楽しい時間はあっという間に過ぎる。現時刻午後七時半、海での自由行動を終えた俺達は旅館の広間を三つほど繋げた大宴会場にて、豪勢な夕食に舌鼓みを打っていた。
「昼も刺身で、夜も刺身か。海の幸万々歳だな」
「そうだね、本当にIS学園は羽振りがいいよ・・・うん、美味しい」
俺の言葉に右隣に座るシャルロットは嬉しそうに同意すると新鮮な刺身を食す。この娘もすっかり日本の食文化になじんで来たな。飯を旨いと思えるのは、素晴らしい事だ。ラウラなんかは「ジャングルで孤立無援になった時や、単独潜入任務などに適応するために生の食材を食する訓練はしています」とか言っていた。お前がアメリカ人だったら称号はウサギから
「にしてもこの魚は何なんだろうな・・・一夏、わかるか?」
「カワハギだと思うぞ。食感がソレっぽい」
左に座る一夏は俺の質問にそう答える。カワハギ・・・結構高い魚だよな、家じゃこんなもん食ったことないぞ。
「刺身って食感とかでわかるものなのか?」
「結構な」
「・・・舌が肥えてらっしゃる」
「しょっちゅう食うもんでもないだろ。それにこういうの覚えるのも、俺の家庭での仕事だったし」
そうなんでもない様に言ってのける。まったく家庭的な奴だな。まあ、それも姉があのズボラな千冬さんだからこそだろう。本当に家事とか全部押し付けられているんだろうな、一夏の奴。
「お、これわさびも本わさか。高校の臨海学校で出る飯じゃないぞ、これ」
「わさびにも色々種類があるの?」
「おお、こっちは本物のわさびをおろしたやつ。で、学園の刺身定食なんかに付いて来るのは練りわさってやつでワサビダイコンとかセイヨウワサビを混ぜた物に着色料を使ってそれっぽく見せているんだ」
「へぇ、一夏って物知りだね」
一夏の説明に感心したように言うシャルロット。確かシャルロットは料理部に所属しているって聞いたな。やっぱり料理が好きである以上、こういう話は興味津々の様だ。
「これが本当のわさびなんだ・・・はむ」
・・・見間違えだろうか、今シャルロットがわさびの山を口の中に入れた気がしたんだが・・・
「っ~~~!?」
どうやら身間違いではなかったらしい。シャルロットは自分の鼻を押さえながら、うずくまった。そりゃそのまま口に入れたらそうもなる。
「だ、大丈夫か?」
「だ、大丈夫・・・ふ、風味があって美味しいね」
「そ、そうか」
涙目でぎこちない笑顔を浮かべるシャルロットに対して、それはそうやって食べるものではない事を言い辛い状況になってしまった俺と一夏は微妙な表情を浮かべる。この娘、時々天然な事をやり始めるからな。いつもがしっかりしている分、反応し辛い。
「っ・・・ぅ・・・」
そんなシャルロットを見ていると少し辛そうな呻き声が耳に届いた。その声は左隣の向こう側、つまり一夏の隣に座るオルコットの方から聞こえていた。見ると非常に辛そうな顔をしている。
「大丈夫か、セシリア。さっきから顔色良くないぞ」
「だ、だいじょう・・・ぶ・・・ですわ」
声だけでも十分その姿勢がオルコットにとって辛い事がわかった。彼女を苦しめているもの、それは正座だった。イギリス人であるオルコットにとって、座敷での正座なんてものは初体験もいいところ。見事になじんでいるシャルロットか少し異常なのかもしれない。
「おい、オルコット。無理せず椅子にしたらどうだ?」
「お構い・・・なく・・・」
キッと睨まれ、俺は口を噤む。ちなみにこの大宴会場には正座が出来ない生徒達用に椅子が用意されている。本来ならばオルコットもそちらへと座るはずなのだろうが・・・
「そんなに隣の席が惜しいのかね」
「そうなんじゃないかな・・・うう」
味噌汁を啜りながら言うとわさびの風味から復活し始めたシャルロットは応えた。あのオルコットが座っている席は本来ならば違う生徒が座る予定だった。だが今はオルコットが座っている。それは何故かというと、その生徒からあの席に座る権利とやらを俺とシャルロットで手に入れ、オルコットに渡したからである。篠ノ之に協力している、というのがばれた為にオルコットに要求されたのだ。幸い、彼女自身は「俺が篠ノ之に料理を教えた」という事だけしか知っておらず、これでフェアという事にすると言っていた。そのおかげで俺はその席の女子に大きな借りを作ってしまったわけだが・・・致し方あるまい。
「大体、フェアにするんだったら凰にも協力してやらねばならんのに」
