そんで帰ってきたのは、良いが
黒ウサギそんなに怒ったらストレス溜まるぞ、とまあこんな感じ、
「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備している時間もお金もありません!」「一体どういう心算(つもり)があってのことです!」「聞いているのですか二人とも!!」
「「ムシャクシャしてやった。今は反省していると思った?」」
「ムカー!!(怒)黙らっしゃい!!」
事前に決めていたのか、二人は同じ言い訳を同時に言った。それを聞いた黒ウサギは、当然のように大激怒である。すると、その光景をニヤニヤと笑って見ていた十六夜と俺が止めに入る。
「別にいいじゃねえか。見境なく選んで喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ」
「うんうん、せっかくこんな世界に来たんだ、もっと楽しまないとな」
「い、十六夜さん達は面白ければいいと思っているかもしれませんけど、このゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ?この"契約書類"(ギアスロール)を見てください」
黒ウサギの見せた契約書類(ギアスロール)は主催者権限(ホストマスター)を持たない者達が主催者となってゲームを開催するために必要なギフトである。
そこにはゲーム内容・ルール・チップ・賞品が書かれており、主催者のコミュニティのリーダーが署名することで成立する。黒ウサギが指し示す賞品の内容はこうだ。
「参加者(プレイヤー)が勝利した場合、主催者(ホスト)は参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散するーーまあ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるものを、わざわざ取り逃がすリスクを背負ってまで短縮させるんだからな」
「でも時間さえかければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心の子供達は………その、」
黒ウサギが言い淀む。彼女も"フォレス・ガロ"の悪評は聞いていたが、そこまで酷い状態になっているとは思ってもいなかったのだろう。無理もない。飛鳥や耀はともかく、箱庭の住人であるジンですらそのような非道が行われていたなどと思ってもいなかったのだから。
「そう、人質はすでにこの世にいないわ。その点を責め立てれば必ず証拠は出るでしょう。だけど、それには少々時間がかかるのも事実。あの外道を裁くのにそんな時間をかけたくないの」
箱庭の外は無法地帯になっており、様々な種族のコミュニティがそれぞれの法とルールの下で生活している。ガルドの犯行の直接的な証拠が見つかる前に箱庭の外に逃げられてしまえば、箱庭の法で裁くことが不可能になるだろう。しかし、契約書類による強制執行ならばどれだけ逃げようとも、強力な契約(ギアス)でガルドを追い詰められる。だから、飛鳥達は『ギフトゲーム』という形でガルドを裁こうとしているのだ。
「それにね、黒ウサギ。私は道徳云々よりも、あの外道が私の生活範囲内で野放しにされてることも許せないの。ここで逃せば、いつかまた狙ってくるに決まってるもの」
「ま、まあ………逃せば厄介かもしれませんけど」
「僕もガルドを逃したくないんだ。彼のような悪人は野放しにしちゃいけない」
ジンも飛鳥に同調するような姿勢を見せると、黒ウサギは諦めたように頷いた。
「はぁ〜………。仕方のない人達です。まあいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さんか、正希さんかが一人いれば楽勝でしょう」
だが、黒ウサギの言葉を聞いた十六夜と正希は怪訝な顔をして言った。
「何言ってんだ。俺等は参加しねえよ?」
「そりゃそうだ、そんなモブキャラみたいな奴を相手にするくらいならさっきの蛇やろうにもう一回挑むほうがまだましだ」
「当たり前よ。貴方達なんて参加させないわ」
フン、と鼻を鳴らす二人と、おもしろいものが無いかとまわりをキョロキョロする一人、黒ウサギは慌てて三人に食ってかかった。
「だ、駄目ですよ!御三人はコミュニティの仲間なんですから、ちゃんと協力しないと」
「そういうことじゃねえよ黒ウサギ」
十六夜が真剣な顔で黒ウサギを制する。
「いいか?この喧嘩は、コイツらが『売って』。そしてアイツらが『買った』喧嘩だ。なのに俺らが手を出すのは無粋だって言ってるんだよ」
「あら、わかってるじゃない」
「………ああもう、好きにしてください」
丸一日振り回され続けて疲弊した黒ウサギは、もう言い返す気力も残っていない。どうせ失う物は無いもうどうにでもなればいいとつぶやいて肩を落とす黒ウサギである
しばらくして、黒ウサギは元気を取り戻したのかこうきりだした。
「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎するために素敵なお店を予約して色々とセッティングしていたのですけども………不慮の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。また後日、きちんと歓迎を」
「いいわよ、無理しなくて。私達のコミュニティってそれはもう崖っぷちなんでしょう?」
飛鳥が苦笑いしながら、そう言った。驚いた黒ウサギは、すかさずジンを見る。彼の申し訳なさそうな顔を見て、自分達の事情を知られたのだと悟る。黒ウサギは恥ずかしそうに頭を下げた。
