リルドの冒険譚   作:1103

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原作でのブリガンディアとの戦闘シーンはかなり好きで、特ににゃん太とデミクァスとのバトルが熱かったです。ただ、負けそうになったからと言って、デミクァスが加勢を求めるシーンは、なんとも情けないと思いました。


第5話、対決ブリガンディア

パルムの深き場所を抜けてから数日後。リルド達はススキノの近くまで来ていた。

しかし、直ぐに街には入らず、郊外で見つけた倒壊した家屋で身を潜めていた。

 

「なあ、ススキノに入らないのか?」

 

「今回は、いつものようなクエストじゃない。もし失敗すれば、救出が更に困難になる」

 

「失敗は許されないか・・・・・・」

 

シロエの言葉に、リルドは改めて、この救出作戦の重要さを実感した。

しばらくすると、偵察に行っていたアカツキが戻って来る。

 

「戻ったぞ主君」

 

「おかえりアカツキ。早速だけど、報告いいかな?」

 

「承知した」

 

アカツキの報告の元、作戦を立てるシロエ。作戦会議は夜遅くまで続いた。

 

―――――――――――

 

翌日。作戦通り、シロエ、直継、リルドの三人は街に入り、アカツキはスニークとサイレントムーブを使い、別行動をとる。

街の雰囲気はかなり悪く、冒険者だけで無く、大地人も覇気がなく、それが一層街の雰囲気を悪くしている。

 

「雰囲気わりぃな」

 

「うん」

 

「アキバも空気悪かったけど、こっちは一層悪いぜ」

 

「順調に行けば、一時間後にはススキノを出られるさ」

 

「順調にねぇ・・・・・・向こうが、簡単に行かせてくれるとは思えないけど」

 

「だから俺達が来たんだろ?」

 

「そりゃそうだな。そんじゃ、迎えに行きますか」

 

三人は、落ち合う約束をした廃ビルに向かって歩き出した。

 

 

廃ビルに到着したリルド達、打ち合わせ通り直継とリルドはビルの入口を見張り、シロエはビルの中に入っていった。

 

「今のところは異常なしだな」

 

「このまま何事も無ければいいんだけど・・・ところで、協力者って誰なんだ?」

 

「さあな、どっちにしてもシロの言う通り、この街に残す訳にはいかないな」

 

「確かに、下手に留まったら、何をされるか分かったもんじゃ――――」

 

リルドは不意に言葉を止めた。狼牙族になった彼の嗅覚は、敵の臭いをかぎ分けた。

 

「どうした?」

 

「直兄、こっちに数人程向かっている」

 

「敵か?」

 

「多分」

 

「アカツキ、そっちから何か見えるか?」

 

『ああ、武闘家筆頭に武器職が3、回復職が2、パーティ編成でこちらに向かっている。他にもそれらしい集団が、半包囲をしながら接近。接触まで約10分っていったところだ』

 

「了解、シロの報告はこっちでするから、お前は引き続き監視を頼む」

 

『承知した』

 

アカツキの念話を終えた直継は、シロエにもこの事を報告する。

 

「ああ、分かった。西のゲート付近だな。了解」

 

「シロ兄は何だって?」

 

「西のゲート付近の森に潜伏しろってさ」

 

「合流しなくて良いのか?」

 

「何やら考えがあるみたいだ。ともかく、敵に見つかる前に移動するぞ」

 

そう言って、直継は直ぐ様動いた。その後をついていくように、リルドも歩き出す。

 

―――――――――――

 

西ゲート付近の森に潜伏したリルドと直継。姿は見えないが、アカツキも付近に潜伏している筈である。

しばらくすると、シロエと猫人族の男性、そして救出対象である三日月同盟のセララがやって来た。

 

「って、あれってにゃん太班長じゃないか!?」

 

猫人族の男性を見て、直継は驚いていた。

 

「知り合い?」

 

「まあな。班長が協力者だったのか・・・こりゃ脱出が楽になりそうだな」

 

そう呟く直継であった。

すると、その後からこの街を牛耳っていりブリガンディアのメンバー達が三人の後をつけていた。

しばらく歩いてから、シロエは後ろを振り向き、大声で叫んだ。

 

