インフィニット・ストラトスー歪みの零   作:ライアス・レガルト

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今回は新章へのプロローグって感じで終わっちゃうのですが、
安心してくだせえ!次は早めに出す!

というわけで今回も楽しんでってね!


忘却と別れと始まりと

 

インフィニット・ストラトス。

 

通称『IS』と呼ばれる、21世紀の発明品にしては少々場違いを感じさせる工芸品。

それは数千年先の未来の世界において「オーパーツ」と呼ばれ、歴史家達に語られることになるほど、今の人類にはいささかオーバーテクノロジーであった。

 

それでも人は謎を見つけると解き明かしたくなってしまう性分であり、それが複雑であれば複雑であるほど、さらに人の興味をひいてしまうものである。

 

つまるところ、そんな人々の探求心は、インフィニット・ストラトスという大きな謎にものの見事にとらえてしまったのである。

 

まったく、どいつもこいつもじっちゃんを名に懸け過ぎなのである。

 

 

「白騎士事件」と呼ばれる、一見インフィニット・ストラトスの発表セレモニーとも言えなくもない事件が生じてから、各国に『IS』が数機づつ販売され軍事的な普及に至るまでの数年、

 

全国の研究者たちはこぞって『IS』というもののロジックを解明せんと躍起になったであろうことは、前述のとおり明らかである。

 

結果として彼らは、『IS』が引き起こす全ての非科学的な超常現象は、その動力から制御まで『ISコア』というものがつかさどっているという事実を導きだしたのである。

 

しかしそれと同時に、『ISコア』の構造解析が全くもって不可能であり、構造解析を完遂しない限り『IS』を新たに開発できないというあらたな問題を導き出すことにつながった。

 

 

つまり篠ノ之束以外の人間に『IS』の製造ができないということが、数年越しの研究によって発見されたのである。

 

 

ここで少し話が変わるが、そもそもインフィニット・ストラトスとは、宇宙空間での人類の活動を想定した追加装甲型の宇宙服である。

 

 

追加装甲という名の通り、体のいたるところ、つまり手足や背中などの、あくまで身体に対して閉塞感を与えない部位に対して、部分的なアーマー・追加装甲が装備されている形となる。

 

その際、顔や胴体周りは外気にさらされているので、

仕様として『どのような外部の影響さえも通さない』という性質をもつ厚さ二ミリの透明なエネルギーシールドが全身の表面に張られている。

 

つまり宇宙空間にいながら、全身タイツのように張り巡らされたエネルギーシールドの内側は外部から完全に遮断され、疑似的な地球空間が再現されているのである。

 

これが『IS』が最先端の宇宙服と呼ばれるゆえんであり、同時にそれは、後に『IS』が世界の最高戦力とよばれることになってしまったゆえんなのである。

 

なぜならそのエネルギーシールドは銃弾でさえ通さない。やろうとおもえば重力、つまり物理的な運動エネルギだけでなく位置エネルギーの影響さえもキャンセルすることが可能であるので、

大気圏内では『力学の範疇を超越した速度』と『物理的な絶対防御』を両立した、三次元白兵戦用パワードスーツとしての運用も可能だったのである。

 

 

それに勘付いた人々にとって、宇宙服という目的はすぐに建前へと変わり、インフィニット・ストラトスの持つ圧倒的な制空力や制圧力、白兵戦における支配力など、

兵器としての潜在的なポテンシャルが『IS』獲得における実質的な目的へと取って代わった。

 

 

その使用用途の有意義さから、世界各国の国々は一機でも多く「IS」を欲し、あわゆくば大量配備を目標とした量産を行おうと技術の模倣に急いだが、

実際に公開された技術は、

 

『なんらかの力によって動かされるエンジンに対して、どのように現代技術を配置するのが効率が良いのか。』

 

……という、取り扱い説明書にも満たないただのサンプルであり、肝心の未知の技術に関しては完全に『ISコア』というブラックボックスに詰められてしまっていたのだ。

 

そしてここでやっと話が戻ってくる。

 

つまるところ、世界最大の戦力の製造権が全て篠ノ之束に握られている状態といっても過言ではないのであり、当然全国の技術者たちは篠ノ之束の不当な技術の独占を主張した。

 

そして情報開示命令が出たのはそれから間もなくのことである。

 

これは国連レベルでの決定事項であり、逆らうことなどできようもない世界の決定だ。

 

 

 

 

 

しかしその決定ながなされて直後、彼女は行方をくらませてしまっていたのである。

 

 

 

 

かくして我が姉、篠ノ野束は、僅か17歳という若さで晴れて全世界のお尋ね者となってしまったのである。

 

 

そんな経緯の上で、日本国が篠ノ之束の親族にあたる者たちを『国家重要人物保護プログラム』の対象とし、外部の過激な組織の人質となるという危険性から親族たちを遠ざけようとするのは自然の流れである。

 

 

それにより姉の失踪から間もなく、篠ノ之家は全国各地を転々とする放浪家族となってしまったのであった。

 

 

その一方で、わたくしこと藤原零治は、苗字が篠ノ之ではないという単純すぎる理由で、幸か不幸か『国家重要人物』の対象とならずに、一般人として生活してゆくことを許された。

 

 

