インフィニット・ストラトスー歪みの零 作:ライアス・レガルト
結構遅れたけどまた長々と投稿!
今回はセシリア戦だ!!
「そろそろ零くんもきづいたんじゃないかな? なんでISが男にはつかえないのか。」
「うん。なんで男につかえないのかというより、なんで女がISを使えるのかの方が正しいと思うけど。」
「さすが私の近くにいただけあるんだね。束さんは義弟の成長をうれしく思っているナウだよ。」
「ありがとう、姉さん。」
「それならさぁ、零くん。 なんでいっくんみたいな例外が存在しうるか、想像はつくよね?」
「想像はついても、意図的にその例外を作り上げることはできない。姉さんであっても。」
「そうだね、確かに無理だ。でもねぇ零くん。零くんの場合だけは特別なんだよ。」
「もしかして、ねぇさんは全部最初から……」
「うん、零くんが誰かとしゃべってるのは分かってたよ。大方第二人格みたいな感じなんだと思ってた。」
「そっか、そうゆうことだったんだ。」
「そうそう、だからISを作ったんだよ、零くん。」
「なんとなく、分かってきた気がする。ISがなんなのか。」
「じゃあさ、もう乗ってみちゃいなよ。零くんだけのISに、零くん自身のちからで。」
ISコアのラストナンバー、誰かさんがもうすぐ持ってくるんじゃないかな?
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・
4月13日の木曜日、全国的な大雨に見舞われたこの日だが、その日は一夏とセシリア・オルコットの決闘を明日に控えた日、俗にいう決戦前の一日というものであった。
それによってか一夏とセシリア・オルコットは両者ともに、明日に控えた決闘に向けて程よい緊張感をその身に感じながら一日を過ごしていた。
その様子がまた普段と違いすぎてぶったまげたものだ。それはもう朝からお互いにクールを極めていたからね。
それにしても、セシリア・オルコットのクールビューティーは実に素晴らしい。
やはりあそこまで気品があるとなんでも似合ってしまうのだろうか。
あの高飛車がなければ才色兼備の完璧お嬢様そのものである。
そんなセシリア・オルコットに比べて一夏の様子は、急に寡黙になってみた雰囲気イケメン以上の何物でもなかったよ。
一夏に関しては今後のキャラ立ちに期待するしかないだろう。
ところでそんな一夏だが、彼は先ほど授業が終わってすぐに自室へ帰っていったので、只今自室にて精神を統一しているはずである。
ちなみに今日の特訓はお休みだ。
僕としても、一夏に教えるべきことは全部教えたと思うし、箒も決闘前日まで練習を科そうとも思わなかったのだろう、あとは明日に備えて体を休めるだけだ。
僕も彼の緊張を壊さないように、一人でいそいそ研究に励むとする。
「ほ、箒ぃ…、何を怒っているんだよ……。」
「怒ってなどいない! いいからむこうを向いていろ! 着替えられないだろう!」
時を同じくして一夏の自室、とはいえ今は箒の部屋でもある一室において、緊張感のかけらもないエロゲ顔負けのドキドキイベントが生じていた。
箒の声で彼女から目を離した一夏の後ろから、シュルシュルと布が落ちる音が聞こえてくる。
その何とも言えない官能な音を、一夏は黙って聞いていることができず、たまらず箒に話しかけてしまう。
「ほ、箒って……、制服のスカート短いよな。」
(いやいや、何いってんだ俺!!)
「い、一夏貴様! 私のことを……そんな目で見ているのか……」
恥じらいを含みまくったセリフとこの場の状況が、一夏の何かを駆り立てている。
「そ、そうじゃない!! そういう意味じゃないからな箒!」
(落ち着け……、落ち着くんだよ、俺!)
「そ、そうか……」
「「・・・・・・・・」」
箒が着替えを続けている間、お互いに口を開くことができず、加えてお互いの顔は耳まで赤くそまっている。
理由は言わずもがな、
なかなか気まずい沈黙が二人の間を駆け抜けたのち、着替えを終えた箒が声を発した。
「一夏、着替え終わったぞ………、こっちを向いていい………」
「おう………、着物…なんだな……」
「!! これが私の寝間着なのだ!! あまりジロジロ見るんじゃない!!」
「す、すまん!!」
そもそもなぜ向き直ったのかわからないが、
箒の着替えが終わったところで、お互い向き合ったままでは何を言ってよいかわからないのだろう、直後両者ともに目線を下げ気味に黙りこくってしまった。
そして、
視線を下げた一夏の視線の先には、幸か不幸か、薄そうな着物に覆われた箒の豊満な母性の象徴が映りこんでしまう。
(あ、あれはやばい……、着物って世界一脱がせやすいっていうし、あれたぶん布で体を巻いてるだけなんだよな……ってことはあの薄そうな布の下は・・・・)
「ってこの流れはアカン!!!」
急に大声を上げて立ち上がり、understandさせてしまいそうな煩悩振り払った一夏。
そんな一夏を箒は驚きながら見上げる。
(よし、素数を数えよう!)
