ハイスクールD3~悪魔の実の能力者は転生する~   作:NCドラゴン

39 / 117
第33話 交渉

~ルフトside~

 

おれたちはリアスから祐斗の過去を聞いていた。聖剣計画……それが祐斗の闇。いっつも笑ってる奴だったが、そんな暗い過去を持っていたとはな。

 

「……そ、そんな、主に仕える者がそんな事をしていいはずがありません」

 

悪魔になった今でも神を信じているアーシアにとって、リアスの話しはよっぽど衝撃的だったのか、瞳が潤んでいた。自分の信じていたものが次々と裏切れば、泣きたくもなるだろう。実際やられた祐斗が復讐を強く望んでいるしな。

 

「おいおい……なんなんだ教会のやることは?それが正義のやることか?海賊のほうがまだましだな。海賊は確かに悪党だが、奴らは悪の行為を行っている自覚はあった。そこがえらい違いだな。海軍で正義を盾にして不正を働くやつと同じだ。」

 

「彼ら教会の者達は私達悪魔を邪悪な存在だと言うけれど、人間の悪意こそがこの世で一番の邪悪だと思うわ。」

 

同感だな……。もっともそう言うなら悪意は人間に限った話じゃないが。

 

「私が祐斗を悪魔に転生させたとき、あの子は瀕死のなかでも強烈な復讐を誓っていたわ。生まれた時から聖剣に狂わされた才能だったからこそ、悪魔としての生で有意義に使ってもらいたかった。祐斗の持つ剣の才能は、聖剣に拘るにはもったいないものね。」

 

同感だ。わざわざ使う剣を限定するなんて馬鹿みたいだ。つか人間じゃなくて聖剣のほうをどうにかしろよ。使える人間が限られてる時点で武器としてアウトだろう。

 

「とにかく、しばらくは見守るわ。今はぶり返した聖剣への想いでいっぱいでしょうから。普段のあの子に戻ってくれるといいのだけれど」

 

……それは難しいだろうな。長年の積もった憎しみだ。一度思い出した以上、しばらくはそのままだろうな……。

 

「じゃあ、俺達は先に帰ります。何かあったら知らせてください。」

 

そう言ってエスへお一世はアーシアを伴って帰っていく。

 

「……おれたちもそろそろ帰るか。」

 

「……ええ。」

 

「……祐斗さん。」

 

……祐斗……復讐は否応がなく周りを巻き込む。もしそこでリアスやリリスを悲しませることをしてみろ……そのときは、

 

「……お前をぶん殴る。」

 

~ルフトsideout~

 

~イッセーside~

 

次の日の放課後。

 

イッセーだ。次の日の放課後、俺たちグレモリー眷属は部室に集合していた。理由は男だと思い込んでいた幼馴染みが女の子、紫藤イリナがグレモリー眷属に交渉を求めてきたからだ。そして交渉が始まることになったんだが部室にイリナ達が入って来てから、肌寒いものを感じてならない。

悪魔の本能が彼女達の危険性を察知しているのだろう。俺は横目で木場を見た。俺達の中で一番危なっかしいのは木場だ。イリナ達を怨恨の眼差しで睨んでいる。何かあれは……いや、今この時点でも彼女達に突然斬りかかりそうな雰囲気を作り出している。

木場の嫌いな現役信徒だもんな。奴の過去を考えれば、腹の中は煮えくり返っているだろう。

そのことがイリナたちも分かっているのか、木場を強く警戒している。

もし木場がこの場で斬りかかれば部長の立場が悪くなる。最悪部長に万が一の事があるかもしれない。

念のためにルフトが木場の隣に陣取ってる。最悪木場を力づくで止めることになるかもしれないからだ。

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました。」

 

ヴァチカン側……あれ?エクスカリバーって一本じゃないの?

 

「聖剣エクスカリバーそのものは現存してないわ」

 

え?現存してないならなんで盗まれたの?というかなんで分かったの?俺顔に出てました?

 

「御免なさいね。私の下僕には悪魔に成り立ての子がいるから、エクスカリバーの説明込みで話を進めて貰っていいかしら?」

 

リアスの申し出にイリナは頷いた。

 

「イッセー君、エクスカリバーは大昔の大戦で折れたの」

 

イリナが俺の方を見ながら、そう言った。……そんなに顔に出てるか?

 

「そして現在は……。」

 

そう言いながらイリナのパートナーのゼノヴィアさんが傍に置いてあった布に巻かれていたものを解く。そこにあったのは……。

 

「これが現在のエクスカリバーだ。」

 

長剣だった。だがただの長剣じゃない!それを見た瞬間、全身の毛穴が開いたかのように感じた。恐怖、戦慄、畏怖といった感情が体を駆け巡る……叶うことなら今すぐこの場から逃げ出したい。たった一本の長剣に心底恐怖している……!

 

「大昔の戦争で四散したエクスカリバー……折れた刃の破片を拾い集め、錬金術によって新たな姿となったのさ。そのとき、七本作られた。これがその一つ。」

 

こ、これで7分の1なのかよ!?

