インフィニット・ストラトスー歪みの零 作:ライアス・レガルト
原作で言う『クラス代表戦編』ですな! まぁ自分は原作読んでませんが←
それでは今回も楽しんでいってね!
…………、
…………………、
…………………………、
……………………………………、
…………………………………………………、
………………………………………………………………………、
なんだ、
すごく、やりずらい!!!!!
そう心の奥底で叫んだ零治は、本日付で配属されたクラスである1年1組のメンバー達を見回す。
各自机に座って待機と言われて全員が着席したものの、
見れば大勢のクラスメイトの持つ二つの目が自分の周囲を取り囲んでいるのではと思ってしまうくらい、クラスのほとんどの人間に凝視されている。
今までに感じたことのない凄まじいプレッシャーが360°全方向からビシバシと伝わってくる。
なぜそんなにも入学当初から注目されまくっているのかというと、別に零治がイケメンだとか、年齢の割に背が低いショタ面だとか、そうゆう外見的な理由が関係しているわけではない。
いや、それでも零治が背が低くてガキな顔をしているという事実は残念ながら存在してしまうが、それでもこの注目度合には別の理由がある。
というのも、このクラスの人口の男女比がまったくもっておかしいのである。周りを見渡せば零治の周囲に存在するほとんどの生徒が女子、女子、女子。
まるでこのクラスではミニスカートが標準装備なのではないかと勘違いしてしまいそうだ。
そう、教室の座席の中央最前列に座る一夏と、同じく中央の最後列に位置する零治。この二人を除いて、このクラスに男子を存在しない。
いや、
この学校に男子が存在しないのであった。
(じ、実質的に『逆イケメンパラダイス』みたいになってるけど、むちゃくちゃ辛いよこの空気!! )
助けを求める意味合いで一夏を見てみるが、
あぁ、あれは完全に潰されかけているな。両腕を机のうえに置き顔を少し俯かせた体勢のまま微動だにしていない。
それから数分間、まるで永遠かのように感じられた時間であったがやっと先生が到着したようだ。
「皆さん! ご入学おめでとうございます。私は今日から皆さんのクラスの副担任を務めさせていただく、山田真耶です。」
扉を開けるなりすぐにそう言い放った山田先生は、少し小柄で緑色の髪をしたお姉さんであった。
というか胸がでかすぎる、教師があんな開放的な服着てていいのだろうか…。
「皆さんはまだ入学して間もないですから、もしかしたらまだこの学校がどんなところか分からない人もいると思いますので、まずはこの『IS学園』について説明したいと思います。」
そう言ってちょうどいいタイミングで教卓に立つあたり、あれは相当練習したんだろうな。マニュアル通り感が半端ない。
「この『IS学園』は、IS、つまりインフィニット・ストラトスに関する操縦者の育成や技術者の育成を目的とした専門の教育機関です。生徒は全員全寮制となっており、基本的にはこの学園内で衣食住を確保する形となっています。」
そして、と山田先生は力を込めたセリフで一拍を置いて話を続ける。
「世界でISについて取り扱っている教育機関はこのIS学園だけとなっていて、世界中からIS操縦者の卵たちがここに集まってくるのです。」
「ですので皆さん、お国は違えどみんなで仲良くしてね!」
と少し可愛げに締めくくる副担任。このキメのセリフとさりげないブリッコポーズを影で沢山練習していたと考えるとなんだが泣けてくる。
というか見事完璧にこなして達成感に浸っているところを想像すると同情じゃ済みそうにない。
それを思ったのは零治だけではなかったらしく、一夏はゲッソリとした表情をしている。
(そしてそのインフィニット・ストラトスだが、本来は女性にしか使えない代物だ。つまりそれの操縦者を育成するこのIS学園は必然的に女子高になってしまうわけだが、)
一夏は顔のゲッソリ具合をさらに強めて思考する。
(なぜだか俺は、世界でただ一人ISを使える男であったらしい。気付いたら女子高に男子が紛れた感じになってしまったんだ。)
そこでふと、最後列の零治を見つめる。
(だけど、この学園に入学した男は俺だけではなかった。)
見つめられている当の本人は、なんだか必死に何かを伝えたそうな顔で一夏を見て口をパクパクさせている。
(あいつはISが使える訳じゃないのに、ここに入ってこれたんだっけ。ほんと、とんでもない理由で入ってきたもんだよ。)
というかアイツは何をやっているんだ……? 俺に助けられることなんかないぞ。
そんなどうでも良いことを考え続けていた時だった。
「織村君? 織村君!」
はっ、と気が付いた時には山田先生が至近距離に顔を迫らせていた。
「は、はい!!」
あわてて立ち上がる一夏、頬が少し赤いのは何かよからぬものを見た証拠だ。
(た、谷m…)
「今、自己紹介をしてもらっているんだけど、『あ』から始まって……次『お』なんだ…、だから…自己紹介してくれるとうれしいなぁって……」
押しが弱い教師だ。
「わ、分かりました。では……」
一夏は一度深呼吸を挟み、自己紹介を始める。
「えっと、織村一夏です………………………………………………………………………、っ!?」
その瞬間、一夏は猛烈なプレッシャーが背中にたたきつけられたのを感じ取った。
(やばいやばいやばい! めっちゃみんな注目してる! ここでなんか気の利いたことを言えなきゃ、一生このまま地味な奴だと思われてしまうぞ!!)
取り敢えずこの動揺を落ち着かせるため深呼吸take2。
……よし、覚悟は決めた!
