その1:チェイスが謎の街で目覚める
その2:ロイミュードとは全く違う新たな敵と力
その3:神と名乗る謎の少女の登場
「神だと?」
「そうです。
いいえ、違うわ。
そうとしか表現できないのです。」
チェイスの目覚めた謎の街。その街には不気味と言わんばかりの謎が溢れかえっていた。機械的とも言える住民の挨拶や笑顔。
周りの人間の動きを止める重加速とは違った謎の力。
そして、不良少年を殺し真人間に作りなおした謎の2種類の怪人。
チェイスには理解できない現象が起こりすぎた。
「説明しろ。お前たちは何者だ!!」
「神です。総じて我々は神よりの使徒『デリーター』とでも命名しましょう。」
「神の使者が削除人か。」
「そうです。我々こそ神であり神の代行者なのです。ではご説明致しましょう。」
この街は星見市。
次元の間の歪みにできた空間でありそこにはあらゆる次元から連れてこられた人々がいた。そこで彼らは思った。
今自分たちがなそうとしている計画の実験場にしようと。
「計画だと?」
「えぇ、プロジェクトPEACE。いい響きでしょう。」
「悪寒がするな。」
世界では現在もテロや戦争、紛争が続き先進国でも犯罪が毎日起こっている。
そこで彼らは計画した。
悪人は作りなおしてしまおうと。
「悪人を作り直すだと……。」
「その通りです死神さん。
こちらへ来なさい。」
そう言って少女が手を振ると再び周りの景色が時間を失う。
飛び散る噴水の水も、羽ばたく鳩の体も全てがそこで失われていた。
そして目の前の少女の横にいたのは先ほど見た黒と白の怪人であった。
「紹介しましょう。
こちらの白い子、彼の名前は『
そしてこちらの黒い子は『
「『クリエイター』と『イレギュラー』。
物騒な奴らだ。」
「あら?
可愛い子たちですよ。いわばこの子達は2種類から成り立つ死神です。」
「なんだと!?」
「あなた達ロイミュードと我々デリーターの違いを教えましょう。」
デリーター達のなすことは2つ。生命活動の中心である核、心臓を肉体から切り出すこと。そしてその核情報をもとに元の体をプログラミングしさらにそこから基本情報を書き換えることである。
「基本情報の書き換えだと?」
「そうです。あなたとやっていることは同じです。
ですがロイミュードの場合核は生命ではなく記憶。いわば人間でいう脳にあたります。
ロイミュードは記憶を引き継ぐことで別の肉体でも前回の体のように扱うことができます。ですがそれではダメだと我々は気付いたのです。」
「何がだ!!」
「いくらやり直させてもその記憶は過ちを犯した記憶、
どうせまた同じ失敗を繰り返すのです。
ですから我々は再構築させるための生命活動の中心である心臓だけでいいのです。」
「だがそれでは身体の形だけが形成されるだけでそのあとはどうなる!?」
「記憶などは勝手に作ればいいのです。それに別になくともよい。」
再構成された人間はコマンダーという抜け殻になる。
彼らは生活しているのではなく反射神経により反射行動をとっているだけなのだ。
「彼らに考える力などいりません。普通に日常を生活させ常に笑顔を振りまき、人とすれ違えば挨拶をする。
それだけできれば上出来なのです。」
「…………。」
チェイスの動きが止まった。
ミシミシと革手袋が握りこぶしにより擦れる音がなる。そして彼の両肩がブルブルと震えだすのだ。
怒りと悲しみにより彼の感情は今にも限界を超え砕け散りそうになる。
「貴様ァア!!」
少女に掴みかかろうとした青年を2人の怪人が止めにかかる。チェイスの怒り狂った拳が白い怪人を吹っ飛ばす。
「貴様達はそんなことをしてどうなる?
