フーと散歩   作:水霧

24 / 78
第二話:さむいとこ

 薄い橙色の巨大な高台が(そび)え立っていた。太陽から照りつけてくる太陽光線を自身で受け止め、その背後に安楽の日陰をもたらしてくれている。

 ところが、まだ南中を迎えていないにもかかわらず、そこでさえ熱気が込もっていた。

「はぁ……はぁ……」

 ブルーシートに人が横たわっていた。熱い吐息を漏らしながら暑さに悶えている。怒涛の勢いで湧き出る汗。ブルーシートに汗の溜りができていた。

 その人は長くて白い布を体中に隙間なく包んでいた。(かたわ)らには登山用の黒いリュックと薄汚れたスニーカーがきっちり揃えられている。なぜか黒いシルクハットまであった。

「大丈夫ですか?」

 その人に、どこからか“声”が話しかけてくる。淡々とした妙齢の女の声だった。

「ぐ、あぁ……はぁっ……」

 その人は悶えているというよりも苦しそうだった。

「誰か、通りすがりの方が来てくれればいいのですがね」

「うるせぇ……はうっ!」

「ほら、死にはしませんから、大人しくした方がいいですよ」

 唸っていたその人の身体は次第に、

「はっ……! はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」

 痙攣を起こしてきた。

「た、たすけってくれはっ! はっ! はっ! はっ!」

「こんな身なりではどうすることもできません」

 “声”は慌てることなく、冷めた一言を放つ。

「ふざ、はっ! はっ! はっ! はっ! はぁっ! はぁっ! はあぁっ!」

 その人は目を見開いたまま、ごろりと横たわった。そして何もしなくなった。

 “声”はため息をついた。

「これで七十三人目ですね。“金貨強盗”と言えばそれまでですが」

「強盗したのはそいつだろ」

 突如、どこからか汗だくの青年がやって来た。七分袖の白いシャツに薄手の布でできた白い羽織を着ていて、暗めの青いチノパンを履いている。靴は真新しいハイカットの白いスニーカーだった。

 腰に付けてあった黒いウェストポーチをシートに置く。どさりと重量感があった。

「ダメ男の頭は人類稀に見る軽さのようです」

「そのシートにできてる油ぎっとぎとの水溜まりにぶち込んでやろうか?」

 “ダメ男”と呼ばれた青年は“元”男の首元を漁る。黒い紐が掛けられていて、ぶちりを切り離した。吊り上げてみると、

「ウォータープルーフですから大丈夫です。それに、どちらにしてもお手入れしなければいけないですしね」

 水色の四角い物体が付いており、“声”はここから発信している。“元”男の脂汗でぬめりとした光沢が出ている。

「……オレの荷物に手を出すと、ほとんどこうなるからな……」

「ですが、そのおかげで望みの村は見つかりそうですね。ここから北に十八キロメートル進んだところにあると言っていました。時間としては三時間半くらいでしょうか」

「確かに、普通に歩いて行けばそのくらいが妥当だろうな。でも……」

「でも?」

「ここは砂漠だろうがあぁあぁぁ!」

 ダメ男の叫び声は黄色い砂原に沈み込んでいった。

 

 

