「あーもー!!やってらんないわ!!」
とある小さな島国の中のさらに小さな一軒家で1人の少女が叫びを上げた。
「っ…いきなり大声上げるなようるさいな…」
部屋のベッドにうつ伏せになり足をバタつかせる少女に傍らで雑誌を捲っていた黒髪の少年が片手で耳を塞ぎ呆れたように咎める。
「だってだって!!最近神も全然降りてこないし!!戦えないし!!ね~護堂、手合わせしようよ~」
「断る。お前とやったら命がいくつあっても足りないし、下手すりゃ日本が消え去るわ」
護堂と呼ばれた少年は嬉々として上げた少女の提案をバッサリと切り裂くと再び雑誌に目を向ける。そんな彼に少女はぷっと頬を膨らませながら「手加減するもん…」と小さく呟いた。
「……つか、なんでここにいるんだよ。リイナ」
「暇だから、会いに来た!」
少女…リイナは訝しげな視線を送る彼にニカリと人のいい笑みを浮かべながらブイサインを送る。護堂ははぁ…とため息をつく。
「いきなり部屋に魔方陣が出てきた時は本当にビビったんだからな…」
「そんなことでビビっちゃうの?護堂君もまだまだだね!」
「最強のカンピオーネのお前と比べんな。この魔王女」
「その名前で呼ばないでよ~…」
しゅん…と眉を下げるリイナに、流石に罪悪感が出たのか護堂が「悪い…」と謝罪する。
『リイナ』
不意にリイナの頭に若い男の声が響く。
(なによ。ロンギヌス)
唐突な声に驚くこともなく心の中で返答を返す彼女に、その声はさらに言葉を紡いだ。
『お前の故郷辺りに神の力を感じる』
「本当!?」
ガバッと身を起こすリイナに護堂が驚きにビクリと肩を震わせた。
「こ、今度はなんだよ!?」
「護堂、私帰るね!!」
「はあ!?」
「私の故郷…イタリアに神が降りてきたって!」
「は、え!?」
「ちょっと殺してくるね!」
晴れやかな笑顔で言うリイナに護堂は状況に付いていけず、間抜けな返答を返すばかり。そんな彼を尻目にリイナは右手を前に出して開く。すると瞬く合間に彼女の背よりも長い赤い槍が姿を表し、その手に収まった。
そしてそのまま槍の鋭利な先端部分をトンっと軽く床に突き刺す。小さく穴が開いた場所から赤い魔方陣が表れ部屋を明るく照らした。
「それじゃあね護堂!また遊びにくるから!!」
笑顔で手を振るとリイナはその場から瞬時に消えた。部屋が静寂を取り戻し、まるで風のように現れ風のように消えた少女に護堂は頭を抱えて深くため息をついた。
「あれでもカンピオーネ最強って言うんだから…食えないよなあ…」
そんな彼の呟きが、虚しく部屋に響いた。
――――――――――――
所変わってイタリア某所。護堂の部屋から魔方陣によって瞬間移動したリイナはキョロキョロと辺りを見渡した。
「神様ーいるー!?」
キラキラという表現がピッタリな表現をして声を張るリイナに先程の男の声……彼女の唯一無二の武器である『ロンギヌスの槍』が呆れたように言う。
『落ち着け…きっとすぐに現れるだろう』
「もー…出るなら早く……」
ドォーーンッッッ!!!!
突如響いた地響きにリイナの言葉が止まる。周りの街の人々はよろめき、悲鳴を上げながら四方八方に散っていく。
「っ…ロン!!」
『ああ…間違いない…神の気配だ!!』
「よーっし!!待ってなさいよ!!」
ニヤリと笑って唇をペロリと舐めると、再び…だが先程よりも一回り小さな魔方陣を発動させる。そして足にぐっと力を入れると跳躍。普通の者ではあり得ない程の高さを飛び、体が落ちてくると魔方陣を発動し、体を浮かせる。これを幾度か繰り返してリイナは君臨せし神の側に降り立った。
神の姿も人間と同じように様々な形がある。今回はとてつもなく巨体な形をした神がリイナの目の前にあった。神は小さく唸りながら(だがそのうなり声もバカみたいに大きい)地の方へ手をかざす。するとそこにある民家や木々たちが一瞬にして消えた。
「うわぉ……一瞬で……」
ポツリとリイナが呟く。額にはうっすらと冷や汗が流れていた。
ピクリと神の肩がゆれ、リイナの方を向く。どうやら彼女の存在に気付いたようだ。
‘貴様は…なんだ’
「カンピオーネ…と言えば分かるかしら?人の世を脅かす神よ」
‘カンピオーネ…なるほど。神殺しがさっそく我のことを嗅ぎ付けてきたわけだ’
「貴方の名を…聞いてもよろしいかしら?」
‘ふん……我はナラトル。次元を司る神だ’
ナラトル…あまり聞き覚えのない名だ。だが今はそんなことはどうでもいい。リイナはすうっと息を深く吸い込むと、ナラトルに向かって声を張り上げる。
「ナラトル様!!あなたが何故、このような事をするのかは分からない!!ですが、これ以上人の世を脅かすのならば…私はカンピオーネとして貴方を排除する!!!」
そう叫ぶとロンギヌスの槍を真っ直ぐナラトルに向ける。ナラトルは一瞬の沈黙のあと、声を上げて笑った。
‘はっはっはっはっ!!!カンピオーネ…たかが人間ごときが我を倒すというのか!?’
