とあるチートと問題児たちが異世界に来るそうですよ   作:新タ

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どうも作者です
この頃、書き方がわからなくなってきました
ヤバイですね
それでも作者がんばるます


コミュニティの現状「「ちなみに負けたら俺達、コミュニティを抜けるから」」by十六夜&正希

半刻ほど歩いた一行は"ノーネーム"の居住区画の門前へとついた。

門を見上げれば旗が掲げてあった名残が見える。

黒ウサギは門を開けると門の向こうから乾ききった風が吹き抜け視界に広がったのは一面の廃墟だった。

 

 

美しく整備されていたはずの街路は砂を被り、木造の建築物は軒並み朽ち果てて潰れ、街路樹は石碑のように枯れたまま放置されている。

 

 

「おい、黒ウサギ。魔王とのギフトゲームがあったのは────今から何百年前の話だ?」

「僅か三年前でございます」

「ハッ、そりゃ面白いな。いやマジで面白いぞ。この風化しきった町並みが三年前だと?」

 

飛鳥と耀も廃屋を見て複雑そうな表情を浮かべ感想を述べる。

 

 

「ベランダのテーブルにティーセットがそのまま出ているわ。これじゃまるで、生活していた人間がふっと消えたみたいじゃない」

「………生き物の気配も全くない。整備されなくなった人家なのに獣が寄ってこないなんて」

 

 

二人の感想は十六夜の声より重い。

 

 

廃墟から目を逸らした黒ウサギは朽ち果てた街路を進みながら言う。

 

「………魔王とのゲームはそれほどの未知の戦いだったのでございます。彼らがこの土地を取り上げなかったのは魔王としての力の誇示と、一種の見せしめでしょう。彼らは力を持つ人間が現れると遊び心でゲームを挑み、二度と逆らえないよう屈服させます。僅かに残った仲間達もみんな心を折られ………コミュニティから、箱庭から去って行きました」

 

黒ウサギの瞳は感情を殺し風化した街をさらに進み、飛鳥と耀も複雑な表情を浮かべ後に続く。

しかし、二人は違った。

十六夜と正希は瞳を爛々と輝かせ、笑って呟く。

 

 

「魔王───か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ。想像以上に面白そうじゃねえか………!」

 

「これくらいは出来ると思ってたがおもしれぇ、それだけ潰し概があるってもんだぜ」

 

"ノーネーム"・居住区、水門前。

 

廃墟を抜けた一行は外観がそれなりにだが整った街並みに出る。

しかし、そのまま素通りし、水樹の苗を貯水地に設置するのを見に行く。

 

 

「あ、みなさん! 水路の準備は整っていますよ!」

 

どうやら貯水地には先客がいたらしく、ジンが子供達といっしょに清掃道具を使い水路を掃除していた。

 

「ご苦労様ですジン坊ちゃん♪ 皆も掃除を手伝っていましたか?」

 

子供達はワイワイと騒ぎながら黒ウサギに群がっていく

 

「眠たいけどお掃除頑張ったよ!」

「ねえねえ、新しい人達ってどんな人!?」

「強い!? カッコイイ!?」

「YES! とても強くて可愛い人達ですよ! 皆に紹介するから一列に並んで下さいね」

 

 

黒ウサギがパチンと指を鳴らすと子供達は一糸乱れぬ動きで横一列で並んだ。

数は二十人前後だろうか、子供達の中には猫耳や狐耳の少年少女もいた。

 

(マジでガキばっかだな。半数は人間以外のガキか?)

(じ、実際に目の当たりにすると想像以上ね。これで六分の一ですって?)

