と言う訳で、どうも遼明です。本当は一日に投降しようと思っていましたが、間に合いませんでした。(泣)
今回の話は、戦闘メインになりますのでネタが少ないですがよろしくお願いします。(汗)
なお、本日に十八時頃に投降予定です。
「ふぅ、久しぶりのシャバの空気は上手いな。太陽の光が眩しいぜ」
警察署前で深呼吸をして、空を見上げる織斑一夏。約一週間ぶりに外に出る事ができたのだ。つい言ってしまうのは人の性かもしれない。
「ふん! 今回は貴様の罪を見つけることが出来なかったが、次はないと思え!!」
「あってたまるかッ!!」
「その様子だと、こってり絞られたようだな。織斑一夏よ」
「超人類! 迎えに来てくれたのか」
「ああ、丸一日かけて迎えに来てやったぞ。ありがたく思え」
「丸一日!? 一体何が!」
「無論、ポリどもの職質に決まっているだろう。今日だけで既に151人と相手したぞ」
「まだ早朝なのに…………よく無事だったな」
堂々と言う超人類に織斑一夏は驚き半分、やっぱりかと思う気持ち半分と微妙な顔になっていた。
「ふん、ジェイソン、今日は命拾いしたな。今回は裁判長の事情のせいで令状が申請できなかったから、ここで逮捕できないが次はないと思え」
「ふん、何もやっていないのにどうやって捕まえるのだ? 先日にやった放送ジャックはちゃんとテレビ局から枠を買い取った上で放送しているから問題ないはずだが?」
(あれ、一応枠買ってたんだ…………)
そうなのだ。超人類はあの時のジャックはちゃんと枠を買って上での放送であり、全テレビ放送をジャックして全世界に配信は放送を盛り上げる為の文言でしかなかったのだ。ただ放送をジャックされたように見せるために色々と手を打っていたのは言うまでもないが……。
「ところで裁判長の事情って何ですか?」
「よく聞いてくれたジェイソン弟子! 実は裁判長が御乱心なのだ」
「一体何が!?」
「実は先日の法廷で…………」
『成歩堂龍一、有罪! 有罪ですぞぉぉぉぉおおおお!!』
「とか言い始めてから、聞く耳を持たないんだ。全てはあのハッタリ弁護士が…………」
(成歩堂龍一……。一体その人は何をやったんだ?)
「それはしょうがないだろう。あの裁判長こそが本当の法曹界の歪みなのだから」
(そんな裁判長でいいのか!?)
織斑一夏は心の中で突っ込む。口に出さないのは嫌な予感がしたからである。危険な匂いがするなら突っ込まない、それは超人類から学んだ事である。
「ま、とにかく急いで学園に帰るぞ。 今日はクラス代表戦だからな!」
「そうなのか?」
「何だ? その貧弱な返事は…………、この一週間で弛んだようだな。いいだろう、クラス代表戦が終わり次第、
「足折れるわ!! パープロ6なのかッ!? サクセスか!? 打ち返すんじゃないのか!? 十倍速ってなんすかッ!?」
「足が折れてもしっかりと繋げてやる。心配するな、俺はお前が出来る事を信じている」
「そう言う問題じゃなぁぁぁああああああい!! いい笑顔で言うなぁぁぁあああ!!」
威圧感漂ういい笑顔でサムアップする超人類に、全力で止めてもらおうと織斑一夏は交渉に入るが、一度決めた事を超人類は余程の理由が無い限り曲げる事がない。つまり、織斑一夏は諦めるしかなのだ。
「さて、ポリ共。生徒が世話になったな」
こうして、超人類は織斑一夏の首を掴んで学園に帰っていった。
「久しぶりね、一夏!」
「リン…………お前帰って来ていたのか」
IS学園にある試合用のフィールド内、クラス代表戦こと春の超人類杯一回戦の第二試合、一組と二組との戦いである。既に両方の代表者はアリーナに出てにらみ合っており、まさに決戦の火蓋が切られようとする寸前だった。
対戦のカードは一組、織斑一夏。対する二組は先日、転入してきた中国代表候補生であり、織斑一夏の昔馴染みでもある
「ふふふ、驚いたでしょう。私は一夏に約束を果たしてもらう為にこの学校に入り、わざわざメンドクサイクラス代表にもなったんだから」
「約束? 何か約束なんてしたか」
「…………覚えていないようね。いいわ、思い出させてあげる。私の相棒、甲龍を使ってね。覚悟しなさい一夏!」
(何だ? この雰囲気…………余裕を感じる。何なんだその自信は!?)
