その1:イレギュラーの幹部マグナムイレギュラーの登場
その2:進化したイレギュラーは強すぎる。
その3:新たなるチューン、スコーピオンの登場。
4月8日 金曜日 AM0:30
春の陽気の近づく中、世間ではゲリラ豪雪が問題となっていた。だがこの日の気温は15℃、少し肌寒いが安眠にはちょうど良い。実に静かな夜であった。
だが、その静けさの中事件は起こった。
けたたましいサイレン、こすれ合う金属音、飛び散る火花。
夜の静けさを吹き飛ばす騒音が一人の男の眠りを妨げる。
「うるさいぞ貴様ら!!」
チェイスはあまりの騒音にベッドから飛び起きた。
彼の部屋の机の上では数台のシフトカーがブレイクガンナーの改造を行っていた。そしてサイレンの主であるシフトカー『マッドドクター』はバイラルコア達のメンテナンスに勤しんでいた。
「お前達、少し寝かせてくれないか?」
その言葉を聞くとシフトカーとバイラルコア達は彼の元へ集まり申し訳なさそうに弱々しくクラクションやサイレンを鳴らした。
チェイスはベッドから立ち上がると机の上の生徒手帳を手に取る。
そしてページめくっていくとメモの場所に『4/8 9:00より始業式』と書かれていた。
そしてこの件に関しての説明は4月2日にさかのぼる。
4月2日
フォークイレギュラーを撃退したチェイスは一度自分の家に戻ると再び2台のバイクを調べだした。ライドマッハーの中には『マッドドクター』、『フッキングレッガー』、『カラフルコマーシャル』、『マックスフレア』、『ミッドナイトシャドー』の5台が乗っており、ライドチェイサーにはバイラルコアのメンテナンスキッドが一式入っていた。
それから4日ほど彼らは星見市を手分けしてくまなく捜索した。だが生き神達の情報はつかめず途方に暮れていた。だがそんな中公共施設各所を巡っていたミッドナイトシャドーから連絡が入った。
私立星見学園にイレギュラー達が入っていったという情報であった。
そこでチェイスは自分も星見学園の生徒であるらしいという事を利用してイレギュラー達の行動を探ることにした。
だがチェイスは学生というものをよく知らない、いや、覚えていなかったのだ。
そこで図書館からたくさんの文献(主にラブコメや少女漫画)を集め学生については研究したのだ。
「曲がり角で女子にぶつかるためにはジャムトーストを加える必要があるらしい。」
「(クラクション音)。」
「……、そうか。俺はバイク通学か……。
これはどうだ、壁ドンをすると次のイベントという場所に行けるそうだ。」
「(サイレンの音)。」
「……、そうか、捕まるのか。
じゃあこのイモケンピをつけてるのを教えてあげるというのは………。」
「(エンジン音)!!」
「ありえないのか………。」
そして激しい特訓と猛勉強の末彼は学生という物を理解したのだ。
だが、皆さん御察しの通りちっとも正解の理解ではない。
そして現在に至ると言う事だ。
「明日は学校か……。
昼休みに焼きそばパンとやらを買うために行列に挑んでいくイベントと言うのが楽しみだ。」
かくして間違った解釈をしてしまってはいるがチェイスは楽しみで全く眠れなかった。
一方その頃 星見学園理科室
暗い部屋の奥、黒板前の大きくて小汚い机に座る何者かがいた。黒い怪人、
その身体中はゴツゴツと尖っており両腕と頭部には巨大な木刀が生えていた。
その異様な姿は理科室の骸骨を相手に剣道の技をかけていた。しばらくすると教室のドアが開き一人の男が入ってくる
黒いコートに黒い革の手袋、そして口にはヒゲが生えていた。
「マグナムであるか。」
「威勢がいいねえ、ブレードちゃん。」
「明日は新学期である。きっと春休み中に羽目を外し過ぎた物や中学生気分の抜けない新入生が多いはずである。」
「忙しそうで悪いが受け取れ。」
男は怪人に写真を渡した。
そこに写っているのは人間態のチェイスの姿である。
「あいつからの始末命令だ。」
「我が校の生徒である以上は手は出せぬ。
まぁ奴は野蛮なるロイミュード、すぐにボロを出すはずだ。」
「頼むぜ、はっはっは。」
4月8日 金曜日 AM7:30