 

「これが私の持っているエクスカリバー、破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)だ。7つに分かれた聖剣の内の一本でカトリックで管理している。」

 

イリナの方も何やら長い紐のようなものを懐から取り出す。するとその紐が意識を持ったかのようにうねうねと動き出したなんだ!?紐は形をかえて、一本の日本刀と化した。これは……?

 

「私の方は、擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)。こんな風に形を自由自在にできるから、持ち運びにすっごく便利なんだから。このようにエクスカリバーはそれぞれ特殊な力を有しているの。こちらはプロテスタント側が管理しているわ。」

 

(わざわざ自分の能力をばらすなんて馬鹿のすることだ。このツイン大丈夫か?)

 

本当に便利だな。まぁルフトの生命帰還の方が便利そうだな。

 

「イリナ……悪魔にわざわざエクスカリバーの能力を喋る必要もないだろう?」

 

「あら。ゼノヴィア。いくら悪魔だからといっても信頼関係を築かねば、この場ではしょうがないでしょう?それに私の剣は能力を知られたからといってこの悪魔の皆さんに遅れを取るなんてことはないわ。」

 

イリナの自信は相当なものだ。本気で俺達に負けるはずがないという自信に満ちている。 しかし俺からしてみればルフトが負けるとは到底思えない。

 

(……こいつ本当に馬鹿だな。能力を知っているのと、知らないのでは大きく違う。それでもいくら格下が相手でも対策をとられれば、遅れをとることもある。)

 

「……それで、奪われたエクスカリバーがどうしてこんな極東の国にある地方都市に関係あるのかしら?」

 

部長は態度を変えず話を進める。流石は部長……胆が据わってる!!

 

「カトリック教会の本部に残っているのは私のを含めて二本だった。プロテスタントのもとにも二本。」

 

カトリックとプロテスタントから奪われた聖剣。んで、残った聖剣を持ったイリナとゼノヴィアが滅すべき存在であるはずの俺達とこうして話してるって事は……。

 

「正教会にも二本。残る一本は神、悪魔、堕天使の三つ巴戦争の折に行方不明。そのうち各陣営にあるエクスカリバーが一本ずつ奪われた。奪った連中は日本に逃れ、この地に持ち込んだって話なのさ。」

 

……まじかよ……。

 

「……私の縄張りは出来事が豊富ね……それで、肝心のエクスカリバーを奪ったのは?」

 

「奪ったのは神の子を見張るもの(グリゴリ)だ。」

 

その答えに部長は目を見開く、神の子を見張るものって!確か堕天使の組織!元堕天使である朱乃さんや、堕天使であるレイナーレたちも驚く。

 

 

「堕天使の組織に聖剣を奪われたの? 失態どころではないわね。でも、確かに奪うとしたら堕天使ぐらいなものかしら。上の悪魔にとって聖剣は興味の薄いものだもの。」

 

「奪った主な連中は把握している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」

 

「コカビエル……。古の戦いから生き残る堕天使の幹部……。聖書にも記された者の名前が出されるとはね。」

 

それってめちゃくちゃすごいじゃないですか!?

 

「コカビエルですか……。なるほど確かにその方なら……。」

 

「ええ……コカビエル様……あの方ならやりかねません。」

 

「知ってるの朱乃?レイナーレ?」

 

堕天使のことに詳しい二人のつぶやきに部長が尋ねる。

 

「私は会ったこともありませんが……お父様いわく、戦争狂で戦闘狂で過去の大戦からとりつかれている妄執みたいなやつらしいですわ。」

 

「大体はそのとおりだわ。コカビエル様は三種族の大戦を再び起こすようにつねにアザゼル様やシェムハザ様に訴えてたけどつっぱられていたわ。」

 

……めちゃくちゃ危険なやつじゃねえか。

 

「さっきから気になっていたが、なぜ、ここに堕天使がいる?その反応からすると神の子を見張るものか?そこの彼女の父親も堕天使だろうし……。」

 

ゼノヴィアは朱乃先輩とレイナーレを視線に入れると、殺気を放った。

 

「……。」

 

「……ッ!」

 

朱乃先輩は平然としているが、レイナーレのほうはつらそうだ……!

 

「朱乃も彼女も神の子を見張るものとは殆ど関係ないわ。へたな干渉はやめてちょうだい」

 

部長は目を細めてゼノヴィアを睨んだ。

 

「簡単には信じられないな。証拠は?」

 

部長に睨まれても逆に睨み返すゼノヴィア……。こ、こわい!

 

「証拠はないわ。でも、あの子に何かをするようならこの話は無しにするわよ。」

 

ちょっとの間にらみあうが先にゼノヴィアのほうが折れたのか、殺気を和らげる。

 

「そこまで言うなら仕方ない。いざというとき斬ればいい話だ。では、話を戻そう。」

 

……ほっ。よかった。

 

「先日からこの町に神父……エクソシストを秘密裏に潜り込ませていたんだが、尽く始末されている。」

 

えっまじで?