「はぁ……」

 ダメ男のいる高台周辺は砂漠ではなく、土で押し固められた大地だった。しかし、黄色い砂地は視界に収まる距離にあり、ここが休憩できる地点だとダメ男は(さと)った。

 ちょうど正午になり、太陽は遺憾無くフル活動する。日光だけで物を燃やす勢いで、じりじりと肌を焼く。

 ぼこりと膨らんだ地面の前で、ダメ男は大量の汗をかいていた。

「いつ出発するのですか?」

 まだ高台の陰から出立していなかった。

「日差しが強いから、もう少ししてからだ……」

 そう言いながら、小さなナイフを突き立てた。

「十字架の代わりですか?」

「最低の事はしないとな……」

「そうですか」

 そして合掌した。数秒間。その間も汗は止まらない。

「……うん」

 ポーチから黄色い箱と水入りのボトルを取り出して、開封した。中には袋が二つ入っていて、そのうちの一つを開ける。白っぽいブロックが二個入っていた。携帯食料らしい。

 もこもこさくさくと口に含む。

「こんな所に涼しい街があるなんて、信じられないよな」

「砂漠に涼しい場所といえば、オアシスしか思い付きませんね」

「……“おあしす”?」

「ダメ男は知らないのですか?」

 水をぐびりと飲み込んだ。

「まぁ……砂漠自体が初めてだったし……」

 “声”は溜め息をわざと漏らした。

「仕方ないだろ! 初めてなんだから!」

「なんだか、言い訳が気持ち悪いですね」

「で! 何なんだよ! “おあしす”って!」

「顔面崩壊なのに女々しい言い訳とは、さすがはダメ男です」

「話題は変えないのなっ」

「辞書で調べてください」

「うわぁ……最終的に投げやりかよ」

「自分で調べることもしないと、脳みそが本当に萎縮してしまいます」

「お前も一緒に砂漠に埋めてやろうか? “フー”?」

 “フー”と呼ばれた“声”は、

「るるるるるるる~るらる~、るるるるるるるる~らるる~、るるる~るら、」

「いきなり歌ってゴマカすな」

「版権に関わりますので鼻歌のみです」

 歌い出した。

 昼食を済ませ、荷物をまとめて出発したのは四時過ぎだった。日が傾いていきたとはいえ、まだ灼熱地獄は続いている。

 ダメ男は健気にも歩き続けていた。

「こんな所でいつもの格好をしていたら、とっくにミイラになっていますね」

「そうだな。近くの村で買っといてよかった」

「これからは、その服装で旅をしたらどうです?」

「これカッコイイ?」

「ダメ男は青が良く似合いますから、悪くはないと思います」

「へ~、珍しいな。フーがホメるなんて、どういう風の吹き回しだよ?」

「その答えは西の方にありますよ」

「? 西?」

 ダメ男が左に向くと、

「そちらは北東です」

「ごめん」

 改めて、西には、

「え! なんで砂漠なのに、湖とかっ? しかも木でかっ!」

 青々と茂った緑と、それに囲まれた大きな湖が見えた。草木は長々と生えていて、砂漠からすっと伸びている。

「あれがオアシスです」

「すげ……」

 ダメ男はそちらを目指して歩き始めた。

「あぁして目標ができると、やる気出てくるよな」

「進路が変わっていますよ」

「よりみち! 目的地に着く前に死んだら元も子もない」

「そ、そうですね。その前にダメ男の体力が持てばいいのですが」

「人間ってのは一つのことに集中すれば、とてつもない力を発揮するもんだ」

「例えば何がありますか?」

「え? えぇ~と……例えば、目の前で車に挟まれた人がいたとしようか」

「どんな事情で挟まれたのかは聞かないこととして、サイズはどのくらいですか?」

「重すぎても可哀相だから、七百キロくらいにしとくか」

「挟まれた人は死にますね」

「もちろん、普通の人間じゃそんな重さの物を持ち上げることなんてできっこない。でも、だ」

「でも?」

「その人を助けたいっていう想いが極限までに高まると、力が一気に解放されるんだ。すると、その車を持ち上げられるんだ」

「へぇ。まさに“アキバのアタラクシア”というわけですね」

「……」

「ダメ男、どうしました?」

