インフィニット・ストラトスー歪みの零   作:ライアス・レガルト

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またまた長くなりましたね(笑)

お久しぶりです!

ってなわけで今回もどうぞ!


若き策士

≪相棒! 前に15m飛べ!!≫

 

「そんな飛べないよ!!」

 

といいながらも、零治は古武術的な体の運用を応用し、足に力が入らない自然な体の動きを意識する。そのまま重力を反動にする感覚で足を折り・・・・。

 

 

「ていっ!!」

 

 

足をバネにし、見事に前方へ10m程跳躍する零治。

人間にしてはよく飛んだほうである。

 

が、直後その背中を複数の銃弾がかすめた。

 

 

≪今の距離だと下手すりゃ当たってたぞ!最低でもあと2mは飛びやがれ!!≫

 

 

無茶言うな。

というツッコミはさておき、ただいま零治は相当まずい状況に立たされてた。

 

 

 

「あてても構わんが殺すなよ、これだけの人数を費やしているんだ。捕獲以外はありない。」

 

 

と史上の将軍様のように気取ったセリフを吐くのは、只今道場に乗り込んできた男どもを統括している隊長さんである。

 

零治たちを生け捕りにするのが目的であるらしい。

 

「零治、箒! こっちだ!」

 

と、一夏が隠し扉を敵さんの前でおもむろにあける。

 

素早くそこをくぐる三人であるが、あの男どもに扉の所在が割れている以上、先ほどから全く事態は好転してない。

 

長く見積もってもあと30秒くらいで再び銃弾が飛んでくるだろう。

 

 

「なんだこの部屋は!? 物が散らかりすぎではないか!!」

 

 

そこには沢山の木箱があふれており、狭い部屋であるのと合わさってかなり小汚い。

一体あの木箱にはなにが入っているのやら・・・。

ともかく防具を着ているので、この部屋ではかなり動きづらく、何より暑苦しい。

 

 

≪まじかよ・・・この部屋出口がねぇじゃねぇか・・・≫

 

「そんな・・・一体どうすれば・・・」

 

 

絶望的な宣告に打ちのめされる零治だが、

 

 

「おい! 木箱に隠れるぞ!」

 

 

非常に前向きな千冬の弟はこの状況を全くあきらめていない。

 

そんな彼に従い、三人は木箱をあけて隠れようと試み始めた。

小さな箱に防具を着たまま隠れるのはつらいということで、三人は防具を脱ぎ始める。

 

 

「むむ、防具はどこにおいておけばいいのだ!」

 

「そんなの適当に放っておけって!!」

 

 

そういって防具をぶん投げようとする一夏だが、零治がそんな一夏を慌ててとめる。

 

 

「待って! 僕に考えがあるんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、一夏達が隠し扉をくぐった一方で、

扉の外側、つまり先ほど三人が稽古をしていた道場の中では、侵入した傭兵10人とそれを統括している上級傭兵、レオス・クラインが、一度部隊を集合させていた。

 

 

「隊長、目標が逃走を開始しました。ですが事前の調査では、あの扉の先の部屋に他の出入口はありません。」

 

「分かっている。それを見越した作戦だ。あとはゆっくりやろうじゃないか。」

 

 

そう述べたクラインは細身で背が高く、

割と顔が整っている青年である。

年齢相応の若々しさを感じさせる風貌をしているのだが、彼の言動や頭の回転の速さゆえ、業界で彼を若者扱いをする者は何処にもいない。

むしろ畏怖と尊敬の眼差しをむけられる位、彼は数々の実績を積んでいるのだ。

 

そんなクラインだが、今回は珍しく苛立ちを覚えていた。

 

 

「それにしても、今回の作戦はつくづく分からないな。」

 

「と、いいますと・・・。」

 

「生け捕りが優先条件である時点でおどろいたが、まさかあんな幼い子供が目標だとは、私とて予想できないというものだよ。」

 

「はぁ・・・。」

 

 

隊員の困惑を背に、クラインは思考する。

 

 

≪生け捕りであるのが条件であり、子供が作戦目標であるのを考えると、目的が人質であるのは確実だろう。≫

 

 

小型のPCを起動させ、ターゲットのデータを再確認する。

 

 

≪問題は彼らを人質にとった目的か。特別な事といえば、篠ノ之箒の姉が若くして科学者であるというだけだが、なにか上の連中がおもしろくないものでも作ったかな。≫

 

 

そこまで考えクラインはPCをしまい、隊員たちに言い放った。

 

