インフィニット・ストラトスー歪みの零   作:ライアス・レガルト

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原点の壱

普通人が眠りから目覚める時、それはそれは沢山の事を考えるでだろう。

今日の朝ご飯はどうするか、昨日はちゃんと仕事や学校の準備をして寝たか、そもそも今何時か・・・・・・。

 

無意識にでも意識的にでも、目が覚めて脳が活動を開始するのと同時に色々な前提が頭の中を駆け巡ることだと思う。

 

でも僕の場合については、どうやらそうではないらしい。

 

年齢から名前その他あらゆる前提が存在しないまま、

そもそも自分が生きているということ自体をも自覚しないまま、

 

 

 

ただ目覚めただけだった。

 

 

取り敢えず訳が分からない・・・・・・。

一体何が分からないのかも分からない。

生まれて初めて息を吸い、生まれて初めて物を考えたような、そんな感覚に襲われている。

 

僕はやっとのことで両目の焦点をあわせ、取り敢えず仰向けのまま天井を見るしかなかった。

天井が見えるということは、自分は今屋内にいるのだろうか。

 

すると目の前に人の顔らしきものがある事にやっと気付く。

どうやら何かに覗き込まれている。

 

「あ、起きたねぇ~。おはよ~!」

 

紫色の髪をもった明るげな少女の笑顔が、そこにはあった。

 

「あなたは・・・・・・誰ですか・・??僕は誰??ここは何処・・・・・・」

 

テンプレート過ぎるだとか、そーいった事を考える余裕もなかった。

ありのままの感想が口から溢れるているのを感じる。

 

そしてそんな僕の態度とは対照的に、少女は最高に明るい笑顔で言い放った。

本当に無邪気で、純粋で、そしてどこか力強さを感じる少女とのファーストコンタクト。

 

 

「私は篠ノ之束。あなたはね、今日から私の弟になるの!」

 

思えばそこからおかしかったのだ。

 

「名前は藤原零治ね!異論は認めませーん。」

 

そうして僕は巻き込まれてしまった。

 

 

 

不幸にも限度というか、程があるだろう。

 

急に目覚めたら知らない女性が目の前で笑っていて、

その人物がまさか、後に全世界の男に嫌われることになる篠ノ之束博士だったなんて、

 

そんな奇跡的な不幸があってよいのだろうか。

 

 

しかも右も左も分からない僕は、彼女についていくしか生きる道はないのである。

とどのつまり、何がいいたいのかと言われればこう答えるしかない。

 

 

僕に選択の余地はなかった。

 

 

何がどう転がったとしても、これから先に起こるであろう事件からはもう逃れられない。

 

その時、この出来事を酷く悔いることになるのだが、

それは今語ることではない。

 

 

 

当時5歳だった自分には、

 

「後々苦しむことになる」とか、「ならない」とか、

そんな先見的な考え方などは無縁の概念だ。

 

 

「僕は零治!束はお姉ちゃん!!」

 

そう言ってヒシっと抱き付いてしまうのも、致し方あるまい。

いやはや辛い思い出だ。

 

というか弟なのに苗字わざわざ変えるのかい。

 

 

「はぅぅうう~。かわよいのぉ、かわよいのぉ~」

 

「あ!お姉さま!!その男は誰ですか!!!」

 

 

ドバーン! と勢いよく扉を開け放ち、ポニーテールの少女が駆けてくる。

 

その勢いはすさまじく、両親の関心を奪われてムキになる長男・長女に匹敵する必死さを感じる。

 

束に飛びついたポニーテールは意地でも零治と姉を引き剥がそうと、必死に彼女の腕を引っ張っている。

 

「おねえぇさまはわたしのだぁぁぁ!!!」

 

「ううう、私ってば幸せだな~。ロリやショタに奪い合われるなんて・・・・・最高だっぜ!!!」

 

発言の意味は分からないが、何か聞いてはいけない事を言った気がした。

 

「っとと、そうじゃなかったそうじゃなかった。いい? 箒ちゃん。今日からこの子はあなたの弟になるんだよぉ? 何かあったら箒ちゃんが守ってあげて欲しいなぁ……」

 

唐突に声の音域を下げ、

妹の穢れのない瞳を見つめて語りかけた。

 

「おねぇさま??」

 

関心を奪われたものだと思っていた彼女だったが、

不意に自分へ向けられた熱い眼差しに、嬉しいような、照れ臭いような、

そんな感情に襲われたかからか、

咄嗟に上手く言葉を理解できない妹である。

 