チェイスはすでに準備を済ませソファにすわっていた。
彼の座る机の前にはシフトカーとバイラルコアが綺麗に並んで整列していた。
「校内に入った時点で各員分散して見張りに入ってくれ。」
全員が了解と言うように音を出して合図した。
チェイスは部屋に入るとカバンを肩にかける。そして懐にブレイクガンナーを忍ばせた。
チェイスは桜並木の綺麗な川沿いの国道をバイクで走っていた。あまり目立たないほうがいいだろうとのことで今日はライドマッハーに乗っていた。少し汗ばみそうなほど暖かい陽気ではあったがその分吹く風は心地よく人間にはとても過ごしやすい1日であった。
しばらく走っていると少しずつ歩道に学生が増えてくるのがわかった。
学校への大通りに入るといるのは学生だけでありその光景はチェイスにとっては異様そのものであった。
正門から入ると駐車場の方へ移動する。
駐車場にバイクを止めると一斉にバイラルコア達は飛び出し学園の敷地内に散り散りに飛んで行った。
彼は全員が飛び散るのを見届けると校舎に向かって歩き出した。その途中チェイスは誰かに肩をたたかれて振り向く。そこにいたのは見たこともない女子高生であった。
「チェイスくん久しぶり、元気にしてた?」
「あぁ、(馴れ馴れしいな。こいつは一体誰だ?俺のことを知っているようだが……。)
俺は変わらない。
お前はどうだった。」
「高校2年生の春休みだしつまんなかった。
3年だからあとは受験しかないからさ。
ていうかチェイスくんそっちは1年生の校舎だよ。
3年生はこっち。」
そう言うと彼女はチェイスの腕を掴んで引っ張っていく。
そして何も調べられないままチェイスは自分の教室へと連れて行かれたのだった。
教室に入ると自分の番号が黒板に書かれておりチェイスは指定された番号の席に静かに腰をかけた。
廊下側の一番前の席だ。
すると隣の席の男が話しかけてきた。
「やあ、また同じクラスだな。」
「誰だお前?」
「酷いなぁ、僕だよ。橘 一馬。
チェイス去年もみんなのこと忘れてたよね。」
「すまない。春は変わり目でからな。」
「変なの。まぁいいやよろしく。」
二人はがっしりと握手をすると世間話を始めた。
ここしばらくテレビを見ていなかったチェイスにとっては情報収集は大切なことである。
今この辺りではでは急に人が変わるという事件が多発しているらしい。マナーも笑顔もなかった不良少年やヤクザが一瞬のうちに真人間になり笑顔を振りまきまくるというのだ。
「
「え?入れ墨がなんだって?」
「なんでもないから黙っていろ。」
しばらくすると先ほどの女生徒が近づいてきた。
「どうしたの?何盛り上がってたの?」
「世間話だよ、世間話。」
「世間話かぁ〜。
そういえばこの間の怪人事件のこと知ってる?」
「怪人事件だと?」
「知らないのチェイスくん。
この間星見学園前中央公園に怪人が現れたんだって。」
「怪人は4人いてうちに2人は1匹の怪人がやっつけたらしいぞ。」
「マスコミも総力あげて捜査してるらしいよ。」
「ならば警察も黙ってはいないだろう。」
「え? け……サツ?なんだそれ?」
チェイスはその言葉に一瞬耳を疑った。彼の言動から察するに彼自身警察という物を知らなさそうだ。
「警察だ。事件が起きれば来るだろう。」
「事件て何さ?」
「人殺しや窃盗などいろいろあるだろう。」
「チェイスくん疲れてるんじゃないの?
そんなのお話の中だけだよ。」
「は?」
「人殺しや泥棒なんていうのは世界中どこにもないんだよ。」
「そうそう、そんなのあったら俺ら死んじまうよ。」
チェイスはこの時思った。
犯罪は起こってないわけではない、なかったことになっているのだ。デリーターたちの能力は時間を止めることだけではない。時間を戻すこともできるのだ。そうなれば不自然な点がある。何故自身は時間の支配を受けないのか?
そう考え込んだ時扉が開かれ教師が入ってきた。
「おいみんな席に着くんだ。」
「あっ、先生来た。じゃあまた後でね。」
「あぁ、えっと……。」
「私は、 よ。」
「え?」
「私は『霧子』よ。」
なん……だと……
つづく