もう、書くこと思いつかないから書かないよ!
じゃあ、4646よろしく!
「604年、聖徳太子は、色により身分制度を確立する制度を作りました。この制度の名前は?」
「はい!」
まず元気よく手を上げたのは、2年生の宮沢優紀さんだった。
というか大抵問題はこの人の答えから始まる。
陸上部所属で、ブラウンのセミロングの髪をサイドテールにした可愛い先輩だ。
「じゃあ、優紀先輩。」
「ゴレンジャー!」
何を言ってるんだこの先輩は。
さっぱり理解できない思考に頭を痛くしながら、僕は期待にこもった目を向ける優紀先輩を見る。
「…違います。」
「え~!なんでよ~!」
ぷくっとほっぺを膨らめる優紀先輩。
お餅みたいで柔らかそうで触ってみたい衝動に駆られるが、必死で堪える。
「第一この時代にヒーローはいませんよ。」
「いるかもしれないじゃん!縄文戦隊ショウトクジャーみたいな!」
「どこのご当地ヒーローですか。後、聖徳太子は飛鳥時代です。」
「みっくんは細かいよ~!」
じたばたし出す先輩を無視して他の生徒を見る。
最も1人は爆睡しているが。
「えっと、はい!」
優紀先輩の隣の少女が控えめに手を上げる。
2年生の坂神小鈴さんだ。
ミルクティー色のゆるふわっとした長い髪は今日もかわいらしい。
くせっ毛のようでいつもセットには苦労しているらしい。
「じゃあ、小鈴先輩お願いします。」
「えっと、組み分けの儀式です!」
「ここは魔法学校じゃありません。」
段々大喜利のようになってきた。
なんだよ、組み分けの儀式って。
ダンブルな先生もびっくりだよ。
ちなみに僕は、グリフィンドール一択だ。
ハーマイオニー超かわいい。
「ちがいましたかぁ~。」
見るからにしょぼーんとする小鈴先輩。
なんだかこっちが罪悪感を感じてきた。
「い、いや違ってこそいましたが、独自の視点で意外な答えを導き出したのは評価できますよ!」
無理やりひねり出した僕の言葉を聞いて、にへらと微笑む小鈴さん。
「えへへ、みっちゃん♪そんなに褒めたら照れちゃいますよぉ。」
よかった笑顔になった。
決して褒めてなかったけど、バカでよかった。
可愛いは正義だ。
「ハイ!」
2人の後ろの席の小さな女の子が手を上げる。
140そこそこの身長は、どう見ても小学生だが、意外なことに一番の年上で3年生の先輩である。
キラキラと輝くボブカット(というらしい)の金髪の可愛い女の子だ。
ちなみに名前は飯森未知さんだが、みーちゃんと呼ぶことをお願い(もとい脅)してきたので、先輩ではあるがみーちゃんと呼んでいる。
そのくせ僕のことは「みーくん」と勝手に呼んでくる。
個人的には、同じ「みー」なのでややこしいことこの上ない。
「はい、じゃあみーちゃん先輩。」
「クラス内カースト!」
「惜しい!?意外と惜しい回答だった!?」
カースト制度が出てきたならむしろ何で出てこない!?
しかも何でクラス内限定!?
「で、でも違います。」
「何でです、みーくん!」
むしろその思考が何でですかだよ。
もう1人答えてないけど…寝てるし無視しよう。
「正解は、冠位十二階です。」
答えを聞いても先輩3人はぴんと来てない顔をしている。
「かんい…?」
「じゅうに…?」
「『か』だけ当たってましたです!」
うん、そこじゃないんだみーちゃん先輩。
『んいじゅうにかい』の方も当てなきゃ意味がないんだ。
「これは、朝廷に仕える臣下を12の等級に分け、地位を表す冠を授けたものです。ちなみに一番階級が上なのは「レッド!」うん、優紀先輩少しヒーローから離れてください。」
僕の話にいきなり優紀先輩が割り込んでくる。
泣きそう。
「一番は紫、正確には濃い紫です。ちなみに、赤は5番目です。」
「なんでさ!赤はリーダーの色だよ!」
僕の言葉に優紀先輩は噛みついてくる。
「紫の染料に使っていた貝は一個染めるのに約2000個必要だったそうです。なので、紫が高貴とされていました。」
「へぇ~。」
「2000個ってすごいです~!」
この辺は、テストにはまず出てこないところだろうが、歴史教科は興味を持ってもらうところから始まるというのが僕の考えだ。
現に、小鈴先輩とみーちゃん先輩は興味深そうに僕の話を聞いている。
だが、優紀先輩はまだ不満そうだ。
「うぅ…やっぱり納得いかない。レッドは、一番かっこいいのはレッドなんだよ!」
「まだ、言ってるんですか…。」
一言いってやろうかと思ったが、先輩は涙目になっていた。
そのまま下を向いてしまう。
正直なんでこんなことに必死になっているのか理解できないが、泣いているのを無視するのも後味が悪い。
仕方ない。
「先輩の好きなレッドは、偉いからレッドなんですか?」
「う、違うけど…。」
「違いますよね?リーダーだから一番偉くなくちゃいけない訳じゃないんですよ。聖徳太子もそう思って5番目にしたんですよ。5番目は大体真ん中。上も下もよく見えるリーダー…レッドに相応しい場所だと思いませんか?」
僕の言葉を聞いて、先輩はゆっくりと顔を上げた。
「そっか…。レッドは偉くなくてもいいんだもんね。だってかっこいいもん。」
涙を拭いていつもの笑顔を見せてくれる先輩。
もちろん、僕のレッドうんぬんはでまかせだ。
さっきも言ったが、戦隊なんていない飛鳥時代にそんな考えがある訳がない。
先生をやっている以上、嘘を教えるなんてもっての外だ。
でもさ…
「ありがと、みっくん♪」
この笑顔が見られるなら、そんな嘘安いもんだろ。
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朝、あくびを噛み殺しながら僕は登校していた。
結局、昨日は年表を見ただけで終わってしまった。
今日は、小鈴先輩は部活、みーちゃん先輩は家の用事で出れないそうなので、勉強会はない。
このままでは、テストするどころではない。
明日明後日はみっちりやらなければ。
非常にめんどくさい。
「まあ、悪くはないかな。」
思考とは裏腹にこの状況を結構楽しんでいることに、僕はまだ気付いていなかった。
宮沢 優紀(yuki miyazawa)
2年1組の生徒で、勉強会の切り込み隊長。
ちなみに担任は瀬奈。
5教科万遍なく成績は悪く、家庭科すらダメ。
ただ、体育はすごい。
水樹と二強を張っている。