インフィニット・ストラトス  いちか君と一夏のIS学園生活    作:迷い人

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この作品を読んでいる方々。更新が大変遅くなってすいません。
この作品の内容を覚えてもらってたら幸いです。
これからもこんな感じで更新が遅くなる時がありますが、今後ともよろしくお願いします!


じゅうきゅうわめ~

 

新聞部部室。

 

「明日の新聞の一面はこれで決まりね!」

 

『熱愛発覚!織斑くん、デュノア君。禁断の愛の道へ!』

 

新聞部副部長、黛薫子が明日の学園の新聞の見出しを作っていた。

 

「内容は適当にねつ造するとして・・・」

 

ねつ造したらだめでしょう。

 

「これで二人が勝ってくれたら、『愛の力で勝利』とか付け加えられるんだけどな~」

 

モニターを見る黛薫子。

 

・・・・そういえば黛さん。あなた試合はいいの?

 

 

 

 

 

「ふぁーすごいですね。二週間ちょっとの訓練であそこまでの連携が取れるなんて」

 

教師だけが入る事が許されている観察室で、モニターに映し出される戦闘映像を眺めながら山田先生は感心したようにつぶやく。

 

「やっぱり織斑くんってすごいです。才能ありますよね」

 

「姉として一夏とデュノアの交際など認めん。男同士など言語道断だ!」

 

「お、織斑先生?」

 

千冬は怒筋を浮かべながら言う。

 

「そ、それにしても学年別トーナメントのいきなりの形式変更は、やっぱり先月の事件のせいですか?」

 

「ここは、姉として、女として、一夏に男ではなく女の方が良いと教えて・・・正してやるべきか」

 

腕を組んで真顔で言う千冬。山田先生と話がかみ合わない。

 

「・・・・。そ、それにしても篠ノ之さん、あっさり負けてしまいましたね」

 

「そうなると、いちかにも教えてやるべきか?いや、早すぎるか・・・」

 

「・・・・・・・。つ、強いですねぇ、ボーデヴィッヒさん」

 

「しかし差別は良くないな。ここは平等に・・・・」

 

「・・・・・・色々とがんばってね、織斑くん」

 

モニターごしに一夏を見る山田先生の視線は優しかった。

 

 

 

 

 

「ちょろちょろと目障りな・・・・!」

 

ラウラはAICによる拘束攻撃で一夏を捉えようとするが、一夏の動きが速いうえにシャルルの援護も加わり徐々に押され始めていた。

 

「捉えた!」

 

一夏が捉えられる速さで正面から攻めてきたので、ラウラはAICで捉えた。

 

「単純な攻めを・・・」

 

「そうだな。普段のお前なら気がついた思うけどな。動揺してるのか?」

 

「何?」

 

「俺、こんなあからさまな攻め方なんかしないぜ。俺は二人・・・じゃなくて三人で戦っているからな」

 

「!」

 

慌てて視線を動かすが遅い。零距離まで接近したシャルルが、素早くショットガンの六連射を叩きこむ。次の瞬間、ラウラの大口径レールカノンは轟音とともに爆散した。

 

「(予想どうりだ。ラウラのAICは停止させる対象物に意識を集中させていないと効果は維持できない)」

 

「一夏!」

 

「ああ!」

 

一夏は《雪片》を構えなおす。そのまま零落白夜を。

 

「させるか!」

 

ラウラはプラズマ手刀を展開して一夏を攻める。

 

「やらせないよ!」

 

「邪魔だ!」

 

ラウラは一夏への攻撃の手を休めないまま、援護に入ろうとしたシャルルをワイヤーブレードで牽制する。

 

「くっ!」

 

ワイヤーブレードの精度の高さに近付けないでいるシャルル。

 

「いいのか、ラウラ」

 

「?」

 

「この間合いは・・・俺の間合いだ!」

 

一夏の《雪片》の太刀が連続して高速で斬る。

 

「ぐっ!」

 

一夏の連撃を防ぎきれず吹き飛ばされるラウラ。

 

「光芒一閃!」

 

吹き飛んだラウラに追い打ちをかける一夏。

 

「ぐぅ!」

 

何とかそれを避けるラウラ。

 

「この距離なら外さない」

 

ラウラの間合いに入るシャルル。盾の装甲がはじけ飛び、中からリボルバーと杭が融合した装備が露出する。六九口径パイルバンカー《灰色の鱗殻》。通称・・・

 

