......「コウ、またな」
「あぁ、キースこそ」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「はぁ......」
親友のキースと別れた僕は
真っ直ぐ寮には帰らなかった
小高い丘の上にある広場
ここで考え事をする様になったのは確か
士官学校に入ってしばらく経ってからだった。
「何時からなんだろうな...」
僕は何と無く...そう、物足りない気持ちを感じていた。
決して毎日がつまらない訳じゃない。
士官学校は厳しいけど楽しいし、
キースや...先輩の皆とも上手くいけている。
「だけど、本当にこれで良いのかな」
このまま連邦の士官になって、
皆と同じ様に生きていけば、
それなりに幸せなのかもしれない。だけど...
「それじゃあ、なんか嫌だよなぁ」
決められた道を進んでいくだけじゃ、
その横にある大切なものに気付く事はできない。
けれども、そんなものがあるという保証だってないだろう。
「うぅん...」
可能性に賭けてみる事も、諦める事も出来ず、
僕はただこうして、迷い続けている。
...僕が此処に存在する価値。
僕が此処に存在する意味。
それを、知りたい。今すぐに-------
「ふぅ、無茶苦茶だよな。こんなの...」
そう、呟いて、苦笑する。
そんな事が簡単にわかれば、
誰だって自分の生き方に迷ったりしないのだから。
「...帰ろう」
そう、コウが歩みだしたその時だった。
......助けて...
「え...?」
......誰か、助けて...
「頭の中で、誰かの声が聞こえる...? ...気の所為、だよな? 僕は、ニュータイプじゃないから......。でも、何なんだろう、この声は」
......このままだと...壊れてしまう...
......何もかも...消えてしまう...
「ぐぅっ!...頭が痛い...あなたは誰なんですかっ...どうなってるんですかっ!!」
......運命を止めて.........この世界を助けて!!
「う、うぅっ...、うわぁああっ!!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う、うぅーん......今のは一体...?って、うわぁ!なんだこれ!」
コウは辺りを見回す。朧げな記憶で分かるのは、ここが先程いた場所ではない、という事だ。
「何かの穴みたいだ...でもなんで、こんな所に?」
この場合、どう対処するべきか...。コウの頭の中は、逆に冷静であった。
「とりあえず、ここから出よう。現実かどうかはわからないけど、逃げていてもどうしようもないよな。」
この場からの脱出。決心したコウは少しづつ、穴を登り始める。
「ん?なんだこれ?宝石...じゃないよな。色んな色があちこちに飛び散ってるけど...」
コウが見付けたのは、よくわからない、綺麗な色をした石の様な物だった。
「無造作に散らばってるのが変だけど、一応持って行こうか。何かの役に立つかもしれないしね。」
「ん?...あそこにも何か落ちている...。......これ、途中で曲がってるけど、もしかして...剣かな?こんなの、本でしか見た事ないよ...」
次に見付けたのは剣であった。それも、本などで見る様な中世の剣だ。
「なんでこんな所に剣があるんだ?じゃあこの上には一体何があるっていうんだ!?」
コウは、また登り始める。穴の上へと...。
だが、コウが見た光景はあまりにも強烈なものであった。
「っ!...何なんだよこれはっ...!まるでMS戦が行われたあとみたいじゃないかっ!!」
コウは恐怖した。自分が見た光景は、MSでの戦争が行われた後の光景、そのものであったからだ。
「この人達は...やっぱり死んでるんだ...よな?死んでなきゃ...おかしいよな?こんなの...こんなの...っ....人が、沢山人が死んでるなんてっ!」
沢山の人の死体を前にしたコウの頭は、色んな感情に支配されていた。恐怖...悲しみ...恐れ...複数の感情が混ざった、不思議な感情だった。
「う、ううぅっ...うっ、うわぁあぁあぁぁあっ!!!」
コウは走り出した、無我夢中に...。溜まった感情を爆発させるかのように、もしくは、その感情を生み出したモノから逃げる様に...。
次から街に...