勉強タイムはゆるゆるっといきましょう!   作:橘田 露草

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千波先生の特別授業

「えっと…うん、大分下がってきたね。」

 

体温計を見ながらちー姉が言う。

昨日、買い物の帰りに雨に降られたのがいけなかったのか熱を出して倒れてしまった。

泊まりで看病をしてくれたちー姉のおかげで大分調子が良くなってきた。

 

「でも、学校に行くのはだめだよ。病み上がりで行くのは心配だよ。」

「過保護すぎるよ…。」

 

実際に体調は良く、ふらつくこともない。

 

「それに、今日は勉強会がある日だよ。中間テストの復習しなきゃ。」

 

先週やった中間テストの結果はすでに聞いていたけど、その答え合わせをしなければならない。

テストが終わった時にこそ、復習しなくては。

 

「だから…」

「みっくん。」

 

ぞくっとした。

おかしいな、熱は下がったはずなのに。

 

「怒るよ♪」

 

忘れてた。

弟はお姉ちゃんには、逆らえないのだ。

 

 

 

 

 

「という訳で、今日はみっくんに代わり、私が先生やります!」

 

こんにちは!

ピンクの果肉に包まれた甘ぁ~い視線であなたを魅了!

ももももっ!しろももちゃんでっす♪

……いや、現実逃避ぐらいしたくなるわよ。

入室していきなりこんなこと言ってる先輩がいるんだから。

 

「みっくん大丈夫なの?」

「言ってくれたらお見舞い行ったのに~。」

 

心配そうな声で言う宮沢先輩とお姉ちゃん。

あたしもそれは心配だ。

 

「もう熱も下がったし、もう大丈夫だよ。わ・た・し・が・お世話してたから。」

 

宮沢先輩の質問にやけに強調して言う朱鷺城先輩。

ちょっとイラっとした。

 

「でも、みっくんが外に出るのはまだ心配だから、私が代わりに授業してあげようと思って。」

 

さすがに過保護すぎる気がするけど。

というか、水樹が休みじゃ教えられる人がいないし、勉強会も休みにするべきだと思う。

それに……あたしもちょっとだけお見舞いに行きたいし。

 

ってここまでみっちゃん先輩がしゃべってないんだけど。

なんかこそこそ帰り支度してるし。

 

「みっちゃん先輩何してるの?」

 

お姉ちゃんも気付いたのか先輩に声をかける。

すると、先輩はビクッとし、慌てて振り返る。

 

「え、えっと今日家に用事あるの思い出したので帰るです!」

 

思いきり怪しい。

というか、めちゃくちゃ汗かいてるし。

 

「あー!みっちゃん先輩みっくんのお見舞い行く気でしょ!」

「なんでわかっ…!ち、違うです!みっちゃんの家に行っておかゆをあーんしたり、タオルで汗を拭いてあげようなんて思ってないです!」

 

わかりやすっ!?

…相変わらずめちゃくちゃかわいいわね、この先輩。

 

「だめだよ、みっちゃん先輩!授業が終わってからです!」

「むーんです……。」

 

朱鷺城先輩に怒られ、落ち込むみっちゃん先輩。

何か「旦那様のお世話をするのは奥さんの仕事なのにです……」って呟いてるけど。

 

「とにかく、授業始めます!」

 

どうしよう、不安しか感じない。

 

「えっと、ちなみにちーちゃんはテストどうだったの?」

 

宮沢先輩が朱鷺城先輩に聞く。

すると朱鷺城先輩はものすごいどや顔をする。

 

「ふっふっふ、何と平均点が前回の6倍だよ!」

 

いつからテストは倍で表現されるようになったんだろう。

 

「えーーー!?すごいね、ちーちゃん!」

 

朱鷺城先輩の言葉に驚く宮沢先輩。

お姉ちゃんとみーちゃん先輩もびっくりしている。

なんて素直な人たちだ。

 

「前回は1桁だったのに、2桁になったんだよ!これも勉強のたまものだね!」

 

ということは前回2、3点だったのね……。

ていうか6倍でも20点超えないんだけど。

 

「すごいね!私なんて10点しか上がってないよ!」

 

そう言ってテスト結果表を見せる宮沢先輩。

この紙には全部の点数と順位が書いてある。

得点はほとんど20点台で順位も下から数えた方が早いが、朱鷺城先輩は超えている。。

 

「そ、そっか…。しゅ、しゅごいね~。」

 

朱鷺城先輩、めちゃくちゃ汗かいているんだけど。

ていうか、かみかみだし。

 

「わたしも結構できたよぉ~。」

 

お姉ちゃんもテスト結果表を見せる。

相変わらず、理科は100点でさすがよね。

その他も良くはないがまずまずの点数で、順位は中の中ぐらい。

たしか1年生の時は、下の中あたりだったので、すごい進歩だと思う。

 

「あ、う、う、うん。すごいね…。」

 

朱鷺城先輩が脱水しかけている。

 

「みーは、頑張りましたです~!」

 

みーちゃん先輩もテスト結果表を出す。

水樹に聞いた話では、満遍なく悪いとのことだったが、全教科少し点数は上がってる。

苦手だという国語も50点越えと悪くない。

 

「あ…う…。」

 

すでに机に突っ伏している朱鷺城先輩。

え、ホントに大丈夫この人…。

 

「も、ももちゃんは…?」

 

すがるような目であたしを見る朱鷺城先輩。

心なしか怖い。

 

「えっと…。」

 

仕方なくテスト結果表を出す。

全教科半分ずつぐらいで中の下ぐらい。

そもそもあたしはアイドル活動のせいで勉強ができなかっただけで頭はそんなに悪くない。

 

 

「……」

 

恐る恐る先輩を見ると、完全に突っ伏し、震えていた。

 

「う…」

「う?」

「う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん~!!!」

 

先輩は泣き出し教室を飛び出してしまった。

ひらひらと舞って床に落ちた千波先輩のテスト結果を拾う。

 

2年1組17番 朱鷺城 千波

国語 18点

数学 14点

英語 17点

理科 15点

社会 11点

 

平均 15点

 

 

………見なかったことにしよう。




という訳で、心の中では意外と素直な小桃ちゃんと残念な千波でした(笑)
今回未知が嘘をつきましたが、この辺から未知もただかわいいだけの子じゃないよ!って感じにしていくつもりです。
恋は人を変えると言いますが……さてどうなることやら。

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