「うわ…近くで見るとやっぱり大きいね…」
『この街の名所にもなるくらいだからな』
数時間前まで高く上がっていた太陽がゆっくりと西に沈んでいく中、私は昨日の夜に出会った紅い髪の女性に話し合いの場として指定された【駒王学園】の門前に立っていた。空から見たときも相当な規模の大きさだと感じていたが、実際に目の前にしてみるとさらに圧倒される。
「さて、ここに来れたのはいいんだけど…果たして勝手に入っていいものだろうか」
『知らん。とりあえず少し待ってみたらどうだ?向こうから案内がくるかもしれん』
「え~…ここで待つの…?」
正直視線が痛いんだけれど…と私は気まずく肩をすぼめた。この時刻でも部活動などで学園にはまだ生徒が多数いるようで、制服を着ていない者が門前をウロウロとしていれば嫌でも目立ってしまう。そしてその生徒たちが不審気な視線で私をドスドスと刺してくるのも仕方がないだろう。だが…
(それでも辛いですよこの状態は!!どうしよう、やっぱり入っていこうかな…いやでもこの状態でここに入っていくのはかえってまずい気がする…なんか通報されそうだし)
なんとかこの現状を打破しようと頭を悩ませていると、パタパタとこちらにやってくる一つの人影があった。
「あれ…君は…」
「…こんにちは」
静かな声で挨拶をして頭を下げるその人物は、昨日の夜に堕天使の光の槍を素手で弾き、気を失って体の力が抜けきっていた茶髪君を軽々と抱き上げて運んでいくというなんともスーパーな力を発揮していた白髪の女の子だった。
「…部長に言われて迎えにきました。案内します。こちらへどうぞ」
女の子はそう言って私に背を向けてスタスタと歩いていく。
(う~ん、なんというか…とてもクールな子なんだな。ここまできて表情が何一つ変わってないし)
なんて考えていると女の子が振り向いて小首を傾げた。私が後に付いてこないから疑問に思ったのだろう。表情こそ変わっていないが、その不意な仕草にきゅんっと胸にきてしまったのはここだけの話だ。
「…どうかしましたか?」
「あ、ううん!なんでもない!じゃあ案内をよろしくお願いします」
そう言うと女の子はコクリと頷いて再び歩き出した。今度は私もちゃんと付いていく。こうしてようやく、私はこの世界へ来てからの最初の目的地である駒王学園へ入っていくことが出来たのだった。
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しばらく女の子の背を追いかけて歩いていると、廊下のつきあたりの場所のやけに年季のこもった扉の前に来た。そこには[オカルト研究部]というプレートがかかっているが……ぶっちゃけかなりうさんくさい。
「…着きました」
「…はっ?え、ここ?」
「はい」
「そっかそっか。ありがとね~」
お礼を言うと、一回り下にある小さな頭を優しく撫でた。女の子が驚きに目を瞬くのを見てはっとし、慌てて頭から手を離した。
(あああしまったあああ!!アーシアのときの癖が出てしまったああああ!!)