「も、申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが………黒ウサギ達も必死だったのです」
「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでもよかったもの。春日部さんはどう?」
黒ウサギは恐る恐る耀の顔色を窺った。耀は無関心なままに首を振った。
「私も怒っていない。そもそもコミュニティがどうの、というのは別にどうでもいい。………ただ」
「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らにできることなら最低限の用意はさせてもらいます」
「そ、そんな大それた物じゃないよ。ただ私は………毎日三食お風呂付きの寝床があればいいな、と思っただけだから」
その瞬間、ジンの表情が固まった。この箱庭で水を得るには店で買うか、もしくは数kmも離れた大河から汲まねばならない。水の確保が大変な土地でお風呂というのは、一種の贅沢品なのだ。
耀はその苦労を察したのか慌てて取り消そうとしたが、黒ウサギは嬉々とした顔で水樹を持ち上げて言った。
「それなら大丈夫です!十六夜さん達がこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから!これで水を買う必要もなくなりますし、水路を復活させることもできます♪」
耀の表情が一転して明るくなる。これには飛鳥も安心したような表情になった。
「私達の国では水が豊富だったから毎日のように入れたけど、場所が変われば文化も違うのね。今日はつかれたから、お風呂には絶対入りたかったところよ」
「それには同意だぜ。あんな手洗い招待は二度と御免だ」
「あう…………そ、それは黒ウサギに責任外の事ですよ………」
「あはは………それじゃあ今日はコミュニティへ帰る?」
「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら"サウザンドアイズ"に皆さんのギフト鑑定をお願いしないといけませんので。」
「"サウザンドアイズ"?コミュニティの名前か?」
「YES。"サウザンドアイズ"は特殊な"瞳"のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」
「ギフトの鑑定というのは?」
「もちろん、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定することデス。自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出処は気になるでしょう?」
黒ウサギが同意を求めると、三人は複雑そうな表情で返す。黒ウサギ・十六夜・飛鳥・耀・正希の五人と三毛猫一匹は"サウザンドアイズ"に向かう。道中、十六夜・飛鳥・耀の三人は興味深そうに街並みを眺めていた。
そして十六夜達は、顔を見合わせて首を傾げていた。
「御三人とも、どうかなさいましたか?」
「いや、今の季節がなんか噛み合わなくてな」
十六夜がそう言うと、黒ウサギは笑って説明した。
「そのことですか。皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのですよ」
「へぇ?パラレルワールドってやつか?」
「近いな、だがそれは正しくは立体交差並行世界論だぜ十六夜、まあ例えて言うなら俺たちは、それぞれ違う場所、次元、時間、空間から呼び出されたってわけだ。だから俺達のみてる世界もそれぞれ違うと言うことだ」
「へぇ~、」
十六夜は関心したようそう呟く
「今正希さんの言った通りで間違いありませんが、それの説明をしようとしますと一日二日では説明しきれないのでまたの機会ということに」
曖昧に濁して黒ウサギは振り返る。どうやら店が見えてきたらしい。商店の旗には、蒼い生地に互いが向き合う二人の女神像が記されている。あれが"サウザンドアイズ"の旗なのだろう。店の前では、日が暮れたから店を閉めるために割烹着姿の女性店員が看板を下げていた。黒ウサギは滑り込みでストップをかけようと待ったをかけようと
「まっ」
「待った無しですお客様。うちは時間外営業はやっていません」
流石は超大手の商業コミュニティ。押し入る客の拒み方にも隙がない。黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつけた。
「なんて商売っ気の無い店なのかしら」
「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」
「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」
「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!?」
キャーキャーと喚く黒ウサギに、店員が冷めたような眼と侮蔑を込めた声で対応してきた。
「なるほど、"箱庭の貴族"であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいですか?」
「………う」
黒ウサギが言葉に詰まっていると、十六夜がなんの躊躇いもなく名乗った。
「俺達は"ノーネーム"ってコミュニティなんだが」
