ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~   作:NCドラゴン

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第95話 魂の咆哮

〜NoSide〜

 

「グォォォォォォォォォォォ!!!!!」

「ウォォォォォォォォォォン!!!!!」

 

ルフト対フェンリルの戦いはすさまじく、そして獣であった。互いに牙で噛みつき、爪で切り裂いていく戦いだった。本来ならルフトはしない戦い方だがなぜこんな戦いをしているかと言えばルフトの悪魔の実の能力とプライドにあった。動物(ゾオン)系は純粋に身体能力が強化されるが肉食系は同時に凶暴性も増すという特性があった。ドラゴンは厳密には肉食系ではないものの、草食系のものよりは凶暴性を増す。それが凶暴な戦い方をもたらしていた。だがそれよりも大きな理由があった。それはプライドである。ルフトは前いた世界やこの世界では上に立ったり指導する立場であるためになりを潜めていたが、元来プライドが高いタイプだ。それがこの前のフェンリルに防御をあっさり貫かれたためにプライドが爆発し、このような無駄な戦い方をしているというわけである。実際勝つことだけにこだわればフェンリルのスピードがいくら速かろうがよけられる。それはフェンリルの動きが単純なこと以上の理由があった。

 

(やっぱりだ……あの狼……見聞色の覇気を使っていない)

 

そう。見聞色の覇気を全く使っていないのだ。覇気に目覚めているというのなら、程度に差はあれど、ある程度は使えるものだ。ちなみに全く使わないのは前世でもたったひとりぐらいしかいない。しかしそれに比べると武装色のレベルが低すぎる。

 

(武装色の覇気しか習ってないのか?)

 

しかしいくら考えても答えはでず、ゼフィは諦めた。

 

(まあ俺が介入すれば勝てるだろうが、あいつはそれを認めないだろうしな……それにもうそろそろうごきそうだ)

 

ゼフィの実力はハッキリ言ってルフトよりも強い。まあそれは当然だ。格上との戦いは大きなものだし、更に神器(セイグリット・ギア)もあるのだ。その実力は世界でも有数と言っても過言ではないだろう。

 

「グォォォォォォォォォォォ!!!!!」

「ウォォォォォォォォォォン!!!??」

 

そうこうしている内に戦況が大きく動く。フェンリルがルフトに殴り飛ばされる。フェンリルも高い実力を持っているものの、ルフト相手には少々分が悪いようだ。牙も爪も、獣型のルフトの武装闘気には歯が立たない。

 

「……ウォォォン!?」

 

「一度倒した相手だからと言ってなめるなよ犬っころ……このまま叩き潰す」

 

その言葉に今度はフェンリルのプライドが傷つく。フェンリルはその牙で多くの者をかみ殺してきた。それが通用しないことがフェンリルのプライドが傷ついた。

 

「ウォォォォォォン!!!!!!!」

 

するとフェンリルの体に銀黒いオーラが現れる。この現象を二人はよく知っていた。

 

「武装闘気だと……!?」

 

この現象に二人は大いに驚いた。当たり前だ。本来武装闘気は武装色の覇気と闘気、この二つの扱いに長けてなければ至れない領域。それをフェンリルは至極あっさりと使って見せたのだ。やるのは簡単と言わんばかりに。

 

「ウォォォン!!!」

 

「ぐお!?」

 

そして同じ武装闘気が扱える以上、ルフトの優位性は一気に薄れる。牙が、爪が。どんどんルフトの体を傷つけていく。

 

「くそったれが……!」

 

無論ルフトはただやられるだけではない。反撃ももちろん行っている。しかし攻撃は一切当たらない。ただでさえ速いスピードがますます速くなってるからだ。

 

(これはまずいな……見た限り、防御力はルフトが上だが、スピードとパワーはフェンリルのほうが上だ。)

 

しかもその防御力はフェンリルの牙を止めるには至らない。もうこの戦いの結末は見えていた。

 

「限界だルフト。スレイプニルで抑える!お前はそいつの足止めをしてくれ!」

 