「1,2,3,5,8……」
(一夏が急にフィボナッチ数列を数え始めたぞ)
頭の悪さが露見させるというより、いかにも『僕動揺してます』とでも言いたげな一夏の挙動から、箒は一夏が何を思考していたのかくらい簡単に悟ってしまう。
いや致し方ありませんね、だって女の子の方がそういうの鋭いっていうし(いや知らないけど)。
しかしこの場においてそんなマセた思考は逆に自分を追い込んでしまうというもの。
もう恥じらいの程でラジエーターがイカレたのか、箒の顔はもの凄い勢いで赤みを増している。
知らぬが仏とはよく言ったものだ。
「い、一夏……、今日はもう明日に備えてもう寝ろ……。私は少し外へでる。」
それが一夏のためというよりは、自分がもう恥ずかしさで座っていられなくなっただけだ。
そそくさとドアへと向かう箒。
「え? おれまだ夕飯とか食ってないんだけど……」
「寝ろといっている!」
バタン!と戸を閉め、箒は一夏を置いて寮の廊下へ躍り出た。
彼女は凄い速さで足を動かし、みるみるうちに部屋から離れていく。
と、勢いよく飛び出したはいいのだが、
(さて、私はどこへ行こうか……。)
ああいった手前、あまりすぐに一夏の元へ帰ることはできない。かといって長い時間を何もなしでつぶすというのも辛いものがある。
(そうか、久々に我が弟のところへいってみよう。)
不意にそんなことを思いついた。
再会してから碌に話してなかったのも合わさってか、義理とはいえ姉として弟に構ってやりたく思ってしまったのだろう。
幸い男子寮という枠組みが存在しないうえ、彼の部屋に行くのに妨げとなるものはない。
(よしよし、そうしよう、それがいい)
そうと決まれば突撃あるのみ、久々に姉弟水入らずでゆっくり話そうじゃないか!
その年不相応に豊満な胸にかすかな期待を込めて、箒は階段を駆け上がった。
階段を駆け上がり零治の部屋の前に到着した箒は、
「やぁやぁ! 箒ちゃん!!」
不意に背後から聞こえたそんな声に対して振り返る前に、その声の主に対して若干のいらだちを覚えてしまった。
「…」
「怒らないでよぉ~箒ちゃん~。」
(今日という日は……、怒ったり期待したり恥ずかしんでみたり、忙しい日になってしまったものだ)
呆れた顔で振り返った箒の前には、メカウサ耳に開放的な衣装とフリフリスカートを装備したパープルヘアーの天才が、
今なお天災とまで言われる篠ノ之家長女が、その豊満な胸を目いっぱいに張って立っている。
いやはや姉妹そろってよく似ているね、どこがとは言わないが。
「箒ちゃんがここにいるってことは、今から言うことは余計なお世話になっちゃうかもしれないけど、」
それは普段の束を知る箒からみて、違和感を覚えるような束らしからぬ真面目な声色だった。
「われらが末っ子の零くんが今かなり悩んでいるんだぁ。」
だからさ、と一呼吸おく束。
「箒ちゃんが慰めてあげて! もちろん変な意味じゃなく。」
「姉さんが何か言ったのですか……」
もはや束の冗談に構ってやる心境でない箒は、やはり彼女の冗談を華麗にスルーし、同時に敵意をもって言葉を発した。
そしてそんな妹の敵意を同じく華麗にスルーした束は、またもや真面目な声色でこういうのだ。
「ちょっとね、転職を勧めてみただけだよ。」
その言葉の意味を図れずに考え込む箒を残し、束はいつの間にか去っていた。
それからのこと、暫く悩んだ箒は零治の部屋へ入る決意をし、というよりは零治の悩みとやらを解消する算段を立て、今では研究室と化していると噂の義弟の部屋へと足を踏み入れるのであった。
部屋に入るなり覗かれた零治の顔は、見るからに思い悩んでいるのを悟らせる顔であったのは言うまでもない。
はたまたそれを見たのが姉である箒である以上、いくら零治がいつもの調子を取りつくろうともそれが箒に通用するわけはなく、
つまるところ会話の主導権は着実に箒のものとなっていった。
そこからは箒の独壇場である。
次第に零治は心を開き、零治と箒は元の関係に、とどのつまり悩んでいるときくらいは腹を割って話し合えるような、いたって一般的な姉弟の関係に戻っていった。
「それで、何があったのだ、零治。」
箒は零治のすぐ隣に腰を下ろし、零治の肩に手を置く。
そんな箒の優しさによってか、零治は少しずつ己の悩みを吐露し始めた。
「僕さ、さっき束姉さんに、ISに乗るのを勧められたんだ。」
「お前が男なのにか?」
箒のその反応も、当然といえば当然の反応である。
一夏という例外が存在してはいるが、やはりそもそもISは女性にしか使えない。
そんな前提がある中での零治の唐突なパイロット転身宣言は、現実性がいささか欠けるどころか完全な夢物語にしか聞こえない。
そのくらいあり得ない事を零治は切り出したのである。
しかしそんな夢物語を大真面目に現実世界に還元してみせるのが、零治という一人の研究者であり、この先の未来を形作る先駆者候補のうちの一人なのである。
