金色の狐、緋色の尻尾   作:花海棠

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原作のすじの中に、オリジナルな動きをぶっこみたい。
なかなかネタの神様が降りてこないので、案を考えるのに四苦八苦です。

2015/04/23最終投稿。
2015/10/20名前変更。



3.『波の国・前編』

第7班となってから日々任務に勤しむナルトたち。しかし、下忍である彼らに割り当てられる任務は、草むしりやおつかい、迷子のペット探しなどの比較的簡易なものばかりであった。今は大切な下積み期間とはいえ、少々期待外れなショボイ任務の連続に、ついにナルトがキレて駄々をこねる。

見かねた三代目火影が、このたび第7班にCランクの護衛任務を与えた。そして、タズナという橋作り職人が持ってきた依頼は、なにやら曰くつきのようであった……

 

 

快晴の日の下、一行は林中の道を歩き進む。

護衛とはいえCランクの任務では、せいぜい居合わせた盗賊やギャングから依頼人を守ると言うもので、他里の忍と戦闘になることはまずないと笑うカカシにサクラはほっと胸をなでおろす。

しかし、カカシの言葉の陰で、タズナがわずかに表情を雲らせていた。

 

一行が道の真ん中にあった水たまりを通り過ぎた頃、さりげなく列の最後尾に位置していたカカシに、突如二つの影とその間を結ぶ黒い鎖が襲いかかった。

 

「一匹目」

 

――ザシュッ!!――

 

「キャーーー!!」

「カ…カカシ先生ェ!!」

 

刃のついた鎖でカカシはバラバラとなり、襲撃者たちは続けてナルトに襲い掛かった。

 

「ナルト伏せてッ!!」

 

カミナの発した警告に、しかしナルトは動けなかった。

動いたのはサスケだった。手裏剣とクナイで鎖を木に繋ぎとめると、敵2人に一撃ずつ蹴りを食らわせる。しかし奴らはすぐに鎖を切り離して、ナルトとタズナ、それぞれに向かって走り出した。

 

「おじさんさがってェ!!」

 

突如として起こった実践の恐怖に慄きながらも、果敢にクナイを構えてタズナを庇うサクラ。

そして両者の間に、サスケが躍り出る。

 

もう一方の敵は、鉤爪の刃をナルトに向けて振りかざしていた。

 

「うわあッ!!!」

「ナルトッ!!」

 

咄嗟のことに動けないナルトを、カミナが突き飛ばして転ばせた。しかし、鉤爪は浅くナルトの手の甲をかすめてしまう。

そこへようやく、カカシが二人の忍を取り押さえて出てきた。カカシは変わり身の術を使って、敵のターゲットが誰なのか見極めようとしていたのだ。

 

「ケガはねーかよ、ビビリ君」

「ッ!!!」

「ナルト、待って!忍の刃には毒が塗ってあるかもしれないわ。治療するから動かないで」

 

サスケの挑発に今にも飛び掛かっていきそうなナルトをカミナは諌めて、すぐに毒が回らないよう応急処置を行った。

 

襲ってきたのは、霧隠れの忍であった。タズナは貧しい波の国の事情から、任務内容を偽って木ノ葉に依頼をしてきたのだ。

下忍班にしては荷が重すぎる内容に、カカシは一度木ノ葉に戻ることを検討する。

 

――ザクッ!!――

 

「ナルト!?」

「なにやってんのよ!アンタ!」

 

突如、ナルトが傷を負った手の甲に、自らクナイを突き立てた。ドクドクと毒とともに流れ出る鮮血と痛みに、ナルトはやせ我慢も混じった笑みを浮かべつつも言い放つ。

 

「オレがこのクナイで……おっさんは守る。任務続行だ!!」

 

ナルトはこの痛みに誓った。もう二度と助けられぬような真似はしないと。怖気づいたり逃げ腰にもならず、サスケにも負けないと!!

