インフィニット・ストラトス いちか君と一夏のIS学園生活 作:迷い人
アリーナの観客席に一夏のクラスメイトはこれから始まる試合を見るために集まっていた。
「いちか君にはがんばってもらいたいけど、相手が悪いよね」
「うん。イギリスの代表候補生だもんね…」
「いちか君が怪我をしなければいいんだけど…」
「セシリアも子供相手なら手加減をしてくれるでしょう」
などと一夏が勝つとは誰も思っておらず、いちか君が怪我などしないかの方が気になるようだ。そして彼女達は一夏ではなくいちか君が戦うと思っているようだ。
「あっ、ゲートが開くよ!」
両方のゲートが開きはじめた。そして片方のゲートから現れたのはセシリア。鮮やかな青色の機体『ブルーティアーズ』。その外見は、特徴的なフィン・アーマー四枚背に従え、どこか王国騎士のような気高さを感じる。対するは…
「ね、ねえ。あの、いちか君って…」
「小さくないよね…ということは千冬様が言っていた…」
「あれが本来のいちか君。じゃなくて織斑一夏くんの姿…」
「・・・・・・はぁ・・・・」
クラスの女子達は『白式』を纏った一夏の姿に見惚れていた。
「あら、逃げずに来ましたのね」
セシリアがふふんと鼻を鳴らす。腰に手を当てたポーズが様になっている。そしてセシリアの手には2メートルを超す巨大な銃器が握られていた。ISは元々宇宙空間での活動を前提に作られているので、原則空中に浮いている。そのため自分の背丈より大きな武器を扱うのは珍しくない。アリーナ・ステージの直径は200メートル。発射から目標到達までの予測時間は0・4秒。すでに試合開始の鐘は鳴っているので、いつ撃ってきてもおかしくはない。
「貴方のその姿を見て安心しましたわ」
「?」
「わたくし、子供を痛ぶることなんて出来ませんの。そんな事をすればオルコット家の恥ですわ。その姿なら遠慮なくいけますから」
「そうかい…」
「貴方に最後のチャンスをあげますわ」
腰に当てた手を一夏の方に、ぴっと人差し指を突きだした状態で向けた。左手の銃は、余裕なのかまだ銃口が下がったままだ。
「チャンスって?」
「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、ボロボロの惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというなら、許してあげないこともなくてよ」
そう言って目を笑みに細める。
゛警戒、敵IS操縦者の左目が射撃モードに移行。セーフティのロック解除を確認゛
ISが告げる情報を確認する一夏。
「そう言うのはチャンスとは言わないな」
「そう?残念ですわ。それなら…」
゛警告!敵IS射撃体勢に移行。トリガー確認、初弾エネルギー装填゛
キュインッ!耳をつんざくような独特の音。それと同時に走った閃光が刹那、一夏の体を撃ち抜くはずだった。
「えっ!」
閃光は一夏を撃ち抜くことなく、そのまますり抜けていった。
「な…あ、あれを避けるなんて少しは出来るようですわね。でも結果は変わりませんわ。さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」
射撃。射撃射撃射撃。まさに弾雨のごとき攻撃が一夏に降り注ぐ。しかも、それら全てが的確に一夏を狙っている。普通なら凌ぐのですら難しい。しかし、その攻撃は全て一夏を撃ち抜くことはなくすり抜けていく。
「いったいどういう事なんですの?わたくしの射撃が当たらないなんて」
ピットでリアルタイムモニターを見ている箒、千冬、山田先生。
「お、織斑先生。一夏を狙った射撃がすり抜けているように見えるのですが、あれはいったい…」
千冬に質問する箒。
「あれは、単に避けているだけだろう。オルコットの射撃を紙一重で回避している。ただあまりの速さに回避しているようには見えず、すり抜けているように見えるだろう。オルコットからして見れば亡霊か何かと戦っている気分だろうな」