「気苦労が絶えないみたいで大変だね。まあ僕は篠ノ之さんと会っている理由が知れて、ホッとしたけど」
そう言う夕食の一つである小鍋をつつくシャルロットの顔を盗み見る。ホッとする・・・シャルロットも俺が篠ノ之と会っている事を聞いた時に不機嫌そうにむくれていたな。
(もしかして・・・居場所が取られるとか、思っていたりするのかな)
そう考えて、この前の駅ビルで聞いたシャルロットのセリフを思い出した。
『零司は僕の居場所なんだから・・・こういう時くらいは・・・独占・・・させてよ』
あの言葉を聞くに、やっぱり居場所というものに独占欲があるのだろう。そう考えれば、最近こちらに向けられてくる視線についても、なんとなく説明が付く気がしてきた。少々心臓に悪いところもあるが、シャルロットの境遇を考えれば、それは仕方のない事なのだろう。
(駅ビルでの「埋め合わせする」っていう話も全く考えてないし・・・)
襲撃者の一件ですっかり頭の中から吹っ飛んでいた。シャルロットにああ言った手前で何もしないわけにはいかない。これは真剣に考えなければならないのかもしれない。
「・・・? どうしたの、僕の顔に何か付いてるかな?」
「いや・・・ともかく、これでフェアだと思ってくれればそれでいいか」
視線に気付かれて、考えている事を悟らせぬ様に急ぎ早に呟く。埋め合わせの件は部屋に帰った時に真剣に考える事としよう。オルコットは・・・見たところ正座が相当辛そうではあるが、あれは本人たっての希望なのだから仕方がない。
(それはそうと―――)
視線を前方向へと移す。その先にいるのは、丁度一夏と向かい合わせになる様に座っている篠ノ之だ。俺と彼女の協力関係もオルコットにバレてしまった以上、そろそろ潮時なのかもしれない。それにオルコットに言われて思ったのだが、やっぱり篠ノ之ばかりに手を貸していたらフェアではない様な気もする。
(かといって、それで篠ノ之が首を縦に振るのか・・・)
内心で深いため息を吐く。襲撃者の件もあるが、学園での人間関係も気にしなければならない事が山積みだ。正直に言って、気が重いところもあるが半分以上は自分のまいた種でもある。
(一つ一つ、しっかりと整理していかなきゃな)
そんな事を考えながら刺身を口の中へと運ぶ。どんなに気が重かろうと、刺身は変わらず旨かった。
・
Side 織斑一夏 織斑千冬
「ふ~、さっぱりした・・・やっぱり露天風呂は最高だ」
夏の風が吹き抜ける縁側を歩きながら一夏は感嘆の声を洩らす。豪勢な夕食の後の露天風呂、そしてそこから眺める海の旅館ならではの景色を目で味わう。胃袋も心も満たされ、満足げなところが彼の足取りから感じられる。
「こりゃ朝風呂も期待できそうだ」
朝風呂の入浴の割り当てがどうなっているのかわからんけど、と付け加えながら自分の部屋、ひいては千冬の部屋の扉を開く。
「あれ?」
だが部屋に入ると誰もおらず、散乱する千冬の荷物だけが転がっていた。そんな自分の姉のだらしなさに一夏は呆れてため息を吐く。この時間だ、おそらく風呂にでも行っているのだろう。
「しかし、自分の荷物くらいは閉まってほしいもんだ」
そう言いながらも、一夏は散乱した荷物を千冬のバックの中へと詰め始める。完全にその姿は嫁にこき使われる主夫である。
「こんなんじゃ彼氏でもできた時に幻滅される・・・ん?」
そんなことは意識せず、テキパキと片付けを続ける一夏はある物を見つけた。それは一着の水着だ。色は黒、乾かした後にビニールの袋に入れてあるもので、つい数時間前に千冬が身に着けていたものだった。
「この水着・・・」
一夏はこの水着を着た千冬の事を思い出す。美人でカッコいい、モデルの様な姿。実際、家族ではない女性だとしたら、物凄くドキドキするのだろう。クラスメイトも羨望の眼差しを向けており、恥ずかしくも思ったが、それ以上に自分の家族が褒められるのが誇らしかった。
「ちょっとしか見れなかったけど、やっぱり綺麗だったよな・・・」
「人の水着を握りしめて、何をしているんだ? 変態か、お前は」
背後から聞こえた声にビクッと思いきり肩を跳び上がらせる。一夏が振り向くと、そこには浴衣姿の千冬が立っていた。
「あ、いや違う! これは訳があって!」
「わかっている。だからそんな態度を取るな、余計に怪しく見えるぞ」
単純な弟の反応を見て、いささか呆れているのかため息を吐くと千冬は入浴用の道具をツテーブルに置くと座布団の上に腰をおろした。手持ちの道具を見る限り、風呂に行って来たのだろう。美しい黒髪は乾き切っていないのか、濡れて艶やかさが見て取れた。