「『盾殺し』・・・」

 

ラウラの表情に焦りが見えた。

 

シャルルは左手拳をきつく握りしめ、叩き込むように突き出す。ラウラは一夏の攻撃によって体勢を崩しており、全身停止は間に合わない。

 

「ぐううっ!」

 

ラウラの腹部に、パイルバンカ―の一撃が叩き込まれる。ISのシールドエネルギーが集中して絶対防御を発動して防ぐものの、そのエネルギー残量をごっそりと奪われる。しかも相殺しきれなかった衝撃が深く体を貫いたのだろう、ラウラの表情は苦悶に歪んだ。しかし、これで終わりではない。リボルバー機構により高速で次弾炸薬を装填する。

 

ズガンッ!ズガンッ!ズガンッ!

 

続けられざまに三発を撃ち込まれ、ラウラの体が大きく傾く。その機体にも紫電が走り、IS強制解除の兆候が見られる。

 

だが次の瞬間、異変が起きた。

 

 

 

 

 

「(こんな・・・こんなところで負けるのか、私は?確かに相手の力量を見誤った。しかし、それでも・・・・)」

 

意識が朦朧としてきたラウラ。

 

「(敗北させると決めたのだ。あれを、あの男を、教官を変えてしまうあの男を、私の力で、完膚なきまでに叩き伏せると!」

 

ドクン・・・とラウラの奥底で何かがうごめく。

 

『汝・・・』

 

「(?)」

 

『汝・・・願うか?自らの変革を望むか?より強力な力を欲するか?』

 

「(欲しい!力を!比類なき最強のを、唯一無二の絶対を・・・私によこせ!)」

 

『なら・・・くれてやる!』

 

 

 

 

 

「あああああっ!」

 

突然、ラウラ身を裂かんばかりの絶叫を発する。と同時にシュヴァルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、シャルルの体が吹き飛ばされた。

 

「ぐっ!一体何が・・・」

 

「なっ!」

 

一夏もシャルルも目を疑った。その視線の先では、ラウラが・・・そのISが変形していた。いや、変形などといった生やさしいものではない。装甲をかたどっていた線はすべてぐにゃりと溶け、どろどろのものになって、ラウラを飲み込んでいった。

 

「なんだよ、あれは・・・」

 

一夏は無意識にそうつぶやいていた。おそらく、それを見ていたであろう全ての人間がそう思ったに違いない。

 

シュヴァルツェア・レーゲンだったものはラウラの全身を包み込むと、その表面を流動させながらまるで心臓のように脈動を繰り返し、ゆっくりと地面へと降りてゆく。それが大地にたどり着くと、まるで倍速再生を見ているかのようにいきなり高速で全身を、成形させていく。そしてそこに立っていたのは、黒い全身装甲のISに似た『何か』。しかしその形状は先月の襲撃者とは似ても似つかない。ボディラインはラウラのそれをそのまま表面化した少女であり、最小限のアーマーが腕と脚につけられている。そして頭部はフルフェィスのアーマーに覆われ、目の箇所には装甲の下にあるラインアイ・センサーが赤い光を漏らしていた。問題はその手の武器である。それは・・・

 

「《雪片》・・・」

 

千冬のかつて振るった刀。それに酷似していた。一夏は《雪片弐型》を握りしめ、構えた。

 

「!」

 

刹那、黒いISが一夏の懐に飛び込んでくる。居合に見立てた刀を中腰に引いて構え、必中の間合いから放たれる必殺の一閃。それは紛れもなく千冬の太刀筋だった。

 

「ちっ!」

 

一夏はその一撃を弾く。しかし敵はそのまま上段の構えと移る。

 

「これは!」

 

縦一直線、落とすように鋭い斬撃が襲いかかる。一夏はそれを剣の柄で弾いて防いだ。

 

「千冬姉の戦法を知ってたから、防げたな」

 

改めて《雪片》を構える一夏。

 

「・・・・・え・・これは・・」

 

改めて黒いISを見て一夏は何か気がついたようだ。

 

『非常事態発令!トーナメントの全試合は中止!状況をレベルDと認定、鎮圧のため教師部隊を送り込む!来賓、生徒はすぐに避難すること!繰り返す!』

 

緊急の放送が流れる。

 

「一夏っ!」

 

「・・・・箒」

 