「織斑先生は一夏にそんな技を教えたのですか?」
「いや、何も。ISの戦闘は初めてのはずなんだが。正直、私も驚いている」
「なるほど!反逆のル〇〇シュL〇ST C〇LR〇Sのラ〇と同じ技を使っているんですね。わかります!」
拳をグッ!と握りモニターを見る山田先生。
「「(何がわかったのだろう?)」」
千冬と箒は思った。
戦闘中の一夏とセシリア。セシリアは四つのビットを使い一夏に向けて射撃をするが、まだ一撃も当たってない。
「(あれだけ撃てばエネルギーを幾分か消費したはず…)」
そう思いながら『白式』のエネルギー残量を確認する一夏。
「(よし、こっちのエネルギーは大丈夫だ。そろそろ攻めるか)」
白式の展開可能な装備を調べる一夏。
「一個しかないのか…」
『近接ブレード』と書かれた装備しか表示されてない。
「やってみるか!」
一夏は近接ブレードを呼び出し、展開する。
キィィィィン…
高周波の音とともに、一夏の右腕から光の粒子が放出される。それは手の中で形となって、収まった。片刃のブレード、刃渡り一・六メートルはある長大な『刀』が一夏の武器。
「中距離射撃型のわたくしに近距離格闘装備で挑もうなんて…笑止ですわ!」
「そう言うけどまだ一発も当たってないぜ」
「お、お黙りなさい!」
すぐさまセシリアの射撃。一夏はそれをあっさりと避ける。続けて射撃を行うセシリア。一夏も距離を詰められないでいる。
「(『白式』の反応が鈍い。俺の動きに追いつけてないのか?これじゃ、セシリアとの距離が詰めれない…)」
内心、焦る一夏。
「(強引に攻めてみるか?距離を詰めればこちらが優位だ。セシリアは自分でも中距離射撃型と言っていた。近接格闘の間合いであの長大なライフルが役に立つとは思えない。それに見ている限り近接用の装備はない。展開していないだけかもしれないが…とっ言って、攻めあぐねても仕方がない。行ってみるか!)」
一夏は一気に距離を詰めようとした。
「させませんわ!」
セシリアが長大な銃を使い射撃をする。それを避ける一夏
「(まずは、一発…)」
「まだ、まだですわ」
次にビットを射出するセシリア。そして直ぐにレーザーが放たれる。
「(集中しろ…箒との特訓を思い出せ。集中は、剣術の究極にして基礎だ)」
レーザーを避けながら段々と距離を詰める一夏。
「(しかし、箒には感謝だな。特訓の事もだけど、小さくなった俺の面倒を見てくれて。幼馴染みというのもあるかもしれないが…)」
戦闘中に箒の事を考える一夏。余裕があるのか?
「(そういえば、小さい俺は初日には箒に抱きついたよな。いや、抱きしめられた?そして同じ部屋になって…)」
初日から箒とのやり取りを思い出す一夏。
「(箒のバスタオル一枚の姿を見たり…箒ってスタイルいいよな…)」
段々と一夏の顔が赤面してきた。
「(一緒のベットで眠たり、ほかにも箒と一緒に…箒と、箒と、箒と…)」
さらに赤面する一夏。
「(うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!)」
両手で頭を抱える一夏。顔から湯気が見えるようだ。
「(俺って何をしているんだ!いくら子供の姿で精神も幼児化しているからといって、あんな事やこんな事をするなんて。やべ。俺、箒の顔が見れない)」
また顔が赤くなる一夏。白式まで赤くなりそうだ。
「隙ありですわ!」
「あっ…」
羞恥心で頭を抱えていた一夏をビットが取り囲んでいた。
「やば…」
ビットの射撃が来ると思い、動いた瞬間。
「かかりましたわ」
セシリアの腰部から広がるスカート状のアーマー。その突起が外れて、動いた。そして『ミサイル』が撃たれた。
ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!