「そ、そんなことより、千冬姉。髪をしっかり乾かさないと風邪ひくぞ。それに荷物は散らかさない。使った物はちゃんと元の場所に戻してくれ」
「織斑先生と呼べ・・・お前は私の母親か、まったく」
一夏の言葉が真剣に心配しているものだと理解しているのか、千冬は言われた通りに髪をタオルでガシガシと軽く拭く。なんだかんだで日常生活では一夏の言っている事を守る事で自分の健康が保たれている事を千冬は知っているのだ。
「今は・・・八時半か、まだ寝るには早いな」
言いながら、身体を伸ばして、首を左右に振る。するとポキポキと小気味の良い音が鳴る。傍から見れば、ほとんど仕事上がりのお父さんだ。
「結構、凝っているみたいだね」
「最近、少々問題続きでな。休む時間が少ないんだ」
言いながらも、肩を回す。教員という立場はなかなか肩の凝る仕事場なのだろうか。そんな事を考えながら、一夏はすでに敷いてあった布団の毛布を退けた。
「さ、横になってくれよ」
「・・・何をしている」
「何って、マッサージだよ。千冬姉、身体が凝ってるんだろ?」
そう言われ、千冬はそれもいいかと思った。一夏のマッサージの腕はちょっとしたものだ。身体の凝りを取るに越したことは無いし、それに久しぶりに弟の好意に甘えてみるのもいいのかもしれない、と。
「そうだな、任せようか」
「了解」
一夏が言うのを聞いて、千冬は敷布団の上にうつぶせになる。その横に座ると一夏はまず肩に手を置いて、ゆっくりと、それでいてしっかりと揉み始める。
「どう?」
「ん・・・いい感じだ」
一夏の言葉に千冬は満足そうに返事を返す。マッサージは最後にしてもらった時と比べて変わりは無かった。
「腕は鈍っていない様だな・・・誰かにしてやったのか?」
「誰かって?」
「色々といるだろ。篠ノ之にオルコット、それに凰・・・他にもよりどりみどりだろう」
「え・・・いや、そういうのはしたこと無いけど」
「部屋に女子一人連れ込めんのか・・・情けない奴め」
千冬はつまらなそうにそう言う。連れ込んだら連れ込んだで絶対に怒るクセに・・・という言葉を一夏は喉の奥底へと飲み込み、質問で返した。
「そういう千冬姉はどうなんだ? 彼氏の一人でもいないのかよ」
「彼氏・・・まったく、何処かの誰かのような事を言う」
「誰?」
「黒瀬だよ」
首をかしげる一夏に千冬は言った。
「この前、『レゾナンス』に行った時にあいつも彼氏くらい作らないのか、と言ってきたんだ。お前達の様な問題児を抱えて、男など作っている時間は無いと言ってやったがな」
「その問題児って、俺も含まれてる?」
「当り前だ。黒瀬とお前が筆頭だよ」
一夏はその言葉に苦い顔をする。なるべく姉である千冬に迷惑をかけまいと立ち振る舞っているつもりではあったのだろう。
「そういえば、なんで『レゾナンス』に?」
「水着を買いにな。お前がさっき握り締めていたやつだ」
ああ、と一夏は頷く。今まで千冬の様々な荷物を整理してきた一夏だったが、今日見た水着は目にした事がなかった。
「あれは黒瀬のやつに選ばせたんだ」
「零司が?」
「ああ、その場に居たからな。丁度良かった」
千冬の言葉を聞いて、一夏は黙り込んだ。どうしてその場に零司が居たのかは置いておくとしても、零司が千冬の水着を選ぶシーンを脳内で思い浮かべる一夏の頭に一つの単語が浮かんだ。
(・・・それって、ほとんどデート風景なんじゃ)
「どうしたんだ、急に黙り込んで」
「・・・いいや」
複雑な感情を胸にしまい、首を横に振る一夏は徐々にマッサージを肩から背中へと移して行く。そんな彼の脳裏に浮かび上がったのは、自由時間の休憩の時に聞こえてきた女子達の会話だった。
『あれ、織斑先生は?』
『黒瀬さんを迎えに行ったって聞いたけど』
『へぇ・・・やっぱり織斑先生、黒瀬さんと何かあるのかな』
『最初は昔の知り合いなのかなって思ったけど、織斑君も良く知らないらしいし』
『もしかして、ただ仲が良いだけじゃないのかも・・・』
『教師と生徒の禁断の愛・・・ぬるいな』
最後の一言に引っかかりを覚えたが、あえてスルーする。だがそれ以外の会話を、そして今の千冬の話を聞く限りでは、やはり千冬と零司の関係はちょっと進んだものではないのかと一夏は考える。
(前に零司に聞いた時は、答えてもらえなかったからな)