「箒ちゃんにしか頼めないの、お願い!!」

 

ヨヨヨ・・・と、

夜の水商売でもやっていけそうな、分かりやすいウソ泣きを見せる賢しい姉である。

 

戸惑いを見せる妹に足並みを揃えるでもなく、内容を理解させるでもない。

 

首を縦に振らせる為の一言だ。

具体的には、回答を急かしている一言に違いない。

 

 

箒は姉に対して、絶対的な尊敬を寄せている。

それは束が箒にとって「なんでもできる姉」であるからに他ならない。

 

箒にとって、そんな姉から頼られる事はそれはそれはとても嬉しかった事だろう。

常人から見れば舐め腐っているとしか思えないその仕草だが、

泥酔して精神年齢が下がった男どもには勿論のこと、ましてや若干4,5歳の少年少女相手にはよりいっそう効果抜群である。

 

 

 

その結果、

 

 

「は、はいお姉さま!!!わたしにかかればそれくらいお安い御用なのです!」

 

 

見事な手の平リバースオープンである。

 

 

この「お願い」について一言述べると、

これは箒の若さゆえの過ちでもあるが、束の言い方も少々ズルかった。

 

彼女はたったこれだけの意地のわるい口約束でも、篠ノ之箒の性格上、それは彼女にとって「一生ものの誓い」と同レベルの拘束力をもちうる事を理解している。

その契約を利用して何をしたかったのは今でも分からない訳だが、

少なくとも、彼女の今後の計画の中で必要不可欠な要素であることは確かだ。

 

この段階から計算式の変数を操作されていたなど、子供の思考では理解もでないし、

その後例え物心と知恵を付けたとしても、計画の末端に気付く筈もない。

 

 

つくづく狡い女だと思う。

 

結果として、

誰もが認める大和撫子と仲睦まじい義姉弟になったのだが、

 

断じて嬉しくは思っていないのである。

 

 

しかしまぁ、自分の居場所を作ってもらったという事を考えると、

束に悪い思いばかりさせられてるとも言いづらいものである。

 

 

「ありがとう!束お姉ちゃん、箒お姉ちゃん!」

 

さて、若かったのは箒だけではなかったらしい。

 

そもそもこの頃の自分は人を疑うとか発言の真意を探るだとか、そういった類の事を考えるには少々幼すぎた。

 

「いよぉし!!! そーと決まれば夕飯の時間だぁ! 子供たちぃ~!」

 

そう言って駆け出す勝手な束なのだが、

そんな勝手なお姉さんにも喜んでついていってしまうくらい、わたくし藤原零治は幼いかったのであった。

 

そのまま夕飯をご馳走になり、いつの間に決まったのか分からないが、束に指示され女二人と男一人分の衣服の洗濯を任されることとなった。

 

それがどんな意味を持っているのかなど、当時の僕が分かったはずもない。

 

が、働かざるもの喰うべからず。

それに仕事がある方が、後々になって後ろめたさが少ないであろうことを考えると、これも束なりの優しさなのだろうか。

 

 

 

そんなこんなで、自分は篠ノ之家に住まいを共にさせて頂く事となり、騒がしい女性の下で素直で純粋無垢な少年に育っていくのである。

 

 

 

そんな平凡なあくる日の会話で、

 

「束お姉ちゃん、束お姉ちゃん!」

 

「ん~?何かな零くん?」

 

「お姉ちゃんって、シから始まる苗字なのに、65番なの? 」

 

「んえ!?!?」

 

彼の右手には洗濯の途中に見つけた、ある下着が高く掲げられている。

そのラベルには・・・・

 

「E組って一杯人居るんだね!!」

 

「そ、そのラベルの英語はクラスじゃないよ!!!!!!」

 

その日を境に自分は無職となったのだった。

 

親の脛を齧っているニート?

ほざけ、僕が齧っているのはお姉さんの素足だ。




二話目の投稿完了だっぜ!!

今回はかなり最後のほうがやっつけだったので、何か読みにくい所などがあったら感想欄にでも(泣)

自分は読みませんけどね!!


そんな訳で、今回はここまで。
週一の頻度で上げてこうと思うので、出来れば来週もよろしくね!
この度はこのような読みずらい文章をお読み頂き、ありがとうございました。

さようなら。
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