ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~ 作:NCドラゴン
〜ルフトSide〜
ロキとの戦いから数日が立ち、修学旅行も近づいたある日の休日。おれたちはいつも通りに過ごしていた。ただ一人だけいつもと違う奴がいた。
「ここはこうして、あれはこうして……」
リアスだ。さっきからあちこちをウロウロしたり掃除したりしている。いつもと違って落ち着きが全くない。一体何なんだ?
「リアス、一体何があったんだ?」
「……お義姉さまがくるのよ!」
お義姉さま……?ああ、サーゼクスの嫁のグレイフィアのことか。あれ?いっつも普通にグレイフィアと呼び捨てにしていたのに、なんで今日はお義姉さまなんだ?そんな疑問を持っていたおれに朱乃が答える。
「今日、グレイフィアさまはオフをいただいたそうですわ」
「オフって……ああなるほど、今日はグレモリー家のメイドではないってことか」
「ええ。普段はグレモリー家に仕えるメイド。グレモリー家の娘であるリアスと主従の関係にあります。けれど、オフとなれば話は別になるようなのよ。そのときだけ、立場的にリアスの義姉となるのです」
「……部長はお義姉さんになったときのグレイフィアさんが怖いんです。……チェックが厳しいらしくて」
と、小猫が続けて言う。なるほど。
「部長にも苦手な人がいるんだな」
「リアスお義姉ちゃんも人の子、いや悪魔の子だったんだね」
うんうんうなずくゼノヴィアとリリス。まあ、リアスも名家のグレモリー家の次期当主とはいえ女の子だからな。怖いものぐらいひとつはあるだろうな。おれ?おれは……センゴク元……大目付の説教だな。
「それでオフの日に訪問ってわけか」
おれの言葉に朱乃は小さく笑いながら答える。
「ええ、何やら義姉としてリアスに話したいことがあるそうなの」
そう言っている朱乃の笑みは黒かった。やっぱこいつサディストだな。
「お、お茶の用意もしておかないといけないわ」
「お母さんが用意してるよ」
「そ、そう。ありがとう」
そんな空気の中、インターホンが鳴る。これは……。
「来たわね……」
そうして慌てて玄関に出るリアス。おれたちも後を追うとそこには、私服姿のグレイフィアがいた。……本当に雰囲気が違うな。
「ごきげんよう、皆さん」
するとこちらに視線を向け気品の溢れる微笑を浮べつつ、丁寧なあいさつをしてくれた。いつもと違うな……メイドからきっちり違うな。次にグレイフィアの視線がリアスに移る。同じように朗らかに微笑みながらグレイフィアがリアスにあいさつをした。
「ごきげんよう、リアス」
「ごきげんよう、お義姉さま」
リアスも朗らかな笑みを返すが、どこか緊張の色が見て取れる。
「お久しゅうございますな、姫さま」
すると後ろから何かがでてくる。それは顔は東洋型のドラゴンで、全身を紅い鱗に覆われている、胴体は鹿のような馬のような姿をした2メートルほどの生き物がいた。それはおれたちの視線に気づくと頭を下げてきた。
「お初にお目にかかります、ルフト殿。私はサーゼクスさまにお仕える
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
おれはあいさつを返す。昔資料で見た麒麟の能力者に似てるな。
「ルフト、彼は炎駒。麒麟と呼ばれる伝説上の生き物で、お兄さまの眷属なの。久しぶりね。元気そうで何よりだわ」
本当に麒麟だった……おれの世界とこの世界てつくづく似てるな。
「炎駒、別に私一人でもよかったのよ?」
「いえいえ、サーゼクス様の奥方様でもあり、
すると炎駒は紅い霧になってそのまま消え失せた。一瞬で移動できるなんて便利なものだな。
「私が冥界にいた頃はよく炎駒の背中に乗せてもらったわ」
リアスは懐かしさにそういいながら微笑んだ。
「挨拶はこれくらいにしまして。それではお家に上がらせてもよろしいですか?」
「そう、リアスが迷惑をかけていなくて安心したわ」
「はい、リアスは礼儀の正しいいい娘ですから、迷惑などはまったくありません」
微笑みながら会話をしあうグレイフィアとお袋。しかし主にしゃべっているのは二人だけで残りは沈黙している。特にリアスはいまだにガッチガチだ。つーかお袋の喋り方がいつもと違う。あんなしゃべり方もできたんだな……。
「よい後輩、良い友達に恵まれているようですね……後は殿方ですか」
その一言でリビングの空気が一気にピリピリしたものに変化した。全員はらはらした表情を浮かべながら何かブツブツと呟いている。もっともお袋だけは何も変わらずニコニコしているが。大物だなやっぱ。
「リアスは一度、婚約を破断しています。その評価は古くからの慣習が根強く、残っている上の階層の皆様の間では最悪に近いものです。下の階層の評価も上と比べればまだマシですがそれでもマイナスなことは変わりません」
まあ純血を好む奴らからしてみれば力づくで婚約破棄したリアスは印象最悪だな。悪魔はそういう主義も多いしな。まあこれからも転生悪魔は増えるだろうし、純血だけってのは永遠に無理だろうな。
「なんだかんだいって、私もあの一件に手を出しているのよね。それに私たちも何気に自由な恋愛をしたわけだし」
「お二人のラブロマンスは女性悪魔にとって伝説ですわ!」
「劇にもなっています」
朱乃も小猫もどこか興奮した様子だった。しかし劇になっているのか……どんな恋愛だろうか?元々敵同士とかか?
