リルドの冒険譚   作:1103

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もうすぐGWなので、仕事が忙しくなって来ました。明日の休みを利用して、もう1話投稿できたら、したいと思っています。


第6話、帰還

ブリガンディアを退けたリルド達は、グリフォンに乗ってススキノを離れた。そして、ライポート海峡を渡ったところで、野営をする事にした。

リルド、シロエ、直継、アカツキはテントの準備をしていた。

 

「ん? 何か良い匂いがするな・・・・・・」

 

「ああ、これは・・・肉が焼ける匂いだ!」

 

匂いに釣られた四人は、匂いがする方に走った。するとそこには、香ばしい香りを漂わせる肉と、それを焼くにゃん太の姿があった。

 

 

その晩の食事は、一言で言うなら極上であった。決して高級な肉を使っているわけでは無いのだが、4人は1ヶ月ぶりの本物の肉の味を味わっていた。

 

「やべぇ! やべぇよこれ!」

 

「ああ! 1ヶ月ぶりの肉祭りだ!」

 

「至福だ! 至福だぞ主君!」

 

「美味しい! 美味しいけど・・・一体どうやって?」

 

シロエのその疑問に、にゃん太はわかりやすく答えた。

 

「料理をするときに、大抵はメニューで作れるが、それだと見た目はそれらしい物でも、味がとても質素になるにゃ」

 

「ええ、何度も経験しました」

 

「そこで、メニューに頼らず、自らの手で食材を調理する。それによって、現実世界と同じ味が再現出来るにゃ」

 

「それは僕達もやりました。けど・・・・・・」

 

シロエは焼かれていない肉を火で炙る。すると、形状しがたい物体になってしました。

 

「こんな風になってしまうんです」

 

「それはスキル不足による現象にゃ。適正のスキルを持った者でないと、料理は失敗するんだにゃ」

 

「あっ、そう言えば班長のサブって――――」

 

「料理人ですにゃん」

 

にゃん太は自慢気に、自分のサブ職業を言った。

 

 

それから食事を終えたリルド達は、改めて自己紹介をした。

 

「初めまして、セララです。レベル19の森呪遣いで、サブは家政婦です。今回は助けていただいて、ありがとうございます!」

 

そう言って、セララは丁寧に御辞儀をする。

 

(礼儀正しい子だなぁ・・・・・・)

 

そう思いながらも、リルドも自己紹介をする。

 

「俺はリルド。職業は盗剣士のレベル75、サブは復讐者だ。よろしくな」

 

「私はアカツキ。職業は暗殺者、レベル90で、サブは追跡者だ。今は主君であるシロエ殿の忍をしている」

 

「俺は直継。職業は守護騎士でレベル90、サブは辺境巡視だ」

 

「それでは我輩も。我輩はにゃん太。職業は盗剣士、レベルは90でサブは料理人。年寄りだが、よろしくにゃん」

 

「最後は僕だね。僕はシロエ。職業は付与術師でレベル90、サブは筆者師だ」

 

一通りの自己紹介を終えた後、一同はそれぞれの身の上の話で盛り上がっていた。

 

「なるほど、主君とにゃん太老師はあの放蕩者の御茶会の――――」

 

「そうだにゃ、シロエちは当時は参謀として、我輩は御隠居として参加していたにゃ」

 

「あと俺もな!」

 

「えっと・・・皆さんは同じギルドだったんですか?」

 

「違うぜセララ、放蕩者の御茶会―――通称お茶会ってのは、ただの冒険者の集まりなんだ。まあ、ギルドになってもおかしく無いんだが、そういう体系は一切取らなかったらしいぜ。なあシロ兄?」

 

リルドの言葉に、シロエは頷いた。

 

「ところでよぉ、リルドは何でシロとつるんでいるんだ?」

 

「え?」

 

「シロはこう見えても人見知りするからな。俺ら以外に仲良さそうな冒険者はあんま見たことが無いんだ」

 

「おい直継! その言い方だと、僕がボッチ見たいじゃないか!」

 

「事実だろ? フレンドリスト、御茶会のメンバーしか登録されていないだろ」

 

「失敬な! ちゃんと登録されてるよ!」

 

「三日月同盟のメンバーを除いてもか?」

 

「・・・・・・2、3人位は」

 

「やっぱりボッチじゃ――――」

 

「ふん!」

 