「うん。束姉さんは、僕がISがなぜ女性にしか乗れないのかを理解し始めたんだと、そう思っているみたいなんだ。」
彼はそんなことを口走った。
「実際にはどうなのだ?」
「そんなものわからないよ、確証なんかない。」
でも、
「仮説は立ってる。そしてそれはたぶん、正しいと思う。」
箒はそう言い放った零治をただ見ているしかなかった。
「束さんは、誰かが僕のISのコアをもってくるといっていたけど、実はもうコア以外の構成要素は作り終えているんだ。あとはもう、コアが来るのを待つだけ。」
IS作りが趣味だと、自己紹介でそんなようなことを言っていた彼にとって、
ブラックボックスといわれるISコアを除く、その他のISの構成要素など趣味として収まってしまうレベルの課題でしかない。
つまり零治は、ISコアさえ手に入ればいつだってISを完成させることができるのだ。
(零治は、常人には歩くことさえできない領域を一人駆け抜けていってしまった。)
もう随分と会わない間に、容姿や背の高さなどは昔のままだが、零治は箒の知っていた頃と比べてとても大きな人間になってしまった。
もしかすると、その人間性さえも箒が知っていたころのそれとは違うものになってしまったのかもしれない。
「でも、姉さん……」
「どうした?」
「ぼくは……、なんのためにISに乗るのでしょうか……」
若干震えたように聞こえたその声に、箒は確信した。
(違う。コイツは、零治は、何も変わっていない。)
「僕は……、束姉さんの夢をはき違えたこの世界を変えるために、ISというパンドラを必死に開けようとしています。」
「でも、だからこそ僕は、仮にISに乗った果てにどんな意味を見出せるのか、分からないんです。」
零治は単純な男であるだけだったのだ、追うと決めたものをひたすらに追い続け、異常なテクノロジーと技術を保持するに至った、ただそれだけのことである。
そこに零治の人間性の革新や、はたまた精神年齢の異常発達など、まったくもって起きていないのだ。
ゆえにバカ正直にしか見えない彼の行動が、『物を追う理由』ということをないがしろにしたことは一度もない。
だから悩むのだ、
零治がISに乗れるやもという事実を前にしても、たとえそれがどんなに他人に不器用だと言われたとしても、彼は理由が無ければそれを受け入れられない。
「乗りたくなければ乗らなければいいだろう。誰かが零治がISに乗ることを望んでいるわけでも、零治がISに乗ることで何かを生み出すことができるわけでもない。」
しかし、箒から見れば零治の悩みは甘えでしかない。
「お前は自分の目的のためだけに研究者としての道を選んだ。そしてそれが正しい。だから零治、ISに乗る理由を他の何かに求めるな。お前が心から望んだときに乗ればいい。」
零治の視線を感じながらも箒は言葉を続ける。
「なにも力を手にした途端に焦る必要もないだろう。焦る必要もなければ、使命感を感じる必要もない。『使いたいときに手元にあるだけ幸せ』とでも思っておけばよいではないか。」
乗りたいと思ったことが何よりの理由になるのだと、箒はそう付け足した。
「姉さん……」
そうして箒は若干小柄な弟の頭に手を伸ばし乗せてみる。
(小さなころは、私が背伸びをしてまでこうやって頭を撫でてやっていたものだな。義理とはいえ、あれも姉としての意地というやつだったのだろう。)
暫く撫でていると、いつの間にか零治から寝息が聞こえてくる。
それを見た箒は若干の微笑みをみせ、掛け布団を零治に掛けてやってからゆっくりと零治の部屋を去った。
そして日が変わり迎えた決戦の日、
授業を終えたクラスメイト一同は、パラパラと観客席へと集まってきている。
もうセシリア・オルコットはISをまとってアリーナ上空で待機しているが、一夏は今ごろ自分の専用機と初対面をしている真っ只中といったところだろう。
いやはや、まさか試合当日まで専用機が届かないとは・・・。
一応前もってセシリア・オルコットの機体に対しての対策だとか基本操作のコツのようなものは教えてはいるものの、それもこれも一夏が専用機を扱えなければ意味をなさない。
はてさて、ISの実戦もなければ演習もなしの状態でイギリス代表候補生と本当に戦えるのだろうか。
なんだかどうしてもフラフラと飛んでるところを呆気なく狙撃されてしまう光景しか浮かんでこない。
一方でセシリア・オルコットに同じく啖呵を切られた零治だが、彼はやはり他生徒と同じように観戦席に座っているだけである。
しかしただいま零治の心の内は、もう決闘どころの話じゃなかった。
(やばいやばい、いい年こいて昨日の僕は箒に完全に……! 気まずいハズイあsdfghjkl;ふじこ)
隣に座っている箒にチラチラと目線を向けながら、そんなことを思っていた。
正直に言おう、昨日の自分を思い出して死にたくなるばかりである。
「おお、一夏が出てきたぞ!」
(いつまでも考えていてもしかたない、ここは忘れて一夏を応援する!)
