バスケ少年とアイドル   作:山田P

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あけましておめでとうございます。
(遅すぎてすみません)
今年もよろしくお願い致します。


episode 11

「ごめんね、持たせちゃって」

「いえ大して荷物にもなってないんで…」

 

現在、南先輩と二人きりで和菓子屋穂むらへ移動中。あの後普通に部活に合流するはずだったが、穂乃果先輩から多大なブーイングを受けたため残ることになった。

まぁライブ前だし、今更合流しても半分も練習出来なかっただろうから別に良いんだけど。

今はこうしてライブの衣装を取りに戻った南先輩の荷物持ちをしている。

 

 

 

「ほはへふぃ~」

穂むらの引き戸を開け店内に入ると雪穂ちゃんが店番していた。………煎餅食べながらだったが。

「また、お邪魔しまーす」

「ふぁ~い」

もう何も言うまい。

 

「お待たせー」

「うぃーッス」

中に入ると言うが早いか、どうやらランク順位が上がったらしい。

 

「それは?」

「衣装らしいッス」

「ホントに!!?」

穂乃果先輩が食いぎみで来るお陰で眼前が穂乃果先輩の顔で一杯だ。しかも、早く出せ、とばかりに目を光らせている。犬か猫かと問われたら、穂乃果先輩は間違いなく犬だ。犬種は柴犬で色は茶。

 

そんな穂乃果先輩を避けつつ、南先輩に紙袋を渡す。そして、

「じゃーん」

衣装の登場だ。二人共、ご満悦な様子……で?

「ことり、そのスカート丈は?」

「あ」

「言ったはずです。最低膝下まで無ければ履かないと」

スゴい鬼気迫る顔で来られて仰け反る南先輩……心中お察し致します。

「桜場君も!プロデューサーならばアイドルの嫌がることは避けるべきでしょう!!なぜ、こんな…」

とばっちりキ(゚∀゚ 三 ゚∀゚)ター!!

「いや二対一でスカート短いのが多数派ですし」

俺の意見に首を激しく縦に振る二人。

「そんなのただの言い訳です!」

「仰るとおりです」

付け焼き刃の言い訳なぞ通じるわけも無く、見事瞬殺されました。

「ハルちゃ~ん」

そんな嘆かれても無理です。

ってかハルちゃんて呼ぶな!!!

 

遂にはひとりだけ制服で出ると言う始末、当日園田先輩だけ変な視線を受けながら踊ることになる。つまり恥ずかしさのあまりステージから逃げ出したり、その場から動けなくなる可能性がある。

…これは非常に困る。

 

「だって絶対成功させたいんだもん」

 

 

しかし、その後穂乃果先輩の熱弁のおかげで園田先輩が折れる形で事なきを得た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、俺行けませんけど協力してもらってる人達にコレ渡して下さい」

「何これ?」

「きっかけ表です。どのタイミングで誰にどの照明を当てるか、どの色を使うかとか、まぁそんなのが書いてあります」

「?」

「穂乃果先輩が分からなくても、他の人が分かるように書いてあるんで大丈夫です」

「えぇー!穂乃果も理解したい!」

「三時間も無駄にしたくないです」

まぁ、それ以上かかる可能性はある。

ぶーぶー言ってる穂乃果先輩にCDも渡す。

「これは?」

「歌なしverの音源です、START;DASHの」

「START;DASH?」

「曲名です。いつまでもついてなかったんで…異論ありますか?」

「ううん、無い!」

「私も良いと思います」

「ことりも賛成です」

 

「じゃあ、穂乃果達お参りして行くから」

「明日頑張って下さい」

「うん!」

俺の言葉を聞いて3人は踵を返し、神田明神へ向かう。

 

 

 

少しだけ、3人の背中が頼もしく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、俺は素直にジャージに着替え体育館に向かっていた。正しくは音ノ木坂学院の体育館…の1階にある講堂だが。

 

つまり、学校は早退しトイレでジャージに着替え、今電車の中だ。ジャージに着替えたのには二つ理由がある。1つ目に動きやすさ、2つ目に万が一にも正体を隠すためだ。うちは名の知れた進学校、よって制服は知られている。しかし、ジャージならば指定されてるものが無いうちの高校ならバレない。

 

で、肝心の侵入の仕方だけど、

 

「助走距離約8メートル、かな」

 

門を通るのは下校時刻だから不可能…

学校全体は塀で囲まれている。

……ということは、

「登るしか無いよ、ね!!」

 

助走を付けて飛ぶ。だが、それだけで届くわけも無く一度塀を蹴って更に上へ、手を塀の登頂に置き腕の力で身体を引き上げる。あとは降りるだけ って

「メェー」

「ッうわぁぁぁぁ!!!!」

 

 

なんで学校にアルパカ!!!!??

 

「ってかなんで檻から出てるんだよ」

見事に真っ逆さまに落ちたが、木がクッションになり大きなケガは無い。体育で柔道の受け身、習っておいて良かった。あちこちゴキゴキ鳴る…

 

「さて、行くか」

「メェー」

 

 

 

 

「……あのさ、ここいるの黙っといてやるから体育館どっちか教えてくんない?」

「メェー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

講堂までの道のりを走る。

聞こえてくるのは自分の不規則な息づかいと足音。

そして遠くから運動部の声。

 

「あれ?」

講堂の入口まで来て不自然をおぼえる。

音が……聞こえない。

開演時間は過ぎているというのに、何も聞こえてこない。

 

 

 

 

講堂の扉を開けて、駆け出す。

不安が頭を支配しては書き消そうとする。

 

 

どうせ、穂乃果先輩が開演時間間違えたとかだろ。

そうに決まってんだ。

 

 

 

 

 

 

じゃなきゃ、報われない____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曲が聞こえる。

 

イントロから分かる『START;DASH』

近づくと徐々に聞こえてくる歌声

 

 

 

曲がり角で立ち止まる。人が、いた。

認識すると同時に来た方向に切り返す。

ここから逃げろ、と___

 

「早くせんと、」

身体が無意識に反応する。

「ライブ終わってまうで?」

 

「副、会長さん?」

恐る恐る振り向くと、そこには見たことのある顔が。

 

 

「ええの?ライブ」

「よく、無いです」

乱れていた呼吸が安定していく。

 

「いいんですか?」

 

「貸しひとつ…でどうや?」

「返せる範囲内でお願いします」

副会長の前を過ぎ、ゆっくり扉を開け中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

スポットライトを浴びた女子高生は、

中々に眩しかった。

 

 




いつもより長く投稿してみました。
書き始めるとやるんだけど、やるまでが……

いえ!なんでもございません!!
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