インフィニット・ストラトスー歪みの零   作:ライアス・レガルト

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遅くなってすみません!

だらだら長くかいてくお!


混迷の決闘3~スクランブル・デュエルⅢ~

 

「インフィニット・ストラトスにはそれぞれに微弱な意識のようなものがあり、パイロットの希望や要求を感じ取って自身の形を変えます。」

 

 

持ち前の童顔に似合わず少々小難しいこと言っているのは、我がクラスの副担任にして、小柄な割にナイスバディが過ぎる、顔面偏差値75くらいのお若い美人さんこと山田先生である。

 

 

彼女が教職を得てから間もないというのは、彼女の見た目から伝わってくる若さからして容易に想像できてしまうほどには明らかな事実であるのだが、

彼女の授業には新人である故の『熱』というか『必死さ』というか、なんというか『気持ち』と言える躍動感が込められているのだ。

 

ゆえに彼女の授業は真面目に聞いている限りは飽きない授業なのであり、入学して間もない生徒にとってもかなり分かりやすい授業なのである。

 

 

そして、

 

そんな山田先生のありがたいご教授が聞けるのはIS学園で執り行われる『パイロット育成プログラム』の中の座学の時間だけであり、

只今一年一組に所属するメンバーたちはその時間をありがたく享受している。

 

 

つまる所今は授業中なのである。

 

 

しかし時は4時限目の終了20分前、

 

昼時を直前に控えた学生たちがしつこく主張を繰り返す己の空腹感と際限なき戦いを繰り広げているはずの時間帯だ。

それに加えて食べ盛りの高校男児である一夏と零治の空腹度合は色々な形容詞を超えてもうパナいのである。

 

 

「ですからISを道具として捉えるのではなく、一緒に行動を共にするパートナーだと捉えましょうね!」

 

 

もちろんそんな状況下で、たとえそれがどんなに興味深く分かりやすい内容の授業であったとしても、授業をまともに理解できるわけなんてないのだ。

 

零治はもう授業の内容をインプットするのを止め、昨日の実験の考察をすることで空腹をごまかしている。

一方で零治の席の前方に位置する一夏からは一切の意識というか、ソウルを感じられない。

 

もはや一夏は板書に書かれた情報をノートへ受け流す交通機関のようなものに成り果てているような気がする。

 

 

「しつもーん! パートナーって、彼氏彼女みたいな感じですかぁ?」

 

 

突然発言したクラスメイトの女子の質問によって、山田先生の熱の入った授業に一旦ブレーキがかかった。

 

突然の質問に動揺を見せる山田先生。

 

彼女はチョークを両手で握りしめ、あからさまに焦っているような顔をしている。

その様子があんまりにあたふたしているからか、なんだか見れば見る程無性に彼女を応援したくなってしまうな……。

 

さながら卒業生代表がスピーチで泣き始めた時に、思わず『頑張れ!』といってしまう保護者のような心境だ。

 

 

まぁなんだ、山田先生……、頑張れ!!

 

というか質問をした女子も女子で、よくもまぁあそこまで熱の入った授業に割って入ろうと思ったものだ。その強心臓には恐れ入ってしまうというものである。

 

すっかり頬を赤らめてしまった先生は、モジモジという効果音が付きそうな俗にいうキョドったような挙動をしながら言葉を続ける。

 

 

「ど、どうなんでしょう……、私自身にそういった経験はない訳で……その……、あの……。」

 

 

その瞬間、

 

 

え~!? 先生付き合ったことないのぉ!?

うわぁ、すごい照れてる! 先生可愛い!

 

 

クラスの女子達が一斉にスイッチが切り替え、その場を一瞬にしてガールズトークの雰囲気に変えてしまった。

山田先生の顔が少々赤くなっている。

 

 

元気だよなホント……。

 

いたるところからキャッキャウフフという笑い声が聞こえてくる中、

 

 

 

(こ、これがいわゆる女子高のノリってやつか……、気まずい……。)

 

急に明るくなったクラスに馴染めない一夏と、

 

(コアとパイロットが彼氏彼女か……、もしかしたらそうゆう可能性もあるかもしれない。)

 

どうにも空気の読めないことを考えている零治である。

 

 

たかだか取り敢えず笑っておけばいいというだけなのに、どうしてこの男二人の表情はクラスが賑やかになるにつれて賑やかでなくなるのだろうか。

 

まぁ一夏のそれは完全に慣れていないというだけで、もしかしてしばらくすればクラスの空気に溶け込めるようになるのかもしれない。

 

 

