生装置だっつうの。LINEだかTwitterか知らねえけどそれ入れてなかったら連絡すら回ってこねえっておかしいだろ。

「馬鹿だな~お前は。お前の携帯と俺の携帯、2つ持ってると検知アプリが2つあるだろ?」

「まあ、そうなるね」

「だから2倍気づくのが早くなるってわけだ」

「それどんな超理論? 良いからお兄ちゃんもちゃんと持っておくこと!」

「はいはい。気を付けて行って来いよ」

「オッケー! じゃ、またね!」

 そう言って妹の小町は自転車をこぎ、曲がり角へと消えていった。

 にしても……あいつも年々可愛くなってくるな~。昔はにいにいって言って後ろひょこひょこついてくるだけだったのに……うぅ! お兄ちゃん! 感動のあまり泣けてくるっ!?

 その時、体がやけに重くなったのを感じるとともにポケットに入れてあるスマホからけたましいサイレンの音が鳴り響いた。

「じゅ、重加速!?」

 体の全ての動きが鈍重になるのを感じながらもどうにかして歩道の方へ戻り、壁伝いに歩いていく。

 ていうことはグローバルフリーズで人間を襲撃した奴らがこの近くにいるってのか!

「キャー!」

「っ! 小町!」

 小町の叫びが聞こえ、動きが遅い体にイライラしながらも曲がり角を曲がると自転車に乗ったままの小町の前に胸に042と書かれたナンバリングプレートが埋め込まれている怪物が立っていた。

 な、なんだあいつら! そんな事よりも小町だ!

『どけぇ!』

「きゃぁ!」

「小町ー!」

 怪物が小町の自転車を蹴り飛ばすと嫌なくらいにスローモーションで小町が吹き飛ばされ、そのままコンクリの地面に頭から落ちていく。

 必死に小町を受け止めようと向かうが重加速のせいで体がゆっくりとしか動かず、むしろ一向に前に進んだという感じがしない。

 目の前で……目の前で妹が傷つくところなんか見たかねえんだよ! 今までいったい何のために体を鍛えてきたんだよ! 動けよ俺の体! 動いてくれよ!

「動けぇぇぇぇぇぇ!」

 そう叫んだ瞬間、突然俺の体が軽くなったような感覚を感じるとともにいつも通りに体が動き、コンクリの地面にぶつかる直前で小町を抱きかかえることが出来た。

『っ! バカな! この中で人間であるお前が動くことなどぐぁ!』

「な、なんだ!?」

 後ろから突然、怪物に向かって光弾が放たれ、怪物を軽く吹き飛ばすと小町にかかっていた重加速の影響も切れた。

 車が急停車したような音が聞こえ、後ろを振り返ると真っ赤な車が止まっており、タクシーのように扉がかってに開いた。

『乗りたまえ! 早く!』

 どこからともなく聞こえてくる声に従い、小町を助手席に乗せ、俺は運転席に座ると扉が勝手に閉まり、自動運転で車が怪物たちから離れるように走り出す。

「な、なんなのこれ」

「お、俺が聞きたいくらいだ」

『危なかったね。マックスフレアが間に合っていなかったら君たちも危なかった』

「マックスフレア?」

『君の足元を見てみるといい』

 そう言われ、足元に視線を落とすと腰の付け根の辺りに銀色のホルダーのようなものがいつの間にか装着されており、そこにミニカーのようなものが3台、装填されていた。

「な、なんだこれ」

『それはシフトカーだ。重加速の中でも君が動けたのは彼らのお蔭だよ。比企谷八幡』

「お、俺のこと知ってんのか」

『うむ。君に送った手紙の主は私だからね……むっ!?』

「きゃぁ!」

 突然、車が停車したかと思えば目の前にさっきの怪物が立っていた。

 

 

 

 

 