「ブリガンディアのデミクァスさんはどなたですかー?」

 

突然の名指しに、驚くブリガンディアのメンバー達。しかし、これには狙いがあった。

 

(なるほど、一対一に持ち込んで、大将をやろうって事か)

 

数が圧倒的に不利なこの状況を考えると、有効な作戦であった。事実、シロエとにゃん太と呼ばれる猫人族は、挑発し続けた。

 

「おもしれぇ・・・相手になってやるよ!」

 

デミクァスらしき大男が、にゃん太に向かって不意討ちに近い攻撃を仕掛ける。にゃん太はそれを軽やかにかわし、腰に差していた二本のレイピアを抜く。

 

「俺と同じ盗剣士か・・・・・・」

 

「同じ盗剣士なら、よーく見ておけよリルド。参考になるからよ」

 

直継の言葉を聞いて、リルドはにゃん太の動きを観察し始めた。

デミクァスとにゃん太の戦いは、最初はデミクァスが有利であったが、にゃん太のスピードと剣捌き、更に盗剣士の特性である、ステータス低下の攻撃で、戦況は徐々に逆転し始めた。

 

(すげぇ・・・あのデミクァスって奴は決して弱くない筈なのに、上手く立ち回って、圧倒している)

 

デミクァスの技量は明らかにそこらの冒険者より上である。仮にリルドが一対一で戦えば、確実に負けるであろう。同じレベルであっても、勝つのは難しい。そしてその上をいくにゃん太関しては、同じレベルであっても勝てないとリルドは思った。

 

(このまま行けば、にゃん太って人の勝ちだな)

 

そう思うリルドだったが、デミクァスもそう感じたのか、一対一の決闘の中とんでもない事をやった。

 

「くそっ! 余興はここまでだ! てめぇら加勢しやがれ!」

 

あろう事か、手下に助けを求めたのである。これには流石に呆れるリルドであった。

 

「うわぁ、だっせぇ」

 

「だな。発想がガキだな」

 

「どうするって、聞くまでも無いか」

 

「ああ、俺達の出番だ!」

 

二人は同時に森を飛び出し、デミクァスに加勢しようとするブリガンディアの冒険者達の前に立つ。

 

「アンカーハウル!」

 

アンカーハウルの効果によって、ブリガンディアの冒険者達は直継に引き付けられる。その隙を、リルドが突く。

 

「ヴァイパーストラッシュ!」

 

リルドの双牙が、敵の冒険者を襲う。

 

「てめぇ! 伏兵なんて卑怯だぞ!」

 

「決闘中に助けを求めるお前に、言われたくないにゃ」

 

予想外の伏兵に、デミクァスは動揺した。一方、副リーダーらしき魔術師は、冷静に指示を出す。

 

「先に守護騎士から始末しろ。施療神官部隊は、前線部隊とデミクァスの回復に専念」

 

「わ、わかりましたロンダークさん!」

 

ロンダークと呼ばれた魔術師の指示に従い、ブリガンディアのメンバー達は動き出す。

デミクァスは施療神官達によって、HPを半分以上回復し、勢いづいていた。そしてブリガンディアの前線部隊は、直継に対して集中攻撃を行っていた

 

(不味いな、このまま行けば直兄がやられる・・・・・・)

 

リルドのステータス低下の攻撃によって、多少のダメージは減っているものの、ステータス低下は直ぐに施療術師に回復されてしまい、付け焼き刃でしかなかった。

 

(それでも、やれる事はやらないとな)

 

例え微量なダメージであっても、例え直ぐにステータス低下が回復されたとしても、その手間が必ず起きる。その僅かな手間が、直継の負担を軽くしている筈だと、リルドは信じて前線部隊を攻撃し続けた。

 

「ハートビートヒーリング!」

 

そんな時、セララが全体に脈動回復のスキルを放つ。

リルドはHPが満単だった為、あまり意味が無いが、にゃん太と直継にとっては、僅かな回復量はありがたいものであった。

 

「おらぁ!」

 

「ぐあ!? てめぇ――――」

 

