「い、いきなり、何をするんだよキミは‼‼‼‼‼‼」
サーシャは倒れ込むように椅子から転がり落ち、顔を真っ赤にしてそう言った。
「何って、ひどいな。キスだよキス。いわゆる接吻だよ。アーユー,オーライ?」
軽く話を続けようとした恭弥だったが、こちらも顔を赤くしているため無理しているのがバレバレだった。
「そういうことを言ってるんじゃないよ‼いきなり、キキキキ、キスなんてキミは何を考えてるんだよ‼‼」
「何って、サーシャのことだけど?」
何を今さら、というような表情で恭弥は言った。
「…………ッそうじゃなくて‼」
「まあ、いくらなんでも急にしたのも、好きでもない……男……にされたのも、嫌でしたよねすいません……」
そういい、恭弥は自分で言った言葉にダメージを受けていた。
「べ、別にキミにされるのがイヤってわけじゃ……ってそういうことを聞きたいわけじゃ。…………聞きたいことは聞きたいけど」
「あの先の言葉だけは、サーシャに言わせたくなかった。…それに俺はもう大切な人を失いたくない……キミを助けたかったんだよ」
「……キョウヤ。助けようとしてくれるのは本当にうれしいよ…でもボクの病はさっき言ったみたいに不治の病で、もう体も、体も?………あれ、体が軽い?」
悲しげにして恭弥の気持ちを受け止めようとしたサーシャだったが体を起こそうとして自身の異変に気が付いた。
体を支配していただるさがなくなっていた。
「どうやら、上手くいったみたいでよかった…」
「キョウヤ…どういうことか教えてくれるよね」
「ああ、うちの家系は普通の人とは違う、能力があるって前に話したよな?」
「うん、そうだったね」
「その中でも俺は特殊でな。本家、分家の五つ、橘、立華、太刀華、多智花、立花、館花、それぞれに能力が一つづつあるんだが、俺はその内三つを継承してる。…全部使えるってわけじゃないけど」
「じゃ、じゃあ…もしかして」
「ああ、病気は
「すごいじゃないかキョウヤ‼これなら不治の病の人をすべて救えるじゃないか‼‼……いやでも、キョウヤがボク以外とキスするのは…………」
サーシャは興奮したように声を上げた。ただ、最後のつぶやきは恭弥に聞こえてはいなかったが。
「いや、勘違いしないでくれ。この方法は三つの能力すべてを持つ俺が人生に一度しか使えないし、出来たとしてもリスクがある」
「……まさか!」
その言葉に気付いたようにサーシャは顔を上げる。
「……ああ、成功しても何かしら、俺にフィードバックされる。最悪、死だな。現に、今俺は右目が何も見えてないしな」
恭弥は右目に触れながらそう言った。彼の右目にはもう光は映っていなかった。
「なんで……そんなことを…自分が死んじゃうかもしれないのに…目もそんなにしちゃったのに…そんな……ボクなんかのために…」
サーシャは顔をくしゃりと歪め、涙を目に溜めてつぶやいた。
「自分の命ぐらい…かけるだろ、普通。……自分の好きな
恭弥は、サーシャに面と向かって言うのが恥ずかしいのか、目を逸らして頬を掻きながらそう言った。
その顔は真っ赤に染まっていた。
「なんだよそれ、ずるいじゃないか……それじゃあボクは、キミに……何も言えないじゃないか……」
そういって、涙を拭った。
「でも…ボクには大きすぎて一生かかっても返せそうにない恩をもらっちゃったな」
「いいさ。俺は、サーシャがいつものように笑ってくれるのなら……それでいいよ」
「そういうなら…さ。……顔をこっちに向けてくれよ。……ボクの笑顔を見てたいんだろ」
サーシャは恥ずかしさにそっぽを向き続ける恭弥に優しく、誘うようにそう言った。
「…ああ、そうだね…ッ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
そう言われ、やっとの思いでサーシャの方を向いた恭弥はその場で固まってしまった。
彼女は恭弥を抱きしめ、そのまま唇を重ねた。
「ふふ…これでおあいこだね」
そう言い恥ずかしげに笑う、月明かりに照らされた彼女を見て、恭弥もうれしげに笑いかけたのだった。
戦姫たちの攻撃を本などで防いでいたのは恭弥の能力に由来します。
詳しい説明は今後本編で。
ここまでで魔弾の王と戦姫は一応決着します。
本日も読了ありがとうございます。