 

「――先生さんよ、ちょっと話したいことがある……」

 

そして、ナルトの覚悟を前に、タズナはある男の名を口にした……

 

 

◆◆◆

 

 

ガトー。――表向き海運会社の大富豪と知られ、裏ではギャングや忍を使って悪どい商売を行う危険人物。タズナはその男に命を狙われていた。

ガトーに支配された波の国で、唯一の希望となる橋の建設を行うタズナが邪魔だったのだ。しかし金銭面に猶予の無いタズナは、依頼内容を偽って忍の護衛を雇うほかなかった。

若干同情を引いたタズナのやり口は気に入らないが、一行はナルトの身体を張った(?)決意表明もあって任務続行を決定した。

 

カカシは出血多量で死ぬかもという脅しが効いて慌てふためくナルトに、傷の具合を見るため、すでに手当に取り掛かっていたカミナの手元を覗き込む。

 

「あ、れ?……カミナ、おまえソレ…」

「……全力を尽くさずに、仲間が傷付くのは嫌ですから。私も覚悟を決めました。もう力の出し惜しみはしません」

 

カミナがナルトの傷口に行っていたのは、なんと医療忍術であった。

ナルト自身、九尾の力によって格段に高い治癒力があるが、カミナの術によって傷はほぼ完全に塞がっていた。ナルトは知っていたのかきょとんとした反応だが、しかしこの歳で医療忍術まで会得しているというのは、さすがに納得しがたいものがある。

 

「(天才、どころじゃすまないんじゃないの…?)」

 

カミナの逸脱した才に、カカシは違和感を覚え初めていた。

 

 

 

一行は川とマングローブの林を抜けて、波の国に上陸した。サスケにいいところを見せようと空回りな行動を見せるナルトだが、彼が誤って"白い"ユキウサギに手裏剣を投げてしまいサクラに怒られている間、急に周囲の警戒を強めたカカシに、カミナは一瞬遅れて身構えた。

 

「全員ふせろ!!」

 

カカシの鋭い指示にカミナとサスケがタズナを、サクラがナルトを地面に引き倒す。

半瞬後、なにか大きなものが回転して彼らの真上を通り過ぎていった。それはまさしく、死神の命を刈り取る大鎌のような……巨大な刀だった。

 

「へーーこりゃこりゃ、霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか」

「写輪眼のカカシと見受ける……悪いが、じじいを渡してもらおうか」

 

大木に刺さった刃の上に立ち現れた、カカシと同じように口元を包帯で覆い隠した大男。

意気がるナルトを制して、カカシは自らの額あてに手をかけた。そして写輪眼という言葉に、サスケはわずかな動揺を見せる。

 

「……再不斬、まずは……オレと戦え」

 

額あてで隠されていたカカシの左目は……縦に走る傷と赤眼に三つ巴の文様が浮かぶ、異形の瞳であった。

 

写輪眼――ある血族にのみ現れる特異体質の憧術であり、幻・体・忍術を瞬時に見切り、そして見極めた相手の術をコピーしてしまう驚異の力。そしてその一族とは今やサスケをひとり残すのみとなったうちは一族のことであり、カカシは…かつてこの瞳を、忘れ得ぬ戦友より譲り受けたのだった。

 

再不斬とカカシが、術によって濃密に立ち込める霧の中で激突する。

まずは標的のタズナに奇襲を仕掛けた再不斬を、カカシがすぐさま迎撃する。再不斬の水分身の術による囮、カカシもすでにコピーした水分身で応戦したが、裏の裏を掻いた再不斬によって川の中に蹴り飛ばされてしまう。水牢の術で完全に動きを封じられてしまったカカシは己の失態を激しく後悔しながらも、ナルト達にタズナを連れて逃げるように指示を飛ばした。

 

しかし、カカシが捕まった時点で、その選択肢はすでに消えていたのだ。再不斬程の忍を相手に、今ここで背中を見せることすら命とりであった。

再不斬が再び作りだした水分身に成すすべなく、ナルトが蹴り飛ばされる。その拍子に外れた額あてを踏みつけられ、恐怖に怯えていたナルトの表情からすうっとその感情が打ち消される……単身再不斬に突っ込み、再び吹っ飛ばされながらも取り返した額あてを強く頭に巻き直して、ナルトは堂々と宣言した。

 

「お前の手配書(ビンゴブック)に、新しくのせておけ!……木ノ葉流忍者、うずまきナルトってな!!」

 