(………私、子供嫌いなのに大丈夫かなぁ…)

「よーし、お前らに頑張ったご褒美としてキャンディーをやろう」

すると子供達の目の前に人数分のキャンディーが現れる

「一人ひとつずつだからな、喧嘩するなよ」

子供達は、歓喜する

「「「「ありがとう」」」」

 

 

「おう、あーそうだ黒ウサギ話は続けていいぜ?」

「はいな、それでは右から逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さん、如月正希さん、です。皆も知っている通り、コミュニティを支えるギフトプレイヤーです。ギフトゲームに参加出来ない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時に彼等の為に身を粉にして尽くさねばなりません」

「あら、別にそんなの必要ないわよ?もっとフランクにしてくれても」

「駄目です。それでは組織は成り立ちません」

 

 

飛鳥の申し出を、黒ウサギは厳しい声音で断じた

 

 

「コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼等の齎す恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きて行く以上、避ける事が出来ない掟なのです。子供の内から甘やかせばこの子達の将来の為になりません。子供達もそれを重々承知していますから」

「……そう、分かったわ」

 

 

コミュニティ崩壊から今日までの三年間、たった一人で支えてきたものだけが知る厳しさなのだろう。

 

 

「此処にいるのは子供達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言いつける時はこの子達を使って下さいな。皆も、それでいいですね?」

 

 

「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」 

 

 

黒ウサギの言葉に子供達はキーンと耳鳴りがする程の大声で返事をする。

 

「ハハ、元気がいいじゃねえか」

「よろしくな」

「そ、そうね」

(………。本当にやっていけるかな、私)そんな耀に俺は、テレパシーを贈る(大丈夫だ、お前は有りのままの自分で居ればいいさ)

「今、頭の中に正希の声が、?」

そう言い耀が俺の方を見てくる

「大丈夫だって」そう俺は、微笑みを向けるそれを見て耀も元気が出たのか笑みを浮かべる

 

「それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」

「あいよ」

 

その後、無事に水樹を設置することができたが、貯水地の水門を開けていたまたもや十六夜はずぶ濡れになっていた

「くっそ、またかよ」

 

 

一行が屋敷につく頃には既に夜中になっていた。

『今はともかく風呂に入りたい』という二人の強い要望により、黒ウサギは湯殿の準備にとりかかる。

準備をする間に、宛がわれた部屋を一回り見回し、時間が余ったため今は来客用の貴賓室に集まっている。

 

 

『お嬢………ワシも風呂に入らなアカンか?』

「駄目だよ。ちゃんと三毛猫もお風呂に入らないと」

「そうだぜ三毛猫でないと体にノミがわくぞ」

『うー、』

その後すぐ廊下から黒ウサギの声が聞こえた。

 

 

「ゆ、湯殿の用意ができました!女性様方からどうぞ!」

「ありがと。先に入らせてもらうわよ、2人共」

 

「俺は二番風呂が好きな男だから特に問題はねえよ」

 

「俺も大丈夫だぜ」

 

その夜は十六夜の月であった。

 

コミュニティの子ども達は寝静まり、黒ウサギ達女性陣は風呂でガールズトークをしているちょうどその頃、館を出た逆廻十六夜と如月正希は、コミュニティの子供達が眠る別館の前で仁王立ちしていた。

「おい。居るんだろ? 出てこいよ」

 

 ……反応はない。夜の帳は静まり返り、ただ風の音と木の葉の擦れる音を返すのみ。

 空には十六夜の月が昇り、燦然と輝いている。

 

 

「……そろそろ決めてくれねえと、俺らが風呂に入れねえだろうが」

 

 

 いい加減面倒くさそうな顔になり、十六夜は若干不機嫌になりながら言う。

 

「で、ここを襲うのか? 襲わねぇのか? やるならいい加減覚悟決めてかかってこいよ」

 

 ……それでもやはり、反応はない。流石に痺れを切らしたのか、十六夜は呆れたようにため息をつき、幾つか足元に落ちていた手頃な石を拾う。そして――

 

「よっ!」

 

 十六夜は軽く投げたつもりなのだろうが、投擲されたそのただの石ころは、ズドガァン!! と派手な音を立て、茂みや木々を吹き飛ばし、地面を抉る。

 同時に、茂みの中に潜んでいた人影を空中高く吹き飛ばし、別館の窓ガラスに振動を奔らせる。

 別館から、ジンが何事かと慌てて出てくる。

 