「先っきの放送が聞こえなかったのか?避難するぞ」

 

「・・・・・・」

 

「一夏?」

 

「・・・・聞こえるんだ」

 

「?」

 

「アイツの、ラウラの苦しんでいるような声がさ。だから助けないと」

 

「お前がやらなくても状況は収拾されるだろう。だから!」

 

「だから、無理に危ない場所へ飛び込む必要はない。か?」

 

「そうだ」

 

確かに箒は正しいだろう。だが・・・。

 

「だろうな。でもここでラウラを助けに行かなかったら小さい俺に怒られるよ」

 

「・・・・・」

 

「だったら行くしかないよね。いちかに怒られたくないからね」

 

さっきの電撃から持ち直したのか、シャルルはふわりと一夏達の元にやってくる。

 

「だが、どうやって?」

 

「うーん、今なら出来そうな気がするんだよな」

 

「?」

 

「シャルル。援護を頼む」

 

「わかった。それから約束して。絶対に負けないって」

 

笑顔で言うシャルル。

 

「もちろん」

 

「負けたら、明日からいちかと一夏は女の子の制服で通ってね」

 

「あ、ああ・・」

 

あまりにも満面の笑顔で言うので断れなかった一夏。

 

「い、一夏っ!」

 

箒が弾かれたように口を開く。

 

「死ぬな・・・。絶対に死ぬな!」

 

「信じろ」

 

「えっ?」

 

「俺を、いや、小さい俺と俺を信じろよ、箒。心配も祈りも不要だ。ただ、信じて待っていてくれ。必ず勝って帰ってくる」

 

《雪片》を肩に担いで笑顔で応える一夏。

 

「あ、ああ。(一夏には死んでほしくはない。だが、いちかと一夏の女子の制服姿は見てみたい!)」

 

「(あー何だが邪まな感じが・・・)」

 

箒の邪まな気配を感じる一夏。

 

こんな時くらい自重しようよ箒さん・・・

 

「さてと」

 

一夏は目を瞑り集中する。

 

「(聞こえるか・・・小さい俺・・・いや、いちか)」

 

いちかに呼びかける一夏。

 

「(応えてくれ・・・いちか。ラウラを助けるために・・・。力を貸してくれ!)」

 

何回か試したが一度も成功しなかった、いちか君との意識のシンクロ。根拠はなかったが、今なら出来そうな気が一夏にはしていた。

 

「(いちか・・・・)」

 

「(・・・・・聞こえたよ、一夏お兄ちゃん)」

 

「(いちか!)」

 

「(うん。ぼくも一緒に戦うよ、そして)」

 

「(ああ、ラウラを助けるぞ。じゃあ行くぞ!)」

 

「(うん!)」

 

いちか君と一夏はラウラを助けるため黒いISに突撃した。

 

黒いISが一夏に向けて攻撃をしかける。

 

「(一夏お兄ちゃん!)」

 

「ああ!」

 

一夏はそれを容易く躱す。いちか君が黒いISの動きを予知し、そして一夏の今の感覚。今の二人にとって、黒いISは敵ではなかった。

 

「いちか、行けるか?」

 

「(大丈夫だよ)」

 

「よし!」

 

一夏は黒いISの攻撃を紙一重で躱し、そのまま手を伸ばし黒いISの額に触れた。

 

 

 

 

 

ラウラの精神は黒い澱みのような中にいた。

 

「教官があの男の事を言う時の表情。嬉しそうで、照れくさそうで、鼻の下がのびていて・・・」

 

鼻の下がのびてたの千冬?

 

「そんな教官を見ていてモヤモヤとした。今ならわかる。あれは、ヤキモチだ。だからあんな事を訊いてしまった」

 

『教官は、その、弟に惚れているのですか?』

 

『ははは・・・』

 

千冬さん。それ、質問に答えてませんよ。

 

「教官の鼻の下がさらにのびて、私はますます落ち着かなくなる。教官にこんな顔をさせる男が・・・羨ましい」

 

羨ましい・・・かな?

