武神と大空の出会い   作:塗る壁

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どうも塗る壁です。
前回でマジ恋の気をリボーンで一度しか使ってない闘気と同じということにしてオリジナル設定で出したのですけど、どうでした?


誇りと覚悟

 綱吉はいまだ砂埃を上げるクレーターを見る。風により砂埃が晴れると傷を負った百代が立っていた。

 

「私に拳で傷を負わせたのはそうはいないぞ? お礼に今度は私の取って置きの一つを見せてやろう」

 

 今まで不意打ちなどで百代に傷を負わせた者は多数いるが、真正面から百代と戦い、傷を負わせたのは武術四天王を含めた数少ない実力者だけだった。

 百代は綱吉の実力を歓喜し称賛した。

 

 瞬間、百代が光を放つとそこには無傷の百代が立っていた。

 

「瞬間回復!」

 

 瞬間回復。それは細胞を気によって活性化させ一瞬にして傷を治す技。名のある武術家でも一度使えばそれだけでほとんどの気を消費するほどのエネルギーを使うこの技を百代は平然と使用していた。

 百代は常人の数十倍の気の量を持つが故に何度も使えるのだ。

 

「さあ! もっとやろうツナ!」

 

 百代は楽しそう言う。綱吉が強いことがよほど嬉しいのだ。

 

「……ああ。何度だって付き合ってやる」

 

 二人の拳は幾度もぶつかり合う。だが、先程と同じではない。

 

(なんだ?私の攻撃が……)

 

 百代の拳は紙一重にかわされてしまい、綱吉の拳はかするだけでも炎の熱が百代の肌を焼く。それだけではない。少しずつ、だが確実に百代に綱吉の攻撃が当たり始める。

 

「ぐぅ! しゅ、瞬間回復!」

 

 綱吉の拳と炎により負った傷を瞬間回復で治す。しかし、それを待っていたかのように綱吉の拳が百代を殴り飛ばす。

 

「ガハ! (私の動きが……読まれてる!?)」

 

 綱吉が持つ超直感。ボンゴレI世より受け継がれる血。ボンゴレの血(ブラッド・オブ・ボンゴレ)によって受け継がれる見透かす力により百代の動きすらも見透かしたのだ。

 

「どう…して…届…かない!?」

 

 百代の拳は当たらない──否、届かないのだ。綱吉が立つ高みに、大空に、武神の拳は届かない。

 

「川神、お前は強い。だが、お前の拳には重みが無い」

 

「お、重み…」

 

 百代は痛みを堪えて聞いていた。そして思い出す。綱吉の拳を受けた時に感じたもの。それは重さ。あの時、百代は綱吉の拳を重いと感じた。

 

「オレは誇りを、覚悟を、この拳に込めている」

 

 綱吉は真剣な目で百代を見つめる。その目には強い意志が宿っていた。

 

「川神。お前は拳に何を込める」

 

「こめる?」

 

 百代には分からなかった。

 

 誇り。武術家ならば今まで鍛練してきた自身の武だろう。だが、百代は他の武術家のように必死に鍛練をしていた訳ではない。それを誇りと言っていいのか。

 

 覚悟。百代は今までなんの覚悟をもって戦ってきたか。百代はただ戦いを楽しめればよかった。強い相手と戦えればよかった。そこに覚悟は無い。

 

 自分には無い。誇りも覚悟も。ただ己の戦いたいという欲の為に戦った。百代は自身の拳を見る。私は拳に何を込めてきた?誇りを込めた?覚悟を込めた?

 

「誇りも覚悟もない拳はオレには届かない」

 

 綱吉は死ぬ気で戦う。誇りを胸に覚悟を込めて。だから百代に教えようとしている。誇りや覚悟は言葉で伝えられるものではない。自身で見つけ出さなければならない。

 百代は現在、例えるなら操縦の効かないダンプカーのようなものだ。誇りも覚悟もない。だが、常に戦いを求めている。それはいずれ自分の大切なものを壊してしまうかもしれない。だから綱吉は伝えようとしている。不器用ながらも優しさを秘めた声で、拳で。

 

「だから何度だって付き合おう」

 

 百代が誇りと覚悟を見つけるまで。何度でも。

 

「……」

 

 百代は静かに拳を握りしめる。そして──

 

「ハァァアアアア!!!」

 

綱吉に向かって突進した。自分の誇りを覚悟を見つける為に。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 二人の戦いは数時間も続き、終わりを迎える。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

 百代は息を切らし、大の字になって倒れていた。戦いは百代の敗北。綱吉には攻撃がほとんど当たらなかったし、瞬間回復もほとんど通用しなかった。

 

「ハァ…ハァ…疲れた~」

 

 綱吉も腰に手をやり、息を切らしている。綱吉も百代程ではないが疲れていた。

 

「久し振りに…ハァ…負けた…ハァ」

 

 百代は倒れたまま空を見る。その空はとても青かった。自分の誇りはなんなのか、覚悟とはなんなのか、結局分からなかった。だが、百代の顔は晴れやかだった。

 

「なあ、ツナ…」

 

「何? 川神さん」

 

 百代は立ち上がり綱吉に向き直る。

 

「結局、私には誇りも覚悟も分からなかった…。だからその…」

 

 百代は少し照れながら言う。その顔は空の青さとは対照的に赤くなっている。

 

「うん。いつでも来ていいよ」

 

 百代が何を言いたいか分かった綱吉は笑顔で言う。

 

「言ったでしょ? 川神さんが誇りや覚悟を見つけるまでいくらでも付き合うって」

 

「ツナ…」

 

 百代は綱吉の優しさに触れた。

 

「百代だ」

 

「え?」

 

「私のことは百代でいい」

 

「え!? えっと~」

 

 綱吉の目が泳ぐ。あって間もない女子を下の名前で呼ぶのが少し恥ずかしいのだ。

 

「も、百代さん?」

 

 綱吉も少し赤くなりながら百代の名を呼んだ。

 

「くぅ~。小動物みたいで可愛いな! ツナ!」

 

 百代は、戦いの時とは違う顔付きと雰囲気を纏っている綱吉を先程のギャップも合わさりかわいいと思ってしまい抱きついた。

 

「うわ!? ちょ、ちょっと! 川神さん!」

 

「百代だって言っているだろ。ツナ!」

 

「も、百代さん離して! あ、当たってる!」

 

 二人の背は百代の方が高いため、百代の胸が綱吉の頭に当たってしまう。綱吉は更に赤くなる。

 

「ハハハ!ツナはいじりがいが有るな!」

 

「や、やめてー!」

 

 綱吉の叫びは虚しく空へと昇った。こうして、武神と大空の()()()戦いが終わる。




ちょっとこの先の展開について活動報告の方でアンケートをしたいと思います。
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