だが、

 

 

(昨日の実験では『ISが人を選んでいるかもしれない』という考察をしたが、もしISに備わっている微弱な意識とやらが男性的な性格を持っていたとして、その結果パートナーとして選んだ人間がたまたま全員女性になったという可能性も考えられるね。)

 

 

コイツはほんとに空気が読めないだけである。

 

そして授業の受講を放棄してまで考えている事の内容は、結局のところ昨日の実験結果の事であり、山田先生の学生時代の恋愛事情や山田先生の授業の内容のことでもなんでもなかった。

 

 

 

 

 

結局、クラスメイト達の『山田先生イジリ』で四限の授業は終わってしまった。授業初日からパワフルなクラスである。

 

 

終了のチャイムが鳴り終わり山田先生が教室から出ていくと同時に、零治は一夏の机まで駆け寄った。

 

 

「一夏~聞いてよ、僕一人部屋だったんだ! もう最悪!」

 

 

駆け寄るなり、昨日あった事の愚痴を一夏に吐き始める零治。

一方で教科書をたたみカバンにしまった一夏はきれいになった机の上に突っ伏した。

 

一夏は一拍無言の時間を置いて、その後その口から大きく溜息をついてから、

 

 

「俺は箒と一緒の部屋だった……。もう最悪だ。」

 

 

そんなことをつぶやいたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

おいちょっとまてこの野郎、昨日お前の姉貴が『男女で同じ部屋などありえない』とか豪語してたじゃねぇか!

その割に一夏と同じ部屋なのかよ! 納得がよかんぞ!

 

というか最悪ってなんだ、最高じゃないか!

 

 

「なんだ? お前そんなに箒と一緒の部屋になりたかったのか?」

 

 

いや、別に絶対一緒じゃなきゃいやだってわけじゃないけども、

義理でも弟である身の上、やっぱり一緒にいたいじゃん? つもる話とかあるじゃん?

 

 

「というより僕はただ、一夏と箒が同じ部屋なのに『男女で同じ部屋などありえない』って言った千冬先生に納得がいかないだけですから!」

 

「ふーん」

 

 

熱くなってしまい必死の弁解を述べる零治を、一夏は心底興味のないといった感じで適当に流した。

 

 

「絶対勘違いしてんだろ一夏!!」

 

 

やはりこれも軽く流して弁当箱を広げる一夏と、そんな一夏の肩を揺さぶりまくる零治。

男子にしては小柄な彼のそんな動作は、はたから見ればもう完全にガキのそれだ。

 

抗議の声を上げる零治と気にせず食べ続ける一夏と、二人のそんな他愛のないやり取りは昼休みの終盤までつづいた。

 

 

 

 

 

「そういえばさ、零治。」

 

 

唐突に話が変わった。

そしてそれを言うと同時に、一夏は食べ終えた弁当箱をカバンにしまい、きれいになった机の上に突っ伏した。

 

「一夏、さっきから机に突っ伏してばっかだね。」

 

「うるせぇ」

 

 

なんというかコイツ、活力がないな。

 

 

「んで、なんだい?」

 

「いやさ………、」

 

 

一夏が何かを言い続けた瞬間、

 

 

「ちょっとよろしくて!?」

 

 

突然背後からかなり甲高い声で、とある英国少女がこれまた唐突に話しかけてきたのであった。

 

 

「ん?」

 

 

見るところ金髪縦ロールでスタイルがとても良い女の子(最近女子の評価がこればかりな気がする)でしかないのだが、

彼女からはとにかくもの凄い敵意を感じる。なにか悪いことでもしたっけな。

 

 

んまぁ! っと、一夏のレスポンスを聞くやなや金髪縦ロールの女の子はいかにも大袈裟に驚いたような顔を見せる。

 

 

どうやらその言葉遣い的に、彼女はいいとこ育ちのようだ。

 

 

「なんなのですかその態度は!? このセシリア・オルコットとクラスを同じくするだけでも、あなたのような庶民にとってはとても光栄なことでありますのに!」

 

育ちがいいのは言葉使いだけであったようだ。

初の対面の直後に言う言葉にしては、もう無茶苦茶なセリフである。

 

眉をひそめて反論しようとした零治をすかさず隣に座っていた一夏が遮り、彼はセシリアなる少女と対話を試みた。

 

 

「おっと悪い。俺、君が誰だか知らなくてさ、失礼なこといっちゃったよな。ごめんな?」

 

とてもいい笑顔とともにそんなセリフを吐く一夏。

なにこのイケメン!!?