抜け殻が蔓延る世界が本当の平和だとでもいうのか!?」
「では私から平和に一番必要なことは何かをお教えしましょう。」
再び押さえつけられたチェイスの耳元に少女の口が近づく。そしてそっと吐息を吹きかけるようにその答えは彼の元に届く。
「それは欲望の抑制です。」
「欲望の抑制だと。」
「そうです。欲望が人を盲目にし争いを起こさせます。あなた方ロイミュードもそうでしょう。
人間より勝ると錯覚したそのおごりが欲望のリミッターを破壊し人間に宣戦布告をした。
そして馬鹿の一つ覚えのように無様に散っていった。
それを構成して何が悪いのです!!」
「たとえ間違いを犯しても最後まで支えて更生の道を探させてやる、それが友ということだろう!!」
「馬鹿馬鹿しい、実に馬鹿馬鹿しい!!
友ほど平和に微塵も関係ない不適合なものはない。それを信じ続けるロイミュードも人間もこれほど馬鹿なことはない!!
友など消え去ればいい!!」
その言葉がチェイスの何かをズタズタに引き裂いた。
そして彼の脳裏に何かが蘇る。
『友を失うということは、とても悲しいことなんだよ。
理屈でなくな……。』
『お前は……ずっと俺を友と呼んでくれるか?』
ハート……。
『お前は、俺と同じ正義を心に宿した仲間のはずだ!!』
『正直、お前が生きててくれて嬉しかったよ……。』
進ノ介……。
『あなたは、私の命の恩人だから!!』
霧子……。
俺には……友がいる。
守るべき友がいる。
「死神さん。ロイミュードと人間によって生まれたあなたならわかるはずです。
さあ、我々デリーターの死神として協力してください。」
「………る。」
「えっ?」
「断る。
俺は死神だ、死神の役目は道を踏み外した友にやり直すチャンスを与えること。
お前たちのように一度失敗した者を消す行為は死神などではない!!」
「ふふふ、では我々はその対となる存在『生き神』と言うことですね……ふふふ、あははははは!!
汚らわしい消しなさい!!」
チェイスを押さえつけていた怪人は彼の身体を離すと同時にその胸ぐらに同時にパンチを浴びせる。青年はよろけながらも踏ん張るが黒い怪人が一瞬余所見をした彼の頬を殴りつける。
さすがにその攻撃には耐えきれず地面を転がるチェイス。
起き上がって体制を整えた彼に飛び蹴りを食らわせる白い怪人。
仰向けで倒れる青年に白い怪人はまたがりそのまま連続攻撃を食らわせる。
必死に耐えるチェイサー。
拳を防ぐ両腕から血が滴り落ちる。
だがその時だった。
空中の亀裂が走るとその中から謎の車が飛び出してきた。
車の砲撃を浴びた白い怪人は怯んでチェイスから離れる。
車はチェイスの前で止まると2台のバイクに分離した。
「ライドクロッサー!?何故ここに!?」
すると白いバイク、ライドマッハーからチェイスに向かって何かが飛んできた。
「マッハドライバー!?
俺に変身しろというのか?」
マッハドライバーを腰に当てベルトを装着しようかとしたその時、チェイスの動きが止まる。
チェイスはもう一方の黒いバイク、ライドチェイサーに近づくとトランクを開けた。
トランクの中には黒と紫の不気味な色をした小型の銃のようなものがあった。
そう、それこそブレイクガンナー。
それを手に取ると手の中でそれは紫色に輝きだした。
《BREAK YOUR BODY》
「生き神よ。一つ質問だ。」
「なんでしょう?」
「お前たちにとって、人間の再構成とはなんだ?」
「平和のための『正義』です。」
「そうか、人間の罪を許さずすぐに自由を奪うのが『正義』か。」
その瞬間青年は腰に当てたベルトを空中に放り投げた。
そして右手のブレイクガンナーでそれを撃ち抜く。
落ちてくる火花の中を青年はゆっくりと前に歩き出しもう一方の掌を銃口に突き当てる。それと同時にあたりに不気味な重低音の音楽が流れ始める。
「お前たちの行為が正義なら………、
俺は友を守るための『悪』となる!!」
銃口から手を離し前方に十字架を描いた。
《BREAK UP !!》
つづく