『八幡。手紙の内容、覚えているね?』

「あ、あぁ」

『それが今だ! 私を取りたまえ』

 そう言われ、ハンドルのクラクション部分にあるバックルのようなものを取って引っ張るとそれが外れ、ベルトとなって俺の手元に収まり、ドアを開けて外へと出る。

『八幡。君に体を鍛えるように伝えたのは君がドライブとして戦うためだ』

「俺が……戦う?」

『そうだ。重加速の中でも自由に動くことができるスーパー戦士。それが仮面ライダードライブだ! シフトブレスを装着したまえ』

 運転席から勝手に飛び出て来たブレスを受け取り、それを腕に装着すると俺の周りに黒いレールのようなものが出現し、そこを通って赤いシフトカーとやらが俺の手の中に納まる。

『死ねぇぇ!』

『SHOOT!』

『ぐあぁぁ!』

 車のライト部分から光弾が放たれ、向かってきた怪物を吹き飛ばした。

『ベルトをつけ、赤いレバーをひねりたまえ』

「あ、あぁ」

 ベルトを装着し、指示通りに赤いレバーをひねると車のエンジンが鳴る音が響くとともに待機音声らしき音声がベルトから流れ始める。

『シフトカーを後ろ半分をひねり、ブレスへ』

 シフトカーの後ろ半分をひねると180度回転し、後ろ半分がレバーのような形になり、それをブレスへと装着する。

『さあ! 今こそ変身の時だ! Start your Engine!』

「変身」

『ドラーイブ! ターイプ・スピード!』

 ブレスに装着したシフトカーのレバー部分を掴み、それを倒すと俺の体に装甲が装着されていき、赤い車のタイヤが外れて俺がタスキを巻いたかのようにタイヤが装着された。

「お、お兄ちゃんがか、変わった」

『っっ! まさか仮面ライダー!?』

『仮面ライダードライブの完成だ!』

「…………これが……ドライブっっ! はぁ!」

『うあぁ!』

 こっちに殴り掛かってきた怪物の拳を避け、姿勢を低くした状態で腹部を殴りつけ、怯んだところへ蹴りを入れると簡単に怪物が吹き飛んでいく。

『くぅ! はぁ!』

「っっ!」

『シフトカーを3回押し倒せ!』

「分かった!」

『スピスピスピード!』

「はぁぁぁぁ!」

『なっ!? ぐあぁぁ!』

 相手が指先からエネルギー弾を放ってきたところでベルトからの指示通り、シフトカーを3回さっきと同じように連続で押し倒すとそんなラップ調の音声が鳴り響き、エネルギー弾を避けると体が今までよりも早く動いているように感じ、そのままの勢いで怪物めがけて駆け出し、真正面から殴りつけた後、高速で後ろへとまわり、回し蹴りを入れて蹴り飛ばした。

 す、すげえ速度だ……。

『いいぞ。良い具合に鍛えられている。フィニッシュだ! レバーをひねり、シフトブレスのボタンを押した後、シフトカーを押し倒せ!』

「あぁ!」

『ヒッサーツ! フルスロットル!』

『な、なんだ!? うあぁぁ!』

 レバーをひねり、ブレスにある赤いボタンを押して1回シフトカーを押し倒すとそんな音声が流れたかと思えば敵の周囲に積み重ねられたタイヤが出現し、相手を挟み込むと凄まじい勢いで回転し始め、敵を勢いよく俺に向かって弾き飛ばす。

「はぁ!」

 1度相手に飛び蹴りを食らわせると俺の前に走り込んできた車を壁にして方向を転換し、再び相手に蹴りを入れると円を描くように凄まじい速度で回りだした車を壁に連続で、かつ高速で何度も敵に蹴りを入れていく。

「止めだ!」

『ぐあぁぁぁぁ!』

 足に赤いエネルギーが貯まり、最後の一撃を相手に食らわせると空中で爆発四散し、042と書かれた赤い文字がフワフワと空中を漂うが爆発し、砕け散った。

『ナイスドライブ。キチンと体を鍛えてくれたようだね』

「あ、あぁまあな」

 そう言うとともに自動的に変身が解除された。

「お、お兄ちゃんすごーい! 怪物やっつけちゃった!」

「お、おう」

『すまないがドライブのことは兄妹の秘密にしてほしい。ドライブは秘密の戦士だからね』

「もっちろん! お兄ちゃんと小町だけの秘密だね」

 か、可愛えぇぇぇぇぇぇ!

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