 

「私達の依頼……いや、注文は私達と神の子を見張るものの堕天使のエクスカリバー争奪の戦いにこの町の悪魔が一切介入してこないこと。つまり、そちらに今回の事件に関わるなと言いにきた。」

 

ゼノヴィアの物言いに部長の眉が吊り上がった。恐え!部長はかなり怒ってるようだ。

 

「随分な言い方ね。それは牽制かしら?もしかして、私達がその堕天使と関わりを持つかもしれないと思っているの?手を組んで聖剣をどうにかすると。」

 

「本部は可能性がないわけではないと思っているのでね。」

 

部長の瞳に冷たいものが宿った。かなりキレてる!!自分の領土に踏み込んだ敵が、自分達のやることには手も口も出すなと言ってきただけでなく……。

更に他の組織と手を組んだら許さないよと好き勝手言ってくれれば部長のプライドは黙っちゃいない。

 

「上は悪魔と堕天使を信用していない。聖剣を神側から取り払うことができれば、悪魔も万々歳だろう? 堕天使どもと同様に利益がある。それ故、手を組んでもおかしくない。だから、先に牽制球を放つ。堕天使コカビエルと手を組めば、我々はあなた達を完全に消滅させる。たとえ、そちらが魔王の妹でもだよ。……と私達の上司より。」

 

ゼノヴィアは部長の睨みに臆することなく淡々とした口調だ。つか部長だけじゃない!ルフトもあまりのもの言いに額に怒りマークがでてる!

 

「……私が魔王の妹だと知っているということはあなた達も相当上に通じている者たちのようね。ならば、言わせてもらうわ。私たちは堕天使などと手を組まない。絶対によ。グレモリーの名にかけて魔王の顔に泥を塗るような真似はしない!」

 

ぶ、部長かっこいい~!!!

 

「それが聞けただけでもいいさ、一応、この町にコカビエルがエクスカリバーを三本持って潜んでいることをそちらに伝えておかねば何か起こった時に、私や教会本部が様々なものに恨まれる。まあ、協力は仰がない。そちらも神側と一時的にでも手を組んだら、三竦みの様子に影響を与えるだろう。特に魔王の妹ならば尚更だよ。」

 

ゼノヴィアの言葉を聞いた部長は多少表情を緩和させ、息を吐いた。しかし、この二人だけで聖書に乗るような大物と戦うのか?

 

「ところで、正教会からの派遣は?」

 

「奴らは今回の話を保留した。仮に私とイリナが奪還に失敗した場合を想定して、最後の一本を死守するつもりなのだろうさ。」

 

まさかの援軍なし。本当に二人だけで勝てるのか?この二人そんなに強いのか?

 

「では、二人だけで?二人だけで堕天使の幹部からエクスカリバーを奪還するの?無謀ね。死ぬつもり?」

 

呆れ声の部長。人間のころから神なんて見えないもを信仰していない俺には彼女達の気持ちはわからない……。

 

「そうよ。」

 

「私もイリナと同意見だが、できるだけ死にたくはないな。」

 

「死ぬ覚悟でこの日本に来たというの? 相変わらず、あなた達の信仰は常軌を逸しているのね」

 

……俺にはわからないな。元シスターのアーシアなら二人の気持ちも分かるのかもしれないが。

 

「我々の信仰をバカにしないでちょうだい、リアス・グレモリー。ね、ゼノヴィア。」

 

「まあね。それに教会は堕天使に利用されるぐらいなら、エクスカリバーが全て消滅してもかまわないと決定した。私達の役目は最低でもエクスカリバーを堕天使の手からなくすことだ。その為なら、私達は死んでもいいのさ。エクスカリバーに対抗できるのはエクスカリバーだけだよ。」

 

あんまり分からないが、ひとつだけ分かったことがある。こいつらは狂ってる……!

 

「……二人だけでそれは可能なのですか?」

 

「ああ、無論、ただで死ぬつもりはないよ」

 

リリスちゃんからの問いかけにゼノヴィアは不敵に答えた。……奥の手でもあるのか?

 

(エクスカリバーに対抗できるのはエクスカリバーだけ……あほか。対抗できるような手段がある時点で矛盾してるだろうが。つーかエクスカリバーに対抗できるのはエクスカリバーだけならオリジナルが折れるか。)

 

「自信満々ね。秘密兵器でもあるのかしら?」

 

「さてね。それは想像にお任せする」

 

流れる沈黙の時間。両者は見詰め合ったまま、会話も途絶した。イリナとゼノヴィアは目で合図を送り合うと立ち上がった。

 

「それでは、そろそろおいとまさせてもらおうかな。イリナ、帰るぞ。」

 

「そう、お茶は飲んでいかないの? お菓子ぐらい振舞わせてもらうわ。」

 

「いらない。」

 

部長の誘いをゼノヴィアは手を振って断った。

 

「ゴメンなさいね。それでは。」

 

色々あったけど、なんとか丸く収まったか……。木場もなんとか我慢できたし。

 

「まさか魔女、アーシア・アルジェントか?」

 

このまま終わるかと思ったが、このせいで木場より先に俺の方が我慢できなくなった。

 

~イッセーsideout~




何かサンジがイッセーに憑依転生した夢を見ました……エロ変態からエロ変態紳士に変わりましたね。すげぇシュールでした。時間が余ったら短編書こうかと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。