実はアーシアと教会探しで街を歩いていたとき、毎回可愛い反応を返してくれたので結構な頻度で頭を撫でていたのだ。…その癖が今出てしまうとは…
「あ、ご、ごめんね!つい…」
「……いえ」
女の子は一言そう返すとそのまま扉を2回ノックした。俯いていて良くわからなかったが、少しその白い頬が赤くなっていたのは気のせいだろうか。
「部長。連れてきました」
「お疲れ様。入ってちょうだい」
扉越しに凛とした声が聞こえてきた。間違いない。あの紅い髪の女性の声だ。
ガチャリと女の子が扉を開き、部屋に通される。その中は割と広く、幾本かのろうそくのみが光の役割をしておりぼんやりとした空間はどこか怪しげな雰囲気を纏っていた。
そこにいたのは部屋の奥に設置された社長机のような場所に座る紅い髪の女性。机の前にある2つのソファに腰掛ける昨日の夜に大きな雷を落としていた黒髪ポニーテールの美人さん、昨日は見なかった金色の髪をしたイケメン君。いつの間にか座っていた白髪の女の子。そしてその横には…
「え…あのときの茶髪君…?」
「あんたは…昨日の夜…」
空から降ってきた…?と呟く彼に私は再会できた安堵と思ったより元気そうな様子を見て嬉しさのあまり抱き付いていた。
「あ~良かったぁ!!君生きてたんだね!あのときもしかしたら死んじゃったかもとか思ってたんだよ!!良かったほんとに!!はっケガは!?お腹のケガはもう大丈夫なの!?」
「いや、えっと…」
「———大丈夫よ。その子のケガは私が完治させておいたわ」
私のハイテンションぶりについていけなかったのかあわあわと口ごもる茶髪君の代わりに紅い髪の女性が落ち着いたように返答をした。その一言で私も冷静になり、ふっと軽く息を吐くと茶髪君から離れ改めて女性と向き合った。
「…これで全員集まったわね」
そう言うと女性は席から立ち上がる。
「じゃあ改めて…私は駒王学園3年のリアス・グレモリー。このオカルト研究部部長であり…悪魔よ」
「同じく3年、そしてオカルト研究部副部長の姫島朱乃ですわ。悪魔です。どうぞ朱乃とお呼びください」
紅い髪の女性と黒髪ポニーテールの美人さんが順番に名乗る。紅…リアスさんはまるで外人さんみたいな名前だな…というかこの人たちナチュラルに悪魔って言ったよ。
「2年、木場裕斗。同じく悪魔です」
「1年塔城小猫…悪魔です」
続いて金髪イケメン君と白髪の女の子が名乗る。…やっぱりあんたらも悪魔か。まあ予想はしてたけどさあ…。…ってうん?これはきっと流れ的に私も名乗るべきなんだよね。
「えっと…私は永白リイナです」
「あ…ひ、兵藤一誠…2年です?」
私が名乗ると茶髪…兵藤君もつられるように名乗った。語尾が疑問形なところを見ると明らかに状況に追いついてないのが分かる。まあそりゃそうだよね。いきなり悪魔だとかなんとか言われても混乱するだけだよね。え?私?…元に私がいた世界も色々突拍子がないことばかりだったから今更これくらいじゃ驚きません。はい。
「これからよろしくね。イッセーにリイナ。…特にイッセー、オカルト研究部に歓迎するわ。私たちと同じ悪魔としてね」
「…はい?うわ!?…おわあ!?」
「わーお」
兵藤君が呆けながら返事をすると、リアスさんたちがばっと背中から黒いコウモリのような翼を広げた。そのときに驚きの声を上げた兵藤君だったが、瞬間自分の背中からも翼が現れ、さらに驚愕していた。ちなみに私は翼を出した悪魔さんたちの姿というある意味爽快な光景に感嘆の声を出していた。
「……あなたはあまり驚かないのね」
「へ?あー…まあ…私も過去に色々見てきましたから…これくらいなら特に驚きはしないというか…あはは」
「…そう」
私の返答に妙に納得のいってなさそうな表情をするリアスさんだったが、それ以上追及はせずに再び兵藤君の方へ視線を向ける。
「それじゃあ本題に入らせてもらうわ。イッセー…昨日の黒い翼の男…覚えてるでしょう?…あれは堕天使よ」
「っ!?」
兵藤君が目を見開く。あー…そっか。あのときこの子すぐに気を失っちゃってなんにも聞いてなかったんだよね。
「堕天使っていうのは神に仕えし天使でありながら、邪な感情を持っていたために冥界に落ちてしまった者たちのこと。…彼らは人間を操りながら、私たち悪魔を滅ぼそうとしているの。太古の昔から冥界…人間界で言うところの地獄の派遣をめぐってね。…堕天使以外にも神の命を受けて悪魔を倒しに来る天使もいるわ。つまり3すくみの状態ってわけなのよ」
…なんか、想像以上にいろいろ複雑な事情をお持ちなのねこの方たちは。それにしても天使に命を出すとかこっちの世界の神様はちゃんと神様って感じがする。…まあこれが当然なんだけど。人間界で思うがままに暴れまわるこっちの神が異常なんだけど。なんだかすごく違和感を感じてしまう。
兵藤君は…案の定なんのこっちゃって顔をしている。「普通の高校生には難しい話」とか言ってるけど残念ながら君もう普通の高校生じゃないからね?悪魔だからね?その3すくみの仲間に入れられちゃってるからね?
