パパのいうことを聞きなさい!――双子の弟は頑張ります――   作:四宮 (陽光)

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遅くなりました。

自分が更新したときの前書きでは毎回書いているような気がしてならない今日この頃です。

それではどうぞ。


第九話 講習中はお静かに その2

 

兄さんが莱香ちゃんと共に教室を追い出されてまもなく、授業が始まった。因みに仁村君の代返は僕がやっておいた。

ホントに、もう。後で兄さんに一言文句でも言おう。

そう自己完結して前を向く。教壇では、先ほど兄さんと來香さんを追い出した教授がつらつらと言葉を並べ立てているけど、正直興味がないため全く頭に入ってこない。帰りたい衝動に駆られてしまうけど単位のためだから仕方ない。周りをチラリと見れば半分くらいの学生はウトウトと迫りくる睡魔の脅威と格闘している。中には堂々と白旗を揚げ机に突っ伏している人もいる。本音をいえば僕も寝てしまいたいけど流石にそんな勇気は無いし、第一眠気がこないため断念せざるを得ないのが現状。

なので、なんとはなしに教授の講義を右から左へと受け流していると、不意に身体の左側に何か柔らかい感触。振り向けば女の子がもたれ掛かってきていた。因みに莱香ちゃんたちが居た席とは反対側。ってそんなことはどうでも良いや。とりあえずこの状況をどうにかしないと。

顔を覗き見るとどうやら寝ているらしい。小動物チックな可愛い寝顔です。とっても幸せそうな寝顔なんだけど今は講義中なんだし起こした方がいいのかな。それともこのまま寝かせておいてあげるべきかなぁ。

 

「…う、うぅ…ん?」

 

そんなことを考えているうちに女の子は身を捩らせて目を薄く開いていた。少しの間、目を瞬かせていたんだけど状況に気づいたのか、バッと身体を起こした。因みにボーっとしていた顔も可愛かったのは内緒だ。

 

「ご、ゴメンなさいッ。寄っかかっていたみたいで…」

 

「いや、別に軽かったし大丈夫だよ」

 

顔を赤くして謝ってくるので、なぜかコッチが申し訳ない気持ちになってくる。

 

「ホントにゴメンなさい。あの…名前は?」

 

「国文科の瀬川翔太です。そっちは?」

 

「菅谷ミキっていいます。人文科だよ……って翔太?女の子にしては変わった名前だね」

 

「……僕は男です」

 

「えッ!?」

 

またか。確かに今日の服装は中性的なモノだけど、せめて名前で気づいて欲しかった…ッ!

視界になんだか霧がかかってるみたいだ。あれ、おかしいな?

 

「えッ、ちょっと、なんで涙目なの!?」

 

「ううん、なんでもないよ。うん、なんでもない……」

 

「いや、スゴく気になるんだけど!?私なんかしちゃったかなッ!?」

 

目の前でまたアワアワし始めた菅谷さん。それを見ていると落ち着いてきて視界がクリアになってきた。そうすると周りの数人の学生が何事かとこちらを見ていることに気づいた。僕たちの声がどうやら大きかったらしい。

 

「もう大丈夫だから気にしないで。それにあんまり大きい声出しちゃうと兄さんみたいに追い出されちゃうよ」

 

「あっ、そうだね。というか、美人の先輩と追い出されてたのお兄さんなんだぁ」

 

先程より声を潜めて話す僕たち。こっちを見ていた学生も再び惰眠を貪る作業に戻っていった。あれ?講義を少しは聞いてあげようよ。いや、僕たちも聞いてないけど。

 

「そうだよ。ちなみに先輩のほうは來香ちゃんだよ」

 

「へぇ……來香ちゃん?あぁ、織田先輩かぁ」

 

どうやら來香ちゃんのことは知っているらしい。そういえば仁村君が來香ちゃんは学内で有名だって言ってたっけ。たしかに少し変わってるもんね。

 

「ところで随分気持ちよさそうに寝てたけど疲れてたんだね」

 

「うっ。昨日は少し遅くまでバイトしてたんだぁ。だからちょっと疲れちゃって」

 

「お疲れ様です」

 

バイトかぁ。兄さんは結構してるけど僕は家事があるから短期のモノくらいしかやってないんだよね。

でもやっぱり深夜のバイトはお給料が良いんだよね。兄さんもそれやって授業中寝たりすることもあったから菅谷さんの気持ちは分かるや。

 

「でも、女の子が夜遅くまでバイトするのは危ないんじゃない?」

 

「そうなんだけど、今月ちょっと厳しくて」

 

「菅谷さんは可愛いんだから余計危ないしねぇ」

 

「えっ……」

 

急に少し俯いてしまう菅谷さん。顔も少し赤い気がする。あれ?僕なんかしたかなぁ。

 

「あ、ごめん。なんか気にしちゃうこといちゃったかな?」

 

「う、ううん。なんでもないよっ。瀬川君も夜の一人歩きは気をつけてねッ」

 

「ちょっと待って。僕は男だよッ!?」

 

 

 

 

 

途中から菅谷さんの調子が少し可笑しかったけど、結局菅谷さんと話している間に講義は終わってしまったのだった。

 

 

 

 

 

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