大きく息を吸い腹に力を込めて…
「以上です!!!」
ズッコー、っとみんなして大道芸人顔負けのずっこけをさらしてみせた。
「やった…!成功か………!!」
クラスの反応を見て思わずそう呟いた一夏の頭を、何者かが出席簿でぶっ叩いた。
ガンッ!!っと音が鳴り響く。
「痛ってぇ!!!」
「バカ者が、ろくに自己紹介もできんのか貴様は…!」
そう言い放った黒髪ショートヘヤーの暴力教師は、まるでOLのようにきっちりとした服装で全身黒のスーツを着こなす美人体系で……
「って、千冬姉ぇ!!」
ゴンッ!! という鈍い音と共に無言で机に突っ伏してしまう一夏。
あれはさすがに痛そうである。というかあの虐待は相変わらずなのだろうか。
「学校では織村先生と呼べ、次はこれでは済ませんぞ。」
持前のクールの顔立ちが相まって、一夏をにらみつける千冬の視線の圧力が一層すさまじく感じてしまう。
「はい…織村先生……。」
え、ウソ? 織村君ってあの千冬様の弟?
じゃ、じゃあ、世界で唯一ISが使える男っていうのは、それが関係しているのかも……
二人のやり取りを見てか、クラス女子達は一斉にヒソヒソと話出した。
「静かに!!」
しかし千冬の鶴の一声で早くも沈黙。
「私がこのクラスの担任の織村千冬だ。貴様らをこの一年で使い物にするのが私の仕事だ。いいか、いいなら『はい』と返事をしろ! よくなくても『はい』と言え!!」
「「「はい!!!」」」
なんだか言っていることが無茶苦茶だが、
見事にクラスの士気を掌握してみせた織村一夏の姉、織村千冬。
実は彼女こそ、自他ともに認める世界で最強のIS操縦者である。
『第一回モンドグロッソ』というISを使った1対1の決闘大会では、他者を圧倒させて堂々の優勝を飾っており、その圧倒的な戦闘力から業界では『ブリュンヒルデ』と呼ばれ恐れられていたりもするのだ。
因みに現在ISは、条約により軍事目的での使用を禁じられており、表向きはこういったスポーツの場で使うことが前提であったりする。
一時期宇宙服と言われていた時代があったような気もするが、あれは何だったのだろうか……。
「因みに私は一年の寮の寮長でもある。もちろん、規律は是が非でも守ってもらう。いいな!」
「「「はい!!!」」」
千冬は第二回のモンドグロッソを途中棄権して以来、月1で家に帰る以外にほとんど家に帰ることがなくなってしまい、当初一夏は相当心配していたのであるが、
(そっか、寮長やってたのか…。そりゃあ帰らなくなって当然だな、何事もなくて良かった良かった。)
姉の不在の理由に勝手に納得し、うなずく弟。
ここで下手に文句を垂れないあたり、つくづく姉思いの弟である。
それから暫くして、
千冬の大演説が終わり自己紹介が再開され、一人一人簡単な自己紹介が続いた。
そしてすぐに、もう一人の男の自己紹介の番が回ってきた。
このIS学園に入学しているのに、ISが操れるというようなイレギュラー要素を持ち合わせていないという、これまたイレギュラーなその少年は、静かに立ち上がって周りを見回す。
十分な溜めを作って全員の注目を集めたのを確認すると、少年はゆっくりと口を開いた。
「整備科の藤原零治です! えっと、中学までずっと剣道をやってました。特技は『IS作り』です。コアさえあれば希望の機体をプログラムから組み上げますので、皆さんのお役に立てるように頑張ります!」
藤原零治、彼は織村一夏とは違った理由で今世界から注目されている人物である。
ISに関する研究成果の発表会である『ISトライアル』において、幾千の研究者たちの発表としのぎを削り、見事入賞を果たした15歳の天才。
小柄で幼さをいまだに落とし切れていない容貌の彼が、世界が認める天才、藤原零治である。
その将来性を買われた零治は、いつしかISコアの構造解析を成し遂げるために政府に充実した研究環境を与えられ、そこでの研究を義務付けられた。
その研究環境というのがこの『IS学園』であり、零治がひそかにもくろんでいる『高校生活謳歌計画』の舞台であったのだが、
「っ!!」
零治を囲んでいる少女たちの目は、ライオンがシマウマを見つけたときのそれであった。
まるで彼と仲良くすれば定期テストを突破できんと目論んでいるような、そんな邪悪な目……。
(こ、こわい………。)
「え、えっと、男ですけど仲間外れとかにはしないで下さい!!!以上です!!!」
(て、テンパってしまったぞ!!やばい!)
席に座った瞬間に自分の失態に気付き、絶賛後悔中の零治だが、ふと目があったクラスメイトが優しそうな顔で笑いかけてくれている。
いい人達なんだと思ってしまいそうになったが、次の瞬間零治は戦慄した。
そう、
見回す限り全員同じような表情をしていたのである。
同じような角度で振り向き、同じような口の形で笑いかけている……。
助けて一夏! これはうまくやっていける気がしないよ!!
というか、
自己紹介で失敗するのは、もはや全国の男子高校生の宿命なのだろうか……。
どうでしょうか?
皆さんのお口に合う感じだったか少し不安が残る感じでしたが、ただいま色々と感想を募集しているところです。
こんなところ読みにくいとか、口調がちゃうとかあったら感想欄に下され!
では、今回もこのような粗雑な文章を最後まで読んでいただきありがとうございました。
宜しければまた次回も読んでいただけると幸いです。
ではまた近いうちに!