織斑一夏は本能的に何かを感じ取っていた。凰鈴音の体から滲み出るオーラは何か隠し玉を持っている事を確信させる。
『両者、そろそろ定位置に着け試合を始めるぞ』
アリーナにアナウンスが入ったために両者が定位置に下がる。それを確認した審判一同は試合開始のブザーを高らかに響かせた。
「先手必勝!」
ブザーが鳴ったと同時に織斑一夏は十八番である高速ダッシュ技『織斑ダッシュ』を使い、凰鈴音との距離を一瞬に詰め、セシリア戦同様蹴りをお見舞いするはずだった。
「無駄よ! あんたの足では次にはいけない!!」
「えっ!?」
その瞬間、織斑一夏は体が軽くなった感じがした。するとどうだろうか、全身の力が抜けていく様な感覚と視界がゆっくりと反転していく感覚が妙に印象に残り、彼が今置かれている状況を判断するのが遅れる。
(この浮遊感、そしてゆっくりと反転する視界…………。!! マズイッ、今、俺は無防備――!?)
自分今の状況がわかった瞬間、背中から突き抜けるような衝撃が織斑一夏を襲う。その衝撃は八咫烏のシールドエネルギーを削るだけではなく、操縦者さえダメージを与えた。無理矢理吐かされる空気、それに混じって出される鉄の味がした何か、その衝撃はそのまま織斑一夏を吹っ飛ばし、まるで巨大なハンマーで殴られた感覚を覚えさせた。痛む体に受身を上手く取って織斑一夏は素早く立ち上がり、凰鈴音との距離を保って向き合った。
「げほげほ…………リン、どうやって俺の動きを封じた。ハイパーセンサーでは捉えられないはずだ」
「教えて欲しいの? まぁそれは鍔迫り合いをしながらでも出来るわよねッ!!」
「く、くそ!!」
今度は凰鈴音が
こうして、クラス代表戦は織斑一夏が劣勢で幕を開けるのだった。
場所が変わって、前までは実況席があったアリーナ内の監視室。そこでは弟の戦う姿を画面越しから静かに見守っている千冬の姿があった。
試合は開始から五分経過したが凰鈴音の優勢で、未だに織斑一夏はシールドエネルギーを削る事が出来ないでいた。
(まさか代表候補生とは言え、超人類に鍛えてもらった一夏が劣勢とは…………あの小娘はなかなかやるようだ)
超人類によってかなり能力が補強された一夏には死角はないと思っていただけに、千冬は素直に感心した。そんな中、部屋のドアノブが回る音が聞こえ、千冬は視線を画面から外した。
「やはり織斑一夏が劣勢か、まぁ想定内だな」
のっしのっしと筋肉隆々の大男、超人類が部屋に入ってくる。その手には大きな袋を担いでおり、ガチャガチャと金属が擦れる音が洩れていた。
「超人類、一夏を連れて来たと思ったら何処に行っていたんだ?」
「ん? それはだな、神聖な試合を汚そうとする悪戯を未然に防いできた所だ。ほれ、お土産だ」
すると袋を逆さまにして中身をぶちまけた。出てきたのは粉々に砕かれた黒い鉄くず、所々拳がめり込んだ痕があり、間違いなく超人類がその腕を振るったために出来たものだった。
「なっ、なんだ。この鉄くずは? ISのアーマーにも見えるが…………まさか!!」
「そのまさかだ。侵入者――――無人機二体分だ。全く誰がこんな無駄なことを」
「これは国際問題じゃないか! 型番は? ISのコアはあったのだろう」
「刻印されていない。誰がやったわからんがそれのおかげでコイツを有効活用できる。結果オーライって奴だな」
超人類はとりあえず、報告は終わったのでぶちまけた鉄くずを律儀に袋に戻し始めた。手際よく片付ける中、超人類は思い出したかのように千冬に尋ねた。
「それで織斑一夏の様子はどうだ?」
「ああ、一夏か? 凰鈴音が扱うISの装備、衝撃砲『龍咆』あれに梃子摺っている様だな」
