インフィニット・ストラトス いちか君と一夏のIS学園生活 作:迷い人
翌日、朝のSHR。
「では、一年一組の代表は織斑くんに決定です」
山田先生は嬉々として喋っている。クラスの女子も大いに盛り上がっている。
「はい、山田先生。質問です」
いちか君は元気よく挙手した。元気なのは良い事ですね。
「はい、織斑くん」
「僕は、昨日の試合で負けました。それなのに何で僕、クラス代表になってるんですか?」
「それはですね…」
「それはわたくしが辞退したからですわ!」
急に立ちあがり、腰に手を当てるポーズをとるセシリア。
「勝負はいちか君の負けでしたが、それはしかたがないこと。なにせこのセシリア・オルコットが相手だったのですから」
一人うんうんと頷くセシリア。
「(ふん。一夏の奴がワザと負けたとも知らずに。一夏が本気で相手をしていたらどうなっていたのやら…)」
セシリアの言動を見ながら思う箒。
「それで、まあ、わたくしも大人げなかった事を反省しまして…゛いちか君゛と゛一夏さん゛にクラス代表を譲ることにしましたわ」
大人げなかったですね。子供相手に…ん?セシリアも子供なのか?
「いやぁ、セシリアわかってるね!」
「そうだよねー。せっかく世界で唯一男子がいるんだから。これを持ちあげないで何を持ちあげるかってね!」
「そして子供の状態と大人の状態。一度に二度も楽しめる。妄想は膨らむばかりよ!」
「うんうん。私達は貴重な経験が積める。他のクラスの子に情報が売れる。良い事ばかり!」
自分の欲望に素直な方々が集まるクラスですね。
「そ、それで…ですわね…」
コホンと咳払いをして。
「わたくしのように優秀かつエレガント。パーフェクトな人間がIS操縦を教えて差し上げれば、それはもうみるみるうちに成長を…」
バン!机を叩く音が響く。立ちあがったのは箒だった。
「あいにくだが、いちかと一夏の教官は足りている。私が、直接頼まれたからな(まさか、いちかや一夏を!)」
異様に殺気立っている瞳でセシリアを睨む箒。しかしセシリアは怯むどころか箒の視線を正面から受け止めて、視線を返している。
「あら、あなたはISランクCの篠ノ之さん。Aのわたくしに何か御用かしら?(わたしくしといちか君、一夏さんとの〇×△□#を邪魔をするつもりですの)」
あの~セシリアさん。何を考えてます?
「ら、ランクは関係ない。頼まれたのは私だ。い、いちかがどうしてもと懇願するからだ(やはり、二人を狙っているのか。そうはさせん!いちか君と一夏の〇×△□&は私のだ!)」
箒さん。あなたも何を考えているのですか?
「ちなみに僕のランクはBだそうです」
誰に言っているのかな、いちか君?
「座れ、馬鹿ども」
スタスタと歩いて来てセシリア、箒の頭をバシンと叩く千冬。そして何故かいちか君の頭を撫でながら低い声で告げる。
「お前達のランクなどゴミだ。私からしたらどれも平等にひよっこだ。まだ殻も破れていない段階で優劣をつけようとするな」
何か凄い事を言っているのだが、みんなはこう思っていた。
「(いちか君の頭を撫でながら言っているせいで、凄味が全くない…)」
そして言葉を続ける千冬。
「代表候補生でも…(馬鹿共め。いちかや一夏を狙っているのだろうが、無駄な事を。二人の〇△□%&だ)」
あんたもか、千冬さん!
「クラス代表は織斑いちか。異存はないな」
はーいとクラス全員が一丸となって返事をする。一致団結…良い事ですね。
「早速、織斑くんの情報をまとめて他のクラスの子に売らないと」
「薄い本のネタになるかな?」
「考えてみようよ」
「いちかや一夏と…ふふっ…」
「いちか君…一夏さん…わたくしが…」
一致団結してるんだよね?