しかし同時に、『国家需重要人物』に指定された篠ノ之家と生活を共にすることは許されず、篠ノ之神社に残された祖母の下に一人残されてしまったのである。

 

篠ノ之箒やその両親たちと離れ離れになってしまい、当時は彼らに会えない悲しみに相当打ちひしがれたのであったが、

それでも祖母が手厚く面倒を見てくれたおかげで、なんの不自由もなく毎日を過ごすことができた。

 

そこからというものの、同じくその地に残った一夏やその友人達と一緒に、激動の毎日を送ったのである。

 

 

 

しかし時の流れは早いもので、

実は今、小学校入学直前に起きた事件から実に9年の年月が過ぎており、

ISに関する世界の情勢は急激に変わってしまっている。

 

 

そんな激動の9年間、

 

零治は失踪した姉に教えられたことを必死に極めつづける時間がその年月のほとんどを占めていた。

朝起きて学校に行き、放課後は剣道の道場で過ごして夜は勉強する、それの繰り返し。

 

思えば無茶苦茶つまらん青春であったと今更思わなくもないが、それはもう今更言ったってしょうがない。

 

高校生活に期待しようじゃないか。

 

 

因みにそのようなつまらない毎日に即座に文句を言ってきそうな零治の第二人格だが、

つい先日中学の卒業祝いと言ってひょっこり現れた篠ノ之束にさらわれてしまったのである。

 

さらわれるとか自分で言ってても意味不明だが、さらわれたからにはさらわれたのだ。

彼女が僕の額に指を突き立てると同時に、第二人格は消失した。

 

 

 

苦楽を共にしたといえば聞こえはいいが、不本意にでも10年近くも一緒にいた仲にしては、随分とあっさりとしていてあっけない別れだった。

 

しかしそんなあっけない別れであっても、若干高校生となりつつある程の零治の弱い心は、やはりそれなりに動揺してしまったのだった。

 

 

 

 

おかげで幼い日のことを思い出してしまったではないか。

 

 

 

ただまぁそんな動揺も、所詮は『喉元』でおきているに過ぎない現象であり、

二週間程たってしまえば『熱さ』など完全に忘却の彼方に置き去りにされるのである。

 

 

そんな訳で高校の入学式を迎えた本日午前8時半、やはり第二人格なんて最初からいなかったかのような晴れ晴れとした気持ちを持って、新たな学び舎へと向かうのである。

 

 

「今朝はなんだか変な夢をみたな…。」

 

 

そんなボヤキをもらしながら、友人の家の呼び鈴を押す。

ピンポーン、といささか前時代的なチャイムが鳴ったのを確認しながら零治は相手の応答を待っている。

 

 

入学式からいきなり友達と学校へ向かうとか、ツイッタ-で調子こいてる今どきの学生っぽいことをしているように見えなくもないが、

 

断じて言うがコヤツは昔からの友人であって、出会い厨のお前らと同類という訳ではない。

 

 

『おう零治か!! もう行くからあと10秒待って!』

 

「初日から慌ただしいね君は、先が思いやられるよ。」

 

 

返事をする余裕もないとばかりに、レスポンスはリビングのフロアリングらしき物が『ガタガタ』する音だけである。

若干の溜息をつきつつ、右腕についた自作の腕時計に目を落とした。

 

まぁまだ時間はあるか、取り敢えず遅刻はしなければ大丈夫そうだし。

 

 

「ごめん零治、待ったか!」

 

 

大きめなスーツケースも持った、正装姿の織村一夏が玄関から飛び出してきた。

さながら出張帰りのサラリーマンか何かかな?

 

 

「14秒待ったよ。君は10秒と言ったのにね、ひどいよ。」

 

「ガキくさい性格してるくせに、時々やけに爺くさいよな! お前!」

 

 

えーっ……と、一夏の評価に不満の意を表明しながら、二人は始業式にしては大きすぎる荷物をスーツケースで転がしつつ走り出す。

 

 

 

今まで自分が学んできたこと、それは大抵の学校機関では扱っていない。

 

 

インフィニット・ストラトスの構造解析とその運用、束から与えられた知識と思考パターンを結集して進めたこの命題において、自分の求めるすべての設備と教育が整っている教育機関は、世界中を探しても一校しか存在しない。

 

 

「IS学園か……。」

 

 

 

そこは僕にとっての最高の舞台だ。

 

 

 

「あ? なんか言ったか零治?」

 

「なんでもないよ。」

 

 

 

それに、一夏もいてくれる。僕は一人になる訳でもなく、もういちど言うが最高の舞台が与えられるんだ。

 

 

これはもう、

 

 

「楽しみで仕方がないよ! 一夏!!」

 

 

そういって全力で駆けだす子供が一人、

 

 

「お、おい! 零治待てって!!」

 

 

それを追いかけるサラリーマンが一人、

 

 

 

それは、嵐のような高校生活が始まる直前の一幕であった。




短い!!

ごめんなさいねほんと、でもなんかバイト慣れてきたからもう大丈夫っす。
もうこんな遅くならないっす、はい。

という訳で、今回もこんな雑な文章を読み切ってくださってありがとうございました!

宜しければ次回も立ち寄ってくれるとうれしいです!

ばいちゃ!
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