まだ一夏が零司と同室だった頃、一度だけ一夏は零司に千冬との関係を問うた事があった。しかし、その日は少し彼もどたばたしていた所為もあってか、「先生と生徒」という関係だとはぐらかされたのだ。零司の事は友人として信頼している。だがそれでも身内としては、姉の事情として心配になってしまうのが世の常だ。
「あのさ、千冬姉」
「織斑先生と呼べ」
「良いじゃん、二人きりなんだし・・・それよりもさ」
「なんだ?」
「千冬姉は零司とどういう関係なんだ?」
マッサージを受ける千冬の身体が少し強張ったのを一夏は感じた。彼は手を止めて、姉の返答を待っていた。そして少しして、千冬は口を開く。
「急にどうした、そんな事」
「急に・・・ってわけでもないんだ。前から少し考えていたから」
「そんな事を考える暇があったら、勉強に頭を回せ」
「家族を心配するのは、そんな事ってことはないだろ」
一夏が言うと千冬は再び口を噤んだ。どうやら、そこまで話したい話題でもない様に一夏には見え、少し諦めた様に肩を竦める。こういう顔をしている時の千冬は無理強いをしても、頑として口を割らなかったからだ。
「まあ、千冬姉が話したくないなら―――」
「知り合いだ」
「え?」
それなのにいきなり弾き出された言葉に呆気にとられたのか、一夏の口から気の抜けた声が出た。それに構わず、千冬は話を続けて行く。
「昔からの知り合い、大体四年前くらいにドイツで束と一緒の時に知り合った」
「四年前・・・」
千冬の言葉を一夏はすんなりと呑み込んだ。零司がドイツに居た事があるというのは、ラウラとの関係である程度は推理していたし、その四年前の時には千冬はドイツに居たという事を知っていたからだ。
「確か第一回モンド・グロッソの戦闘データの解析って事で・・・」
「私が一年間、あの馬鹿に付き合わされていた時だ」
あの馬鹿、それはつまり篠ノ之束である。その時の束が言うには第一回モンド・グロッソである程度の苦戦を強いられた千冬を見て、もっと機体を強くして千冬が相手を完膚なきまでに叩き潰せるようになる為、だそうだ。
「春先頃に出会ってな、一年間一緒に過ごしていた」
「一年間・・・ずっと?」
「ああ、私は拒んだんだがな。束の奴があいつを大層気に入っていたそうだ」
そういえば、と一夏は午前中に束に出会った時の事を思い出す。彼女は零司に抱き付くと、上機嫌にクルクル回っていた。確かによほど気に入った相手でもないとあんなことはしないという事を束の性格を理解している一夏は知っていた。
「家事はそこそこするし、片付けも任せられた」
「まるで家政婦みたいな扱いだな」
「私は強要していない。あいつが自分からやりたいと言い始めたんだ」
おそらくズボラな生活態度を見て、その頃の零司はいてもたってもいられなくなったのだろうなと一夏は思った。
「あいつは昔からそつがない奴でな、大概の事はすぐに自分で覚えた。掃除、洗濯、料理・・・学業については束が教えていた。私が教える事などほとんどなかった」
そこで言葉を切ると、千冬は微かに頬を緩めた。
「だがそれでも、あの頃のあいつは私を慕ってくれていた。それを・・・私は少しずつではあるが、嬉しいと思っていたのだろう」
表情の見えない一夏は千冬の声色が少しだけ、優しくなるのを感じた。その声色には何か言葉にする事が難しい優しさを含んでおり、それは時折、自分に向けられる優しさに似ている様な気がしていた。
「千冬姉にとって、零司はもう一人の家族ってところなのか?」
「・・・そんな事を言ったら、おそらく奏君に怒られるがな」
そう言って、千冬は笑みを苦笑に変えた。だがそんな千冬の声を聞きながら、それと同時に今までの言葉に少し引っかかりを感じていた。何故ならば・・・
千冬の言う言葉は、その全てが過去に向いているからだ。
「あの頃のって、今でも零司は千冬姉の事を慕っているだろ。それに千冬姉だって・・・」
「そうか・・・そうかもしれないな」
自分の言葉に返答する千冬の横顔に影が下りたのが一夏にはわかった。まだ千冬は何かを隠している。そしてそれは、自分には話す事が出来ない・・・もしくは話したくない事なのだということに。
「・・・わかった、話してくれてありがとう」
「礼を言われる様な事をした覚えはないがな」
これ以上は無理だ。そう考えた一夏が話を切り上げると、千冬の表情は元に戻っていた。あの表情は見間違えではない。だが、それを追求する事は自分にはできない。だから今はこの場所で聞いた事を心に留めておこうと一夏は考えた。