 

「そして、出会ってわかった。戦って、理解した。強さとはなんなのか。その答えは無数にあるのだろう。今更それを知った所で、遅い・・・」

 

「遅くはないぜ」

 

「うん、そうだよ」

 

「!」

 

心が沈んでいたラウラにいちか君と一夏の精神?がたどり着いた。

 

「お前達・・・」

 

「ラウラお姉ちゃん、迎えにきたよ。」

 

いちか君がラウラに手を伸ばす。

 

「必要ない」

 

「何で?」

 

「自分がどうしたいのか、何故強くなりたかったのかわからなくなった・・・もう・・」

 

「?」

 

「わからなくなったなら、探せばいいだろう?」

 

一夏が話しかける。

 

「探すか・・・」

 

ぼつりと言うラウラ。

 

「見つけられるだろうか?」

 

「そこは、ラウラしだいだろうけど」

 

「けど?」

 

「俺もいちかも一緒に探すぜ。なっ、いちか」

 

「うん!」

 

笑顔で応えるいちか君。

 

「・・・・何というか、強いな、お前達は」

 

「強くなんかないさ。俺は、まだ」

 

「あれほどまでの力を持っているのにか?」

 

「もし俺が強いというなら・・・」

 

一夏はいちか君の頭に触れて。

 

「いちかが一緒にいてくれるからかな」

 

「えへへ」

 

赤くなりながら笑顔になるいちか君。

 

「それと、俺を支えてくれる人達を守りたいって思っているからかな」

 

「守る・・・」

 

「だから、お前も守るよ。俺といちかで。ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「うん!」

 

「(こ、これは・・・胸が高鳴る・・・心が強く揺さぶられる)」

 

ラウラが今の自分の心に動揺していると、いちか君と一夏はそれぞれラウラの手を握った。

 

「あっ・・・(ああ・・そうか・・・これが・・・・・そうなのか)」

 

「帰ろう、ラウラお姉ちゃん」

 

「だな」

 

二人が笑顔でラウラを見つめた。

 

「(私は・・・ときめいてしまったのか。二人の前では私はただの十五歳なのだな。そしてただの『女』なのだな)」

 

ラウラは・・・笑顔になり。

 

「ああ・・・(これは・・・惚れてしまいそうだ)」

 

顔を赤くしながら二人と手を繋ぎ、黒い澱みから出るラウラだった。

 

 

 

 

 

「ぎ、ぎ・・・ガ・・・・ガァァ!」

 

黒いISからラウラが弾き出された。一夏はラウラを抱きとめそのまま地面に寝かせた。ラウラが気を失うまでの一瞬、一夏はラウラと目があった。眼帯が外れ、あらわになった金色の左目と。表情はとても穏やかだった。

 

「ぐ、ガ、ギ・・・ガガっ・・・」

 

黒いISはボロボロと崩れながらラウラに近づく。

 

「また、ラウラを取り込もうとしているのか」

 

一夏はそう言いながら鞘を展開して《雪片》を収めた。

 

「すぅ・・・・はぁ・・・」

 

一夏は深呼吸をする。そして。

 

『いいか、刀とはその重さを利用して振り抜くのだ。手にするのではなく、自らの一部と思って扱え。無駄なく、隙なく、油断なく、それを振るえ』

 

千冬の教えを思い出す。

 

「(一夏お兄ちゃん、来るよ!)」

 

「ああ!」

 

一夏は黒いISとの距離を一気に詰めて『抜刀・零落白夜』を繰り出す。その一撃が黒いISに直撃し、黒いISは粉々になった。

 

「これからラウラが探すものにお前は必要ない。悪いが眠っていてくれ」

 

そう言って《雪片》を鞘に収めてラウラの元に向かう一夏だった。

 

 

 

 

 

「う、ぁ・・・・」

 

ぼやっとした光が天井から降りているのを感じて、ラウラは目を覚ました。

 

「気がついたか」

 

ラウラが敬愛してやまない、シス・・・教官こと織斑千冬がいた。

 

「私は・・・?」

 

「全身に無理な負荷がかかったことで筋肉疲労と打撲がある。しばらくは動けないだろう。無理はするな」

 

千冬はそれとなくはぐらかしたつもりだったが、そこはさすがにかつての教え子。簡単には誘導されてはくれなかった。

 

「何が・・・起きたのですか?」

 

無理をして上半身を起こすラウラ。

 

「ふう・・・。一応、重要案件である上でに機密事項なのだがな」

 

千冬はここだけの話であることを沈黙で伝えると、ゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「VTシステムは知っているな?」

 

「はい・・・。過去のモンド・グロッソの部門受賞者の動きをトレースするシステムで、確かあれは・・・」

 

「そう、IS条約で現在どの国家・組織・企業においても研究・開発・使用すべてが禁止されている」

 

「・・・・・」

 

「巧妙に隠されてはいたがな。操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして何より操縦者の意志・・・いや、願望か。それらが揃うと発動するようになっていたらしい。現在学園はドイツ軍に問い合わせている。近く、委員会からの強制捜査が入るだろう」

 

千冬の言葉を聞きながら、ラウラはぎゅぅっとシーツを握りしめた。その視線はいつの間にかうつむき、眼下の虚空をさまよっていた。

 

「私が・・・望んだからですね」

 

いちか君や一夏に嫉妬して、二人を倒そうとした事ですか?

