魔進チェイサー THE STORY   作:ちょいワルドラゴン

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前回までの魔進チェイサーは
その1:星見学園に謎の影がある
その2:各地のイレギュラーにチェイスの情報が入る。
その3:謎の少女の名は霧子


第5話 能ある教師は真剣を隠す

霧子……、

元の世界でロイミュードの番人であったチェイスに再び仮面ライダーに戻るきっかけを与えた女性。

同じ教室で、同じように過ごしているあの少女も霧子。

顔も性格もほとんど似ていない。

これは偶然であろうか?

いや、偶然とは言い切れない。

この世界にはまだまだ問題が残っていそうだ。

だが、チェイスにとって同じように重要な問題が発生した。

 

「それでは今日の授業はここまでです。

水曜日から通常通り授業となりますので確認しておいてください。」

「なんだと!? 昼休みはないのか!?」

 

チェイスの目的の中に昼休みに焼きそばパンを買うという目的もあった。学生生活を知らない彼にとってそれが今日の楽しみであったが今その目標が音を立てて崩れ去った。

抜け殻のようになったチェイスはイスの上に力なく座り尽くす。抜け殻となったその瞳に輝きはなく涙が溢れていた。

 

「チェイス飯に食いに行こうぜ。」

「焼きそばパンか!?」

「いや、ファミレスに……。」

「なんだそれは?

美味いのか?」

「えっと……どうだろう。いってみればわかるよ。

霧子もいかないか?」

「いいよ、私ドリンクバータダ券持ってるんだ。」

「決まりだ、行くぞチェイス校門に集合だ。」

 

そう言うと霧子と一馬は教室を勢いよく飛び出していった。チェイスは荷物をまとめると駐車場に歩いて向かった。

駐車場には部活勧誘の人間や軽音部の公開ライブで盛り上がっていた。チェイスがバイクにまたがりエンジンをかけると隣にもスクーターに乗る男子生徒がいた。その生徒は棒状の食べ物を食べながらため息をついていた。

 

「どうした?」

「うわぁ!!びっくりした。

同じクラスのチェイスくんだっけ?」

「そうだ。お前は兵藤 祐介だったな。

こんなところでどうした?」

「お昼ご飯だよ。これから用事があって。」

「それが昼飯か?足りるのか?」

「これだけじゃキツいけど栄養はあるから……。

あっ、そろそろ行くね。」

 

そう言うと祐介という生徒は急いでスクーターを走らせた。チェイスもバイクにまたがると校門に向かう。校門には既に2人が待っていて一馬にいたってはカンカンに怒っていた。

 

「おせーぞチェイス!!」

「野暮用だ。」

「そんなことより早くいきましょ。」

 

3人は10分ほど歩く。しばらくすると駅前の通りに入る。そこには平日ではあるが人間が多くバイクを押して歩くには少し狭かった。しばらくして目的地が見えるとチェイスは駐車場にバイクを止めて入り口に向かう。その途中に職員用の入り口と思われる場所に見覚えのあるスクーターが置いてありそれがどうも気になった。だが一馬からしつこくSMSが来るので店内に向かう。

 

「焼きそばパンが無いじゃないか!!」

「ある訳ないだろ。」

「何を頼めばいいんだ?」

「私が選んであげる。」

 

霧子はチェイスからメニューを取り上げると呼び出しボタンを押した。しばらく経つと店員がやってくる。

 

「ナポリタンのサラダセットとオムハヤシ、

それから………。」

「俺はミックスグリルセットね。

あとドリンクバー3つ。」

「オムハヤシとはなんだ?焼きそばパンか?」

「違うだろ、どう考えても。」

「ではカレーパンか?」

「違うって言ってんだろうよ。」

 

待っている間3人は再び世間話に浸った。

彼らの話に嘘は感じられずやはりこの世界には犯罪に対する術などはないようだ。考え込んでいると店員が料理を運んでくる。

 