その瞬間、アカツキの跳び蹴りが直継に直撃した。

 

「主君、主君を侮辱した愚か者に蹴りを入れておいた」

 

「ありがとうアカツキ」

 

「お、お前らなぁ・・・・・・」

 

「まあ、シロエちがボッチかどうかはともかく、二人の馴れ初めは興味あるにゃ。良ければ、聞かせて欲しいにゃん」

 

「別に良いけど、大しておもしろい事じゃないぜ」

 

「我輩はそういう話が好きにゃのよ」

 

「ま、隠すような事でも無いし、いいかシロ兄?」

 

リルドの言葉に、シロエは頷いた。

 

「それじゃよーく聞いてくれよ。あれは俺が、エルダーテイルを初めてプレイした日―――――」

 

リルドは、シロエとの出会いを皆に話をし始めた。

 

―――――――――――

 

翌朝。朝食の材料を取りに、リルドとにゃん太は森の動物を狩っていた。

 

「こんなもんでしょうかにゃ。リルドち、戻りますにゃん」

 

「納得いかないなぁ、どう見てもニキロ以上あるのに・・・・・・」

 

「それは仕方ないですにゃ。サブ職業、狩人でなければ、捕獲や解体等は出来ないにゃん」

 

「それはそうだけど・・・・・・」

 

「そんなにしょげる事はないにゃん。代わりと言ってにゃんだが、手伝ってリルドちのリクエストにお応えするにゃん」

 

「本当!? それじゃ――――」

 

何をリクエストするか考えるリルド。ふと、ススキノでの戦いで疑問に思った事を思い出した。

 

「そう言えばにゃん太のジイさん。一つ聞いていいか?」

 

「にゃんですか?」

 

「ジイさんはどうやって、デミクァスのHPを一瞬で削ったんだ? 武闘家のHPを一瞬で削るなんて、普通は無理だと思うけど・・・・・・」

 

「ふむ、確かに盗剣士の攻撃力では、武闘家であるデミクァスのHPを一瞬で削るのは難しいにゃん。しかし、シロエちの支援があれば可能だにゃん」

 

「それって、ソーンバインドホステージ?」

 

「そうだにゃ。あの茨を破壊する度に、追加ダメージが発生するのは知っているかにゃ?」

 

「ああ、いつも世話になっているから。でもさ、それを使ったとしても、良くて半分ちょいが限界じゃ・・・・・・」

 

「普通にやれば、それだけのダメージしかにゃいが、少し工夫と鍛練をすれば、盗剣士であっても、戦士職を一撃で沈める事は可能だにゃ」

 

「それってどんな方法?」

 

リルドがそう尋ねると、にゃん太はまるで質問を受けた先生のように答えた。

 

「先ず最初に、シロエちがソーンバインドホステージで相手を拘束させる。そこまでは通常の戦法だにゃ」

 

「ふむふむ」

 

「しかしここで攻撃せず、14秒待つにゃ」

 

「何で?」

 

「ゾーンバインドホステージのリキャスト時間は15秒。14秒待って攻撃すれば、ちょうど15秒になるにゃ。それからまたソーンバインドホステージをかければ、全ての攻撃に追加ダメージが発生するにゃ」

 

「まあ、理屈なら確かに武闘家のHPを大半削れるけど・・・・・・」

 

「無論、これは一朝一夕で出来る物ではないにゃん。それなりの修練が必要なんだにゃ」

 

「それって、頑張れば俺でも出来るか?」

 

「リルドち次第だにゃ。もし良ければ、手ほどきをしてあげるにゃ」

 

「本当か! ありがとうにゃん太のジイさん! いや、にゃん太先生!」

 

リルドは嬉しそうにそう言った。

こうしてリルドは、にゃん太の手解きをして貰える事になった。

 

―――――――――――

 

旅は順調に進んでいたある日、グリフォンに乗って飛んでいると、前方から雨雲が見えた。

にゃん太の提案により、一同は早めに雨宿りの場所を探す事にした。幸いに、近くに農村を見つけ、今日一晩倉庫を借りる事が出来た。

シロエ、にゃん太、セララは、倉庫を貸してくれた大地人の男性と話をしており、リルド、アカツキ、直継は彼の子供達の相手をしていた。

 

「なーなー、手裏剣を投げてみせてよー」

 

