ある日の事だった。超人類の携帯に神からの電話が入った。
「神様!! 本当か!?」
「ああ、やっと完成したぜお前のIS」
超人類はガッツポーズをする。
「とりあえず、明日ぐらいには届くから楽しみにしてくれ。じゃあなー」
神からの電話は切れる。そして、超人類は呟く。
「明日が楽しみだな。今日は早く寝るか」
机の上にあった2ℓのプロテインストロベリー味(牛乳で溶かした物)を一気飲みし、超人類は布団に入るのだった。
桜舞い散る季節―――春。
人は新たなる季節に希望を抱き、翼を広げ、羽ばたく季節。
そして、今、IS学園に入ろうとしている男、織斑一夏はそれに該当しない1人だった。
(あー……分かっていたが、女子ばかりだな)
周りを見ながら織斑一夏は思っていた。
朝から彼はテンションが低かったが、歩みを止める訳には行かない。重い足を動かし自分の入るべき教室を目指す。
(くそ、夢のことが頭から離れない)
織斑一夏は悩んでいた。夢の内容は怪しさ全開の筋肉隆々の大男が全力で織斑一夏を追いかける夢だった。織斑一夏はその男から全力で逃げるが、どうやって逃げても、何処の隠れても、密室(シェルター)に逃げても、壁を突き破って現れ最終的には捕まりぼこられる。そんな夢を数ヶ月以上毎日見続けているのだ。不安にならないはずが無い。
(おっ、あそこが俺のクラスの教室か……てか教室の雰囲気がおかしい)
織斑一夏の教室、1年1組からとてつもないプレッシャーが扉から流れ出ている。
(一体何が……?)
織斑一夏は教室に入る。教室には真ん中の列、前から二番目の席に顔の厳つい大男が無駄に威圧感を垂れ流し座っていた。
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
織斑一夏は夢に出てきた男に良く似た男を見て恐怖が襲い掛かってきたのだった。
「ん? 来たか織斑一夏、お前の席は俺の前だぞ」
大男は織斑一夏に席を勧めるのだった。
「一体何があった!?」
1組の担任、織斑千冬がやって来た。
「織斑か……早く教室に入れ、もうすぐホームルームを始め――――ぐっ何だこの威圧は……?」
千冬は教室を覗く、そこに座っていたのは……。
千冬は織斑一夏を席に座らせ、大男に話しかける。
「……超人類、お前はそこで何をしている」
「織斑先生、見て分からんのか学生だ」
千冬の問いかけにさらっと答える大男こと超人類。
「そのようなノースリーブの制服は我が校では採用してなかったはずだが……」
「これか? 最初は袖があったんだが、着たら弾けとんだ」
千冬は頭を抱える。どう鍛えたらそのようなことが起こるのか訳が分からなかった。ちなみに胴の部分は残っているが超人類の筋肉の形が分かるぐらいぴっちぴちだった。
「それでは、この教室に充満している威圧は何だ!?」
「それは、2時間前からこの教室にいたからな」
「そうか……なら最後の質問だ。お前はいつからここの生徒になった!?」
「ついさっきだ。とりあえず、これ生徒手帳」
超人類は懐から生徒手帳を取り出し、千冬に見せる。
「確かにうちの生徒手帳のようだな。どうやって手に入れた」
「もちろん、偽造に決まっている」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
「俺の仕事は
「くっ……たちの悪い。しかし、お前は用務員、これからどうするんだ?」
「今まで道理仕事をする。じゃないとこの学園潰れるかもしれんからな」
その事実に反論できなかった千冬であった。
(何だこの状況は……)
織斑一夏は焦っていた。周りの目(真後ろの席)からの視線が凄かった。織斑一夏の席の真後ろで超人類が織斑一夏にプレッシャーをぶつけていた。
「次は織斑一夏君、お願いしますね」
「は、はい」
織斑一夏は立ち上がり後ろを向き、周りを見る。ちなみに今はホームルームで自己紹介をしているところだ。
(女子ばかりだな。俺を除いて男は1人だけか……)
織斑一夏は超人類を見ようとする。この学園では数が少ない男だ。仲良くしたいと思ったのだろう。織斑一夏は超人類と視線を合わせるが……。
(しょーもない自己紹介はするなよ?)