「私達の一件もあるからあなたには立派な上級悪魔のレディになってほしいのよ。そのためにはまず、我儘な性格を治さなきゃダメね。これは若干、治ったみたいだけどまだまだね。それに何でもお金で解決できると思っている節があるし自分のものが誰かに手を出されたら、すぐ怒る部分もなおさなきゃいけない。即決即断な部分も改善して欲しいわね。将来進む道は即決即断で行けば身を滅ぼす世界。だからあなたには……………………」
それからリアスめがけて長いマシンガントークがさく裂した。まるで溜め込んだものを一気に吐き出しているみたいだ。メイドってのは疲れるものなのか?……!
「誰だ!?」
急に誰かの気配を感じたおれは慌てて立ち上がる。それにつられるようにお袋以外は一瞬で戦闘態勢に入る。そして扉が開くと……。
「ま、待った!私《ドゴォン!》だばぁ!?」
そこからサーゼクスが入ってくるが、確認した瞬間グレイフィアがぶんなぐる……強いな。
「あら、魔王と会議するはずのサーゼクスじゃないですか?なんでここに?」
「ハハハ! 私はここから会議に参加しようと思ってね。私の映像だけリアルタイムであちらに転送すれば会議は成立……ってグレイフィア?私の腕はそれ以上曲がらないよ?」
グレイフィアはサーゼクスの腕を思いっきり曲げていた。顔は笑顔だが、涙が出ていた。
「まったく、私がメイドじゃなくなるとすぐにこうなってしまう。今からでもメイドに戻ろうかしら」
怒った様子でそんなことを言うグレイフィア。苦労してるんだな。するとテーブルに三つの小さな魔法陣が出現した。魔法陣……まさか?
『……スちゃん!……ゼクスちゃん!……ゼクスちゃん!聞こえる!?サーゼクスちゃん!』
最初はノイズが入り混じっていたが、次第に綺麗なものになっていき数秒でハッキリと相手の声と顔が分かった。
『まったく! 時間になっても来ないからと思えばリアスちゃんのところに行ってるなんて!
言ってくれたら私も行ったのに!』
『お前が会議を抜けてまで人間界に行くのは事件か、それとも何か面白いことが起きるかだ』
『僕は働きたくないぞ~』
映像に移っていたのは、セラフォルーと同じ魔王らしき二人の男だった。つか最後ニートか?
「まだルフト君には紹介していなかったね。あやしい雰囲気を出しているのが技術総督と言っても良いアジュカ・ベルゼブブだ」
『あやしいのは悪魔には必要だろ? 初めまして、魔竜殿。』
魔竜か……この世界でもそう呼ばれるか。
「そしてこっちのめんどうくさそうにしているのがファルビウム・アスモデウス。主に軍事を統括している」
『……どうも。ファルビウムです』
……紹介終わりか。方向性は違えどガープさんみたいな問題児的な印象を受けるな。冥界は大丈夫か?
「それにしても面倒くさがりやって……これじゃあアスモデウスじゃなくて、ベルフェゴールだな」
色欲じゃなくて怠惰だろ絶対。
『あーそれいいね。決定。僕今日からファルビウム・ベルフェゴールだ。ということで早速怠惰の務めを……』
「「「おい!!!」」」
思わず突っ込むおれたち。本当に大丈夫なのか?
『ところでサーゼクス、なぜそっちにいる』
「ああ、ルフト君とリアスに例の儀礼をしてもらおうと思ってね」
サーゼクス様がそう言うと、全員が驚いたような表情を浮かべた。儀式って一体何なんだ……?
〜ルフトSideout〜