 

 

「ワタクシの事を知らない!? このイギリスの代表候補生にして超エリートのセシリア・オルコットを?!」

 

 

一夏のマジ気遣い1000%な発言を、やり投げ選手顔負けの斜め45°の方向で解釈し、さらにヒートアップを開始するオルコット氏。

 

このままでは炉心が融解を始めレイヤードの電力供給が停止しそうなので、ここは一夏のフォローに回っておくとしよう。

 

 

「あ、因みに僕は知っているよ!」

 

「あなたには聞いておりませんわ! この猿!!」

 

oh……。

 

 

「そっか、オルコットさんは代表候補生なのか。」

 

 

一夏め、今僕がクロスカウンターをもらったクダリまで適当にながしやがった…。

 

 

「そうですわ、そんなスーパーエリートと一緒のクラスになれただけでも光栄なことなのだということをもっと自覚してくださいな!」

 

 

そういうとオルコット氏は両手を腰に当ててドヤ顔を見せつけてくる。

 

まぁ美少女でお嬢様であるのが合わさってか、中々サマになっているではないか。

 

というか寧ろもう後光が射しそうなくらいに似合っているのだが、

どうしてこうイライラするのだろう。

 

とにかく虫ずが走る……。

 

 

「なるほど、それは光栄だ。」

 

 

そう答える一夏からは、さっきまでの優しい表情が消えていた。

代わりにめいっぱいの呆れが感じ取れるような顔をしている。

 

とても感じが悪い。

 

 

「あなた、馬鹿にしていますの?」

 

「まさか、そっちが光栄だと言ったんじゃないか。」

 

 

二人はお互いににらみ合いを始めた。

クラスメイトも聞いていたのだろうか、完全に無言の時間が三人の周囲を、はたまた教室を支配している。

 

 

「……一夏、そろそろ5限だよ。」

 

「だそうだ、オルコット様。ご自分の席に戻ったほうがよろしいのでは?」

 

 

完全に煽りにいった一夏のセリフに、金髪少女の表情は力みを帯びる。

 

 

「あなた……!」

 

いまにも胸倉をつかんできそうな彼女を、クラスメイトたちが引き止める。

 

 

「セシリアさん! 落ち着いて!」

 

「これが落ち着いていられる状況で!!」

 

 

その瞬間、

キーンコーーンカーンコーーン、という突然のベルの音にセシリアのセリフがさえぎられると同時に、

織村千冬大先生が教室に入ってきた。

 

 

「授業だ、席に着け貴様ら。」

 

 

さすがにセシリアも織村先生には逆らえない、そそくさと自分の席に戻り始めた。

そんな彼女になにか捨て台詞を吐かれたような気がしないでもないが、聞こえなかったので別にいいだろう。

 

全員が席に着き、クラスが再び静寂に包まれると同時に、

 

 

「授業を始めるまえに、このクラスのクラス代表を決めようと思う。」

 

 

そんなことを千冬が言い始めた。

 

千冬の言葉によって皆の目はすでに千冬へ向かっており、先ほどの出来事について考える余地などカケラもない。

 

まったく、彼女のたった一言二言の威力は計り知れない。

 

持ち前の威圧感だけでは説明のつかないカリスマ性が彼女にはあるのだろう、すっかり教室の空気を支配している千冬であった。

 

 

 

そしてそれから始まった千冬の説明いわく、クラス代表とは学級委員のようなものなのだそうだ。

話し合いがあればクラスをまとめ、配布物があれば配布を手伝う。

加えて生徒会との会議や、代表同士の委員会のようなものもあるそうだ。

 

 

そこまでは普通の学級委員であるのだが、

 

 

「クラス代表には定期的に行われるクラス代表戦出場や、体育祭などではわがクラスの大将の役についてもらう。」

 

 

クラス代表戦とはISを使用したタイマン戦のトーナメントである。

文字通りクラス代表がクラスの名を背負って戦わされ、それに加えて体育祭ではクラスの大将ときた。

 

戦う委員長とはこのことだろうか、随分と物騒な役回りである。

 

 

「立候補でも推薦でもかまわない、だれかなれそうな奴はいないか?」

 

「はい! 織村くんを推薦します!」

 

 

すかさず入った織村推薦に、前方に座る一夏は何かわめいている。

まぁ普通はそうなるはな。

 

 

「だって、学園唯一の男なんでしょ? うちのクラスの代表になるべきだって!」

 

 

零治も一応男である。

 

 

「そうそう! 織村君ISも使えるんでしょ!? じゃぁもうなるしかないよ!」

 