「みたいみたい」

 

「うっ・・・・・・」

 

子供達にねだられ、たじろくアカツキ。それをニヤニヤと眺める直継。そんな中、リルドが助け船を出す。

 

「こらこら、アカ姉を困らすなよ。手裏剣投げなら俺にだって出来るぜ」

 

「本当!?」

 

「お兄ちゃんも忍者なの!?」

 

「いや、違うけど、似たような事は出来るぜ。直兄」

 

「ん?」

 

「ちょっと手を貸してくんない?」

 

「おういいぜ。一体何をすればいいんだ?」

 

「これを頭に乗っけて、柱の近くに立ってくれればいいだけだぜ」

 

そう言って出したのは林檎であった。それを見た瞬間、直継の脳裏に嫌な予感が過る。

 

「もしかして、頭に乗せた林檎に手裏剣を当たるっていう・・・・・・」

 

「御名答♪」

 

「そんな危ねぇ事やらねぇよ!」

 

「えー、やらないのー?」

 

「やらないのー?」

 

二人の子供は、いかにもやって欲しい表情をしていた。直継は最初は頑なに拒んでいたが、子供の眼差しには勝てず、結局やる羽目になった。

 

「いいかリルド! 俺に当てたらただじゃ済まさねぇぞ!」

 

「わかってるって、そんじゃ行くぜ!」

 

リルドが放った手裏剣は、見事林檎に命中した。

 

「すっげぇー!」

 

「すごいすごい!」

 

「ふふん、どんなもんだい」

 

リルドは得意気にしている一方、直継は生きた心地がしなかった。

 

「た、助かった・・・・・・も、もういいだろ? 今回はこれで―――――」

 

「まだまだだなリルド。ここは本職である私が、手本を見せてやろう」

 

先程まで乗り気でなかったアカツキが、何故か手裏剣投げを披露しようとしていた。

 

「ちょっと待てー! お前さっきまで乗り気しなかった筈じゃねえかー!」

 

「気が変わった。こんな見事な的をみて、やらないのは忍の恥だ」

 

「明らかに私怨満々ですよねー!? リルド! 見てないで助けろ!」

 

「大丈夫だって、アカ姉は忍者なんだから、下手な手裏剣投げはしないって」

 

「そういう問題じゃない!」

 

「さあ、覚悟しろ直継ー!」

 

「ギャアー!!!」

 

アカツキは手裏剣を華麗に直継に目掛けて投げ放った。直継の悲鳴が、倉庫に響き渡った。

 

―――――――――――

 

その夜。雨が上がり、空は満天の星空が広がっていた。

リルドは外でそれを眺めていると、シロエがやって来た。

 

「やあ」

 

「シロ兄」

 

「眠られないのかい?」

 

「いや、そうじゃないけど、目がさえちゃって」

 

「僕もだよ」

 

そう言って、シロエはリルドの隣に座る。二人で星空を見上げる。

 

「それにしても、凄い星空だなぁ」

 

「現実世界だと、中々見れないからね」

 

「現実世界か・・・・・・もう随分昔の事のように思えるな」

 

「・・・・・・リルドは寂しくないのかい?」

 

「寂しく無い。って言うと、嘘だけど。あんまりそういうのは感じないな」

 

「え?」

 

「俺の親って、共働きだからいつも家に居ないんだ。友達もいなかったし。だから、シロ兄達が一緒にいてくれるから寂しく無い」

 

「リルド・・・・・・」

 

「あっ、そう言えば思い出しただけど、トウヤとミノリはどうしているかな? 今まで見落としていたけど、あいつらもこの事態に巻き込まれているらしいし」

 

トウヤとミノリ、最近シロエとリルドが面倒見始めた初心者である。大災害時、リルドは思った以上に動揺していたらしく、フレンドリストを確認する時、二人の項目を見逃していた。後日改めて確認すると、二人共大災害に巻き込まれいるのを知った。

 

「二人とも大丈夫かな・・・・・・」

 

「ギルドに所属しているみたいだから大丈夫だと思うよ。この一件が片づいたら、二人に声を掛けよう」

 

「そうだな、積もる話は一杯あるだろうし、先ずはアキバに帰る事が先決だな」

 

そう言って、夜空を見上げるリルド。しかしこの時彼は、二人がどんな境遇に陥っているのか、全く知るよしもなかった。

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