インフィニット・ストラトスー歪みの零 作:ライアス・レガルト
久々になりますが、投稿したいと思いまする。
皆さん楽しんでいってね!
今回はちょい長め・・・・・。
「はい、今日はここまでです!!」
「終わったぁ~。」
と、長く辛かった『束のパーフェクト機械工学』に別れを告げる零治。
名前からして算数どころじゃないレベルを感じさせるこの授業だが、
これも最近束によって行われている教育ママ政策の一貫として零治のハードスケジュールに混みこまれていたりする。
とてもじゃないが予習復習なんてしてる時間の余裕もないし、授業についていくだけでも一苦労である。
そんなパーフェクトな教室の度にど偉い疲労感に苛まれるのは、もはや零治の習慣と化していた。
≪それにしても、君は頼りにならないね。≫
≪うるせぇ。こちとら高校までの範囲が限界なんだよ。つかなんでお前は機械工学なんてやってんだよ。昨日なんて航空物理学だったじゃねぇか。≫
≪はてさて、こんな事を知ってて何かメリットがあるのかね・・・・≫
≪生意気だな、来週やっと小学生になるようなガキがよ。≫
そう、零治は今、一週間後の4月7日に小学校の入学式を控えたピカピカな一年生男子なのである。
指摘されたとおり、そんな少年が機械工学なんてやっている事が全く不自然である。
これも篠ノ之束の天才的な云々かんぬんが関わってきているのだろうか。
因みに今零治の話相手になっている人物は、この世界に姿形も存在していない。
だからといって別に、その人物は二次元に生息していたり、パソコンの画面から声をかけてくれる優しいお嫁さん(艦)と同系統な何かという訳でもない。
実は彼は先月発現した零治の第二人格であり、基本的には零治の脳内に存在しているからして、そもそも姿形を必要としていない。
脳内彼女? そんなの知らん。
≪その言葉を知っている小学生って時点で、お前の行く先は真っ暗だよ。≫
≪その言葉? なんのこと?≫
≪不便だねぇ、全く。ほら、早く準備しとけよ。千冬さんが待ってるんだろ。≫
≪もう、分かってるよぉ。≫
そう言われて零治はクローゼットに向かった。
それにしてもこうゆうタイミングでの彼は中々に役に立つ。
この前なんて洗濯機が止まっているのを教えてくれたし、おつかいを頼まれた時は買う物を覚えていてくれたりしている。
近頃は随分と彼にお世話になったものだ。
だけどまぁ毎度毎度頭に直接声を響かせてくるのだから、彼奴が騒ぎ出す度に物事に集中できなくてしょうがない。
束監修パーフェクト教室の授業中では、問題に悩んでいるらしき彼のうめき声の、そのあまりのうっとおしさにペンを握力のまま折ってしまった。
釣り合いが取れていると言われれば言い返すことはできないが、そこそこ便利な対面、ウザったい場面では本当にウザったくてしょうがない。
世の中、そううまくはできていないということだろう。
「レイくーん! 私ってばちょっくらテレビ局に行ってくるよー!」
テレビ局に何しに行くんだと言いたいところではあるが、
束の暴挙を日頃から見ている身の上、何を言う気にもなれない。
はーい、とだけ返事をし、
零治はストレッチに取り掛かる。
束の授業の後は、千冬による稽古のため道場へ向かわねばならない。日課になったといえど、相変わらずハードな毎日だ。
因みに、今ストレッチをしているのには理由がある。道場に行ってからストレッチをしていたのでは千冬先生に怒られてしまうのだ。
曰く、与えられた時間をみっちり練習の時間にあてずに、自宅でも済ませられる作業を練習時間に行うのが失礼に値するそうだ。
間違ったストレッチをした時の危険性について指摘したところ、千冬のパーフェクトストレッチ教室が幕を開けたのは言うまでもない。
≪そーいえば君の名前はなんていうんだい。≫
≪今更か、俺もお前も零治に決まっているだろうに。≫
≪そんなものかな。≫
ひとしきりストレッチを終えた零治は勢いよく立ち上がり、荷物を持って玄関に向かおうとした。
しかし不意に、テーブルの上に置いてあった球体型の機械に目がとまった。
その機械は一週間前の機械工学の時に束と作ったものだ。
その球体を使うと、瞬く間に超高圧の水蒸気が周囲へ散布される。
そして人の呼吸に必要な空気を大気中に残しながら、
あたかも水の中にいるかのような感覚を使用者に与えることができるという代物である。
夏の暑い日や、バスルームに楽しさを求めてみた時くらいにしか使わないであろうものなのだが、