「ど、どうしたんですか!?」

 

「侵入者っぽいぞ。例の【フォレス・ガロ】の連中じゃねぇか?」

 

 

 空中に吹き飛ばされた侵入者たちが、瓦礫とともにドサドサと落ちてくる。

 かろうじて意識のある者は何とか立ち上がり、十六夜達を見つめる。

 

「な、なんというデタラメな力!蛇神を倒したというのは本当だったのか」

 

「ああ……これならガルドとのゲームに勝てるかもしれない!」

 

侵入者の視線に敵意らしいものは感じられない。

彼らの姿はそれぞれの一部が人間ではなく獣のものばかりだった。

皆一同に動物のギフトを持つ者たちなのだ。

 

「……で?何か話でもあるのか?ほれ、聞いてやるからさっさと話せ」

 

十六夜はにこやかに話しかける。

 

侵入者は全員、沈鬱そうに黙り込む。

そして互いに目配せした後、意を決するように頭を下げて、

 

「恥を忍んで頼む!我々の、いえ、魔王の傘下であるコミュニティ"フォレス・ガロ"を完膚なきまでに叩き潰してはいただけないか!!」

 

「嫌だね」

 

決死の言葉をサラリと一蹴する。

侵入者は絶句して固まってしまう。隣で様子を見ていたジンは半口を開けている。

 

「どうせお前らもガルドに人質を取られている連中だろ?命令されてガキを拉致しに来たってところか?」

 

「は、はい。まさかそこまで御見通しだとは露知らず失礼な真似を我々も人質をとられている身分、ガルドには逆らうこともできず」

 

「ああ、その人質もうこの世にいねえから。はい!この話題終了」

 

「十六夜さん!!」

 

「…………」

 

ジンが慌てて割って入る。

正希はそれを聞いて苦虫を噛み潰したような顔をする。

しかし十六夜は冷たい声音で接する。

 

「隠す必要はあるのかよ。お前らが明日のギフトゲームに勝ったら知れ渡る事だろ?」

 

「それにしたって言い方というものがあるでしょう!」

 

「ハッ、気を使えってか?馬鹿言うなよ御チビ様。」

「十六夜の言う通りだこいつらがやってきたことは結果として人質を殺す事に繋がってるコイツらもどっちにしろ同罪だってことだ」

 

その言葉にジンは、なにも言わずうつむく

 

「そ、それでは、本当に……」

 

「はい。ガルドは人質を攫ったその日に殺していたそうです」

 

「……そんな!」

 

侵入者は全員項垂れた。その衝撃は計り知れない。そんな彼らを見ている十六夜は、急にフッと笑って侵入者たちに告げる。

 

「しかし、お前らの気持ちはよく分かった」

 

「え?」

 

突然、わかったと言い出した十六夜の顔を不思議そうにジンは見つめる。

 

「ガルドが、いや、すべての元凶である魔王そのものが憎いだろ。だが安心しろ」

 

十六夜は両手を広げ、まるで演説をしているかのように続ける。

 

「お前たちの敵はこいつが討ってくれる」

 

「え!?」

 

「すべての魔王を倒すために立ち上がった男。この、ジン=ラッセルがな!」

 

 

『な、なんだってーーー!?』

 

 

十六夜の宣言に、驚く男たち。

ジンは大変なことになりそうだ。そう思って茫然自失になりその膝を折る。

 

その後十六夜、正希、ジンの三人は、襲ってきた"フォレス・ガロ"を送り返した後、本拠の最上階・大広間に来ていた。

 

十六夜を引きずってきたジンは部屋に入った途端、堪りかねて大声で叫んだ。

 

「どういうつもりですか!?」

 

「言ったとおりだぜ?"魔王"にお困りの方、ジン=ラッセルまでご連絡ください。キャッチフレーズはこんなところか?」

 