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

「は、はいっ!」

 

いきなり名前を呼ばれ、ラウラは驚きも合わせて顔を上げる。

 

「いちかの可愛さや一夏のカッコ良さに気がついたか?」

 

「は、はあ?」

 

この展開で考えもしないことを聞かれ、言葉が出ないラウラ。

 

「まだ理解していないなら、ちょうどいい。何、時間は山のようにあるぞ。なにせ三年間はこの学園に在籍しなければいけないからな。たっぷりと理解しろ、小娘」

 

どう返したらいいのか、わからないラウラはただぽかんと口を開けていた。そんなラウラに千冬は席を立ってベットから離れる。言うべき事は言ったのか、教師の仕事に戻るようだ。

 

というかもっと言うべき事があるはずでは?

 

「ああ、それから」

 

ドアに手をかけたところで、振り向くことなく再度言葉を投げかけた。

 

「あの二人といると、これから自分がどうなりたいか進むべき道が見えてくると思うぞ」

 

少し笑顔になる千冬。

 

「・・・・は、はい」

 

二人に救出された時のことを思い出すラウラ。

 

「そしてこれが一番重要なことだが」

 

ラウラの方を振り向いて。

 

「その過程で二人のことを好きになっても交際は認めん」

 

真顔でそう言うと部屋から出ていった。

 

「ふ、ふふ・・・ははっ」

 

そして千冬が部屋から去ってから数分経って、急にラウラは笑いだした。

 

「教官もあの二人に心を揺り動かされているのだな」

 

そうですね。とくにIS学園にはたくさんいますね。

 

「そして私も・・・」

 

ああ、ラウラも・・・

 

「教官が相手といえど、負けられない」

 

窓から見える外の風景を見ながら笑顔を浮かべて言うラウラだった。

 

 

 

 

 

『トーナメントは事故により中止となりました。ただし、今後の個人データ指標と関係するため、全ての一回戦は行います。場所と日時の変更は各個人端末で確認の上・・・』

 

学食のテレビを見ながら夕食を食べている、いちか君とシャルル。

 

「シャルルお姉ちゃんの予想通りになったね」

 

「そうだねぇ。はい、いちか。あーん」

 

シャルルにあーんしてもらういちか君。当事者なのにのんびりとしたものだが、ついさっきまで教師陣に事情聴取されていた。ただ、いちか君が今回の事を上手く説明出来たかは定かではないが・・・

 

「い、いちか。少しいいか?」

 

夕食を食べている二人の元に箒が近づいてきた。

 

「あっ、箒お姉ちゃん」

 

「う、うむ・・・」

 

「どうしたの?」

 

「あ、ああ、そのだな・・・」

 

言葉に詰まる箒。

 

「篠ノ之さん、僕がいたら話しにくいことなら・・」

 

「いや、デュノアにも話があるんだが」

 

「僕にも?」

 

「う、うむ」

 

こほん、と軽く咳き込むと箒。

 

「二人は本当にBLの道に進んではいないのだな?」

 

箒がその事を言った瞬間、食堂内が静まりかえった。女子一同聞き耳を立てているようです。そんなに気になるのか?

 

「びーえる?」

 

キョトンとするいちか君。そりゃわからないよね。というかわからない方がいいかな?

 

「ははは・・・。大丈夫だよ、篠ノ之さん。僕といちかと一夏はそういった関係じゃないから(僕にとってはそっちの方が都合がよかったけど、一夏が嫌がっていたから否定しておかないと。それにそう言っておけば、一夏に好印象に思われるかもしれないし)」

 

意外と打算的ですね。

 

「「「「「ほっ・・・」」」」」

 

箒を含める食堂にいる女子達が安堵のため息を出す。

 

「なんだ・・・」

 

「残念・・・」

 

「まだ可能性がないわけじゃ!」

 

何故か残念そうにする女子がいる。何を期待していた?