「龍咆? ああ、あのおもちゃか! あれは駄目だな。砲弾が見えないのはいいが威力に派手さがない。見ている方は退屈だろう。まだBTの方が優秀だな(ただし、使い手による)」
仮にも中国が造った第三世代型兵器なのに理不尽な駄目出しである。
「確かにそう言う点ではBTよりも魅力が無いな。だが妙なんだ」
「妙とは?」
「龍咆は直線上しか狙えないはず、だが甲龍は明らかに別の方向を向けて放っていたんだ。これはどう言う事だ」
「おっ! 流石だな千冬。もうそれを見切ったのか」
「その反応………………まさか!!」
「お察しの通り、凰鈴音は俺が育てた。さてどっちが勝つだろうな?」
超人類は千冬を傍目に試合を観戦し始めるのだった。
「どうしたのさ一夏ッ! 最初の威勢は何処に行ったのかなぁ!?」
「く…………強い」
織斑一夏は明らかに劣勢だった。凰鈴音が操る『甲龍』の二本の青龍刀と織斑一夏が操る『八咫烏』の二足の足甲が打ち合い、交わる度火花を散らした。
お互いスピードとパワーが互角のために決定打を当てる事が出来ずにいたが、この状況に織斑一夏は焦っていた。
(まずい、このままだとシールドエネルギーがもたない)
八咫烏が示すエネルギー残量がレッドゾーンに入りかかっており、一方で凰鈴音が扱う甲龍はグリーンゾーン、約七割エネルギーを残していた。これには機体の性能、いや織斑一夏のコンディションが関係している。
八咫烏は織斑一夏に最高のパフォーマンスが出来るように設定された特別仕様の機体である。そのため、一定以上のパフォーマンスが出来ないとISが判断するとシールドエネルギーを使用して、必要に応じた能力を機体が勝手に補う機能があった。その機能が今の状況を引き起こしたのだが、本来そのような事にならないのだ。
しかし、現在の織斑一夏の状態は普通ではなかった。度重なるポリとの事情聴取、寒い牢の中での寝泊り、超人類のブートキャンプとは全く向きが違う精神的苦痛、疲労が彼を襲っていたのだ。さらに牢の中ではまともな運動が出来ず、体が鈍りいつも通りには動けない筈。だが八咫烏の機能により、いつも通り動ける織斑一夏は、いつも通り何も考えずに戦った結果がこの状況を作ってしまったのだ。
(思えば、初撃が不味かったな。もう少し慎重にいけば…………)
密かに反省する織斑一夏であったが、今さらどうこう出来る問題でもない。凰鈴音の立ち回りをどうやって崩すのか、織斑一夏はその事一点だけに脳をフル回転させる。
だが…………。
(…………考えるまでもないか、俺には黒弾がある。十分逆転できる可能性がある!)
八咫烏はシールドエネルギーを大きく削る事が出来る武装があるのだ。
しかし問題があって、ここまで『黒弾』を使用することが出来ていなかった。
(この近距離で展開し、俺のシュートを撃ち込む事が出来るのか?)
相手である凰鈴音は手練であった。二本の青龍刀を美しく踊り狂うように舞う剣舞は織斑一夏に隙を与えなかった。
一本の青龍刀を捌けば、次の一本が彼を狙い。それを上手く崩して隙を作ろうとすれば、今度は蹴りが彼を襲った。まさに理想的な攻撃だ。こうして織斑一夏は攻撃に転じる事ができないのだから。
(いや、出来ないわけじゃない。だが、今の俺が成功するのか!? 今まで成功した事のない技を!!)
そう織斑一夏が使用としている事は超人類ブートキャンプ中では完全習得できなかった技だった。それを使えば逆転も可能であるが、失敗すれば攻撃のチャンスを失う事になる。それが頭に過ぎり、攻めに転じる事が出来ずにいた。
――――諦めて、俺はこのまま防御し続けるのか?