若干ふらふらとした挙動で空へ上がった一夏を眺め、零治は一人の観戦者になった。
やっとのことで上空に上がってきた一夏は、自分専用ISの特徴を確認し始める。
システムの補助なのか、自分の視界のわきにパソコンのウィンドウのようなものがいくつも宙に映される。
(機体名は白式、ビャクシキって読むのか……武装は……え? ブレード一本??)
この決闘、ルールは競技種目であるIS戦の公式ルールに則った一対一の模擬戦闘である。
ISに搭載されたどんな攻撃をも無効化する絶対の防御機構「バリアー」に攻撃を当て続け、
敵のバリアーの構成に必要な「シールドエネルギー」を先に削りとれば勝利、削り取られれば敗北となる。
つまりどれだけ相手にダメージを与えられるかという、なんだか古風なロボゲーに近いルールであるのだが、
一夏の機体はまさかのブレオンであった。
ちなみにブレオンとはブレードオンリーの略である。
「逃げずにこの場に来たのをお褒めしましょう。」
まぁ剣があれば問題ない、俺はそれさえあれば戦える……!
「おう! お前の長い鼻をへし折ってやっからな!」
見るからに楽しそうな表情と声に、セシリア・オルコットの眉は少し寄る。
「余裕をこいていていいんですの? 勝負はもう始まっていますのよ。」
ジャキッという効果音とともに、セシリア・オルコットは青くて巨大なスナイパーライフルを構えた。
「ああ、いいぜ? かかってきな。」
「!! バカにして…、行きますわよ! スターライトMarkⅡ!」
そういうや否や、引き金を絞ったセシリア・オルコットの対面、比較的離れた距離にいた一夏の右肩に青白い線のようなものが突き刺さった。
さてスターライトMarkⅡと呼ばれたその武装、只今セシリアに扱われて一夏をうちぬいた銃の概要は、大雑把にいえば『イギリスが試作した大型スナイパーライフル』であるのだが、
その武装には『試作型』と呼びにふさわしい程の『最新のテクノロジー』が搭載されている。
従来のビーム兵器が『加速させられ高いエネルギーを獲得した粒子』を敵機に投射するという形であったのは言わずもがな。
その際実際に飛ばす『粒子の集合体』は、集合体とはいっても粒子である以上質量が少ない。
弾速の初速はそこそこ出たとしても、実弾兵器以上に大気中における弾速と威力の減衰率が非常に高いのだ。
それゆえ近距離での打ち合いであるなら、比較的早い弾速であり実弾以上にシールドエネルギーへの干渉力が高いビーム兵器は有用性が高いのだが、
遠距離戦での使用は前述のとおりビーム兵器が持つ性能の10%も引き出すことはできない。
なぜなら大気を飛ぶ際に空気抵抗によって粒子の活動がどんどん減っていき、
運動量が一定量を下回ると粒子を集合体としてとどめる力(地球でいう引力)を失い、大気中に霧散してしまうからだ。それも早い速度で。
よって威力も弾速も落ち、兵器としての意味をなさなくなってしまう。
分かりやすい例えを述べるなら、野球の硬球とバドミントンの羽が同じ140キロで打ち出されたとして、
硬球はすぐにキャッチャーミットへと到達するのに対してバドミントンの羽は到達する前に大きく軌道をずらして速度が極端に落ちてしまう。
実弾とビーム兵器の違いを端的に述べるとそういうことだ。
ゆえに遠距離用の武装であるスナイパーライフルにビーム兵器を搭載するのは愚の骨頂であり、
現実にどのスナイパーライフルにもビーム機構は搭載されることはなく、ほとんどは実弾兵器としての運用をされていたのだ。
だがしかし、
セシリア・オルコットの操るこの『スターライトMarkⅡ』は、何を隠そうビーム式のスナイパーライフルであった。
再びセシリア・オルコットはその銃口をぴったり一夏のISに向けて引き金に力を加えた。
(このタイミングだ!)
その瞬間、一夏の操るISはギリギリのところで攻撃を回避する。
すかさず一夏はセシリアとの距離を詰めようとするが、セシリアがもうスピードで一夏から遠ざかった。
(くそ、あんなに直線的で射撃を当て易そうなバックブーストだったのに……、近接武装だけじゃ意味がねぇ……!)