 

「そ、そうか。それならいいんだ」

 

嬉しそうに笑う箒。

 

「ねえ、ねえ、シャルルお兄ちゃん。聞きたいことがあるんだ」

 

「うん、なに?何でも聞いて」

 

「気持ち悪い所に一夏お兄ちゃんと一緒にラウラお姉ちゃんを助けに行ったんだ」

 

「え?えっ?どういうことかな?」

 

混乱するシャルル。

 

「えっとね・・・」

 

自分の体験談を話すいちか君。

 

「うーん。何か聞いた事がある気がする。IS同士の情報交換ネットワークの影響だって言われているけど・・・。でも違うかな。今のいちかの状態もよくわからないし、いちかと一夏が共有している感覚?もよくわからない。ボーデヴィッヒさんを助ける時に体験したこともわからないかな」

 

「シャルルお兄ちゃんでもわからないんだ」

 

「ごめんね。ISもよくわからない現象や機能がかなりの数があるよ。いちかの事もそのわからない現象の一つだよ。作った篠ノ之博士に聞けばわかるかもしれないけど」

 

「束お姉ちゃんに聞けばいいだ」

 

「・・・・・・」

 

束の名前が出てきて複雑そうな表情をする箒。

 

「あ、織斑君にデュノア君。ここにいましたか。さっきはお疲れさまでした」

 

「あ、山田先生。山田先生もお疲れさまでした」

 

ペコッと頭を下げるいちか君。二人が事情聴取されている時、山田先生は手記として頑張っていたようだ。

 

「ありがとう、織斑君」

 

笑顔でいちか君の頭を撫でる山田先生。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

二人の様子を見て、不機嫌になる箒とシャルル。

 

「それはそうと二人に朗報があります」

 

いちか君の頭を撫でながら言う山田先生。

 

「なんとですね!ついについに今日から男子の大浴場使用が解禁です!」

 

「やった!」

 

ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶいちか君。

 

「ありがとう、山田先生」

 

嬉しさのあまり山田先生に腰のあたりに抱きつくいちか君。

 

「生徒の為にがんばるのは先生の役目です。気にしないでください」

 

笑顔で言う山田先生。千冬より遥かに教師らしく見えます。

 

「あー・・・コホンコホンッ!」

 

シャルルが咳払いをして二人の邪魔?をする。

 

「と、ともかくですね。ふたりは早速お風呂にどうぞ。今日の疲れも肩まで浸かって疲労を癒してください」

 

「はーい」

 

元気に返事をするいちか君。

 

「シャルルお兄ちゃん早く行こ」

 

シャルルの手を引いて大浴場に行こうとするいちか君。

 

「えっ、ちょっと・・・」

 

いちか君は嬉しくて忘れているのか気にしていないのか?シャルルが女子だということを。

 

「え、えーと(いちかとお風呂に入るのはいいけど、いちかの記憶が一夏に反映されるわけだから、私の・・・)」

 

赤くなるシャルル。

 

「どうしたんですか?ほらほら、デュノア君もはやく着替えを取りに行ってください。大浴場の鍵はは私が持っていますから、脱衣場の前で待っていますね。じゃあ」

 

「・・・・まぁ、いいかな。着替えを取りに部屋に戻ろう」

 

シャルルは諦めたのか?それとも名案を思い付いたのだろうか?

 

「それに裸を見られたなら、一夏に責任を取ってもらえばいいし!」

 

シャルルにとっては名案を思い付いたようです。一夏にとっては?

 

 

 

 

 

「はい、湯船に入るよ」

 

「うん」

 

湯船に入るいちか君とシャルル。

 

「はわぁ~」

 

気持ちが良いのか目を細めるいちか君。いちか君は気持ちが良いかもしれないが、一夏の心中はどうだろうか。一応シャルルは体にタオルを巻いてはいるが、思春期?の一夏にとっては衝撃的なものだろう。

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

しばらく、お風呂の気持ちよさを堪能しているとシャルルが話しかけてきた。

 

「い、いちか。そ、その、話があるんだ。いちかと一夏に」

 

「うん」

 

「大事なことだからよく聞いて欲しいんだ」

 

「わかったよ、シャルルお姉ちゃん」

 

まっすぐにシャルルを見るいちか君。

 