「あぁいや、何でもない、うん……アタラクシアねぇ……」

「? 変なダメ男ですね」

 ちなみに“火事場の馬鹿力”である。

 そんな他愛のない話をし続けておよそ一時間後、

「なんかさ」

「はい?」

「いっこうに縮まらないんだけど。そのオアシスってやつに……。あついよ……」

「それなら、怖い話でもします? 涼しくなりますよ」

「やだ! するなよ! 絶対に聞かないかんなっ!」

「ダメ男、あのオアシスをよく見てください」

「だから怖い話は……ん?」

 ダメ男はもう一度見てみた。確かに、湖があり、草木が涼しげに生い茂っている。

「何が変? つーか、怖い話関係ないし」

「ところが、あれは通常ではありえないのです」

「……なんで?」

「なぜなら、草木の根元が“上”にあり、下に向かって跳ねているからです」

「ん? ……!」

 よく見ると、草木が上に一つにまとまり、下に向かって細く四方八方に“砂漠に貫通している”。

 ダメ男の汗は一気に引いた。

「な、なんか怖いんだけどあれ……どういうことだよ、フー?」

「人間の目に映る景色というのは、光線が物体に反射して網膜に入ることにより見えるのです。しかし、光線は気温差の激しい気候によって屈折率が変化してしまうのです」

「え、えっと……よくわからん。つまり何なの?」

「つまり、目の前のあれは幻影なのです」

「な、なにぃぃぃ!」

「これは砂漠でよく見られる“蜃気楼”という現象なのです。幻影はいくら歩いても近づくことができず、逃げていくようにも見えるとされ、“逃げ水”という風にも言われるのです」

「つ、つまり、オレは存在しない幻影を追い続けたっつーことかよ! 一時間もっ!」

「先に言うべきでした。まさか、実物と見間違えるなんて」

「恐ろしく怖い話……だ、な……」

 ダメ男はへなへなと砂漠に倒れた。

「ダメ男! しっかりしてください!」

「こ、これが自然の脅威か……」

「ダメ男、ダメ男!」

「たのしかったぜ、フー。オレはここまで、」

 しかし、

「へぶちゃぁ!」

 いきなり、ダメ男の顔面を水が直撃した。そちらには、

「大丈夫か?」

 ラクダから降りた男がいた。男は薄くて涼しそうなマントを羽織っている。

「……あぁ……これも幻影か……」

「リアルだわボケ!」

 思わず男はダメ男を殴った。ダメ男は目をくるくる回して、あえなく気を失った。

「あ」

「ダメ男、ダメ男!」

「まあいいか。こいつも追加で」

 男の後ろには、仲間らしき集団がいた。十人ほどで、全員がラクダに乗っている。

 ダメ男はその内の一人のラクダに乗せられた。

 

 

「……ん……」

 ダメ男はふとして目が覚めた。

 辺りは暗く、しかも疲労のせいなのか、視界がぼやけていた。ただ、ふかふかのベッドで眠っていたことだけは理解できた。

「さ、むい」

 ダメ男はタオルケットを身体に(まと)った。服装は白のアンダーシャツに履いていた青のパンツだ。

 ふらっと起き上がってベッドから下り、壁伝いに歩きだす。よく見れば木の木目があった。そのまま進むと、ドアが見えた。さらに、すぐ隣にはスイッチがあった。カチリと明かりを(とも)した。

「……」

 部屋は八畳くらいで、浴室に繋がる通路と窓辺にテーブル、ベッドが設置されている。そこにダメ男の荷物が綺麗に揃えられていた。上着はテーブルに畳んで置いてある。

 ダメ男はいきなりびくりとして、胸の辺りを探った。

「フー……!」

「いますよ」

 ダメ男は声のするベッドの方へ向かった。フーはダメ男の枕元に置いてあった。無意識に安堵のため息が漏らす。

「フー、ずっと看てくれたのか?」

「違います。たまたまです。なぜダメ男の醜い顔を見ながら睡眠を取らなければならないのですか? 見るに()えないほど、世界を破滅へと(いざな)うほど顔面が崩壊しているというのに、一緒に眠るのは拷問に等しい行為です。なので、」

「ありがとな……。少し疲れてるみたい……もう少し寝るよ」

「いいえ。お休みなさいです」

 ダメ男は倒れるようにベッドで眠った。どことなく微笑んでいる気がした。

 

