ログホライズンのスピンオフの漫画を読んで、書いてみたものです。
ここは円卓会議に参加しているギルドの一つ、西風の旅団のギルドホール。リルドは今日そこに遊びに来ていた。
「へぇー、和風なんだ」
「うん、僕はこういうのが好きだからね。後で大浴場も見せてあげるよ」
「そりゃ楽しみだな。ん?」
すると向こうの方から、何やら叫びながら走って来る少女がいた。
「師匠ー!」
そしてそのまま、ソウジロウに抱きついた。
「うわぁ! カワラさん、廊下を走ったら危ないですよ」
「えへへ、ごめんごめん」
カワラと呼ばれた少女は、悪びれた風も無くそう言った。こういうのが日常茶飯事なのか、ソウジロウは特に彼女を咎めようとはしなかった。
「ところで師匠、稽古つけて欲しいんだけと、良いかな?」
「えっと、今日はお客さんが来ているから、また今度ね」
「お客さん?」
ソウジロウの言葉で、カワラはようやくリルドの存在に気づいた。リルドはそんな彼女に、陽気に挨拶をする。
「よっ、俺はリルドだ。よろしくな」
「私はカワラ。師匠の一番弟子だよ」
「へぇー、ソウジロウも弟子を取っていたんだ。流石は御茶会の元メンバーだな」
「そんな大した事は教えていないんだけどね。ところで、“も“って?」
「俺もにゃん太先生の弟子なんだ。最近じゃあ、シロ兄はミノリ、直兄はトウヤを師事しているんだ」
「シロ先輩の弟子か・・・・・・羨ましいなあ」
ソウジロウはそう小さく呟いた。二人の話を聞いて、カワラはある事を思いつく。
「よく分からないけど、師匠のお知り合いの弟子なんだよね? だったら私と組手しない?」
「組手?」
「模擬戦みたいな物だよ、たまにやっているんだ」
「へぇ、おもしろそうだな。よし、やろうぜ!」
「よーし決まりだね! それじゃあ道場に案内するよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ二人とも!」
カワラはリルドに道場に案内し、その二人の後をソウジロウは慌てて追い掛けた。
―――――――――――
西風の旅団のギルドには、大きな道場がある。そこで簡単な訓練等が出来るようになっている。そこに、リルド、カワラ、ソウジロウの三人がいた。
「それじゃあルールを確認するよ。勝敗は相手のHPを一定削った方の勝ち、それ以外には何でも有りの真剣勝負。あと、僕の判断で中断させる事もあるから、そのつもりで」
「うし!」
「オーケー」
「それでは・・・・・・始め!」
ソウジロウの合図で、リルドとカワラは同時に動き出した。
「先手必勝! オーラセイバー!」
カワラのオーラセイバーが、リルドに向かって放たれた。リルドはそれを――――。
「トリックステップ!」
トリックステップで攻撃をかわし、続けて攻撃に移る。
「クイックアサルト!」
「なんの! シャドウレスキック!」
カワラは迎撃を選び、高速の蹴りを放つ。二人の体は交差した。
「くっ、」
「よし!」
アドバンテージを得たのはカワラであった。リルドの攻撃も確かに当たったが、それでもカワラHPを僅かに削る程度、対するリルドは先の攻撃で、HPの四分の一を削られていた。
(やっぱりレベル差があるのはきついな・・・でも、こんな事ぐらいで引き下がるつもりは無い!)
リルドは双剣を握り締め、カワラを真正面から対峙する。対するカワラも、リルドを正面から見据えた。
「いっくよー! ワイバーンキック!」
カワラは跳躍し、急降下しながら蹴りを放つ。リルドはそれを跳躍でかわす。
「まだまだ! エリアルレイブ!」
カワラのすかさずの追撃、空中で身動きが取れないリルドに対空アッパーを放つ。それに対してリルドは――――。
「ラウンドウィンドミル!」
「うわぁ!?」
空中で体を捻り、カワラの空中アッパーをかわし、更にカウンターを食らわせた。
カウンターを見事に食らったカワラは、床に叩きつけられ、リルドは見事に着地した。
「どんなもんだ!」
「いてて・・・やったなぁ!」
カワラも怯まず、リルドに向かって走り出した。リルドも正面からカワラに挑んだ。
「「うおぉぉぉぉ!!」」
二人は全力でぶつかり合い、しのぎを削りあった。
そんな二人を見て、ソウジロウは――――。
(二人とも、とっても楽しそうだな。まるで子供みたいだ)
楽しそうに戦う二人を、保護者のように温かく見守った。
「ヴァイパーストラッシュ!」
リルドの双剣が、カワラの両腕を切り刻む。
「くっ、スマッシュ!」
それに対してカワラはスマッシュを放つが、リルドはそれを後方に飛び上がって回避した。
少し距離が開いたので、カワラはブレスコントロールで回復を図ろうとするが――――。
「ライトニングステップ!」
そうはさせまいと、リルドはライトニングステップで距離を詰める。
「ライトニングストレート!」
青白い雷を纏った右ストレートが、リルドを狙う。しかし―――――。
「トリックステップ!」
「なに!?」
リルドはトリックステップでそれをかわし、カワラの背後に回る。
「ステルスブレイド!」
そしてそのまま、カワラの背を切り裂く。
「ぐっ、ドラコンテイルスウィング!」
カワラは後ろ回し蹴りで、リルドを吹き飛ばそうとするが、リルドは体勢を低くし、それをかわした。
「ブラッディピアッシング!」
リルドは続けざまに、カワラの両脚を切り裂いた。これにより、カワラのDEXが下がってしまう。だが―――。
「な、んの! アドヒュージョンビー!」
間合いから離れようとしたリルドに、アドヒュージョンビーを使い、一気に間合いを詰めた。
「しまっ―――」
「捕まえた! グリズリースラム!」
カワラはリルドを掴み、そのまま床に叩き付けた。そこでソウジロウが止めに入った。
「そこまで! この勝負はカワラさんの勝ち!」
「よーし! 勝ったー!」
喜びを体全体で表すカワラ。一方リルドは、悔しそうに立ち上がった。
「ああ、負けちまった・・・・・・」
そうに呟くリルドだったが、最後にカワラに握手を求めた。
「今回は負けたけど、次は勝つからな」
「ふふん、次も勝つのは私だから」
そうして二人は握手をかわす。
それからも二人は、時折組手をするようなり、互いに競い合うライバルとなったのである。