「そんじゃ、話も聞かせてもらった礼にしっかりやらせてもらおうかな」
「ああ、頼んだぞ・・・っと、ちょっと待て」
今度は腰の指圧に移ろうかとしたところで一夏を止めて、敷布団の上から立ちあがるとツカツカとドアへと近づき、ドアノブを付かぬと思いきり開いた。
「「「「「へぶっ!?」」」」」
すると何かがぶつかる鈍い音と共に悲鳴が聞こえた。それは一夏や千冬の聞き慣れた声だった。一夏が千冬の背後からドアの向こう側を覗き込むと、そこには六人の女子の姿があった。
「箒にセシリア、鈴にシャルロット、それにラウラ・・・青嶋さんまで」
「何をしているんだ、貴様等」
いきなり開かれたドアにぶつけたのか、顔を真っ赤にして涙目になる六人を見降ろし、千冬はため息交じりに言い放った。そんな六人を見ながら、先ほどの暗い空気から逃れる様に苦笑を浮かべるのだった。
Side off
・
Side 織斑千冬 篠ノ之箒 セシリア・オルコット 凰鈴音 シャルロット・デュノア ラウラ・ボーデヴィッヒ 青嶋雫
「えー・・・」
「いったいどうして・・・」
「こうなってるのよ・・・」
「ははは・・・」
「「・・・」」
少女達がドアで顔面を殴打してから、数分ほど経とうとしていた。箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、青嶋の六人はそれぞれが畏まった座り方で千冬の前に居た。ちなみに一夏は久しぶりのマッサージを喋りながらでやった為か、汗を掻いたので再び風呂へと行ってしまい、少女達の前には千冬の姿しかない。
「おい、どうしたんだ黙り込んで。葬式や通夜じゃないんだぞ。いつもの馬鹿騒ぎはどうした」
「いえ、何と言いますか・・・」
「こうやって話をするのは、初めてですし」
「わ、私も久しぶりですから・・・緊張が」
あまりの物静かさに千冬の方から声をかけるが、箒とセシリア、鈴はそう言い、シャルロットは苦笑いを浮かべ、残りの二人は黙っている。ラウラは放心状態、青嶋は単に緊張で身体がガチガチといったところだろう。事実、誰もがこんな展開を予想してはいなかった。箒と鈴は共に一夏の状況を探ろうと動き、セシリアは夕飯に世話をしてもらった礼を言いに、そしてシャルロットとラウラ、青嶋は零司の部屋に行こうとしたところ、聞き耳を立てる三人を見つけて、それに便乗しただけであったのだ。
(何故こんな・・・)
(千冬さんの聴覚を侮ってたわ)
(お礼のついでになんて考えてた自分を呪いたいですわ・・・)
(うう、なんで僕まで・・・・)
(一緒に・・・レイジと一緒に生活・・・教官がレイジと・・・・)
(だ、誰か助けて~・・・)
三者三様ならぬ六者六様の考えを胸に秘めているが、どれもプラスの方向に向かうものは無い。ラウラにいたっては、先ほどの話でまたもや軽い放心状態に陥っている。
「まあ、いい・・・何か飲むか? 私が奢ってやる。篠ノ之、何が良い」
そんな緊張など知った事ではない千冬に箒は咄嗟に名前を呼ばれて、緊張も相まってかなかなか言葉が出て来ずに困ってしまう。そしてそうこうしている間に備え付けの冷蔵庫から千冬は六人分の清涼飲料水を取り出すと、六人の前に置く。
「ラムネに緑茶にスポーツドリンク、オレンジにコーヒーに紅茶だ。好きなのを取れ」
「い、いただきます」
差し出された飲料水を固い動きでそれぞれ手に取ると、六人はふたを開けて口を付ける。
「よし、飲んだな」
「は、はい?」
「・・・なんでそんな確認を?」
「何、ちょっとした口封じだ」
そう言うと、千冬は冷蔵庫の奥底に眠らせていた物を取り出す。黒い背景に星のロゴが入ったアルミ色の缶。それは麦酒、つまりビール缶だった。プシッという軽い音が聞こえ、それに口を付けると千冬はグイッと缶を傾けた。
「・・・本来なら一夏に一品作らせるんだが、それは我慢するか」
先ほど座っていた場所に再び腰を下ろす。いつも規則と規律に厳しく、常に凛としている、そんないつもの織斑先生とはかけ離れた姿を見てか、六人の女子は全員がポカンとした表情を浮かべていた。特にラウラに関しては、信じられないものを見る目をしている。
「なんだ、その顔は。私だって人間だ、身体も凝るし、酒だって飲む。私は機械じゃないんだぞ?」
「それはそうですが・・・」
「えっと、非常に言いにくいのですが・・・」
「織斑先生、今は一応仕事中なのでは?」