そんな、織斑一夏の脳髄にある言葉が突然雷のように走った。
『君はそこで諦めるのですか?』
『超人類先生…………!!』
『諦めたらそこで試合終了ですよ』
「俺はッ! 最後まで諦めないッ!!」
織斑一夏の心が諦めを駆逐し、戦う意志を誕生させた。それは凰鈴音に一撃を叩き込み、勝利を手にすると言う単純かつ明確な目標を掲げ、彼は勝負に出たのだ。
それに答える為なのか織斑一夏が着装するIS『八咫烏』は本来の出力の倍を叩き出し、瞬間的に戦闘に大きく影響を及ぼした。
「!? 速いッ――――!」
凰鈴音が扱う二本の青龍刀は空を切る。彼女が知る八咫烏の出力を遥かに超していたからだ。そのせいで彼女は今バランスを崩し、織斑一夏を見失っていた。
「どっ、何処に!?」
体勢を直しながら辺りを見渡し、織斑一夏を探した。しかし、その必要はなかった。なぜならば…………。
「織斑フェイント」
――――真後ろにいたのだから。
「これで決めるッ!!」
「クッ!?」
既に黒弾を展開させていた織斑一夏はシュートの体勢に入っており、最早止める事は出来ない。瞬間的に『龍咆』では防ぎきれないと判断した凰鈴音は回避に入っている。
(間に合えッ! 私は避けれるッ!!)
まるでスローモーションのビデオを見ているみたいに世界が遅く見えた。織斑一夏の蹴りによって変形し撃ち出された黒弾。そして、それは回避している凰鈴音の横を当たる事なく通過した。
その瞬間、凰鈴音は勝利を確信した。黒弾以外、武装がない八咫烏は最早彼女にとって鴨であったからだ。
「私の勝ちよ!!」
思いっきり振り上げた青龍刀は太陽の光によって怪しく光る。しかし――――
「きゃあ!?」
突如、凰鈴音の背中に衝撃が走る。
まるで巨大なハンマーで背中を殴られるような衝撃はISの絶対防御を突破し、凰鈴音を数十メートル吹っ飛ばした。
「…………何で、避けたモノが戻って来てんのよッ!?」
体勢を立て直しながら、突然襲った衝撃の正体を確認した凰鈴音は驚愕する。
それは黒いエネルギー結晶体、黒弾だった。
「そんなの決まっているだろ? 『グリーンカットシュート』、俺の必殺技だ」
織斑一夏は端から凰鈴音に黒弾を当てられるとは考えていなかった。そこで彼はボールに強力な回転を掛けて、ボールの転がる向きを操作する技を選んだ。
その技こそが凰鈴音に見せたグリーンカットシュートだった。このシュートは地面に接触した瞬間、イレギュラーバウンドにより相手を潜り抜けて味方に回す、言わばパス技であった。だが、織斑一夏はシュートへと昇華させたのだ。
「一夏のくせに、なかなかやるわね……!」
凰鈴音は甲龍のシールドエネルギー残量を確認する。七割近くあったエネルギーはあの一撃を喰らったせいで既にイエローゾーン、五割ほど削られていた。しかし、凰鈴音はニタリと笑う。
「でも、未完成みたいね。その『グリーンカットシュート』。黒弾の本来の威力を考えれば、少し物足りないんじゃないの?」
「今の俺には十分さ、これで五分五分。もうお前のペースには乗らないさ」
織斑一夏は戻ってきた黒弾をリフティングを綺麗に決めてから、一本の腕を伸ばして凰鈴音を指差す。
それを見た凰鈴音は、突然笑い始めたのだ。
「何が可笑しい?」
「可笑しくなんてないわ。ただ、ここまでやるとは思ってなかったのよ」
「思ってなかった? …………まさか!?」
「ここからは私も本気でいく。だから………この装甲はもう必要ないわね」
凰鈴音が言い切った瞬間、IS『甲龍』は閃光を放ちアリーナ内にいる者達の視界を奪った。
「一体何が!?」
閃光の中、唯一八咫烏の補助により視界を奪われなかった織斑一夏は凰鈴音が扱うISが変形していくのだけわかった。
そして、閃光が収まった時、織斑一夏の目の前にあったのは甲龍とは姿が全く違うISであった。両肩に浮遊していた『龍咆』は凰鈴音の両肩のアーマーとして変形しており、その代わり背中には西洋の龍をイメージさせるような大きな翼が浮遊していた。
その堂々たる姿はどこか神々しく畏怖の心を抱かせた。
「超人類特製IS『甲龍マルチタイプ』、さて本気で行くわよッ!!」
織斑一夏と凰鈴音に戦いはまだ続く。