「みんな、仲が良いですね」
一人ずれた事を考える山田先生だった。
「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」
「おめでとう~」
ぱんぱーんとクラッカーが乱射される。今は夕食後の自由時間。場所は寮の食堂。一組のメンバーは全員そろっていた。各自飲み物を手に盛り上がっている。いちか君の人気が凄いのかクラスの集まりでクラスの人数以上に人が集まっていた。
「はいはーい、新聞でーす。話題の新入生、織斑いちか君に特別インタビューをしに来ました~」
オ~と一同盛り上がる。
「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」
「あ、はい。ありがとうございます」
おずおずと名刺を受取るいちか君。
「ではではずばり織斑君!クラス代表になった、感想をどうぞ!」
ボイスレコーダーをずずいっといちか君に向けて、無邪気な子供のように瞳を輝かせている。
「え、え~と」
戸惑ういちか君。
「み、みなさんの期待に応えられるようにがんばります…」
「え~。もっといいコメントちょうだいよ~。僕のこの魅力でお姉さん達を虜にするとか」
それクラス代表とは関係ないコメントだよね。
「え、あ、う、う~ん」
必死にコメントを考えるいちか君。
「はは…ごめんね。困らせるつもりはないんだよ」
両手を合わせて謝る黛。案外この人は良い人なのかもしれない。
「大丈夫。適当にねつ造しておくから」
前言撤回。
「ああ、セシリアちゃんもコメントちょうだい」
「わたくしもですか?こういったコメントは好きではありませんが、仕方がないですわね」
とかなんとか言いつつ満更でもない様子のセシリア。
「やっぱいいや。長そうだから写真だけちょうだい」
「ひ、人の話を…」
「はいはい、とりあえず二人並んでね。写真とるから」
「えっ?」
意外そうなセシリアの声。しかしどこか喜色を含んで弾んでいるように聞こえる。
「注目の専用機持ちだからね。ツーショットもらうよ。握手とかしてるといいかもね」
「そ、そうですか…。そう、ですわね」
何故かモジモジとし始めたセシリア。ちらちらといちか君を見ている。
「あの、撮った写真は当然いただけますわよね?」
「そりゃもちろん」
「でしたら今すぐに着替えて…」
「時間がかかるからダメ。はい、さっさと並ぶ」
黛はいちか君とセシリアの手をを引いて、そのまま握手まで持って行く。いちか君の身長が低いのでセシリアが腰を落とした状態になっているが。
「はぁ・・・・・・」
何か逝っちゃっている顔のセシリア。
「セシリアちゃん。顔が緩んでるよ~。それと涎、涎」
「はっ!」
急いで顔を整えるセシリア。
「よ、よろしいですわよ」
「う~ん、だめね」
「はい?」
困惑するセシリア。
「その状態だとインパクトにかけるのよね」
顎に手を当てて考える黛。
「そうだ!セシリアちゃん。椅子に座った状態で織斑くんを膝の上に座らせてあげて」
「ええっ!」
歓喜の声を上げるセシリア。
「そんな、うらやま…じゃなくて、そんな破廉恥な!」
非難の声を上げる箒。
「はいはい、苦情は聞きません。さあ、準備して~」
箒を無視して進める黛。そしていちか君をセシリアの膝の上に座らせた。
「(はぁ~なんでしょう?この小動物を彷彿させる抱擁感は…)」
先ほどより、逝っちゃった顔をするセシリア。
「セシリアちゃん、顔を整えてね~。それじゃ撮るよー」
パシャッとデジカメのシャッターが切られる。
「なんでみんな入ってるの?」
いちか君が周りの女子達に質問する。一組の全メンバーが撮影の瞬間にいちか君とセシリアの周りに集結していた。
「あ、あなたたちねえっ!」
「まーまーまー」
「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー」
「クラスの…いや、いちか君との思い出は私達も作りたいしね」
「ねー」
口々にセシリアを丸め込むようなことを言っている。苦虫をかみつぶしたようなような顔をしているセシリア。ともあれ、『織斑くんクラス代表就任パーティー』は十時過ぎまで続いた。そしていちか君と箒は部屋に帰り寝る準備をしていた。
着替えの音が部屋に響く…
いちか君の記憶は一夏に反映されるのだから、こういう時の記憶は一夏にとって色々とまあ、大変でしょうな~
「いちか?」
寝間着に着替えた箒がいちか君に近づくと、ベットの上に座りうつらうつらととしていた。どうやら前回と同様にいちか君はおねむの様だ。
「いちか。そのままだと風邪をひくぞ。布団に入れ」
「うん…」
目を擦りながら布団に入るいちか君。中途半端に布団の中に入り寝るいちか君。
「全く、仕方がない奴だ」
優しげな顔でいちか君に布団をかけながら゛また、何故かいちか君と同じベット゛で寝る箒。
「これは相部屋の特権だ!」
誰に言っているのですか、箒さん?
