「うわぁぁぁぁ‼‼‼‼‼‼‼‼ボクのバカぁ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼」
サーシャは自室で悶えていた。主に昨夜の恭弥に対して行った行動に対して。
「いくらキョウヤに好きって言われて嬉しかったっていっても『ふふ、これでおあいこだね』って言って抱き付いて、キキ、キスまでしちゃうなんて………‼」
そういって昨日の情景をありありと思い出したのか、ボンッと音が出そうなくらい顔を赤くした。
「うう、急にあんなことをして……変な子だなんて思われてないよね?ボクのこと……すすす、好きって言ってたし……それにしても、キョウヤ逞しかったな~ってそうじゃなくて‼‼‼」
その日サーシャがやっと自室を出たのは、心配した従者が呼びに来た時だった。
「イテッ…ちくしょう。…普段こんなに打撃喰らうことねーのに。……」
一方、恭弥は恭弥で日常生活を送っていたが、調練ではミスを連発するなどらしくない動きを連発していた。仲の良い兵士たちからも心配をされるほどに。
事実、右目が見えていないので、動きは―――常人にはほとんど変わっていないように見えるのだが―――鈍っていた。
だがそれ以上に恭弥を鈍らせていたのは、サーシャの笑顔と唇の柔らかさだった。
『くそ~なんであんなに柔らかいんだよ……しかもあんな笑顔…確かに笑っててくれとは言ったけど……』
キョウヤもサーシャのことを思い出し、心の中で悶えていた。
「あんなの反則だろ‼‼‼‼‼‼‼」
ただ、その心の声は口から出ていたようで、近くに来ていた侍女を驚かせてしまっていた。
「ひゃあ‼」
「ああ、済まない。大丈夫か」
恭弥は、倒れ込んだ侍女を手で引っ張り上げ、立ち上がらせた。
「いえ。すいませんでした。そういえばキョウヤ様宛に小包が来ていました」
そう言い侍女は小包を取り出した。
「…小包だと?この世界に知り合いは、ほとんどいないはず…」
恭弥はそうつぶやいていた。
「一応、検閲を入れたらしいのですが問題はないようですので、お心当たりがないのでしたらロイド様かアレクサンドラ様に相談なされてはいかがでしょう?」
「そうだな、そうしてみるよ」
そして恭弥は彼女が居るという食堂へ向かうのだった。
それが彼らを新たな世界へ導くことになろうとは、この時ほとんど誰も気づいてはいなかった。
「や、やあキョウヤ……きょ、今日はいい天気だね」
「あ、ああ。そうだな」
『『き、気まずい』』
なぜか食堂には恭弥とサーシャ二人っきりであった。どう見ても互いに挙動不審なのだが、幸か不幸かそれを
「そ、そうだ!キョウヤは用があって、ここに来たんじゃなかったのかい?」
何とかサーシャの思い出した話題で、二人とも会話を始めることが出来た。
「…おう。それが俺に小包が届いたんだが、どうも覚えがなくて………危ないものじゃあないらしいんだが…」
恭弥はおもむろに箱を取り出した。
「じゃあ、開けて中身を確認してみようか」
サーシャは恭弥にそう提案をする。
「そうしてみるか…」
『フゥ~』
「え、え、なにこれ‼」
「やばい、こいつは‼‼サーシャ逃げるよ」
「え!ちょっと…キョウヤ」
『モコナ=モドキもドッキドキ‼ハーフゥー』
サーシャたちの足元にマジックサークルが広がった。
「「うわあぁぁぁ‼」」
そして、サーシャたちは突然現れた白い生き物に飲み込まれたのだった。
そして食堂には箱だけが残されているのだった。
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