サスケに起死回生の作戦を持ちかけるナルトに、再不斬は、かつて自身が行った忍候補生同士の殺し合いを語って聞かせた。未だ己の手を血で染めたこともないナルト(ガキ)達に、自分は倒せないと――再不斬は、殺気で畏縮したサスケを吹っ飛ばして地面に叩き付ける。足蹴にされたサスケは、容赦ない攻撃に堪らず血を吐いた。

 

「サスケくんっ!!!」

「ふん…他愛もねぇ……先にガキども殺ってもいいが、冥土の土産だ。サービスに忍の先輩として、いい経験を―――

 

 

 ――させてやろう」

 

「えッ!?」「なっ!!」

 

再不斬の最後の言葉は、突然ナルトとサクラの背後からの音に切り替わった。そこに現れたのは、2体目の水分身の再不斬。息を飲むタズナの前で、再不斬はすでに首切り包丁を振りかぶっていた。

 

「護衛の対象を目の前で殺される、己の無力さを味わえっ!!」

 

「おっちゃん!!」

「タズナさぁん!!」

 

「ッ!!」

 

――ザンッ!!――

 

再不斬の振り抜いた刃が、血潮の尾を引く。

しかしその瞬間、ボヒュンッと音を立ててタズナの姿が消えた。

 

「(なにッ!!影分身だと!?)」

 

いつの間に……しかし、カカシは水牢の術で捕らえてある。一体誰が――標的を失った水分身の再不斬は、次の瞬間、背後をドツっという衝撃に襲われた。

本体の目には――いつの間に回り込んだのか――息を荒くしたカミナが、クナイを深々と分身の再不斬の背中に突き立てている姿が映っていた。

 

「…やりやがる―――」

 

バシャン…と、水分身の再不斬が消える。

 

「オレ様の殺気のなか、唯一己を失っていなかったガキだな。骨のあるやつだとは思ったが、マジでただの小娘じゃねぇようだな…?」

「(カミナっ…!!)」

 

タズナと水分身が消え、水分身を刺したクナイを手にしたままその場に膝を付いたカミナ。

サクラは首がとれんばかりに二つを見比べて、驚きの声を上げた。

 

「え?え?カミナ?……タ、タズナさんは!?」

「…だい、じょぶ…さっき卍の陣で、倒れた時に……私の影分身と入れ替えたの…変化、させて…」

 

本物のタズナは、あの時からずっとカミナのもう一体の影分身と一緒に、茂みの中に身を潜めていたのだ。

 

「うっそ!いつの間に……」

「ハァ、ハァ…うッ……」

「えっ…カ、カミナッ!?」

 

崩れ落ちるように倒れてしまったカミナを、サクラは慌てて支えた。様子がおかしい。

カミナは息を荒くして、まるで痛みを耐えるように胸元を抑えていた――その場所は、先ほど影分身のタズナが斬られた位置と同じであった。

 

「くっ……ナルトぉ!早く、サスケを!!」

「ッ!分かってるってばよ!!――影分身の術!!!」

 

カミナは苦しい息の中、最後の力を振り絞って自分が倒れたことで動揺していたナルトに檄を飛ばす。

気合を入れ直したナルトとサスケの連携により、カカシを捕らえていた水牢の術を解くことに成功する。そしてカカシは、再不斬と熾烈な忍術合戦を繰り広げた末、あと一歩というところまで再不斬を追い詰めた。

しかし―――

 

――ザクッザクッ!!――

 

「!!」

「「「「!!」」」」

 

「フフ…本当だ 死んじゃったw」

 

現れたのは、お面をつけた少年だった。

再不斬は少年が放った千本で、絶命したのだ。

 

霧隠れの追い忍を名乗る少年は、再不斬の死体を抱えるとその場から立ち去った。

 

いろいろと動揺の多いなかで、ひとまずは危機を切り抜けた一行は再びタズナの家を目指す。

が、写輪眼の使い過ぎでカカシが倒れてしまい、カミナもまた影分身を使用した負担からか歩けなくなってしまっていた。

カカシはタズナに背負われて、カミナはナルトとサスケになぜか奪い合うように交代しながら背負われて道中を進んだ。その様子に、サクラがちょっぴり嫉妬していたとか。

 

 

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