一夏は上空へと逃げたセシリアが再びスターライトMarkⅡを構えているのを確認すると、セシリアの下をくぐり抜け照準を狂わせようと試みるが、
「重力を無力化するISに、上も下もありませんのよ!!」
セシリア・オルコットはまったく照準が狂った様子も見せず、上空の彼女の真下を通った一夏の背中を正確にうちぬいた。
通常のビーム兵器ならとうに威力が減衰し、その加速粒子の軌跡はあらぬ方向へと曲がり、
とてもじゃないが敵に当ててダメージを奪うだなんてことはできそうにないはずの距離から。
「くそ! ビーム兵器の癖に射程も威力も高すぎる!」
レーザー兵器というものをご存知だろうか、
莫大な光量と波形が変形された電磁波により、エネルギ密度を極限までに引き上げた光。それがレーザー兵器である。
主な使用方は物体に高エネルギーの光を当てることで着弾面を蒸発させ、やがて貫通させるというもの。
その本質は銃弾を飛ばす実弾兵器や加速させた中性子を飛ばすビーム兵器と異なり、エネルギーを直接物体に伝えるというものだ。
視認のできないレーザー兵器は、光速に等しいその速度ゆえにどんな人間であっても回避は不可能であるのと同時に、
照準さえ合わせられれば引き金を引くと同時に対象に穴が開く。
その攻撃に対して防御手段はほぼ無い。
感覚的にはもう魔法といっても差し支えないだろう。
例えどんな距離に対象があっても、起動すれば対象に風穴があくという魔法。それがレーザー兵器だ。
一見絶対的な矛のように見えなくもないこの兵器だが、実は弱点が存在する。
その一つはいわゆる、『鏡』に反射してしまうという点だ。この場合の鏡というのは軍用に作られた超耐久の専用反射板のことだが、
これについてはレーザーを放つ側がレーザーの威力を増幅させる為の反射板として作られたものにすぎないので、わざわざ弱点として挙げるのも今更ではある。
では一体何が弱点なのかというと、
そもそも光の本質が電磁波であるという点にあるのだ。
特殊な波形を持った電磁波を展開すると、レーザーの持つ電磁波が攪乱されその指向性を失う。
そして持っていたエネルギーはその場で熱と化して大気中に霧散してしまうのだ。
レーザー兵器が開発されると同時に、
このような弱点に気付いた各国が、自国の防衛システムに電磁バリアを採用しないわけがなく、レーザーの有用性はすぐに皆無になってしまった。
よって当初は戦力として注目されていたレーザー兵器も、配備されてすぐに産廃扱いされる羽目になってしまったのだが、
だがしかし、
セシリア・オルコットの操るスターライトMarkⅡにはそんなレーザー機構もまた、搭載されていた。
もちろんISにもレーザーを無効化する機能が搭載されているが、イギリスのエンジニアたちはレーザー兵器のもった性質を視点を変えて使用したのだ。
「ISに対してレーザーを放つのではなく、ビームとして投射された加速粒子に対してレーザーを放つ技術。」
零治は試合を見ながらそんな事をつぶやく。
ISに対してではなく、
エネルギーが減衰し遠距離まで届かないビーム粒子の集合体に対して、高エネルギーのレーザー光を直接放つことでエネルギーを補充する。
つまりレーザーの持つエネルギーを加速粒子に投射し、ビームの形状を安定させるためのエネルギーを常に補給し続けるというもの。
そんなビームとレーザーの二段構造が、セシリアの操るスターライトMarkⅡには搭載されているのだ。
「結果的に高いエネルギーを保持したまま着弾することになるから、威力も落ちず、弾速も変わらず、射程距離は理論的に無限大………。」
それぞれ単体ではとても使えたものじゃない程の兵器であるが、
それらを組み合わせることでまさにオールレンジとも言える最高のスナイパーライフルが完成してしまったのだ。
どれだけ遠くに敵がいても関係ない。
そしてそんなスナイパーライフルにとって、
いくらIS戦闘用に広く設計されているとはいえども、たかが一つのアリーナ内で行われる戦闘の中で生じた距離など、必中距離圏内以外の何物でもないのだ。
「くっそ! 全然よけられない!!」
いくら距離をとっても、どんなにフェイントをかけても、ISを操作して初日のド素人行う回避運動などスナイプ特化の代表候補生にしてみればただの動くマトだ。
どんなに回避しても埒があかない一夏は、一旦落ち着こうとアリーナ中央に着地した。
(これがイギリスの第三世代型、ブルー・ティアーズ……。世界で最先端をゆくISの力かよ!)