「…天野夕麻」
「!!?」
リアスさんから静かに発せられた名前に兵藤君の顔色が変わった。…誰だろう?デートまでしたとか言ってるから彼の元カノか何かだろうか。
「…ど、どこでその名前を聞いたかどうかは知りませんが、そのことをオカルト云々で話されると困るっていうか…正直不愉快なんで…」
すみませんけど…と座らされていたソファから立ち上がる兵藤君に、リアスさんが懐から1枚の紙を取り出しテーブルに流すように置く。その紙は写真のようでそこには仲睦まじく歩く兵藤君と黒髪ロングヘアーの美少女が写っていた。
「夕麻ちゃん!」
兵藤君が声を上げる。…なるほど、この黒髪の女の子が天野夕麻って子か。
「なんで…っ」
「彼女は存在していたわ…確かにね」
リアスさんの言葉に兵藤君が息をつめ、ガクガクと体を震わせる。……って待って下さいよ。私、話を理解しているようで半分くらいしてないんですけど。周りの皆さんは彼の事情を知っているようで静かにソファに座って落ち着いているし、なんか空気的に色々聞ける状況じゃない。
(…おとなしく聞いてるしかなさそうですねこりゃ…)
相棒であるロンギヌスに声をかけても返答はなく、恐らく槍の中の彼自身が持つ深層世界で眠ってしまっているのだろう。…ったく肝心なとこで役にたたないんだから…。
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……あれからしばらく時間がたって、とりあえず兵藤君とリアスさんとの話がまとまったらしいです。
簡単にまとめてみると、天野夕麻という少女は兵藤君の中に眠っている
…うん。私が言えるのはこれだけです。…兵藤君が不憫すぎてお姉さん泣きそう。完全に巻き込まれてるだけじゃねえか。ちなみにリアスさんは悪魔は悪魔でも上級悪魔らしいです。そして先ほど兵藤君がその自分に眠っている武器を起こそうと奮闘していましたが失敗に終わりました。その時の目線がリアスさんのちらちら見えていた下着に向いていたことは…まあ黙っておきましょう。
「さて…私たちについての大体の説明は終わったわ。次はあなたの番よ。リイナ」
おう…ついに来ましたか。
「説明してもらえるかしら?貴女は何者で、あの武器はなんなのか」
「……分かりました。全て、とは言えませんがお話ししましょう。…そしてリアスさん。貴女に一つお願いがあります」
「何かしら?」
「私を、貴女の眷属悪魔にしてもらえませんか?」
「!!?」
リアスさんが私の言葉に目を見開く。他の人たちも同様の反応をしている。ま、無理もないよね。 私も今考えたんだから。
「リイナ……本気なの?自分が何を言っているのかわかってる?」
「分かっているつもりです。でもその前に、私が何者なのかを話しましょう」
「……そうね。話はそこからだわ」
自分を落ち着かせるように軽く息を吐くと、リアスさんが私に話をするように促す。私は深く息を吸い、そのままゆっくりと吐き出す。そして…
「私は永白リイナ。…こことは違う、別世界からきた者です」
5つの視線がこちらを向くなか、私は自分の素性を話始めた。
お粗末様でした…。相変わらずグダグダ文ですみません。しかも全然進まなかった…(´;ω;`)
でもとりあえず小猫ちゃんの主人公妹フラグが立てられたのでもういいかなと思っております(投げやり)
かなり中途半端ですがこれ以上続けると長すぎてしまう気がしたので切らせてもらいました。それでは、また次回です( ´∀`)/~~