「ほほう。ではどこの"ノーネーム"様でしょう。よかったら旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
ぐっ、と黙り込む。
黒ウサギが言っていた"名"と"旗印"がないコミュニティのリスクとは、まあこう言う事だ
(ま、まずいです。"サウザンドアイズ"の商店は"ノーネーム"御断りでした。このままだと本当に出禁にされるかも)
力のある商店だからこそ、彼らは客を選ぶ。信用できない客を扱うリスクを彼らは冒さない。
全員の視線が黒ウサギに集中する。黒ウサギは心の底から悔しそうな顔をして、小声でつぶやいた。
はぁ~仕方ない
そう思い俺は、右手で黒ウサギを制しそして大声でこう言う
「白夜叉ー!!お前のお目当ての黒ウサギは、ここにいるぞ!!」
「呼ばれて飛び出て白夜叉ー!!いぃぃぃやほぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィィィ!」
その時、店内から着物風の服を着た真っ白い髪の少女が爆走してくる。「黒ウサギ後は、頼んだ」その言葉ともに黒ウサギは、少女にフライングボディーアタックをかまされその少女とともに浅い水路まで3回転半回転し吹き飛ぶのであった。
「きゃあーーーー…………!」
吹き飛んだ黒ウサギは、少女とともに水路に落ちる。店の前では、十六夜達は目を丸くし、店員は痛そうな頭を抱えていた。
「………おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」
「ありません」
「なんなら有料でも」
「やりません」
真剣な表情の十六夜に、真剣な表情でキッパリ言い切る女性店員。二人は割とマジだった。
一方、フライングボディーアタックで黒ウサギを強襲してきた白い髪の少女は、黒ウサギの胸に顔を埋めてなすり付けていた。
「し、白夜叉様!?どうして貴女がこんな下層に!?」
「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに!フフ、フホホフホホ!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」
スリスリスリスリ。
「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」
黒ウサギは白夜叉という名の少女を無理矢理引き剥がし、頭を摑んで店に向かって投げつける。くるくると縦回転した少女を、 正希は、うわーまあいっか俺が呼んだんだしじゃあデコピン
バシ
「あ、いた」
グー正希のデコピンに悶絶する白夜叉である
あれ今の俺のデコピン当てるじゃなくて触れ指しただけなんだか
そんなに痛かったのか?まあそんな事を考えていると、涙目になりながら白夜叉がこう呟く
「お、おんし、飛んできた初対面の美少女をデコピンで受け止めるとは何様じゃ!ウー」
「アハ、悪いてが滑ったわ白夜叉」と、その言葉に白夜叉は、思った
こやつは、何故私の名前を知っておるのじゃもしかすると読心のギフトか、まあそれなら合点がいくでもそれでは、今のデコピンはなんじゃったんじゃ?まるで
硬いものでその一点だけを殴られたかのような威力はと、そう自問自答をしていると
一連の流れの中で呆気に取られていた飛鳥が、思い出したように出てきた白夜叉に話しかける。
「貴女はこの店の人?」
「おお、そうだとも。この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」
「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります」
何処までも冷静な声で女性店員が釘を刺す。
そんな中、黒ウサギは水路から上がって濡れた服やミニスカートを絞りながら複雑そうにつぶやいた。
「うう………まさか私まで濡れることになるなんて」
「因果応報だな」
悲しげに服を絞る黒ウサギ。反対に濡れても全く気にしない白夜叉は、店先で十六夜達を見回してニヤリと笑った。
「ふふん、お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たということは…………遂に黒ウサギが私のペットに」
「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」
ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。だが、何処まで本気なのかわからない白夜叉が笑いながら店に招いてきた。
「まあいい。話があるなら店内で聞こう」
「よろしいのですか?彼らは旗も持たない"ノーネーム"のはず。規定では」
「"ノーネーム"だとわかっていながら名を尋ねる、性悪店員に対する詫びだ。身元は私が保証する、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」
白夜叉にそう言われた女性店員は、むっと拗ねるような顔をした。彼女にしてみればルールを守っただけなのだから、気を悪くするのは仕方のないことだろう。女性店員に睨まれながら、五人と一匹は暖簾をくぐって店の中に入った。
「生憎と店は閉めてしまったのでな。私の私室で勘弁してくれ」
招かれた場所は香のようなものが焚かれた、個室というにはやや広い和室だった。その香りは強すぎずも弱すぎない、鼻にもちょうど良いものだ
やや広い和室に入ると、白夜叉は上座に腰を下ろして背伸びをすると、十六夜達に向き直った。
「もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えている"サウザンドアイズ"幹部の白夜叉だ。この黒ウサギとは少々縁があってな、コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている、器の大きな美少女と認識しておいてくれ」
「はいはい、お世話になっております本当に」
投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。その隣で耀が小首を傾げて問うた。
「その外門、って何?」
「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」
そう言って、黒ウサギが説明を始める。箱庭の都市は上層から下層まで七つの支配層に分かれており、それに伴ってそれぞれを区切る門には数字が与えられている。外壁から中に行くほど数字は若くなり、同時に強大な力を持つ。箱庭で四桁の外門ともなれば、名のある修羅神仏が割拠する完全な人外魔境だ。
黒ウサギのが描く上空から見た箱庭の図を見た四人が口を揃えていった。
「……超巨大タマネギ?」
「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」
「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」
「いやそこは、巨大な木の年輪だろ」
「「「確かに」」」
「まあその例えなら今いる七桁の外門は木の年輪の一番若い輪の部分に当たるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は"世界の果て"と向かい合う場所になる。あそこにはコミュニティ所属していないものの、強力なギフトを持った者達が住んでおる、その水樹の持ち主などな」
白夜叉が薄く笑って、黒ウサギの持つ水樹の苗に視線を向ける。
「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」
「いえいえ。この水樹は十六夜さんと正希さんがここに来る前に、蛇神様を素手で叩きのめしてきたのですよ」
黒ウサギが自慢げに言うと、白夜叉が声を上げて驚いた。
「なんと!?クリアではなく直接的に倒したとな!?ではその童達は神格持ちの神童か?」
「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし」
「む、それもそうか。しかし神格を倒すには同じ神格を持つか、互いの種族によほど崩れたパワーバランスがある時だけのはず。種族の力で言うなら、蛇と人ではドングリの背比べだぞ」
白夜叉がそう言うと、蛇神を倒した本人等の主犯である十六夜が聞く。
「白夜叉はあの蛇神と知り合いだったのか?」
「知り合いも何も、アレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の話だがの」
小さな胸を張り、呵々と豪快に笑う白夜叉。だが、それを聞いた十六夜が物騒に瞳を光らせて問いただした。
「へえ?じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」
ふふん、当然だ。私は東側の"階層支配者(フロアマスター)"だぞ。この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだから。
"最強の主催者"その言葉に、十六夜・飛鳥・耀・正希の四人が一斉に瞳を輝かせた。だが、その中で最も瞳を輝かせていたのは、紛れもない正希であるその瞳は、世界で最も幸運な、やつになったかのような今にも笑いだしそうな顔をしている
飛鳥がニヤリと笑いながら白夜叉に聞く。
「そう………ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリアできれば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」
「無論、そうなるのう」
「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けたぜ」
4人が闘争心を視線に込めて白夜叉を見る。白夜叉はそれに気づいたように高らかと笑い声をあげた。
「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」
「え?ちょ、ちょっと御4人様!?」
慌てる黒ウサギを白夜叉が右手で制した。
「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている」
「ノリがいいわね。そういうの好きよ」
「ふふ、そうか、しかしゲームの前に一つ確認しておく事がある」
「なんだ?」
白夜叉が着物の裾から"サウザンドアイズ"の旗印向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、凄絶な笑みを浮かべて、一言言う。
「おんしらが望むのは"挑戦"かーーーーもしくは"『決闘』"か?」
すると突然四人の視界に爆発的な変化が起きた。四人の視覚は意味を無くし、様々な情景が脳裏で回転し始める。脳裏を掠めたのは、黄金色の穂波が揺れる草原。白い地平線を覗く丘。森林の湖畔。記憶にない場所が流転を繰り返し、足元から四人を呑み込んでいく。四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔ーーーーそして、『水平に太陽が廻る世界』だった。