こんな感じで二人は睡眠に落ちていった。
「織斑くん、おはよー。ねえ、転校生の噂聞いた?」
朝、席に着くなりクラスメイトに話しかけられるいちか君。
「?」
首を傾げるいちか君。
「なんでも中国の代表候補生なんだってさ(何か、かわいい…)」
「そうなんですか」
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」
腰に手を当てたポーズで言うセシリア。
「このクラスに転入してくるわけではないのだろう?騒ぐほどのことでもあるまい」
箒が言う。
「どんな人なんだろう」
「む…気になるのか?」
「代表候補生なんだから、セシリアお姉ちゃんのように強いんだろうなと思って」
「いちか君。わたくしほど強い者なんてそうはいませんわ」
ほほほと笑うセシリア。
「今のお前に女子を気にしている余裕があるのか?来月にはクラス対抗戦があるというのに」
いや、いちか君は女子というより代表候補生という点が気になっているのでは?
「そう!そうですわ、いちか君。クラス対抗戦に向けて、より実戦的な訓練をしましょう。相手ならこのわたくし、セシリア・オルコットが務めさせていただきますわ。なにせ専用機を持っているのはまだクラスでわたくしといちか君だけなのですから」
『だけ』という部分を強調して言うセシリア。実際そうなのかもしれない。他のクラスメイトでは訓練機の申請と許可、整備に丸一日はかかってしまう。手っ取り早く模擬対戦をするならセシリアに頼むのが早い。ちなみに、クラス対抗戦とはよんでそのまま、クラス代表同士によるリーグマッチだ。クラス単位での交流及びクラスの団結のためのイベントだ。生徒のやる気を出させるために、一位のクラスには優勝賞品として学食デザートの半年フリーパスが配られる。一組は欲がからむと強くなるので案外、勝つかもしれない。
「う、うん。僕がんばるよ!」
「わたくしに対してあれだけの戦いが出来たのですもの。大丈夫ですわ」
「うむ、その心意気だ。がんばれ、いちか」
「織斑くんが勝つとクラスのみんなが幸せだよ!」
セシリア、箒、クラスメイトと口々に好きな事を言っている。いつの間にか、いちか君の周りは女子で埋め尽くされていた。
「フリーパスのためにもがんばって!」
「今のところ専用機を持ってるクラス代表って一組と四組だけだから、余裕だよ」
やいのやいのと楽しそうに女子一同、話をしている。
「その情報、古いよ」
教室の入り口からふと声が聞こえた。
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
腕を組み、片膝を立ててドアにもたれている少女。その少女を見ているいちか君。
「鈴…お姉…ちゃん?」
「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は、きゃ、」
「鈴お姉ちゃんー」
鈴の腰のあたりに抱きつくいちか君。
「ちょ、あ、アンタ誰よ?て、いうか何でここにこんな小さな子がいるのよ」
「え、鈴お姉ちゃん。僕の事わからないの…」
悲しそうな顔をするいちか君。
「そ、そんな顔をしないで」
いちか君に泣きそうな顔をされて動揺する鈴。
「わからないのって言われて…も…」
いちか君のことを凝視する鈴。
「(あれ、この子どこかで…)」
いちか君と自分の記憶を合わせる。
「(はっ、そうだ!一夏に似ているんだ。いったいこの子は…)」
「鈴お姉ちゃんー」
小動物のように甘えてくるいちか君。
「(う、可愛い…じゃなくて!一夏に似ている子。・・・・・・・・・まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!)」
青ざめた顔をする鈴。
「あんた、まさか一夏の…」
「そうだ」
「ち、千冬さん」
「その子は、私と一夏との…」
「僕、織斑いちかだよ」
「へ?」
「よくわかなんいんだけど、ISのせいでちっちゃくなったんだって」
笑顔で言ういちか君。
「え、でも先っき…」
千冬を見る鈴。
「…人間、冗談の一つも言えんとな」
こほんと咳払いをする千冬。
「・・・・・・・・・・・・・」
若干、笑みを浮かべた顔で千冬を見る鈴。
バシンッ!そんな鈴に出席簿の打撃が入った。
「SHRの時間だ。教室に戻れ」
いたたまれなくなったのか、そんな事を言う千冬。
「また後で来るからね!いちか」
「うん。またね、鈴お姉ちゃん」
「(可愛い…)」
無邪気に手を振るいちか君を見て逝っちゃった顔をする鈴。そんな二人を不機嫌そうに見る、箒とセシリアだった。
久しぶりだったので、いちか君の喋り方を忘れてしまった。こんなんでよかったかな?とりあえずこれからもおバカな話を続けますのでよろしくお願いします。