 

 外が明るくなり始めた。窓辺からぼやけて広がっていく薄明かり。だんだんと部屋全体へ浸透していく。

 砂漠らしい暑さはなく、肌寒さが気になる気温だった。その表れなのか、ダメ男は、

「……す……す……」

 床で眠っていた。うつ伏せで、ブランケットを掛けて熟睡していた。よほど気持ちいいのか、ぎゅっとブランケットを(つか)んでいる。いつもなら目覚める時刻だが、ダメ男は目を覚ましそうにない。

 枕元に置いてあるフーがちかちかと赤く点滅していた。

「ダメ男、時間です。起きて下さい」

「……」

 起きないどころか反応も薄い。

 フーはため息を吐いて様子を見た。どこにあるのか分からない“眼”で、ダメ男を見た。

「……」

 ダメ男は静かな寝息を立てて、心地好く眠っている。そして、ごろりと寝返りをうって仰向けになった。うぅん……、と幼い声をあげる。

「でーでん……でーでん……」

「……す……す……」

 まるで何かが迫ってくるように言い出した。

「でーでん、でーでん……」

「……」

「でーでん、でーでん、でーでん」

「ぁ……」

「でーでんでーでんでーでん」

「ぅ」

「でんでんっでんでんっでんでんっでんでんっでんでんっでんでんっでんでんっ」

「うるさい!」

 ダメ男は叩き起こされ、ベッドに向かい、フーを手に持って、

「おはようです」

「あ、あぁ……あはよう」

 一歩踏み止まった。落ち着いてから、フーに通してある(ひも)を首にかける。

 ぐいっと身体を伸ばす。

「襲われる悪夢、か……」

「まだ寝ぼけているようですね。悪夢を見ているとは思えないくらいに気持ち良さそうでしたよ」

「適当なこと言って……あ!」

 ダメ男は突如、下を見て驚いた。

「どうしました?」

「パンツ、洗濯してないし……」

 よく見ると、裾のあたりに砂がひっついていた。

「仕方ありませんよ」

「……そうだな」

 ダメ男は気を取り直して、毎朝恒例の朝練に取り掛かった。

 テーブルの近くに整列された荷物のうち、リュックからナイフを取り出した。そのナイフは黒い骨組で()が作られていて、隙間には透明な膜が貼られている。仕込み式で、ボタンを押しながら振ると刃が出てくる。刃渡りは拳三つほどで、柄も同じくらいの長さだった。

 そのナイフを振り回す。眠気がまだ完全に取れていないようで、動きが鈍かった。そのせいで、

「あ」

 手が滑ってしまった。

「だめ、」

 ナイフは深く突き刺さった。足の指数センチ先で。

「……」

「もう、しっかりしてください! 怪我しますよ!」

「悪い悪い。なんか寒くてうまく動かん」

「寒い?」

「あぁ」

「気温は二十五度ですよ」

「あれ? ……あぁ、外との気温差が激しいからだな」

 苦笑いで誤魔化そうとしても、顔は引きつっていた。

「でもまぁ、今回はケガしなかったんだからいいだろ?」

「もし怪我したら、三十三回目です。そのうちの二十五回は右足の親指です」

「えらーいえらいっ。よく数えましたね~」

「切断すればいいのに、とは言いませんよ」

「へぇ、それってやっぱりおなじ、」

「ナイフが胸に刺さって死んでしまえばいいです」

「物理的にありえんだろっ。もっとひどいなっ」

「特に大動脈が切られて、悶え苦しみながら出血多量で絶命すればいいです。それか(のど)のあたりを切って、」

「朝からグロテスクなトークはやめよう、な?」

「それを言ってしまったら、ダメ男の顔面には常にモザイクが必要になりますよ」

「そうだ、寝起きだから口が悪いんだった……」

「ダメ男は口が臭いですけどね」

「……!」

 ダメ男は崩れ落ちて、打ちひしがれた。

「顔が気持ち悪いとかは我慢できるけど、……口が臭いってのはショックだ……」

「元気出してください。口臭用の医薬品もありますから」

「……」

「口臭は口の中だけでなく、胃にも原因があるらしいですよ。だから歯磨きだけでなく胃にも気にかけた方がいいです」

「……」

「あれ、ダメ男? だめおー?」

「……」

 ダメ男が立ち直るのに時間がかかった。太陽が登りきった頃でも立ち直れなかったという。

 