「「「……なっ……!?」
「フ、ハハ」
余りの異常さに、十六夜達が同時に息を呑んだ。
箱庭に招待された時とはまるで違うその感覚は、もはや言葉で表現出来る御技ではない。遠く薄明の空にある星はただ一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白い太陽のみ。まるで星を一つ、世界を一つ創り出したかのような奇跡の顕現。
唖然と立ち竦む三人にあいたいしてさっきよりも歪んだような笑みをうかべる一人、そして今一度、白夜叉が問いかける。
「今一度名乗り直して、問おうかの。私は"白き夜の魔王"ーーーー太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」
魔王・白夜叉。白夜叉が笑うと同時に、先ほどとは比べ物にならないほど気配が巨大化した。その巨大な気配に三人は息を呑む。ただし、正希だけは違った。その巨大な気配を感じ取り、全身を電撃のようなものが駆け抜けるよなまるで、自分の欲しいものがそこにあるかのような彼には、そんな感情が渦巻いていた
十六夜が白夜叉を睨んで笑った。
「水平に廻る太陽と………そうか、『白夜』と『夜叉』。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」
「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を薄明に照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の一つだ」
白夜叉が両手を広げると、地平線の彼方の雲海が裂け、薄明の太陽が晒された。
「これだけ莫大な土地が、ただのゲーム盤………!?」
「如何にも。して、おんしらの返答は?"挑戦"であるならば、手慰み程度に遊んでやる。ーーーだがしかし"決闘"を望むなら話を別。魔王として、命と誇りの限り戦おうではないか」
「「「……………っ」」」
飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえ即答できずに返事を躊躇った。白夜叉が如何なるギフトを持つかは定かではない。だが、勝ち目のないことだけは一目瞭然だ。しかし、自分達が売った喧嘩を、このような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。
しばしの静寂の後、諦めたように笑う十六夜が、ゆっくりと挙手して言った。
「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉」
「ふむ?それは決闘ではなく、試練を受けるということかの?」
「ああ。これだけのゲーム盤を用意できるんだからな。アンタには資格があるーーーーーいいぜ。今回は黙って『試されてやるよ』、魔王様」
苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉が堪え切れず高らかと笑い飛ばした。それもそうだ。プライドの高い十六夜にしては最大限の譲歩なのだろうが、『試されてやる』とは随分と可愛らしい意地の張り方である。
「く、くく………して、他の童達も同じかの?」
一頻り笑った白夜叉が、笑いを噛み殺して他の三人にも問うた。
「………ええ。私も、試されてあげてもいいわ」
「右に同じ」
苦虫を噛み潰したような表情で返事する飛鳥と耀。すると、一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギが、ホッと胸をなでおろして言った。
「も、もう!お互いにもう少し相手を選んでください!"階層支配者"に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買う"階層支配者"なんて、冗談にしても寒すぎます!それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」
「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」
「はてさて、どうだったかな?」
白夜叉がケラケラと悪戯っぽく笑ってから、正希に向き直って聞いた。
「して、おんしはどうする?受けるのは"挑戦"か?それとも"決闘"か?」
白夜叉が微笑む。もちろん正希の答えなど、最初から決まっている。正希は箱庭に来てから見せたことのない、凄絶な笑みを浮かべてこう言った。
「はぁ、そんなの決闘に決まってるじゃねえか。」
どうも久し振りに登場する作者です
まあ1日しかたってないけどね
そう言う事で「ピーンポーン」
?なんだ僕は、なにも注文なんか出してないし
友達と遊ぶ約束もしてないしなあーでも新聞屋さんだったらきのうきたバーン
あ、思い出した「作者よ居留守とは、結構な身分じゃねえか」イヤーごめんごめん別に居留守しようとなんて思ったわけじゃ無いんだよちょっと誰が来たのか考えていただけでそう怒らないでくれよ正希くん、ね?
「問答無用!!(怒)せっかく超珍し珍しの俺からの誉め言葉をやろうと思ったのによ、まずは先に鉄拳を喰らいたいよだなー」
は、ははは…それでは、次回。
「オラー(怒)」
ひェェェェええ