 

「全員、俺の合図で突入しろ。その際ショックCの使用を許可する。休憩は終わりだ。」

 

 

隊員が傭兵であるのを感じさせない、とても統率された動きで扉の周りに全員を配置させる。

一つの扉を囲む中年達の人口密度が、たった子供3人にたいしてやけに過剰にみえる戦力をより強調している。

 

そんな様子に思わず溜息をもらしてから、

 

 

「行け。」

 

 

と中年たちに告げた。

 

 

 

一斉に中に突入した隊員たちが目にしたのは、部屋に大量にあふれている木箱と、部屋の奥隅にある一つの木箱、そしてその周り脱ぎ捨ててある三つの防具だった。

 

そのあまりにも分かりやす過ぎる光景が、作戦目標が幼い子供であるのだと、中年たちに再認識させる。

 

 

「単純なやつらだ・・・、俺んちのガキと同い年くらいだったな。」

 

「殺さないんだ。我慢しようぜ。」

 

「人質になるとしたら、大抵死ぬだろうさ。」

 

 

と、中年であるがゆえのやりづらさを感じている隊員達であったが、

 

 

「余計なことは考えなくてもいい。せいぜいあの子供達が助かるのを祈って、身柄を引き渡すことだ。」

 

 

と、隊長殿が言い放ち、隊員達を部屋の奥に進ませ箱の周りをとり囲ませる。

 

 

「抵抗を見せたなら、ショックCで意識をおとせ。」

 

 

そういわれ一人の隊員が箱に手をかける。

 

 

「たのむから抵抗しないでくれよ、クソガキが。」

 

 

そういって木箱を開け放つと同時に、

 

少し離れたところでその様子を見ていたクラインの腰あたり、そこにぶら下がっていたショックCを何者かがかすめ取った。

 

 

 

 

「うおおおおお!!!!」

 

 

と叫びながら扉にダッシュする一夏。人生であと数回経験するかしないかの、文字通り命が掛かった猛ダッシュである。

その光景に隊員達は呆気にとられる。

 

 

「なるほど、防具が置いてあったのはダミーか、ませた子供もいるものだな。」

 

「一夏こっちだ! もっと走るのだ!!」

 

 

先に部屋から脱出していた箒が、扉で手招きしている。

それをみた隊員たちがハッとしたように走り出すが、小箱が邪魔で上手く走れない。

 

 

「けっ、大人を騙すとは大したオツムしてやがるが、わざわざ人様の物を奪って気付かれるとはな! クソガキども!!」

 

 

子供に騙された屈辱と、部屋の狭苦しさのせいで思うように目標を追えないもどかしさが合わさり、すっかり激昂状態の隊員達である。

しかしクラインはその一方で、そんな怒りの感情など気にならないほどに、なにか大きな違和感を感じていた。

 

 

≪なぜ危険なリスクを犯してまでショックCを強奪した? そのまま逃げれば気付かれなかったものを・・・・。≫

 

 

そもそもショックCとは、効果範囲内にいる人間の筋肉を高電圧の電気によって一定時間麻痺させる、設置型の高電圧スタントラップだ。

使い方を工夫すれば投擲型のスタングレネードのような働きもするのだが、効果範囲がそこまで広くないため、それを一つ奪われたところでこの人数にとって全く脅威にはならない。

 

ちなみにショックCとはショックチャージの略である。

 

 

≪織村一夏がショックCを強奪し、機動力まかせで強引に脱出を試みる。さらにその脱出を篠ノ之箒がサポートし・・・。≫

 

 

 

まて、

 

 

彼はとある事を見逃していた。

 

 

≪私たちが部屋の奥にいる間、かなりの時間があったはずだ。≫

 

 

それはとても初歩的な事だった。

 

 

≪織村一夏は我々の隙を狙っていたとして、篠ノ之箒は諸々の脱出の準備をしていたのかもしれない。それはそれで面倒だが・・・。≫

 

 

それ以上に、

 

 

≪その間、藤原零治は何をしていたんだ・・・。≫

 

 

そうだ、藤原零治は篠ノ之束の熱心な教育を受けているとの報告は受けていた。

思えば当初もっとも警戒していたのは彼だったのだ。

相手のキーパーソンを予測したクラインは、実際相手が何をしたいのか、先読みを始める。

 

 

≪今このタイミングでショックCを投げてこないが、ショックCは小範囲の範囲制圧ができる兵器である以上、閉所での使用が望ましい。つまり我々が外に出てから使用したいわけではない・・・≫

