インフィニット・ストラトス いちか君と一夏のIS学園生活 作:迷い人
「ちょっと、よろしくて?」
「?」
休み時間、いちか君に話しかけてきた人物がいた。話しかけてきた人物は、地毛の金髪が鮮やかな女子だった。白人特有の透き通ったブルーの瞳が、ややつり上がった状態でいちか君を見ている。わずかにロールがかかった髪はいかにも高貴なオーラを出していて、その女子の雰囲気も『いかにも』今の女子という感じだった。今の世の中、ISのせいで女子はかなり優遇されている。優遇どころか、もはやいきすぎで女=偉い構図になっている。そうなると男の立場は完全に奴隷、労働力だ。今では街ですれ違っただけの女性にパシリをやらされる男の姿なんて珍しくない。そういう時代の女子がいちか君の目の前にいた。
「訊いてます?お返事は?」
「あ、はい。はじめまして、織斑いちかです」
ペコッとお辞儀をして挨拶をするいちか君。
「これはご丁寧に。私はセシリア・オルコットですわ」
セシリアもお辞儀をして挨拶をした。
「って、そうではなくて。相手が子供だと、どうも調子が狂いますわね」
こめかみに人差指で押さえながら、ふぅとため息をだすセシリア。
「あの、セシリアお姉ちゃんは僕に何か御用ですか?」
首を傾げながらセシリアを見るいちか君。
「そ、そうでした」
コホンと咳払いをするセシリア。
「挨拶をしようと思いまして」
先っき挨拶したよね?
「世界で唯一ISを使えると聞いてましたから、少しは知的を感じさせるかと思ってましたがこんな子供だったとは。期待はずれですわね」
「すいません…」
やや涙目で謝るいちか君。何も悪くはないはず…
「ふん。まあでも、わたくしは優秀ですからあなたのような子でも優しくしてあげますわよ。ひっ!」
クラスの女子達の殺気の籠った目でセシリアを見ていた。特に箒の眼光は凄まじかった。
「(な、なんでしょう。このアウェー感は?)」
教室の空気にたじろぐセシリア。
「と、とにかくそういう事ですからおぼえてくださいまして」
そう言って自分の席に戻るセシリア。
「大丈夫かいちか?」
そう言って箒がいちか君に話しかける。
「う、うん」
涙目で頷くいちか君。
「いちか。男の子が人前で涙を見せるものではない」
「う、うん!」
涙を拭いて笑顔で答えるいちか君。
「よし」
そんないちか君の頭を撫でる箒。何か千冬のようだ。
「(セシリア・オルコット。いちかを泣かせるとは、斬らねばならんな…それにしても涙目だったいちか。あれはあれでいい…)」
逝っちゃた顔をする箒。そんな箒を見ていちか君は…
「箒お姉ちゃん怖い…」
怯えていた。
三時間目の授業は千冬が教壇に立っていた。
「さて、再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者決めないとな」
「代表者ってなんですか?」
いちか君が千冬に質問する。
「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけでなく、生徒会の開く会議や委員会への出席…まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点ではたいした差はないが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更はないからそのつもりでな」
ざわざわと教室が色めき立つ。
「はい。織斑くんを推薦します!」
女子の一人が手を上げて言った。
「私もそれが良いと思います」
他の女子も同じ意見のようだ。
「他にいないのか?だったら無投票当選だぞ」
「待ってください。納得がいきませんわ!」
バンッと机を叩いて立ちあがったのはセシリアだった。
「そのような選出は認められません!大体、こんな子供にクラス代表者を任せて良いと本気で思ってますの?」
『うっ!』と女子達は唸る。子供にクラス代表者を任せる事がマズイと思っているようだ。
「いいですか。クラス代表者は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」
どんどんとヒートアップするセシリア。
「そもそも会議の出席などはともかく、こんな子供がISを使って戦闘をするなんて出来ると思いまして」
「出来るぞ」
「えっ?」
千冬が言葉を挟んだ。
「最初に言わなかったか?この子はISを機動させれば本来の姿に戻る。そのあたりに関しては問題はない」
「だ、だったら決闘をしましょう。勝った方がクラス代表者になるという事で」
「だそうだが、織斑はいいか?」
いちか君は少し考える仕草をして。
「うん!わかったよ。僕、戦うよ」
宣言するいちか君。本当に考えたのだろうか?
「織斑くん。止めた方がいいよ。セシリアはイギリスの代表候補生だよ」
女子の一人が止めてくる。
「代表候補生って?」
「国家代表IS操縦者のことだよ。まぁ、ISのエリートってとこかな。だから実力も相当なもののはずだよ」
「でも千冬お姉ちゃんが男が一度言った事は変えちゃダメって言っていたから」
意志の籠った眼差し、子供ながら何処か逞しさのある表情。それを向け止めてきた女子に言ういちか君。この子は本当に精神が子供化しているのか?
「はぅ!」
その女子は顔が真っ赤になり。
「可愛い笑顔とは違った良さが…」
「?」
「話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコットはそれぞれ用意をしておくように(ああ…先っきのいちかの表情。いい!)」
ぱんっと手を打って千冬が話を締める。そして授業が始まった。ただ女子達は女子達は授業に集中出来てなかった。先ほどのいちか君の表情に一同は逝っちゃていた。そして毎度のことながら箒の顔は緩み涎を垂らし。
「あの顔は反則だ…でも…良い…」
そんな箒を見ていちか君は。
「箒お姉ちゃん。やっぱり怖い…」
また怯えていた。
今更ながらですがこの作品は別のサイトで投稿してたものです。リメイクしたものを投稿しています。面白ければ幸いです。では次回もよろしくお願いします。