「そいつは後にしろ! 先ずはこいつからやるぞ!」

 

ブリガンディアのメンバー達は、リルドの攻撃を疎ましく感じながらも、直継に攻撃をし続ける。

そして直継のHPが残り3割になったところで、彼は切り札を出した。

 

「キャッスルオブストーン!」

 

「なんだ!?」

 

「構わねぇ! やっちまえ!」

 

気にせず直継に攻撃を仕掛けるブリガンディアメンバー達。しかし、彼にダメージを与える事が出来なかった。

 

「なんだこれ!?」

 

「ノーダメージかよ!」

 

「落ち着け、キャッスルオブストーンの効果は10秒だ。10秒待って、総攻撃を掛けて始末しろ」

 

「了解!」

 

ブリガンディアメンバー達は、獲物を刈る獣のように、キャッスルオブストーンの効果が切れるのを待った。しかし、決着が着いたのはそれから数秒後であった。

 

「ぐぁあああ!!」

 

叫びと共に、デミクァスは地面に倒れ伏せていた。彼のHPを見てみると、既に1割りを切っていた。

 

(い、一体何が起きたんだ!?)

 

リルドは驚きを隠せなかった。同じ盗剣士だからこそ分かるが、盗剣士は暗殺者より早いが、攻撃力は劣っている。その盗剣士が、1万以上の武道家のHPを一瞬で1割以下にするなのは、普通では不可能である。

 

(ソーンバインドホステージの茨が残っているから、シロ兄の補助があったんだろうけど、それだけで本当に削れるのか?)

 

にゃん太とデミクァスの戦いを見ていなかったリルドは、何が起きたのか把握出来なかった。

 

「ええい! 施療神官! デミクァスに回復――――」

 

ロンダークの言葉は最後まで続かなかった。潜んでいたアカツキの攻撃によって、ロンダークと施療神官達はやられていたからである。

 

「ロ、ロンダークさん!」

 

チームの頭を二人もやられ、施療神官達が全滅した事によって、ブリガンディアのメンバー達は戦意喪失していた。

そんな彼等に、シロエは言う。

 

「僕達は、パルムの深き場所を越えてやって来ました。アキバとここは、もはや往来出来ない距離ではありません。僕らはその方法と地図も手に入れ、報告しましたから、もうこの馬鹿騒ぎはお仕舞いです」

 

それは警告であった。実際はそんな簡単に往来出来る距離も方法も無いのだが、相手に敗北感を植えつけるのが、シロエの目的であった。

 

「この場は僕達の勝ちです。それとも、まだやりますか? デミクァスさん?」

 

そう言って、倒れ伏せているデミクァスの見る。デミクァスは、ボロボロの体を起こしながら、シロエを睨み付ける。

 

「ふざけるなよてめぇ・・・・・・一人残らず神殿送りにしてやるよ!」

 

そう叫びながら、シロエを殴り掛かろうとする。だが――――。

 

「エレクトリカルファズ」

 

シロエの攻撃魔法がデミクァスに命中。最後の茨が弾け、デミクァスの残ったHPを奪い去った。

 

「どうやら、神殿送りにされるのは貴方の方でしたね」

 

「わ、忘れねぇぞテメェの面・・・・・・付与術師のシロエ! 忘れねぇぞー!!」

 

そう叫びながら、デミクァスの体は四散して行った。

 

(終わったな・・・・・・)

 

戦いが終わったのを実感したリルドは、一息ついた。するとシロエ、直継、にゃん太の三人は、グリフォンを呼ぶ笛を吹いていた。そして、グリフォンが来るや否や、直ぐ様乗った。

 

「行くぞリルド、もうこんな所に用はねぇ」

 

「おう!」

 

「セララさん。来るですにゃ」

 

「はい!」

 

「アカツキ、行こう」

 

「承知した」

 

リルドは直継、セララはにゃん太、アカツキはシロエのグリフォンにそれぞれ乗り込んだ。

 

「さあ! 出発進行! 大脱出祭りだぜ!」

 

直継の号令と共に、3匹のグリフォンは大空へと飛び去って行った。

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