「固い事を言うな。それに他の教員だって、今頃宴会場で酒盛りしているはずだ。私は織斑の事も会って、先に抜けて来たのだがな」
「それって、大丈夫なんですか?」
「誰も明日に残るほど飲みはしない。それに私に関しては、口止め料は払ったからな」
そう言いながら、二口目を煽る千冬に女子一同は「あっ」と声を洩らした。
「まあ、それは良い・・・ところで、お前達――」
缶を自分の横に置いて、千冬は女子達をざっと流し見る。
「――さっきの話、何処まで聞いていた?」
「「「「「・・・・・」」」」」
千冬の言葉に女子全員は黙りこんで、手元の飲み物を見る。さっきの話とは、つまり千冬と一夏が話していた事、零司と千冬の関係の話だ。
「その顔からすると、全部聞いたってところか」
無言で頷くのを見て、千冬は再び缶に口を付ける。箒達が硬直して黙り込んでいたのは緊張の所為もあったが、それ以上に先ほどの話を聞いてしまった事にあった。何か聞いてはいけない事を聞いてしまったという感覚だけがあったのだ。
「あの・・・」
「なんだ、デュノア」
「先生と零司が一緒に暮らしていたというのは、本当の事なんですよね?」
「ああ、事実だ」
確認する様に飛んできた質問に千冬は簡潔に返答するとシャルロットは激しく肩を落とした。千冬も、もはや先ほどの様な渋りは無い。彼女の中にはもう聞かれてしまったものは仕方ないと一種の諦めが生まれていた。
「他に質問があるなら言え、答えられる範囲で答えてやる」
「あの・・・」
千冬の催促に乗っかる様にして、青嶋が小さく手を上げた。飲み物を飲んで、そしていつもより緩い千冬を見て、少し緊張もほぐれたのだろう。
「なんだ、青嶋」
「あの、織斑先生と黒瀬さんが一緒に住んでいたのはわかりました。でも、それだけなんですか?」
「というと?」
要領を得ない質問に千冬は聞き返す様に言った。それを聞いて、青嶋は少し間をおいた後に意を決したかの様に口を開いた。
「織斑先生と黒瀬さんは男女の関係じゃないんですか?」
千冬の眉がピクリと動き、部屋の空気に緊張が走った。その質問はかなりギリギリな質問なのだろうが、それはここに居る女子達全員が気になっていた事でもある。今の二人を見るとただの知り合いという風には見えない。そして先ほど聞いた、一緒に住んでいたという言葉。それは零司に好意を寄せる青嶋にとって、この場合はシャルロットとラウラにとっても、かなり重要な話だった。
「・・・・・」
「こ、答えてください」
緊張しながらも真剣な表情の青嶋とそんな彼女を射抜くように見る千冬に視線が集まった。そんな空気の中、千冬は口に付けていた缶を置く。
「青嶋」
「・・・はい」
「お前、私がそんな変態に見えるか?」
「・・・・へ?」
青嶋の口から緊張の糸が切れる音がした。そんな彼女に構わずに千冬は言葉を続ける。
「話を聞いていたならわかると思うが、私と零司が出会ったのが四年前だ」
「は、はい」
「その時、私と零司の年齢はいくつだ?」
女子一同は頭の中で簡単な引き算をして、無言になる。今現在、織斑千冬の年齢が二十四歳、そして黒瀬零司の年齢が十七・・・今年で十八になると言っていた。つまりそれの四年前というと千冬が二十歳で零司は十三から十四歳ほどになるわけで・・・
「お前は私を犯罪者にしたいのか?」
「す、すみません」
慌てて、頭を下げる青嶋は他の女子達と同様に胸をなで下ろした。そんな姿を見て、千冬は今日何度目かの深いため息を吐く。
「全く・・・それにそんな関係なら、あいつもお断りだろう」
「え?」
「私は昔からあいつには厳しくしていたつもりだったからな。確かに懐いてくれていたが、それはあくまで保護者と孤児の様な関係だったんだろう」
そう言うと三度目のビールを嚥下し、横に振ってカラになった事を確かめると冷蔵庫からもう一本のビール缶を取り出す。そんな千冬を見て、違う意味で唖然となった女子一同。
(いや、私が見る限りではそんな風には見えないのですが・・・)
(むしろツーカー過ぎて、逆に違う関係に見えるのは私だけですの?)
(一夏の方だってそうだけど・・・ちょっとずれてるっていうか)
(安心はしたけど、ちょっと零司が可哀想な気もするなぁ)
(教官はレイジの気持ちには気付いていないのか?)
(織斑先生、そりゃないよ)
それぞれ心に思った言葉は違うが、簡潔にまとめればこの様な感じだろう。
((((((千冬さんって・・・朴念仁?))))))
