俺たちの一族が、俺自身が、どこか普通じゃないのはわかってた。
こんな力を得た意味もよくわからなかったし、この力のせいで俺はきつい思いを何度もしてきた。どうして俺がこんな目に…なんて、自分の運命を呪ったことさえある。
こんな力さえ……なければ、そう思ってた。
でも、俺がこの力を持ったのは、きっと……この時の為だったんだって…今、確信したんだ。
恭弥は、サーシャが起きたとの知らせを聞き、寝室を訪れていた。
「やあ、キョウヤ。キミにも心配を掛けさせたみたいだね」
ベットにいる彼女の顔色は心なしか、いつもより蒼白だった。
「大丈夫なのか…その、起きてても」
そんな彼女を直視はできず、恭弥は、目を伏せがちにそう言った。
「うん、それなりにはね。ロイドからボクの病気のことは…聞いてる?」
「……サーシャが寝ている間に………聞かされた」
「そっか…」
その返答を聞き、サーシャは何か考えるようにしていた。
「……キョウヤ。……ちょっとついてきてくれるかな」
そして恭弥とサーシャは居室を抜け出した。
恭弥とサーシャは公宮の最上階に来ていた。部屋に入ると部屋全体を、天窓から差す月明かりがうっすらと照らしだしていた。
「ここはね、まだボクしか知らない、お気に入りの部屋なんだ」
これで二人目だね、と彼女はゆったりとした口調で恭弥に語り掛けた。
そこは、部屋と呼ぶにはいささか手狭で、簡素なものではあったが、月の光も相まって不思議と窮屈さは感じられない場所であった。
その部屋に用意されていた椅子に二人は腰を掛けた。
「……なんで、俺をここに?秘密の場所……なんだろ」
「ただ、知っておいて欲しかったんだよ…この場所を……キミにね」
「どうして…今そんなこと…?」
恭弥は半ば、答えを確信したように問いかける。
「キミも病気のことを聞いたのなら、わかっているんだろ?」
「……サーシャはそれでいいのか」
声を絞り出すようにそう言った。
「いいんだよ、後悔はないさ……」
サーシャは何処か遠くを見つめ、そう答えた。
「ほんとうに…?」
「そんなわけ…ないよ………本当なら生きたい……もっと生きていたい。したいことだってたくさんある。おいしいものだってもっと食べたい、ボクのレグニーツァをもっと発展させてそれを見守っていきたい、それに……母さんみたいに、好きな人と結婚して…。でも‼もう、ボクは症状が出ちゃったんだ‼‼時間がないんだよ‼どうしようも………ないじゃないか……だから‼……ッ…‼」
ボクの決意を鈍らせないで‼、サーシャは問いかけ続ける恭弥の言葉を遮ろうとして、そう言おうとした。だができなかった。
恭弥の唇がサーシャの唇をそっと…塞いでいた。
キリが良いのでここで切りました。