一夏は爆発と光に包まれた。
「一夏っ…!」
モニターを見ていた箒が思わず声を上げる。
「ふん…」
黒煙が晴れた時、千冬は鼻息を鳴らした。けれどその顔には安堵の色がある。
「機体に救われたな。馬鹿者め(よかった。一夏は無事のようだ。もし一夏に何かあればオルコットの奴、退学だけではすまさんぞ)」
いや、千冬さん。ブラコンで国際問題を起こすのはどうかと…それは置いといて、かすかに漂っていた煙が弾けるように吹き飛ばされる。そしてその中心には純白の白い機体があった。そう、真の姿で…
゛フォーマットとフィッティングが終了しました。確認のボタンを押してください゛
一夏の意識に直接データが送られてくる。同時に目の前に現れるウインドウ。真中には『確認』と書かれたボタンがある。一夏はそのボタンを押した。そうするとさらに膨大なデータが流れ込んできた。いや、正確には整理されているのだろう。そして変化は劇的に訪れた。
キィィィィィィィィィィィィィン!
高周波な金属音。刹那、一夏を包んでいる…いや、一夏の身そのもののISが光に粒子に弾けて消えて、そして形を成す。
「これは…」
新しく形成されたIS装甲はまだうすぼんやりと光を放っている。そして先ほどより洗練された形へと変化していた。
「ま、まさか…一次移行?あ、あなた、今まで初期設定だけの機体で戦っていたというの」
そういう事だ。『最適化』が終わり、やっと白式は一夏専用になった。機体のデザインも変わったが、何より変わったのはその武器だった。
『近接特化ブレード・《雪片弐型》』
その名前はかつて千冬が振るっていた専用IS装備の名称。刀に形成した形名。それが雪片。
「俺は世界で最高の姉さんを持ったよ」
ブラコンでもですか?
「守られるだけでなく、今度は俺が守らないとな」
「は?あなたは、何を言って…」
「私的な事だよ」
「何の話を…ああもう、面倒ですわ」
一夏に向かってビットが飛んで行く。
「(見える…)」
一夏は雪片を構えて。
「セシリア!」
「?」
「下手に動くなよ。まだ上手く扱えそうにない」
そう言うと雪片に光の粒子が集まり刀身が光輝いた。そして一夏は縦一閃に雪片を振り抜いた。そうすると刃先から高密度のエネルギーを斬撃として放出されビットを斬り裂いた。
「なっ、何ですの?」
焦るセシリア。
モニターを見ている箒達。
「あ、あれはいったい何ですか?まさかワンオフ・アビリティー!」
「いや、まさか…そんな?」
「BL〇ACHの月牙〇衝ですね。わかります!」
今度は両拳をグッ!と握りモニターを見る山田先生。
「「だから何がわかったのだろう?」」
二人ともそう思うのだった。
再び一夏とセシリアの戦闘。
「(機体の瞬間速度、センサー解像度はさっきの比じゃない。反応の鈍さは微塵も感じない。これなら、行ける!)」
距離を詰めるためセシリアに突撃する一夏。セシリアもビットで迎撃するが一夏を止める事が出来ない。そしてセシリアの懐に飛び込む一夏。刹那、先ほどよりも雪片の刀身が光を帯びた。そしてそのまま…決着を告げるブザーが鳴り響いた。
『試合終了。勝者…セシリア・オルコット』
「えっ…」
セシリアは何故勝ったのかわからず困惑していた。それはアリーナで観戦していたギャラリーもモニターを見ていた、箒、山田先生も同じだった。
「はは。負けちまった」
何故か一夏は笑っていた。
「あいつ、わかっててやったな…」
千冬は「やれやれ」という表情をして意味あり気な事を言う。とりあえず、試合結果は一夏の負けのようだ。
やっぱり、戦闘シーンを表現するのは難しいですね。これも文才の無さか。次回はおバカな話を書きたいですね。では次回もよろしくお願いします!