 

 日干し煉瓦で組み立てられた家や建物が点々と並んでいる。その中にいくつか白いものがあった。そしてそれを囲むように、砂を()いて作った道が通っている。

 その村は(にぎ)わっていた。村人は貧しそうな格好でも、笑いあって楽しそうに話している。村の端っこにヤシの木々に囲まれた泉があり、そこに多くの人が集まっていた。水浴びをしていて気持ちよさそうだった。

 この頃ダメ男は必要最低限の荷物を持って、村を散策していた。昨日と同じ服装で。

「このネギ、腐ってんじゃないの? “値切(ねぎ)”らせろよ」

「うひゃぁ~。金あるくせに値切るとか、おっ“かね”~」

「ねぇ、ちょっとこれ見てよ! (たい)の死“体”よ! 生臭いわ……」

「忍者を解“任じゃ”」

「了解。ところで君、仕事をさぼって歯の治“療かい”?」

「いいかい? この貝は“良い貝”なんだ。栄養満点だぞ?」

「殻がないから、ち“からがない”」

「力がないのはお前が怠けてるからだろ。もっと“身体”を鍛えろよ」

「ぼくは牛を“うし”なわない!」

「それじゃ、牛の縄を“うしなわ”ない」

「神の“髪”の毛」

「……」

 鳥肌が立ちっぱなしだった。なのに、汗がだらだらと垂れっぱなしだった。

「こいつら、オレを凍死させる気なのか……? どう思う、フー?」

「“闘志”を燃やせ!」

「くだらないこと言ってると、本気で叩きつけるからな」

「そんなに怒らないでください」

 それでも、楽しい雰囲気であるから毛嫌いにすることはなかった。

 ダメ男は両耳にイヤホンをして、歩くことにした。幾分かマシのようだ。

 そこに、気さくに男が話しかけてきた。

「やぁ」

「ど、どうも」

「どうだい? ここは涼しいだろう?」

「……いろんな意味で」

「それだけでなく、緑が多いですね。まさにオアシスです」

 男はありがとう、と嬉しそうに礼を言う。

「実は、先人達が考えてくださったんだ。百年くらい前かららしいけど、度重なる苦労の結果、考案されたのが“ダジャレ”だったのさ」

「ダジャレ……」

 ダメ男はそろそろお(いとま)しようと思ったが、男が説明したそうにうずうずしていたので、もう少しいることにした。先ほどから悪寒がしてならないらしい。

「なぜ、ダジャレはあれほど寒くできるのか? あらゆる科学者に分析させたよ。そうしたら、驚くべき結果が出たんだ」

「な、何が出たんだよ?」

「ダジャレには、気温を下げる効果があったのだ!」

「……それってさ、気持ち的なものじゃないのか?」

「これを見てほしい」

 そう言ってダメ男に手渡したのは、分厚いファイルだった。表紙をめくると、数字と折れ線グラフが日にちごとに、事細かに記録されていた。

「そのページは最近のものだが、およそ二十八年間分の天気と気温のデータだ。ダジャレを本格的に導入したのは十五年ほど前。導入後で平均気温が八度も下がったのだ!」

 最後のページに年度ごとの月の気温の記録が棒線グラフで記してあった。確かに男の言うとおり、気温が下がっているように示されている。

「平均気温で提示することで信憑性が薄くなってしまうが、ここまで明確であれば、ダジャレの効果はあると見なしていいだろう!」