「勝手に決めつけるなよ……まだその犬っころを屈服させてねえよ」

 

「ルフト!!!」

 

ゼフィはスレイプニルで止めようとするものの、ルフトがその指示を意にかさない。

 

「スピードが足らないなら……人獣型!生命帰還、紙絵武身!!!」

 

ルフトは筋肉を収縮させスピードを上げる。しかしパワーと防御力が落ちてしまう。そしていくらスピードが上がっても……

 

「くっ……!」

 

「グルルルル……」

 

フェンリルのスピードには届かない。そして牙は再びルフトを襲う。

 

「ごはっ!!!」

 

「ルフト!」

 

もう限界と思ったゼフィは駆け出す。しかしルフトの目にはもっと衝撃的なものが飛び移る。

 

「な……!?」

 

見えたのは、再び貫かれた己のマントだった。

 

(おれのマントが……ふざけるなよ?なにしてるんだおれ?二度も貫かせるなんて……腑抜けてんじゃねえぞおれ……おれは海軍本部元大佐……魔竜ルフトだ!そんな防御を貫かれて……言い訳があるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!)

 

「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

「何だ!?」

 

「グオオオン!?」

 

すると突然ルフトの体が光だし、思わず身をすくめるゼフィとフェンリル。ゼフィはその現象に覚えがあった。

 

禁手(バランス・ブレイカー)……!」

 

そう神器の力を高め、ある領域に至った者が発揮する力の形。いわば神器の奥の手。だがルフトのもつ七星の籠手(セブスター・ギア)はアザゼルが作った人工神器。禁手にするためには暴走状態を引き起こさなければならない。

 

「ルフトは七星の籠手を捨ててでも勝つつもりなのか?」

 

「誰が捨てるかよ」

 

「!」

 

すると光が収まっていく。そしてその中から現れたルフトは……

 

「あれは……イッセーと同じ……?」

 

そうイッセーたちの禁手の鎧と同じような印象を受けた。違うのは鎧の色はサファイアブルーで、胸の中央の宝玉には十字に並んだ七星。そして背中には正義の文字が刻まれたマントがあった。

 

「一体何をしたんだよ……?」

 

「簡単だ。おれの能力と神器が融合したんだ」

 

「マジか!?」

 

その言葉にゼフィは驚いた。本来混ざり合うものではないはずのものが混ざり合った。それは驚くだろう。

 

「お蔭でこいつも本当の神器と化した。これはいいぜ」

 

そう言うルフトの言葉には余裕が生まれていた。あせっていたさっきとは大違いだ。

 

「グオオオオオオン!!!!!」

 

その態度にフェンリルは大いに怒り、先ほどと同じように噛みつこうとする

 

《ガキィィィィィン!!!》

 

「!?!?!?」

 

「すげえな……ここまで防御力が上がるとは……」

 

ルフトはその牙を楽に受け止めていた。先ほどとは桁違いに防御力を増している。

 

「(しかも覇気だけでこの防御力とは……しかもこの感覚……今なら行けそうだ。)ふん!」

 

《ぞくっ!》

 

ルフトから何かを感じ取ったフェンリルはその場から大きく飛び退く。

 

「はあああああああ……!うらああああああ!!!」

 

するとのルフトの体を薄いオーラを包み込む。しかしフェンリルはそのオーラの恐怖を味わていた。

 

(あれは武装魔闘気……!まさか完成させるなんて……すげえなルフト)

 

「さあ……こいよ犬っころ」

 

ルフトは挑発するものの、フェンリルは一切動かなかった。

 

「おいどうし……!」

 

突然仰向けになり腹部を差し出すフェンリル。獣がこれを意味することは一つ。

 

「服従か……」

 

そう服従だ。フェンリルは今のルフトと戦う前から牙を折られてしまったのだ。

 

「少し物足りないが……まあいいか」

 

そしてルフトはそのフェンリルの腹をそっとなでる。戦いはあまりにも静かに終わったのだった。

 

〜NoSideout〜

 

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