そうぼやいた瞬間、
「着地なんてしているようでは…! 狙撃可能なこのブルー・ティアーズに勝てるわけありませんのよ!!」
一夏の頭上真上、
地面にいる一夏とは対照的に、アリーナに設定されている限界高度ぎりぎりでスターライトMarkⅡこと大型スナイパーライフルを構えるセシリアは、今まさに一夏に向けて次弾を放とうとしていた。
「っ!! ここだ!」
一夏は直撃の瞬間、自分の真上でライフルを構えているセシリアめがけて一直線に加速した。
構わずセシリアはスナイパーライフルの引き金を引き、その光線は一夏の頭へ見事命中したのだが、
「反動が無いんじゃ銃としていかがなものかと!!」
白式はそのままの勢いでセシリアのISに突っ込んだ。
「しまった!!」
そう、
高水準の速度と威力を誇る最新鋭のビーム兵器といえど、やはり試作型、そこには決定的な弱点が複数存在している。
「その一つ、エネルギー供給の役を担うレーザー光線が案外低出力だということ。」
IS用の武装といっても、
レーザー兵器がそもそも莫大な施設群を必要としている兵器であるので、極端に小型化してしまったそれが従来の威力を元通りだせるかと聞かれれば『YES』と答えることなど到底できない。
その結果とても低出力なレーザーしか再現できなくなってしまったのだ。
そしてさらにそれは『レーザーがビーム体に対して補給できるエネルギーがとても少ない』ということを意味する。
「ゆえにビーム体は、低出力なレーザーから補給される少ないエネルギーでビーム体の形を維持しなければならない。」
もし最初に投射するビームの粒子量が多い場合、それらの粒子の集合体の形状を維持するためにはより大きいエネルギーが必要になる。
そしてその逆もしかり、最初に投射するビームの粒子量が少なければ形状維持に必要なエネルギーはより小さくなる。
つまり、
射程距離無限大という前提条件の上で、
より大きいエネルギーが補給できるのなら、たくさんの粒子をビーム体として発射しても形状が維持されたまま飛ばすことができるのだが、
もし小さなエネルギーしか補給できなかった場合、飛ばす粒子量を減らさなければ形状維持に必要なエネルギーの補給が間に合わず、途中で形状を崩し霧散していまうのだ。
「よって投射するビーム体の粒子量を減らさなければならなかった。それにより質量が減ってしまったビーム体は着弾時に物理的な衝撃を与えることができなくなったんだよ。」
そしてそれを事前に零治に聞いていた一夏は、
『バカ正直に突っ込んでくるマト』を装い、セシリアが足を止めて射撃をするタイミングめがけて一直線のブーストダッシュを仕掛けたのだ。
反動がないことを生かし、ダメージ覚悟で敵の懐に突っ込む。
その作戦がうまくいったのか、両機は互いにその場で殴り合いができるくらいの距離まで接近していた。
一瞬にして至近距離に入った一夏に対し、咄嗟にセシリアは腰についたミサイル二発を放ったが……。
「この間合いは俺のだ!」
持ち前の反射神経で片方をブレードでたたき切り、片方をさながら闘牛士のような形で回避する。
箒の特訓の成果か、
相手の一瞬の隙を見逃さない剣道眼に加え、ISのシステムアシストによる認識領域の拡張により接近戦ではブレードを持つ一夏が圧倒的だ。
一夏はここぞとばかりにブレードでラッシュをかける。
「うぉぉぉおお!!」
小さく悲鳴を上げたセシリアは、せめてもの抵抗かその手に小さな短剣を出現させる。
「インターセプター!!」
必死のおもいで一夏のブレードをはじき返したが……、
「そんな短い得物でぇえ!!」
一夏ははじかれたブレードをすぐに両手で頭上に構え、力の限りの気合と全体重を込めたブレードを、セシリアの頭におもいっきり叩きつけた。
ISのパワーアシストも合いまった『大根切り』である。
直後すさまじい爆音と共に一瞬で限界高度から地上に叩きつけられたセシリア。同時に大量の砂埃がアリーナを包む。
ISのシールドエネルギーはまだ残っているが、
もの凄い勢いで地面に叩きつけられたことによって、シールドで消しきれなかった衝撃がセシリアを体を痛めつける。
(くっ! 起き上がれない……!)
(うまく大ダメージを奪わえたのはいいが、まだアイツはあれを使っていない……。安心するにはまだ早いか!)
零治のレクチャーの中で、セシリアのISには新型のスナイパーライフルに加えてもう一つの新技術が搭載されていると教えられた。
無線式遠隔誘導兵器、もしくは自立機動兵器と呼ばれる部類にカテゴライズされるであろう新技術、
射撃型特殊レーザービットこと『ブルー・ティアーズ』である。
機体名の『ブルー・ティアーズ』がこの兵器の名前から引用されているということだけあって、この兵器こそがセシリアのISを象徴するメインアームであるはずなのだが……。
(さっきのラッシュのタイミングで使わなかったのが引っかかるぞ、どう考えてもさっきは使うタイミングだったはずなのに……。)
いや待て、
(もしかして使用できなかったのか? 他の行動に気を取られていると制御できないという可能性も充分にありえる。)
だとしたら非常にまずい。
なぜなら今一夏が上空で滞空しているのに対し、セシリアは只今地面に叩きつけられ地上で横たわっているのである。
充分に距離の離れた両者の状態を鑑みるに、セシリアがビットを使うタイミングは……!
(今か!?)
砂埃が晴れて視界が晴れた瞬間、
一夏の目には彼の周り360°、その全方向がセシリアの操る青いビットによって完全に包囲されているのが映った。
「んなっ!?」
一斉に全方向からビームを叩きつけられ、一夏のISのシールドエネルギーが大幅に削れた。
なおもビットが一夏のISのシールドエネルギーを削ろうとビームを放つ。
「だとしても!!」
何発かビームを食らいながらも、一夏はブレードで何機かビットを叩き落す。
(ビットは必ず相手の死角に入るように配置してくる!)