「うそだろ……でもなぁ……こうも結果が出てるし……」

「とてつもなく素晴らしいと思います。全面的に支持します」

 ありがとう、と男ははにかんだ。

 ダメ男とフーは素直に感心した。それと、ダメ男の悪寒は治ったらしい。

「とにかく、これからもダジャレは続けていくつもりだ。あなた方も何か一つ考えてみたらどうだろう?」

「い、いや、オレは体調がまだ良くないみたいだから」

「それでは一つ、」

「早く戻るぞ」

「……お、お大事に」

 悪寒は再発したようだ。

 

 

 あれからも村を歩き回った。ついでに買い物もして、必要なものと不必要なものを整理した。地域が地域なだけに、重宝する物が多かったらしく、思った以上に買い物はお得だった。

 その合間にも村人たちと話してみた。返す言葉がほぼダジャレ付きという、身が凍る思いをするダメ男。それでも陽気な雰囲気に、顔が(ほころ)ぶ。なんとなく村人たちが勇ましく感じた。

 日が落ちてきて雄大で広大な砂漠一帯は赤く染まる。水平線に沈んでいく太陽は、まるで赤い閃光を放つダイヤモンドのようだった。やがて姿が消えていき、空と大地は紺色に移り変わっていく。

 賑やかだった村も落ち着いていき、かすかな歓声と静寂が包んでいく。

 空に遮るものは全くない。夜なのに昼のように明るかった。満月が太陽の代役を果たし、地上を照らし続けてくれた。夜空一面、粒々が光っている。

「ダジャレは……フーの専売特許だもんな」

「べっ別にダジャレを言っているわけじゃないです」

「ダジャレというか、訳の分からんこと言うもんな」

「ダメ男」

「は、はい」

「今何時ですか?」

「な、なんだよいきなり。大体二十時くらいじゃないか?」

「“(なんじ)”、時計がないなら買いに行っ“とけい”」

「……サブい」

「まさに“供えあれば幽霊なし”ですね」

「すんません。本当に、手厚く(とむら)うので出てこないでください幽霊さん」

「あはは」

 ダメ男は部屋に戻っていた。調度品と荷物を整理整頓していた。テーブルだけでなく、ベッドやら床までもダメ男の荷物が散乱している。

 フーはテーブルの手元に置いてある。

「まぁ、電気も満足に使えないこの村にとって、エコな作戦かもしれませんね。ダジャレはほぼ人畜無害ですし、お金もかかりませんし、涼しい気分になりますしね」

「このまま続けたら、氷河期突入しちゃうんじゃないか?」

「暑くなければいいと思いますよ。それよりも、ダジャレで気温を下げる仕組みを知りたいですね」

「分かるわけないだろ」

「えーっと、ダジャレで気温を下げるということは、空気中の分子の熱エネルギーを吸収することになるのだから、ダジャレは、あるいはそれを放出する人間が熱エネルギーを、」

「何言ってるかさっぱり分からないし……。好きにしてろ。それと、明日出発だからな」

「分かりました」

 ふぅ、と息をついたダメ男は風呂に入っていった。

「うおっ! つめったっ! つーかここさむっ!」

 湯船に入っていた水は恐ろしく冷えていた。仕方ないのでシャワーを、

「ひゃおぉ! こっちもかよ! ダジャレおそるべし!」

 シャワーヘッドを床に叩きつけた。

 

 

