超人類が不憫すぎる
「ふーーーー。クビになったのも、これで300件目か」
顔が厳つく、筋肉隆々の大男こと超人類は空を見上げて呟いた。
彼は訳あって今、就職活動をしている。
「しかし、もうこの町の仕事全てクビになったからな……隣町に行くか」
超人類は仕事を求め隣町まで歩み始めた。
少し時は遡る……。
「開発費が足りない?」
「ああ、そうなんだよ。どんなISにするかはある程度決まったんだが、それを作る金が無い。だからすまんが少し稼いで来てくれ」
「別に良いが……神様の力で事足りるんじゃないか?」
「そんなもの使ったら銀河すら一瞬で破壊する兵器が誕生するぞ? それでは、どこぞの天才に目を付けられてしまう。それどころか本当にポリに捕まるぞ!!」
超人類は嫌な顔をした。
超人類のスペックを考えれば、捕まる事はほぼ無いがあのしつこさはもう勘弁だった。
「わかった。それでは少し稼いでくる」
超人類は開発費を稼ぐため、働き始めたのだった。
仕事その1、コンビニのレジ打ち
(面接で落されるかと思ったが何とか採用された……)
超人類は見た目だけで落されるかと思っていたが何とか採用された事に安心していた。
(おおっ!! この仕事初めての客が来たな)
「いらっしゃいませ!!」
コンビニに入ってきた客は超人類の声に反応してビクッとし、目を合わせた途端。
「ぎゃーーーーーー!!」
と走って去って行った。
超人類はある意味いつもの事なのでスルーしたが、その5分後……。
「そこの不審者ッ!! 立て篭もらずに大人しく投降しろっ!!」
「貴様らかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!
俺は何もやってなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
コンビニの周りにはポリのパトが囲んでいた。
どうやら先ほどの客がポリに通報したらしく、この騒動のおかげで首になる。
仕事その2、ビルの清掃
(人に話しかけずに帽子を深く被っておけば、顔は見えんからな。これなら大丈夫だろう)
超人類は手際よく仕事をこなしていく。
(いいペースだ。この調子ならもうすぐ終わるな)
超人類は次のフロアに行こうとして掃除道具を持って移動しようとしたら、肩を叩かれ振り向いてみると、良く見覚えのある手帳を広げている人がいた。
「ちょっと、よろしいでしょうか?」
「また貴様らかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!
何故、俺の行く先々に現れるッッッ!!!」
超人類はあっと言う間にポリ達に職質を仕掛けられる。
もちろん、この騒動でクビになった。
仕事その3、工事現場
(やはり、俺は力仕事が一番あっているな)
超人類はハンマーで杭を打っていた。
全部打ち付けたので、顔を上げると超人類の周りには、誰も居なかった。
「嫌な予感が……」
「おいっ!! 不審者ッ!! 大人しく武器を捨てろ」
「もう嫌だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
どうやら作業に集中していた為、無駄に垂れ流している威圧感が強くなり、道を歩いていた人がその光景を見て通報したらしい。
勿論、この騒動でクビになる。
その後も色々仕事をしたが、全てクビになり、現在に至る。
(くそっ!! 仕事が見つからん!! ならば、マフィアかヤクザの用心棒にでもなるか……。いや、それは駄目だ)
超人類は顔を上げる。すると、偶々横にあった看板が目に入る。
「ん? これは求人紙……あちこちに張ってあるな。―――――身の安全を保障!! これは凄い!! まさに俺が求めている条件ではないか!! 仕事内容は何だ!? …………用務員か、月給は30万だとッ!!」
破格の給料に超人類は笑ってしまう。その目はもはや狙いを定めた鷹だった。
「もう誰にも俺を止めさせん。時は金なり、すぐ行かなくては!!」
超人類が走り出そうとした瞬間1人の少女に止められる。
「何だ少女よ!! 俺は急いでいるんだ!!」
「お兄ちゃんごめんね。私こう言う者なんだけど、ちょっといいかな?」
少女はポケットから手帳を取り出した。その手帳はポリが持っているものだった。
「お前もポリの回し者かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
超人類の叫びは木霊したそうだった。