 

 

一夏が扉に目前まで迫っている。

 

 

≪だとすれば……≫

 

 

織村一夏が扉に到達したところで、

藤原零治が扉の向こうから顔を出した。その手には彼のバックがぶら下がっている。

 

 

≪織村一夏がこの部屋から脱出したタイミングで、何らかの絡め手を加えてショックCを投げてくるはず。≫

 

「全員止まれ!!」

 

 

その声の直後、一夏の腕からショックCが隊員達に向かって投げられていた。

 

いや、隊員達が通るであろう通過ポイントに向かって投げられていた。

 

着弾点は丁度隊員達の束のど真ん中をとらえており、そこに向かって投げられたショックCは今にも隊員全員を効果範囲にとらえようとしている。

 

が、隊員達はクラインの声でその進軍を急停止したので、ショックCは隊員達を捉えることができない軌道をたどる。

 

 

「なるほどなぁ! 一個の扉に向かって進軍させて、一か所に固まった俺らを一挙にしびれさせる…? その後安全に逃げるってか!? 残念だが俺らの隊長にはお見通しだったようだぜ!」

 

 

自分の手柄ではないが、最高に勝ち誇った声で言い放った隊員達。

その後彼らがショックCを構える。

 

 

「違うね、ここまでは予想通りだよ。」

 

「なんだと?!」

 

 

明らかに小さな子供とは思えない雰囲気に、クラインはそれがハッタリではないと確信した。

そして最高に嫌味な態度で零治に問いかける。

 

 

「そのこころはなにかな? 賢い少年君。」

 

「これだよ。」

 

 

そういって零治はショックCとは別のなにかを投げた。

 

 

「箒!! この部屋の電気をつけて!」

 

 

その声の直後、先ほどまで暗かった部屋が明るくなり、部屋の散らかり具合が完全に露見する。

その直後、つまり空中で放物線を描いているショックCが地面に落ちる直前のこと、

子供三人は扉を閉めて部屋から脱出し、それと同時に零治が投げた物体から大量の水蒸気が噴き出した。

 

 

≪高濃度の水蒸気だと!?≫

 

 

たちまち水蒸気が狭い部屋中に充満し、隊員たちは海のなかに沈んだような感覚に陥る。

 

 

≪息は吸えるか・・・・・・いや、まて・・・!≫

 

 

直後、一夏の投げたショックCが地面に落ち、

 

 

≪まさか・・・こいつ・・・!≫

 

 

カンッッ!!

 

と甲高い音を鳴らした瞬間、

 

 

 

彼の全身は、不意に流れた高電圧をもって地面にねじ伏せられた。

 

 

 

 

 

朦朧とする意識のなか、クラインは隊員たちが全員自分と同様な状態になっているのをみて、やっと状況を把握した。

 

 

≪感電させて戦闘力を奪うのが目的か・・・。≫

 

 

これはもう、明確な任務失敗である。

 

≪まぁ、任務失敗の割には、大きな外傷がないだけ運がよかったとしようか・・・。≫

 

 

水蒸気の一部がが電気分解したのだろうか、暗い部屋の中ですこし水素の匂いを感じた。

・・・・・・・・・・・

・・・・・

・・

暗い?

さっき篠ノ之箒が電気のスイッチをいれていた筈・・・・・

 

 

「いや! これは……!」

 

 

そこでとうとうクラインは笑ってしまった。

 

 

「ははは! なんて子供だ、全く抜け目がない! イレギュラーとは彼のことをいうのだな!」

 

 

その瞬間、先ほどまで明るく輝いていた電灯がおち、断線して天井にぶら下がった導線から少量の火花が吹き出た。

まるでアメリカのアクション映画のような光景だが、事態はそんな感想を抱いていられるほど生優しいものではない。

 

 

 

何故ならその部屋の上部には、水蒸気が電気分解された残骸である『水素』が充満していたからだ。

 

 

 

 

火花が水素に引火し、部屋の上半分が一瞬にして業火に包まれる。

そしてそれは、すさまじい爆音と衝撃波を生み、クラインをふくんだ全隊員達の意識を刈り取った。

 

 




ちょっと長かったねごめんなさい!

今回は主に戦闘?シーンに苦戦してしまいました汗汗

次からまた時系列が大きく進みます。
お楽しみに!

ということで、今回もこのような読みずらい文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。

また次回もよろしくお願いします!!
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