「その・・・前にも言っていたこと、なんだけど」

 

「?」

 

「学園に残るかどうかっていう話なんだけど」

 

「あっ、うん」

 

「その、そのね。僕ね、ここにいようと思う。僕はまだここだって思える居場所を見つけられて

いないし、それに・・・」

 

「ん?」

 

シャルルの言葉が急に止まって首を傾げるいちか君。その時。

 

ぴちゃ―ん。

 

「うわぁ!」

 

いちか君に水滴が落ちてきた。驚きのあまり、飛び跳ねシャルルに背を向ける形になった。

 

「ど、どうしたの?」

 

「急に背中が冷たくなって」

 

「ああ、水滴が落ちたんだね」

 

笑顔で言うシャルル。

 

「冷たかったー、わっ」

 

いちか君が驚いていると、シャルルがいちか君を後ろから抱きしめてきた。

 

「どうしたの、シャルルお姉ちゃん?」

 

「二人が、ここにいろって言ってくれたから。そんな二人がいるから、僕はここにいたいと思えるんだよ」

 

「ぼくもシャルルお姉ちゃんと一緒にいたいよ」

 

笑顔で言ういちか君。

 

「一夏お兄ちゃんもそうだよ」

 

「うん、ありがとね」

 

いちか君を抱きしめながら言うシャルル。

 

「それに、ね。もう一つ決めたんだ」

 

「もう一つ・・・?」

 

「そう。僕のあり方。二人が教えてくれたんだよ?」

 

「ぼくと一夏お兄ちゃんが?」

 

「そうだよ」

 

「そうなのかな?」

 

「ふふっ」

 

きょとんとするいちか君を見て微笑むシャルル。

 

「それから、いちか。一夏も。僕のことはこれからシャルロットって呼んでくれる?ふたりきりのときだけでいいから」

 

「シャルロットお姉ちゃん?」

 

「うん、僕の名前。お母さんがくれた、本当の名前」

 

「わかったよ、シャルロットお姉ちゃん」

 

「ん」

 

嬉しそうにシャルロットが返事をした。

 

「それじゃ、そろそろお風呂から出よっか」

 

「うん」

 

その際、いちか君の体や髪を拭いてあげたシャルロット。この後、シャルロットの顔がほくほく顔だったのはいちか君と一夏に自分の想いを伝えられたからだと思いたい。

 

 

 

 

 

翌日。朝の朝のホームルームにはシャルロットの姿がなかった。いちか君に『先に行ってて』と言うので食堂で別れた。

 

「(シャルロットお姉ちゃん、どうしたんだろう?)」

 

ぐるりと教室を見回すいちか君。シャルロット以外にラウラもいなかった。恐らく負傷で休んでいるのだろう。

 

「み、みなさん、おはようございます・・・・」

 

教室に入ってきた山田先生。なぜだかふらふらしている。貧血ですか?

 

「今日は、ですね・・・みなさんに転校生を紹介します。転校生といいますか、すでに紹介は済んでいるといいますか、ええと・・・」

 

よくわからない山田先生の説明。クラスの一同は『転校生』というワードに反応したらしく、一斉に騒がしくなる。

 

「じゃあ、入ってください」

 

「失礼します」

 

一人の女の子が教室に入ってきた。

 

「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

ぺこり、教室に入ってきた女の子・・・。スカート姿のシャルロットが礼をする。クラス全員がぽかんとしている。

 

「ええと、デュノア君はデュノアさんでした。ということです。はぁぁ・・・また寮の部屋割を組み立て直す作業が始まります」

 

お疲れ様です、山田先生。

 

「え?デュノア君って女?」

 

「おかしいと思った!美少年じゃなくて美少女だったのね」

 

「わが世の春が終わった!BL的な展開が!」

 

一人、変な事を言っている女子が一人・・・。

 

「って、織斑君、同室だから知らないってことは・・・」

 

「ちょっと待って!昨日って確か、男子が大浴場を使ったわよね?」

 

どんどんとざわついていく教室。そしていちか君に視線が集まる。

 

「にぱ~」

 

可愛い笑顔を浮かべるいちか君。

 

「「「「「/////////////////」」」」」

 

クラス一同、いちか君にの笑顔に魅了される。このクラスの女子って・・・。

 

バシーン!