 出発する日の朝を迎えた。いつものように(たる)んだ朝練をする予定だった。

「……」

「ダメ男? どうしました?」

「あ、いや、今日はやめとく……うぅ」

「?」

 ダメ男は片付けていないかった荷物をリュックやポーチに入れ始めた。

「もう出発するのですか?」

「んだな。村を一回りしてから出ようと思ってる」

「そうですか」

「……よし、行くぞ」

 ダークブルーのジーンズに白のタンクトップを着て、白のスニーカーを履いた。その上から白い羽織を着る。

 ウェストポーチ二つを腰に付け、ナイフの入ったホルスターを右の横腹にくくりつける。ナイフを出し入れして、高さを微調整した。

 リュックをぐっと持ち上げて重さを確かめた後、部屋を一回り確認した。

「あ」

 ダメ男はリュックを下ろして、中からボトルを取り出すと風呂場へ直行した。

「危なかったですね」

「うん」

 風呂場の蛇口から、キンキンに冷えた水を補給していった。

「ここだけ氷河期だよ」

「涼しいを通り越して寒いですね」

 改めて部屋中を確認した後、ようやく部屋を出た。きしきしと軋む廊下を進んでいくと、ほどほどに広いロータリーに着く。見た目、学校の教室ほどの広さだ。しかも、待ち合いのための木製ソファやテーブルも設置されている。

 そのフロアに五、六人の人がいた。しかし、ダメ男はあまり関心がないようで、同じ人に見えた。

 一瞥(いちべつ)して、宿から出ようとした矢先に、

「おはようございます」

 女が話しかけてきた。メイドの格好をしていて従業員のようだった。

「ども」

 口だけの営業スマイル。

「よく眠れましたか?」

「まぁ、ここの床は寝心地が良かったよ」

「“床”ですか……」

 くすくすと笑っている。ダメ男ははっとして、

「さ、砂漠を最短で抜けるには、どの方角に行けばいいか分かるか?」

 話題を変えた。

「床で眠る方は見たことも聞いたこともありませんよ?」

「そ、その話はいいからオレの質問に、」

「顔真っ赤ですよ、あはは」

 からからと笑い転けている。ダメ男は一瞬切れそうになったが、

「いきなりナイフは駄目ですよ。落ち着いてください。相手はからかっているだけです」

 小さな声で(なだ)められて、なんとか抑え込んだ。

 メイド服の女も小さな声で謝る。

「お帰りですか?」

「あぁ。ずっとここにいたんじゃ、凍え死んじゃうよ」

「“小声”でお願いしますね」

「………………」

 ふるふると身悶えしてきた。

「予想してなかっただけに余計に寒く感じるなぁ……」

「良かったですね。この街はとても涼しいことで有名ですから」

「もう氷点下いってるよ、うん」

 お腹いっぱい、ダメ男は悩まされる。

「どうにかして砂漠を渡らずに済む方法ってない?」

「それは無理な相談です。砂漠に囲まれた街ですから」

「そう? ……例えば地下道とかさ」

「……!」

 キッ、とほんの一瞬だけ視線が鋭くなる。

「……それなら、一番いいルートがありますけど、案内しましょうか? 滅多に案内しないんですけど」

「……まじか。ぜひお願いするよ」

「はい。では、こちらにどうぞ」

 メイドはダメ男の来た道を戻っていく。素直に付いていくと、

「ここ、オレがいた部屋……」

 ダメ男が泊まっていた部屋に案内された。メイドがそそくさと中に入った後、ダメ男も中に入る、

「!」

 直前に、ダメ男は足が止まった。

「どうしました?」

「腹痛い」

「大丈夫ですか? 水(あた)りですか?」

 部屋の中から、メイドの心配する声が聞こえた。

「何かお薬をお持ちいたしますけど……」

「大丈夫だ。そこまでひどくないし、薬も持ってる。ちょっと待ってて」

 ダメ男は一度リュックを下ろし、ポーチから錠剤を取り出した。ぱちりと押し込んで、口に放り込む。

「ダメ男、それは、」

「待たせた。薬飲んだから多分良くなる。今そっちに行くよ」

「それは何よりです」

 ダメ男は錠剤の入っていた容器を部屋の中に投げた。

「え?」

 メイドが呆気に取られた声がした瞬間、

「動くなよ?」

 ダメ男はメイドにナイフを突き付ける。部屋に入ってすぐ右手の壁に隠れていた。びたりと首に切っ先がついていて、下手に動くと()じ込まれそうだった。そのメイドはというと、