クラスに世界で唯一ISを使える男がいるとなれば、

その男がクラスの代表になるのも至極もっともではないにしろある程度読めた展開ではある。

 

が、たとえそれが読めた展開であったとしても、この展開は非常にまずい流れである。

 

 

「他に立候補する人間はいないか? いないなら、織村で決定なのだが」

 

 

なぜなら、

 

 

「まってくれ千冬n…

「納得がいきませんわ!!!!!」

 

 

オルコット氏がとても不満そうにしているからである。

まぁ先程のにらみ合いを見れば、彼女の不満具合もしょうがないような気がしないでもない。

それはもう凄い剣幕で一夏を睨めつけている。

 

 

「男がクラス代表など! 恥さらしもいいところですわ!」

 

 

高らかに叫び始めた彼女に、

 

 

「ただでさえこんな文化の遅れた極東の貧相な土地で過ごさねばならないこのセシリア・オルコットが、あまつさえその極東のサルにこのような屈辱を味わわされるだなんて!ありえま…

 

「イギリスだって大した文化持ってねぇだろ。ろくな飯もない国の、どの辺が極東より豊かなんだよ。」

 

 

こんどこそ一夏は明確に敵意を向けた。

零治はもうあきらめた目をして一夏を見ている。

 

 

「イギリスだって、おいしい料理はございますわ!」

 

「あいにく俺はフィッシュ&チップスだけじゃ、あきちゃうな。」

 

「あなた…、わたくしの祖国を……」

 

 

再び二人の瞳はお互いに威嚇を開始する。

当事者二人の間にはもちろん、その場に居合わせたクラスメイト達までもがとてつもない緊張感に包まれた。

 

……ん? おい今千冬先生がニヤッとしたぞ! 先生がこの騒ぎの火の元だっていうのに!

 

いや、もしかしたら先生がこの状況を意図的に引き出したのかもしれない。

わざわざ一夏が代表に推薦されるであろう聞き方をし、半場強引なやり口で代表を決定にせまり、オルコット氏が反発する……。

 

改めて考えてみれば見るほど千冬の差し金っぽい。

 

 

「決闘ですわ!」

 

 

今横文字に見えた奴は名もなきファラオの魂を身にやどしているのかもしれない。

 

 

「あぁいいぜ? しのごの言うより分かりやすい。 ハンデはどれくらいつける?」

 

「威勢がいいかと思えば、さっそく命乞いですの?」

 

 

あ、いや…、と一夏はつぶやき、頭を手で掻きながらセリフを言い放った。

 

 

「俺がどのくらいハンデつければいいかって話だよ。」

 

 

その瞬間、零治と一夏を除くクラスメイト全員が笑いはじめた。

 

 

「織村君、男が女より強かったのはISができる前の話しだよ!」

「男と女が戦争したら男は3日ももたないって言うし!」

 

「なにを言い出すのかと思えば、日本の殿方はジョークがお得意なようですね。」

 

 

そう言ったオルコットも他のクラスメイト同様に笑っている。

 

 

「織村君っておもしろいねぇ、」

「現行の兵器じゃISに絶対にかなわないのに」

「ISが使えない男なんかが女に勝てるわけがww」

「男の軍人さんだってもうIS部隊の駒だよ駒!」

 

 

クラスメイト各々が口々に女性の優位性を発し、ゲラゲラ笑っている。

そのあまりのすさまじさに、最初は『やってしまった』とでも言いたげな表情をしていた一夏の顔は、だんだんと闘志を帯びてきている。

 

 

(あぁ、あれはかなりあったまってるね。)

 

 

クラス中から聞こえる笑い声の中、零治は教室後方、それも偶然なことにオルコット氏の隣にあたる席に座りながら、

その見慣れた光景をどこか遠い目で見つめていた。

 

(僕が研究室に入った時からそうだったよ、まわりの女たちは男がISに関わりを持とうとするたびに、今のと同じようなことをひたすら吐き散らしていた気がする。)

 

 

彼女たちは決まってこう言う、ISがあるから女のほうが優位だ、……と。

 

このセリフはISに近づいた男がよく言われるものであろう。

今の一夏しかり、

研究室の設備を借りたときも、そういえばISトライアルで入賞した後の控え室でも言われた。

 

 

そんなに彼女らは男がISに関わりを持つのが嫌なのだろうか。

それではまるで、女性の価値までもがISによって守られているみたいじゃないか。

 

女性のみが武装できる世界最強の兵器にして、女性に社会的な力までをも武装させる。

それが今のISの形であり、女性たちに歪められた社会の中心である。

 