「まずは落ち着けよ、ジン」

 

「これが落ち着いていられますか!魔王の力はあの土地を見て理解できたでしょう!?僕らの仇敵だけでも脅威なのに魔王を倒すためのコミュニティなんて馬鹿げた宣誓が流布されたら、他の魔王にまで……!」

 

「そうだな、あんな面白そうな力を持った連中がゾロゾロと押し寄せてくる。ワクワクするじゃねぇか」

 

長椅子に座り、踏ん反り返る十六夜はどこまでも強気だ。嬉しそうに笑っている。

 

「っ!正希さんも黙ってないで何とか言ってやってくださいよ!面白そうだからって理由であんなことを………」

 

「なあ?十六夜が俺達のコミュニティ事を考えてないと思うか」

 

「え?」

 

ジンは正希の言葉の真意がわからず困惑する。

 

 

「十六夜はこのコミュニティに足りてないモノを分かってて、いってんだぜ」

 

「コミュニティに……足りないもの?」

 

「そいつは名前であり旗印であり、そして目標だ。今の俺たちには名前も旗印も無い。コミュニティを象徴出来る物が何一つないわけだ」

 

名前が無ければ宣伝ができない。

宣伝ができなければ人は集まらない。

人が集まらなければコミュニティは大きくなれない。

コミュニティが大きくなれなければ魔王には勝てない。

 

「コイツはとんでもないハンデだ。それを抱えたまま、お前は先代を超えなきゃならないんだぜ?」

 

「先代を超える……!?」

 

その言葉に戦慄するジンは、まるでその頭を金槌で叩かれたような表情をしていた。

 

それは彼が魔王から奪われた全てを取り戻すためには絶対に必要なことで、でも向き合うのが怖くて目を逸らし続けていた現実だ。

 

十六夜はこんなコミュニティだからこそ、十六夜はジンの名前を売り込んだんだと。

 

だからこそ、わかりやすくインパクトのある"打倒魔王"を掲げたのだと。

 

そしてその御旗は同じく"打倒魔王"を心に秘めた者達を呼び寄せることだろう。

"魔王"の被害者はこの"ノーネーム"だけではないのだから。

 

「今のコミュニティに足りないのは人材だ。俺並み、とは贅沢言わないが、せめて俺の足元並みの奴らは欲しい。そういう奴らなら、どっかに消えちまった昔のお仲間よりはよっぽど役に立つだろうぜ」

 

十六夜の策は筋が通っていて面白半分で考えていることではないというのは十分に理解した。

 

だがリスキーであることに変わりはない。覚悟を決めたジンはそれを踏まえて十六夜に条件を出す。

 

「この件、受ける代わりに一つだけ条件があります。今度開かれる"サウザントアイズ"のゲームに、その昔の仲間が出品されるんです」

 

「へぇ?そいつを取り戻せって?」

 

「そうです。それも只の仲間じゃない。彼女は元・魔王なんです」

 

ジンの言葉に十六夜の瞳が光り、口角が釣りあがる。つまり、この"ノーネーム"は以前"魔王"を倒して隷属させていたということだ。

 

そしてその"魔王"を現在隷属させているコミュニティを倒せば、仲間が戻ってくる上にこのコミュニティの名も一気に上がる。

 

無論、十六夜が断る理由などない。

 

「それと心配を掛けたくないので、黒ウサギにはまだ内密にお願いします」

 

「あいよ」

 

 

「負けんなよ、明日のゲーム」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「後、俺たちからもうひとつ」

 

「「ちなみに負けたら俺達、コミュニティを抜けるから」」

 

「はい?」

 

 

その十六夜たちの『負けたらコミュニティ脱退宣言』を受けて、一晩中ジンは頭を悩ますことになったらしい。




どうも作者です
今回は、十六夜くん達がいないおかげで静かですね
それにしても、今更正希くんに地味にフラグを立てさせてしまっていた私は、どうしよう?
まあそんなことは、また今度決めようかな
それでは、次回
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