零治に教わったセシリアの癖を参考に、残ったビットを的確に切りさいた。
(あぶなかった! 今のでもうエネルギーがほぼないぞ。)
決死の回避と反撃でなんとかビットの攻撃から逃れた一夏だが、もうエネルギーは次の被弾を許してくれないだろう。
早いうちにセシリアにとどめを刺そうと地上に目をやった一夏だったが、
その視線の先に居たセシリアは、地面に背を預けながらもその手にスナイパーライフルを構えてこちらをとらえている。
距離もそこまで離れていなく、かといってブレードで切りかかれる距離ではない。被弾覚悟の特攻作戦もこのエネルギー残量では撃ち落とされるだけ。
絶対に躱せず、絶対に撃ち落とされ、絶対に届かない。
まさに必殺必中の距離だった。
「もらいましたわ。」
一瞬でも動いてしまえば、その瞬間に撃ち抜かれてしまうような錯覚を感じ、一夏はその場に縫い付けられたかのように動けなくなる。
完全に動きを止めた標的にピッタリと標準を合わせたまま、
セシリアはその引き金を引いた。
「あのバカ、完全に機体に助けられたね。」
光線が刺さった一夏のISがすさまじい光を放ち始めたのと、零治がそうつぶやいたのはほぼ同時だった。
「なんだ!? なにがおきたのだ零治! なぜISが変化している!?」
光に包まれ姿を隠した一夏のISが、その輪郭をかすかに変化させているのを箒は見逃していない。
しばらくして変化が終わったのか、光は人型のシルエットを形づくりその状態を保つ。
アリーナのど真ん中、それも少し見上げるくらいの上空において眩い光を放つ人型のシルエットは、先程まで泥臭い接近戦を行っていたイメージと打って変わってもはや神々しい何かを彷彿とさせる。
「一次移行、ファーストシフトだよ。これでやっとあのISは一夏の専用機になったんだ。」
やがて光が薄れ、新たな姿を得たISと、それを纏う一夏が姿をあらわした。
「あなた……! 先程まで初期設定で戦っていたとでもいうのですか!」
「そうみたいだな、」
そういうやいなや、一夏のISが再び輝きを発し始める。
先程の全身を覆い隠すような真っ白い輝きではなく、全身が黄金色を纏ったような、そんな輝きは発し始めたのだ。
『ワンオフアビリティ { 零 落 白 夜 } 起動』
そんな中、彼の視界にはまたもやPCのウィンドウのようなもので、そんなようなメッセージが表示されていた。
(そしてこのブレード、雪片弐型というのか……、千冬姉のISが持っていた雪片の後継機……。)
かつて、
千冬が日本代表としてISに乗っていたころのこと、千冬はこの剣一本だけで向かってくる敵を切り裂き、叩き落していった。
やがて千冬が世界最強の名をものにしてからも、彼女は外部の武装集団に襲撃されればそれを撃退する毎日。
時には一夏が誘拐されてしまうこともあった。
しかし千冬は、やはりその剣一本で弟を救い外敵を蹴散らしたのだ。
一夏への脅威を例外なく打ち払う。
当時両親を亡くしていた姉弟の姉は、そうやって幼かった弟を守り支えていたのだ。
でも、
「もう、姉に守ってもらうだけの毎日は終わりだってことだな。」
この剣が今俺の手にあるということは、
「こんどは……」
千冬姉が俺を守り続けてくれたこの剣で、
「俺が千冬姉を……みんなを守る!!」
一夏は地面に背を預けているセシリアめがけて、一直線に向かってゆく。
その手には青白い輝きを放つ姉の武器が、その体には黄金が。
一夏の雄たけびがアリーナに響きわたる。
「! ですが、エネルギーが少ないのは変わらないはずですわ!」
怯まず一夏にスナイパーライフルを放ったセシリアだったが、
その光線が一夏のISの表面に届く直前、白式がまとった黄金の輝きに触れた瞬間、
青白い光の筋が突如として消失した。
「ビームを…はじいた……??」
あの輝きは一切のビームを無効化してしまうとでもいうのだろうか。
ならミサイルならどうだろう? いやだめだ。完全に見られてる状態で打ってもさっきみたいに躱されるにきまってる。
どう転んでも、今セシリアに一夏を止める手段がないことは明白だった。
次第に回復してきたはずのセシリアの体は、再び恐怖で動かなくなる。
(や……やられる!!)