 

「いい加減静まれ馬鹿どもが……」

 

 

そんなことを考えていたからだろうか、

 

 

「ここの小娘共にとって、織村がオルコットと戦うことはたいそう面白いみたいだが……、」

 

「藤原、貴様はどう思う?」

 

そんな突然の問いに対して、

 

「どいつもこいつも、ISを自分たちの力だと勘違いしていますね。」

 

建前を言う暇がなかった。それくらい反射的な反応だったのだ。

 

そして零治のその言葉に、クラスは一斉に静まった。

 

 

 

 

 

「男と女が戦争したら三日は持たないって言ったけど、世界はそんなに単純なつくりをしていないよ。ISを管理しているのは国であって、個人じゃない。」

 

そもそも、

 

「ISは兵器じゃないだ。」

 

姉さんはそんなものを作りたかったわけじゃない、彼女は宇宙を目指していた。

 

 

「それがあるからどっちが強いとか、あっちが弱いとか、ISをそんな評価基準にしないでよ。ISは戦いの道具じゃない。」

 

 

天才といわれた姉と過ごした数年、彼女は何を支配しようとも、はたまた女性の地位を上げようとも考えていなかった。

 

だから許せないのだ。

ただ強いISを作ろうとする研究者たちが、IS乗りになって人より強くなろうとする人間が。

 

 

藤原零治は許容することができないのだ。

 

 

「それにもし、ISが君らと男たちの強さの違いを決定づけている絶対条件だとしても、」

 

「一夏はISに乗れる。その時点でISという基準は意味をなさない。つまり力関係は元通り、君達全員、男らしく覚悟を決めている一夏より、断然弱い。」

 

 

かなり感情的に言ってしまったのだろうか、

零治の盛りに盛った評価に、クラスメイトたちはきつい目線を寄越してくる。

 

まぁさっきのセリフは少々大げさに言いすぎた。

 

ISという評価基準を取り除いたとしても、元より男と女の強さの差なんて存在しない。

というか強い弱いを何をもって評価しているのかさえも不明だ。

 

多少腕力が弱くても、頭が良ければ勝てる勝負は勝てるし、腕っぷしが強くてもチンパン野郎なら負ける。

ようは男が強いだの女が弱いだの、そういう評価さえも無意味なのだ。

 

 

ではなぜあんな言い方をしたのかというと、

単純な話、単に零治が彼女らを気に食わなかったからだろう。

 

さんざん女が優位だのなんだのわめき散らしても、自分の研究結果を見せれば見事に押し黙ってしまったあの研究員達が、

どうにも今のクラスメイト達と重なって仕方がなかったのだろうか。

 

 

零治はいまだにクラスメイト達をにらみつけている。

 

(実際には対して強くもない個人が語る『女性優位論』ほど、空虚なものはない)

 

まぁ自分のことも棚に上げていないでもないが、零治の話を聞いていた一夏は力強いまなざしをこちらに向けている。

どうやら彼の闘志のボルテージは今のでマックスになったようだ。

かすかに清々しさを含んだ笑みを浮かべている。

 

 

「決まりだな、決闘とやらは一週間後の第3ホールにて執り行う。それと織村、貴様の専用機が間もなく届くと思うが、そちらで戦ってもらうぞ。」

 

「分かりました。 専用機か……、」

 

 

クラス中から今度はささやき声が聞こえ始めた。

大方一夏の専用機デビューへの感想を共有しているのだろう。

 

 

「話が長くなった。もう黙れ、授業を再開する。」

 

 

千冬がその言葉を発した瞬間、先ほどまでのクラスの盛り上がりがまるで嘘のように霧散した。

一瞬にして授業前の静けさである。

 

「では授業を開始する、今回は『近距離・中距離における距離のつくり方と詰め方の考察』という単元をマスターしてもらう。教科書30ページを………、

 

そしていつもの授業が始まった。

 

 

 

 

 

それからの一週間は、特訓と勉強の毎日だった。

実技は箒が、IS操作の理論面は零治が担当し、一夏がオルコットとの戦いで最善を尽くせるための努力を重ねたのだ。

そんな一週間の努力を終え、

見事に迎えた決戦当日、藤原零治が転職してしまう程の大事件がおきたのだ。

 




ながかった!!!

次回はセシリア・オルコットと決闘だ!

今回じゃなくでごめんなさい!

それでは今回もこのような文章を最後まで読んでくれれありがとうございました。

良ければ来週もオナシャス!!
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