「・・・なんだお前ら、人を可哀想な物を見る目で見るとは」
当の本人、織斑千冬は訝しげな表情で女子達を見る。お得意の読心術もこういう事を読むのに使えばいいのに、というのは言葉にしたら被害を被るであろう女子達の口からは出て来ない。
「それに、そんな関係になるんだったら私よりも束の方が可能性は高い」
「・・・姉さんが?」
突然出てきた名前にいち早く反応したのは箒だった。そんな箒を見ると、千冬は淡々と話をする。
「ああ、あいつなんか零司の事を大層気に入っていたからな。寝るときとか風呂とかも一緒の時が会ったくらいだ」
「「「「「なっ!?」」」」」
いきなりの爆弾発言にシャルロット、ラウラ、青嶋の反応が増えた。ちなみにセシリアと鈴はいきなり黒歴史の様な事を友人達にバラされる零司を不憫に思う方が大きかったのか、激しい反応はしなかった。
「ど、どどどどどいうことですか!? 姉が黒瀬さんと!?」
「一緒に寝る!? 一緒にお風呂!?」
「な、何故止めなかったのですか教官!」
「そうですよ! 確か篠ノ之博士は千冬さんと同い歳ですよね! それこそ変態の所業じゃないですか!」
「ええい、迫るな騒ぐな五月蠅くするな」
千冬は顔を真っ赤にして迫る四人を押し付けて、元の場所へと座り直させる。そして小さく息を吐くとビール缶のプルタブを開く。
「そう興奮するな」
「い、今の話を聞いて何処が落ち着いて要られるんですか!」
「そうですよ! さっき手を出したら変態って言っていたのは織斑先生ですよ!?」
「ま、実際変態だしな。あいつは」
切り捨てる様なセリフに何処か納得してしまいそうになる女子六人。奇抜なファッションセンスも番狂わせな行動、異質とも思えるその知性と天才的なひらめき、ある意味全てひっくるめてあの女性は「変態」であると言えよう。
「それに関係があったとしても、もう三年は直に顔合わせしていないはずだからな。もう解消しているんじゃないか?」
「三年・・・そういえば、一年間一緒に居たのは聞きましたけど、その後はどうなったんですか?」
先ほどの興奮も収まらぬままに横から飛んできた鈴の質問に千冬はクイッと缶を傾け、中身を胃袋へと流しこむと口を離して言った。
「知らん」
「知らんって・・・だって一年間は一緒だったんですよね」
「知らんさ。何せ大喧嘩して出て行ったのだからな、居場所なんて聞く事は無かった」
「大喧嘩」という突然の言葉に「えっ」と声を上げる一同に対して、その光景を思い出したのか、苦い顔をした千冬は続ける。
「意見の相違だ。私の考えるISと奴の考えるIS、その意見がぶつかったんだ。それで喧嘩、その後は自分から出て行った」
「そんな・・・その後どうなったかも、知らないんですか?」
「ああ、その後は知らん。知っているのは数年経ってから、日本に戻って来たというだけだ」
そう言いながら、チラリとラウラを見る。視線が合い、ラウラはその目を逸らした。ラウラには予想が付いていた、おそらく千冬の下から離れた後に零司は軍に入ったのだという事を。
「それにあいつも私に詮索されたくもなかっただろう。あれだけ言い合ったんだ。手も上げてしまったしな」
いつもが体罰上等な千冬だったが、その言葉を発する時は皆が真剣に耳を傾けていた。それは千冬の目が少し違うのを女子達は感じていたからだ。何処か遠くを見る様な、懐かしむ様な眼。それは普段の千冬からは見て取れない、儚げな眼。
「結局、私はあいつの優しい姉にはなれなかった。優しい家族にはなれなかったということだ」
そう言って、まるでその事を振り切るかのように一気にビールを煽る。そして口から離すと、空き缶になったそれを先ほど飲み干した二本の隣に置く。
「他は、何かあるか?」
「・・・・・」
投げかけられた言葉に対して、入室してきたときの様に黙り込む女子一同。どうやら聞きたい事はあるのだが、先ほどまでの話を聞いて、思った以上に体力を消耗してしまったのだろう。そんな六人を見て、千冬は言った。
「質問がないなら、今度はこちらからの質問に答えてもらうか」
「質問?」
「織斑先生からですか?」
「ああ」
そう言うと、先ほどまでの表情とは打って変わって、にやりと悪だくみをする様な表情を浮かべた。
「お前達、あいつらの何処が良いんだ?」
飛んできた質問にすぐには答えられずに、だんまりを続ける六人。あいつらとは無論、一夏と零司の事だろう。
「ふむ、答え辛いか。では順番に行ってみろ。まずは篠ノ之、お前だ」
「お、織斑先生・・・」
「私はお前達の質問に答えた。ここで応えなければ、フェアではないだろう?」
先ほどの雰囲気とは打って変わった千冬に半ば強要される形で箒は観念する様にして、緑茶のペットボトルを握りしめて答えた。
「一夏は・・・以前より腕が落ちているのが腹立たしいだけで。黒瀬さんは少し変わった先輩としか」
