一気に載せようかと思いましたが、ばらしました。
なので前の話よりも短いです。
「こんな感じでいいですわよね……」
誰いない寮内でセシリアは1人ごちた。どうやら荷物をまとめていたようで、必要最小限のものを手ごろなバックに入れていた。
(数週間しか、ここで暮らしてなかったのに、いざ離れようと思うと寂しいものですわね)
そうセシリアはIS学園から旅立とうとしていた。寝泊りしていた寮部屋にはセシリアの私物が大量に残されていたが、あの超人類がいるのだ。無駄なくリサイクルに出されるだろう。そう思いつつセシリアは寮を後にし、誰にも気付かれずに旅出す筈だった。
「何処に行こうというのだ? モルモット」
「貴方は……気付いていましたの?」
IS学園の正門まで行くとそこには無駄に威圧感を垂れ流し、厳つい顔をした筋肉隆々の大男、超人類が立っていた。その後ろではポリの皆さんが、今か今かと超人類が正門を1歩でも出ないかと瞳をギラつかせ、物陰から待っているのだった。恐らく全テレビ放送をジャックしたからだろう。
「気付かないと思ったか? これでも俺はこの学園の用務員。今まで入学した生徒は全て把握している」
「…………まぁ、なんと言うか凄いですわね。なら私が旅立とうとしている理由も把握しているのでは?」
「まぁな、だがあえて聞こう。その方が決意も固くなるからな」
「……そうですわね。決意表明にはちょうどいいかもしれませんわ」
セシリアは超人類に経緯を話し始めた。その話に耳を傾けているとやはり今回の敗北が原因らしい。戦いのど素人に敗北をし、さらに何億兆円も積んで作った兵器がハエ叩き(100円)で簡単につぶされた事で自分がどんなに弱い存在かを知ってしまった。
そのせいでプライドの高いセシリアはズタズタにされるが、その後で彼女は悟った。
織斑一夏が一週間で強くなったのならば私にも出来ないはずがない。私も超人類のように平凡な武器で敵を圧倒できるようになるのではと。
そこから彼女の行動は早かった。すぐさま自室に戻り、荷物をまとめ旅に出ようとしていたのだが、結局超人類に見つかってしまったのだった。
「とにかく、私は再びこの地を踏むため、強くなるまではここに帰ってくるつもりはありませんわよ」
「ふっ……いい決意だ。だが、誰にも頼らず強くなろうとするには限界がある。餞別だ、これをもっていけ」
超人類はポケットに手を突っ込んである物をセシリアの胸元に投げた。それをキャッチしたセシリアはそれを見る。
「これは……ただの指輪ではなさそうですわね」
「ああ、それはISのコアだ」
「!? なぜこんなものを?」
「理由が聞きたいのか? 答えは単純、俺は生徒の旅の門出を黙って見過ごす用務員じゃねぇ。モルモットよ、強くなって帰って来い。それまで席は残しといてやる」
「貴方はまだ私の名前を呼んでくれないんですね……でも、ありがとうございます」
「前も言ったが、名前を呼んで欲しければ俺を認めさせろ。…………次、会う時を楽しみにしておく」
「……失礼いたしますわ」
そう言ったセシリアはIS学園から背を向け、歩いていく。それを最後まで見送るつもりで、その場に立っていたが誰かに声をかけた。
「――――何時まで、そこに隠れているつもりだ?」
「気付いていたか……超人類、アイツを止めなくて良かったのか?」
超人類の後方にある茂みから織斑千冬が出てくる。どうやら彼女もセシリアの動向に気付いていたようだ。超人類は満面の笑みで答えた。
「良いに決まっているだろう。まぁ織斑一夏と戦う前だったら、またハエ叩きでひねり潰していただろうが、今のアイツには不要だろう」
「信頼しているのだな。いつもなら遠慮なくぼこるくせに」
「勿論だ、教師が生徒を信頼しないでどうする。制裁を加えるのも愛のうちだ」
「ふっ、貴様が言うと正論にしか聞こえないのが不思議なもんだ」
「俺は
「わっ……私にも何かやらせるつもりなのか!? まぁいい、後で酒おごれよ」
「勿論だ。試作品のプロテイン酒を飲ませてやる」
「ぐっ!? 何なんだそのプロテイン酒ってのは」
「それは飲んでからのお楽しみだ。さぁ行くぞ」
こうして、超人類は門を後にする。旅立つ生徒を成長を確信しながら……。
「久しぶりに全員が集まったようだな」
そこは薄暗く、広い部屋だった。部屋のど真ん中には、中心が空いてある円卓と11脚の椅子が規則的に並べられ、その横に11人の人間が背筋をしっかり伸ばした姿勢で立っていた。
「まぁ皆、最近は色々と大変だったからね。しょうがないんじゃないのかな」
「確かにな、ところで議長。何時になったら席に付かせてもらえる? 俺は腰が痛くて堪らないんだ」
「そうだな。全員着席せよ」
議長と呼ばれた男は指示を出し、自分を含め着席した。そして、それを確認すると威厳のある声で言った。
「これより十一人会議を始める。まずは現在、秘密裏に進められている計画の方はどうなっている?」
「はい。滞りなく計画は進められています。もうあと少しで裏工作は終わり、作戦実行できます」
「そうか…………ついに、ついにか。我々は待ち望んだ」
「ISが現れ、世界が変わったあの時から」
「男性が弱者となり、女性が強者となった瞬間から」
「そして、天才と称し、世界をめちゃくちゃにされたあの時から」
「そうあの時から待ち望んだ。…………長かった、長かったぞ」
「この計画が上手くさえいけば…………世界は再び、変わる。改変される」
「そして我々の願いは達成される。絶対に悟られるんじゃないぞ。超人類よ」
「了解した」
無駄に威圧感を垂れ流し、厳つい顔をした筋肉隆々の大男はにたりと笑う。その男の机の上にはあるレジメが置かれており、その表紙には『SS計画』と書かれていたのだった。