(!? う……凄いプレッシャーだ。目線だけで気絶できるぞ……)
織斑一夏は気合を入れて声を出す。
「織斑一夏です。よろしくお願いします―――以上です」
「名前しか紹介してねぇだろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「げふーーーーーーーーーーーー!?」
超人類は織斑一夏を思いっきり殴り天井に吹っ飛ばす。織斑一夏は勢いで天井に突き刺さる。
「いいか? 自己紹介と言うものは初対面の人に自分の名前、身分、経歴、趣味などを己の言葉で言い知らせる、社会でと・て・も! 大事な事だ!! なのにお前は自分の名前だけで終わらせるなど貴様は小学生か? それともお前は社会から逃げてモルモットにでもなるのか? 俺がそのうち手本を見せてやるからそこで見ておけ」
「えーと、ジェイソンさん。お願いします」
「ん? 山田先生いたのか……まあいい」
超人類は教壇の前に行き、山田先生の隣で自己紹介を始める。
「俺の名前は超人類、けして俺の名前は『ジェイソン』ではない。今は学生としてここにいるがこの学園では用務員と言う名の『何でも屋』として働いてる。趣味は筋トレ、好きなものはプロテイン、嫌いな奴は
「はい。何で経歴を調べないほうがいいんですか?」
隣にいた山田先生が手を上げながら言う。
「俺の経歴は厳重にロックされていて、仮に解除できても『超人類・デス・ウイルス』を開放するだけだな」
「いててて……なんだその『超人類・デス・ウイルス』って」
突き刺さっていた織斑一夏は自力で脱出したとき、ちょうど言っていたので聞いてみるのだった。
「『超人類・デス・ウイルス』とはとても恐ろしいウイルスだ」
「一体何が起こるんだ……?」
織斑一夏は息を呑む、いや超人類の妙な迫力にクラス全員が息を飲んだ。そして、超人類の口がゆっくり開かれる。
「『超人類・デス・ウイルス』が開放されると……なんと世界中の掲示板に織斑一夏のメールアドレスが載せられる」
「・・・・・・・・は? 何だよ!? すんげぇしょうもなさそうで、すっげー陰湿な事は!?」
「おっ!? 早速誰か引っかかったらしいな」
「おおおーい!? 嘘だろーーーーーーーーー!?」
超人類は手元にあった端末を使って分かったようだった。
「ちなみに掲示板に載せた内容はこうだ。
『実は宝くじで1等の200,000,000円当選したのですが、使い道に困っています…。そこで、この宝くじの当選金を差し上げたいと思います。既にお受け取りになられた方もいます。寄付もしましたが、まだ結構な額が残っているのです…。受け取りたいという方は下のメールアドレスからご連絡ください。金額はお任せします。限りがあるのでご理解ください。』
もしくは、
『小遣い稼ぎしませんか? 下のメールアドレスにメールを送っていただければ、1万円プレゼントします。早い者勝ちです。今ならサービスでプロテイン(ストロベリー味)もプレゼント♪』だ」
「なーんだ。こんなの引っかかるはずが……」
織斑一夏は安心するが、ポケット入っていた携帯から音楽が流れる。織斑一夏の聞いた事ない着うただった。
「なんで、俺の携帯から聞き覚えのない曲が……」
「すまんがお前の携帯はジャックし、曲を変えた。曲名は『嵐のマッチョマン』だ」
「何だよ!? その歌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
IS学園中に織斑一夏の奇声が響くのだった。
『嵐のマッチョマン』が気になる人はYouTubeで聞いて下さい。