 

教室にドアが蹴破られたかのような勢いで開く。

 

「いちか、じゃなくて一夏!」

 

背景に烈火のごとく怒る龍を出しながら凰鈴音が登場。竜を出すなんて凄い技ですね。

 

「ねえ、いちか。ちょ~と一夏と変わってくれる」

 

怒筋を浮かべながらいちか君にお願いをする鈴。幼児を脅しているように見えるのは気のせいか?

 

「鈴お姉ちゃん、怖い・・・」

 

涙目で言ういちか君。あ~あ、な~かせた~。

 

「あ、ちょ、ご、ごめんね」

 

いちか君が泣き始めたので慌てる鈴。

 

「きゃあ」

 

鈴が慌てていると急に軽く吹き飛ばされる鈴。すぐに体勢を立て直し、自分を吹き飛ばしたであろう人物を見る鈴。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・」

 

ラウラを睨みながら呟く鈴。

 

「ラウラお姉ちゃん、もう大丈夫なの?」

 

「ああ、おかげ様でな」

 

「そうなんだ、よかっ、わっ!」

 

いきなり、ラウラは白い布のような物でいちか君を包んだ。そうして・・・

 

「!?!?!?!?!?」

 

驚天動地!何といちか君はウエディングドレスに身を包まれていた。しっかりとブーケまで持っている。何という早技を持つラウラ。今後の人生で役に立つかは不明だが!

 

「お、お前は私の嫁にする!決定事項だ!異論は認めん!」

 

「ぼく、お嫁さんになるの?」

 

「日本では気に入った相手を『嫁にする』というのが一般的な習わしだと聞いた。故に、お前を私の嫁にする」

 

いちか君に対してそれは不味いのでは?主に千冬が・・・・。

 

「では共に行こう、バージンロード!」

 

いちか君をお姫様抱っこするラウラ。妙に似合っているのが凄い。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

いちか君のウエディングドレス姿を見て魅了されていた鈴が動きだした。

 

「そ、そんな事、許されると思ってんの?」

 

「ふん。許す許されるという問題ではない。これは決定事項だ」

 

千冬の許可を貰いました?

 

「あたしが許さないのよ!」

 

どこからか青竜刀を取り出して構える鈴。

 

「邪魔をする気か?障害は取り除く!」

 

ナイフを構えるラウラ。

 

「お待ちなさい!」

 

二人の間に割って入るセシリア。二人を止めに入るようです。そうですね、こんな所で戦ったら色々と問題が・・・。

 

「いちかさんとバージンロードを歩くのはわたくしですわ!」

 

お前もかブルータス、じゃなかったセシリア!

 

どこからかライフルを取り出し構えるセシリア。

 

「洋風もいいが、私は和装の方がいい!」

 

そう言って刀を構える箒。

 

別に好みを聞いているわけではないのですよ箒さん。

 

「出遅れちゃった」

 

そう言って四人の戦いに加わるシャルロット。シャルロットまで・・・

 

五人の未来?がかかった戦いをしている横目で。

 

「おりむ~似合ってるよ~」

 

のほほんさんが携帯のカメラで撮影をしながら言う。他の女子も撮影をしていた。

 

「お、織斑君。制服に着替えに行きますよ」

 

「はーい。あっ、山田先生。このお花あげるね」

 

「あ、ありがとう、織斑君(この場合は意味合いがあったのかな?)」

 

どうだったでしょう?

 

とまあ、こんな感じで、その日のホームルームは轟音と爆音、そしていちか君のウエディングドレス姿で絶え間のない衝撃でクラスが文字どうり揺れ動いた。ちなみに戦闘は、千冬が仲裁して中止になった。その仲裁の方法は・・・謎ということで。

 

 

 

 

 

「せっかくの見出しが・・・」

 

シャルロットが女子だとわかり、折角の新聞の見出しが無駄になった黛さん。ご愁傷さま。

 

 

 

 

 

「ドレスを着たのはいちかだ。俺じゃない・・・」

 

そんな事を言いながら授業を受ける一夏がいたとかいないとか。

 

一夏に幸あれ!・・・・あるかな?

 

 

 




こんな感じでシャルロットとラウラは落ち着きましたがどうだったでしょうか?
一夏にトラウマが出来てないか心配ですね。
さて、次回は・・・あまり考えていませんが、みなさんが笑ってもらえるような展開に
したいと思っています。
こんな作品ですがこれからもよろしくお願いします!
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