「私はクラス代表としてしっかりしてほしいだけです。黒瀬さんは単純にライバルとして見ています」
「私は腐れ縁と、親友の兄ってだけですから」
「なるほど、一夏についてはしっかり私から伝えておこう」
「「「言わなくていいです!」」」
箒から続けてセシリアと鈴が言った言葉に千冬が返すと三人はギョッとして声を荒げる。そんな三人を見て、千冬は愉快そうに笑った。
「一夏は友人です、親切にしてくれます・・・零司は優しいから・・・ですかね」
小さく、だがしっかりとシャルロットは呟く。その呟きは真摯な響きがあり、彼女の言葉には強い意志がある事が聞いて取れた。
「優しい、ね。あいつは結構誰にでも優しいぞ」
「そうなんですよね。それがちょっと悔しいですけど・・・零司は僕・・・私にとって大切な人であり、居場所ですから」
そう言ってあははと笑うシャルロットの笑顔は照れの所為で赤く上気していたが、とても幸せそうであった。好きな相手に対して、そういうストレートな感情をあらわに出来る。そんなシャルロットが羨ましいのか、先の三人はジッと見つめていた。
「で、お前はどうだ・・・って、聞く必要もないか?」
先ほどから一言も発していないラウラにそう訊くとシャルロットとは比べ物にならないくらいに顔を赤くして、ぼそぼそとか細い声で口にした。
「レイジは・・・私を救いだしてくれた人・・・私にとっての英雄ですから」
「英雄か・・・お前の言う『英雄』だったら、あいつも喜びそうだな」
そう言い、千冬はラウラから視線を外して最後に残った青嶋に移した。すると一瞬、戸惑いを見せた青嶋は視線を千冬から手元へと落とした。
「お前はどうだ、青嶋」
「お、織斑君はあまり話したことないです。黒瀬さんは・・・その・・・」
モジモジと手元のペットボトルを弄ぶ。青嶋の場合は照れて話せないというのもあるだろうが、自分の中で答えが見つかっていない様に千冬には見えた。
「乙女だな・・・だがそんな事では取り逃すぞ?」
「じ、自分でもよく分かりません・・・から」
「分かりません・・・ねえ」
そんな青嶋の反応に苦笑する千冬は三つ目の缶を空にして、それを置く。
「まあ、あいつら双方に言えることはいると何かと便利という点だな。家事もできるし、織斑にはマッサージ、黒瀬には結構な資金のおまけもついて来る・・・欲しいだろう?」
にやりと笑う千冬に驚きながらも、女子達は身を乗り出した。
「「「「「「く、くれるんですか!?」」」」」」
「やるか馬鹿共」
ピシャリという千冬。それを見て、箒達はがっくりと肩を落とす。
「それに織斑はともかく、黒瀬の場合は家族である奏君の許可がいるだろうな・・・ま、彼女の態度を見る限り、そうそう首を縦に振るとは思えんが」
「それは・・・」
「むぅ・・・」
「た、確かにそうですね」
女子達は自分の見た、もしくは人づてに聞いた零司と奏の雰囲気を思い出し、シャルロットとラウラと青嶋はため息を吐く。シャルロットと青嶋にいたっては、目の前であれだけ仲の良い姿を見せられた経験もある。千冬の言っている事がその通りであろうという事はすぐに理解した。
「さあ、頑張れよ。女なら奪うくらいの気持ちで行け。私から言えるのはそのくらいだ」
言って、千冬は笑顔を浮かべた。その笑顔はなんとも楽しげで、それでいて何処か嬉しそうな笑みだった
・
Side ???
「さて、そろそろ頃会いか」
深夜、雲一つない夜空は星々を輝かせ、美しい月が世界を照らしている。そんな自然によって作り出された神秘的な風景の中、波打ち際に立つ一つの人影はそう呟いた。
「これで・・・はっきりする」
その透き通る様な声は女性のものだった。短いその言葉には強い意志が感じられる。この女性にとって、大事な一歩。おそらく全ての始まりとなるであろう、その一歩が踏み出せるか。それがあと数時間後に決まるのだ。
「悪魔には生贄が必要だ」
海、暗くなったその向こう側にある水平線を見詰める。その先に何があるのか、視界では捉えられない。だが彼女にはわかる。あの向こう側から来るものが、我々に最後の判断をさせるのだ。
「せいぜい鳴り響かせるが良い、忌まわしき産物。それがお前の最後の仕事になるのだろうから」
海に背を向けると女性は歩き出すと、夜闇の中へと消えて行く。その闇は煌々と照らされる月明かりの中でもあり続けるほどに深く、重いものだった。
これより約六時間後、アメリカハワイ沖にある実験施設から飛び立つISの機影が衛星写真で確認された。その機体は実験施設で暴走した後、監視空域から離脱、飛び去ったという。機体はアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代軍用IS――
――――『
EP33 End