「そうやって見下し、襲ってきた神々を…私は何体も排除しています。…私たちを舐めるな!!」
‘面白い……ならば、この我を消し去って見るがよい!!’
ブオンという風の音とさせながらナラトルの巨大な手がリイナを叩きつける。が、それを後ろに飛び指の間に収まるという形で避けると魔方陣を展開。高い跳躍をし一気にナラトルの顔元まで飛ぶ。
‘甘いわあ!!!’
跳躍中のリイナをもう片方のナラトルの腕が捉える。そのまま横に凪ぎ払おうとするが、彼女のほうが一瞬早く足元に魔方陣を出し、さらに跳躍するとナラトルの目元まで来る。
「そっちこそ私のこと舐め腐りすぎなのよこのバカ神がああああ!!!!」
渾身の怒声と共に鈍く黄色く光る目に槍を突き刺す。
‘ぎゃあああああああ!!!!おのれええええ!!!!’
ぶしゃあと目元から鮮血が溢れ、ナラトルはメチャクチャに腕を振り回す。それを危なげなく避けるとその頭上よりもさらに上に上昇。魔方陣を足元に展開して体を安定させると槍を上に掲げ、凄まじい雷を呼び起こす。
「くらえ!!!」
槍を力一杯降り下ろす。瞬間、とてつもなく大きな雷がナラトルの全身を貫きその体を焼き付くした。地面を激しく揺らすほどの大きな悲鳴を上げてよろめくナラトルにリイナは槍を構え自分が出せる最大スピードでその懐に突っ込む。狙うは、ナラトルの心臓部分。
「消えろ!!!ナラトル!!!!」
リイナは雄叫びと共にその手にもつロンギヌスの槍でナラトルの心臓を貫き、背の部分から飛び出す。そのままふわりと地面に着地したリイナの姿はナラトルの鮮血で真っ赤に染まってしまっていた。
「うえっ…血ぃ飲んじゃった…気持ち悪…しかも服が真っ赤になった…最悪」
『それにしてもやけにあっさりだったな』
「ほんと…舐めすぎなのよ私のこと」
小さな魔方陣を放ち血で赤く染まった服を元に戻すと、リイナはちっとイラついたように舌を打った。そんな彼女にロンギヌスは苦笑を溢す。
‘………甘かったな…カンピオーネの女よ’
「っ!?なに……きゃあああ!!?」
『リイナ!!』
完全に死んだと思われたナラトルが不意をつきリイナに向けて手をかざしかまいたちのような衝撃波を放った。それによりドンっと吹き飛ばされた彼女にロンギヌスが声を上げた。だが、音の割には怪我は大したことはないらしく彼女は地面に転がったあともすぐに起き上がった。
「こんのアホ神!!今度こそ確実にぶっ殺……ってなに…これ…?」
リイナの胸元に光る紫色の魔方陣。どこか見覚えのあるそれに彼女は首を傾げるが、すぐに思い当たり顔を真っ青にする。
そう。これはまさしく先程ナラトルが民家や木々たちを消したときの魔方陣で。
「まさか…あのとき自分の血に魔法を掛けたの!?なんなのその芸当反則じゃない!!」
『リイナ!!』
‘ふっはっはっはっはっ!!これで貴様は2度とこの世界には戻ってこれまい!!精々永遠に別世界をさ迷い歩くがいいさ!!!’
「っ……貴様ああああああ!!!」
リイナの叫びが辺りに響く。すると胸元の魔方陣が強く光り、その体を飲み込んだ。
「いやあああああ!!!」
必死の抵抗も虚しく、リイナの体と手に持ったままだったロンギヌスの槍はそのまま消えた。また、ナラトルも心臓を貫かれたのが致命傷だったのか高笑いをしながら消滅していった。
そして、先程まで激しい戦いを繰り広げていた場所は不気味なほどの静寂が包み始めていった…
疲れました…。
ナラトルというのは私が適当に考えた名前です(笑)
某ネット先生に検索してもよく分からなかったので…次からはハイスクールD×Dの世界に行きますグダグダ駄文で申し訳ないですがよろしくおねがいします。