「きゃあ!!」
「でやぁぁぁあああああ!」
鬼神の如き勢いを帯びる一夏の剣が、セシリアの胴をとらえる直前、
ブーーーーーッ! というサイレンとともに、試合終了の合図がかかる。
『試合終了!! 勝者、セシリア・オルコット!!』
「「は?」」
気付けば一夏のシールドエネルギーの残量は0を示していた。
一気に力が抜けたのか、勝者セシリアはその場で完全に仰向けになった。
まだ恐怖が残っているのか、目の前にかざしてみた手は小刻みに震えている。
「その……、ごめん……。怖い思いをさせちゃったみたいで………」
その様子を見ていたのか、一夏は自分に対しての恐怖によって震えている目の前の少女に対し、ただ謝ることしかできない。
他に何をしてあげればいいのか分からないのだ。
そんな一夏を見たセシリアは、その手と足を震わしながら微かに笑ってみせる。
「お優しいのですね。でも、決闘と申したのは私ですわ。文句は言えません。」
それよりも、と言いながら、セシリアはなんとか立ち上がる。
「先日の無礼をお許しください。 男性というのは弱いものだと勝手な勘違いをしておりましたが、あなたのようにお強くてお優しい方もいるのですね……。」
「いやいや、いいっていいって。俺も売り言葉に買い言葉でオルコットさんに散々言っちゃったからさ!」
「えっと……、その………。」
「ん? どうしたんだ?」
勇ましい様子だったセシリアが急にしおらしくなったかと思うと、
「セシリアでいいですわ………一夏……さん。」
頬を赤く染めながらそんな事をつぶやいたのである。
「おう、分かった。よろしくな、セシリア!」
そういった直後、一夏の視界にISから{LOCKED}というメッセージが表示された。
「なんですの!?」
『非常警報発令! 正体不明機がアリーナに接近中! 生徒は直ちに避難してください!!』
山田先生のアナウンスが入った直後、猛烈な衝突音と共にアリーナの地面に何かが突っ込んできた。
観戦席に座っていた零治はこの事態に思わず立ち上がってしまっていた。
「まずい、まずいよ!」
「!? いや、たしかに今の状況はまずいな、敵の戦闘力が未知数だ!」
「違うよ姉さん。そうじゃない。」
「?」
箒の相槌はさっそく否定した零治の額に、汗が流れる。
「このアリーナ、観客席とフィールドの間には強力なバリアーが張られている。あの正体不明機が学校内に入らないように、入退場口もおそらくふさがれたはずだ。」
「……。」
「まだ救援が来ていないのを見るに、あの正体不明機、おそらくハッキングで入退場口にロックをかけているはず。 つまり今フィールド内に入るには、シールドの張っていない超上空から侵入するしかない。」
「救援が遅れるということか!」
「それだけじゃない。」
一番の問題は、
「セシリアのシールドエネルギーが残りわずかなのに加えて、一夏のシールドエネルギーが……、ゼロだってことだ。」
そう、救援が入ってくるまでの間、ほぼ瀕死の二人だけではそれまで生き延びることなど到底できるはずがないのだ。
「一夏が危ない!!」
「い、一夏さん! つかまって!」
一夏を抱きかかえたセシリアはすぐに上空にあがり正体不明機と距離を取る。
「あ、ありがとう! くそ……、よりにもよってこのタイミングで……。」
「言っても仕方がありません、救援がくるまで逃げ続けないと!」
「あぁ……そうだな……。ほんとにありがとう。」
上空でそんなやり取りをしている二人を尻目に、地上に降り立った正体不明機がその二本足で立ち上がった。
完全な全身装甲の人型ではあるが、とてもじゃないが人が中に入れなさそうなスリムなフォルムと機械ジミタ関節部分から、それが無人機であることなどすぐに予想がつく。
加えて手足と胴体がそれぞれ細い鉄の棒でつながっているのだ。
一夏は眉をひそめて正体不明機をにらみつける。
すると突然、その機体から機械的で無機質な音声が流れ始めた。
『シリアルを確認、XA 26483 登録、確認……。』
そう音声が告げてから、アリーナを静寂が支配した。
それが何かは分からないが、二人はその様子から圧倒的な存在感を感じ取る。
『接続を開始・・。モード変更……、最終確認へ移行します。』
無機質な女性の声と男性の声が同時にしゃべっているかのような音声で、正体不明機は機体のセットアップを開始する。
『システム、起動。22-4、フェーズ。』
それから少し間を置いた正体不明機は……
ゴウッ! という爆音とともに一気に空を駆け上がった。
「な、な……! なんという早さだ! あれでは一夏達が追いつかれてしまう!!」
声を荒げる箒とは対照的に、零治はその機体を見て呆然と言葉を失っている。
「ど、どうしたのだ零治??」
そんな零治を不思議に思った箒の声で、零治は我に返った。
そして少しづつ言葉を並べてゆく。
「あれを…、僕はあの機体を知っている……! どこで見たのかなんて覚えてない、なんで知っているのかさえも分からない! でも分かるんだ!!」
あの機体、あのAIの名前は………
「IBIS《アイビス》……!!」
はい、お疲れさまでした笑
正直すまんかったと思っていますm(__)m
あのビームやらレーザーやらいらなかったね絶対!!
ほんとすみません!!
っというわけで今回もこんな文章をここまで読んでくださりありがとうございました。
よろしければ次回も読んでね!!
バイチャ!