密室空間で使うと本当に海の中にいるような体験ができるので、中々使ってて楽しいと思える自信作なのである。
とは言うが、まぁ自由研究程度の代物だ。
今更なぜそんなものに注意を惹かれているのか、検討がつかない。
≪おい、そんなじっと見つめてるくらいならバックにでもぶち込んでさっさと出発しろよ。≫
≪あ、え、うん・・・・・・。≫
と零治の思考を断ち切る一言にせかされて、小走りで道場に向かはじめる零治だった。
道場についたときに驚いたのは、そこには織村千冬先生ではなく、その弟の織村一夏と、我が姉篠ノ之箒が待っていたからである。
「やっと来たか!遅いぞ零治。」
「あれ、今日はお姉ちゃんと稽古一緒なんだぁ。それと・・・・。」
「一夏だよ。久しぶりだな零治!」
「うん、お久しぶり!一夏、会えなくて寂しかったよ。」
≪話には聞いているんだが、会った事あったのか。≫
≪久しぶりっていうからには会った事あるんだと思うよ。≫
≪覚えてないんかい。≫
「今日は三人で稽古だね、よろしくお願いします。」
「「よろしくお願いします!」」
そういって木刀を構え、稽古を始める三人。
道場には時計が設置されていないため、中は基本無音であるが、ひとたび稽古が始まると三人の息のあった素振りと掛け声が道場に一定のリズムを刻み始めるのである。
それからしばらくは、彼らの掛け声が道場に響き渡っていた。
一通りの練習を終え、休憩時間を取ることにして零治たちは、
他愛もない世間話をして貴重なひと時を過ごしていた。
他愛もない話をしていた事も合わさり、
その場には当然他愛もない雰囲気が流れているのだが、そんな空気を打ち砕いたのは織村一夏の空気の読めないセリフである。
「なぁ、なんで零治って練習では無茶苦茶強いのに、実際に手合わせするとそこまで強くないんだ?」
全く、休憩の時くらい練習とは別の話題で盛り上がれないものなのかね。
「確かにそうだな、踏み込まれると零治は弱い。技術に関してはかなり秀でているというのに。」
指摘された通り、
零治のスキルは千冬に徹底的にしごかれ続けたのもあって、現小学生の誰よりも高い。
しかし先ほどから、何故か手合わせとなると押し負けてしまうのだ。
「ま、まぁ、技術的な面ではみんなと練習時間が違うから・・・・」
褒められながらダメ出しされているので、全力で謙遜することも全力で落ち込むこともできず、零治はぎこちないトーンで返事をすることしかできなかった。
「なんというか、全部逃げにいくスタイルっぽいというか。」
「そうだな。零治は確実に有利な状況下でその能力を発揮させているが、相手と自分が対等な立ち位置の時では攻めようともしてこないように見えるぞ。」
「いやいや、若干零治が有利な時でも逃げてるんだって、本当に勝てるタイミングしか・・・・・」
と、しばらくは一夏と箒の二人共、『零治はなぜ弱いのか』についての話で盛り上がっていたのだ。
かなり居づらい。誰か話相手になってくれないかな・・・・
≪よぉ、話し相手になってやろうか?≫
≪君以外に呼びかけたつもりなんだけどね。≫
≪酷い扱いだな、自分に優しくしないでどうするんだよ。≫
≪僕は自分に厳しいんです。≫
≪さいですか、だがちょっと待て。≫
見事な早業だったのだが、彼はただ話相手になりに来た訳ではないらしい。
≪外に人の気配がする。十人だ、道場の出入口5つに2人ずつ。≫
≪え、お客様かな?≫
≪んなわけねぇだろ、殺意を感じる。≫
扉の裏側。
人が二人隠れているような影が零治の視界に入った瞬間、
彼の言ったことが初めて理解できた気がした。
あれは……やばい!
≪なんとかしてここから脱出しろ。殺されちまうぞ!≫
本能的な危機感に全身を襲われ、
感情の存在比が普段の状態から一気に逆転した。
一気に冷静さが失われ、動揺が溢れてくる。
そしてそれを感じた次の瞬間、零治は死に物狂いで駆け出した。
「一夏、箒! ついてきて!」
二人が零治の表情の意味に気付き、三人で逃走を開始したのと、
アサルトライフルを装備し、防弾チョッキを身にまとった男達が道場に突入したのは同時だった。
割と長かったんじゃね(笑)
はい、というわけで今回の投稿楽しんでいただけたでしょうか。
かなり間隔あいてしまったけども、今後なんとか投稿し続けていきたいとおもっていますので、逃亡はありえないということででよろしくお願いします。
それではそんなところで、今回はこのような読み辛い文章をお読みいただきありがとうございました!!
次回もよろしくねぇ~