「何だこれは?見たことのないパンだぞ。」

「パンじゃねえよ。オム『ライス』なんだから米に決まってんだろ。早く食べなさい。」

「パン……。」

「冷めちゃうだろ。食べなさい。」

「やだ。」

「子供かよ、たべちゃいなさい。」

「断る。」

「いいからはやk……。」

「ちょっとだけだぞ。」

「早いな、食いたかったのか?」

「……美味い!!」

 

ガツガツと無我夢中でチェイスはオムハヤシを口の中にかきこむチェイス。彼にとって世の中にあるものの殆どが初めてであり貴重な体験だ。者の数秒でチェイスは大盛りのオムハヤシを食べ終わる。口の周りがベトベトのチェイスはお手拭きで綺麗に顔を拭き取る。

 

「どうでした?」

「焼きそばパンの方が美味いからおかわり。」

「嘘下手くそだな。」

 

そこまでの会話を見ていた霧子が笑い出した。

 

「どうしたんだよ。」

「二人とも仲良いなと思ってさ。」

「そうかな? どう思うよチェイス?」

「おかわり。」

「パフェにしとけ。」

 

30分後食べ終わった3人は会計のためにレジへ向かう。

 

「お待たせしました、お次のお客様どうぞ……ってあれ?」

「あれ?祐介くんここでもバイトしているの?」

「そうだよ……、あっ、チェイス君も。」

「やはり外のスクーターはお前のか。」

「うん、あっ、お会計ちょうどありがとうございました。」

 

3人は会計を終え外に出た。するとチェイスの携帯に通知音がなった。シフトカーからのエマージェンシーだ。場所はファミレスの入り口近くからでありすぐに戻る。

そこにいたのはスーツ姿の中年男性であった。

 

「残念ですねえ、祐介くん。」

「先生……。」

(先生だと……。)

「校則では生徒のアルバイトは週3日までのはずですよ。」

「あの……今日はたまたま入っちゃっただけで……。」

「残念です。ですが喜びなさい、あなたの新たな人生を……。」

 

その瞬間時が止まった。

そして教師の姿が白い人型の怪人になっていく。

 

「さあ、作り変えてあげようか……。」

 

だが白い怪人の腕から銃撃による火花が飛び散る。撃った者は勿論チェイス。

 

「死神か。」

「お前に冥土を拝ませてやろう。」

 

《BREAK UP !!》

 

チェイスの姿は一瞬のうちに変わった。

目にも留まらぬ速さで敵を撃ち抜く。

弾丸が直撃するとその箇所が爆発を起こす。

 

「ぎゃあああああ!!

何だとおおお。」

「ん!?威力が上がっている。」

 

シフトカー達のおかげでブレイクガンナーの威力がアップしていた。これにより目の前の敵は一瞬で粉々になった。

チェイスが一息ついた時足元の床が割れ怪人が飛び出す。そいつは腕の木刀を振り回しチェイサーを追いかける。

その攻撃を受け止めると怪人は数歩後ろに下がった。

 

「貴様がチェイサーであるな。」

「ならどうした?」

「殺す!!」

 

その声とともに怪人が一気に懐に飛び込み。

 

《TUNE CHASER SPIDER !!》

 

蜘蛛の形をイメージした爪状の武器がチェイサーの右腕に装備される。左右の木刀が一定の間隔でチェイサーのボディに攻撃を仕掛ける。だが、それを軽々とよけるとチェイサーは怪人の脇腹に一撃を加える。

すると傷口から火花が飛び散り苦しそうに傷口を抑える。

止めと言わんばかりに振り上げたその時左右と額の木刀をブンブンと振り回し始める。

チェイサーはその木刀全てに強烈な一振りを与えると怪人の武器にヒビが入る。

 

「この我輩の、ブレードイレギュラーの木刀があああああ!!」

「おわりだ!!」

 

チェイサーが飛びかかったその時何か3筋の光が見えた。

それと同時にチェイサーの胸から火花とともに血が吹き出す。

崩れゆく瞬間その光の存在を見た。

ひび割れた木刀の下には真剣の歯があったのだ。

 

「見よ能ある鷹は爪を隠し、能ある教師は真剣を隠すのだ!!」

 

 

つづく


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