「……」

 物騒な黒い“L”字型の物体を握りしめていた。観念したかのようにそれを手放す。

「よく気づきましたね」

「バレバレだっつーの。部屋に入っていきなり姿を消したら、挙動不審にしか思わん」

「ダメ男が飲んだのがラムネだったので、何とか把握できました」

 足元に落ちていたラムネの容器を拾い、メイドに見せつけた。

「食べる?」

「いりません」

「んじゃ、行こうか」

 ダメ男はナイフをポーチに仕舞った。

「は?」

「いや、だって案内するって言ったじゃん。まさかオレを殺すためのデタラメ?」

「そうじゃないですけど……」

「そんなら行こう」

「自分を殺そうとした人を信じるんですか?」

 ダメ男は頭を()く。

「あんたどんだけ中二病だよ。手際良く殺すなら、寝てる間にするのが普通だろ。確かに信じきれそうにないけど、オレはただ近道が知りたいだけだし。嫌なら教えてくれるだけでいい。後は歩いていくよ」

「……」

 黒い物体を回収したダメ男は、解体処分した。マガジンはリュックに無造作に突っ込んで入れた。

 メイドは頷いて、歩いていった。

「ダメ男」

 ダメ男は無謀にも、メイドに付いて行く。それを確認したメイドは目を丸くして、

「……」

 何も言わなかった。

 向かった先は、風呂場だった。何もないだろ、とダメ男が悪態をつく。それを尻目にメイドは風呂場の床を弄ると、ロックが解除したような音が聞こえた。

「お」

 ハッチのように床が開いた。ひゅお、と中から冷風が吹き抜けてくる。

「薄暗いな。ちょっと待ってろよ……っと」

 ダメ男はリュックからヘッドライトを二つ出して、一つをメイドに渡した。

「気ぃつけろよ」

「……」

 二人は中へ入っていった。

 人一人分が通れるくらいのトンネル。ダメ男たちは長い梯子(はしご)を降りた後、そのトンネルを歩いていた。先は入り組んでいるようで、暗かった。しかし、壁はしっかりと作られたようで、水漏れやひび割れなどが全くないのが分かる。コンクリートか何かで形成しているようだ。

 そして、中は寒かった。深い洞窟に入っているかのような寒さで、ダメ男は黒いセーターに着替えていた。

「迷路……なのか?」

「いえ、カーブが多いだけの一本道です。光がなくても、進んでいけるようになってます」

「……ここってどこに繋がってるんだ? 少し寒いし……」

「来れば分かります」

 メイドはつっけんどんに返答する。

 それからも休憩を挟みつつ、黙々と距離を伸ばしていく。しかし、メイドは疲労の色を微塵にも見せなかった。ダメ男は内心、バケモンじゃね、とか失礼なことを思っていた。

 そうしているうちに、トンネルの終わりが見え始めていた。

「おぉ」

「見えましたね」

「そうです……ところで、先ほどから“女性の声”が聞こえるんですけど、幽霊ですか?」

「あ、あぁ。説明は以下省略で、名前は“フー”」

「はじめまして。フーです」

「ちゃんと説明してくださいよ」

「実はかくかくしかじかで……」

「ダメ男、きちんと説明してください」

「言うのがメンドイ」

「では、私が言います」

 フーはダメ男のごついネックレスがフーであること、(しゃべ)ること、ダメ男の飼い主であることを懇切丁寧に説明してくれた。

「覚えとけよフー……ん?」

 そうして、トンネルを抜けると、湖面が壮大に広がっていた。右手に道が続いているが、そちらに足が進むことはなかった。

 洞窟のようなドーム状の空間に、湖の奥底から光が漏れていて、なぜか青白く照らしだす。底は見えるくらいに綺麗に澄んでいて、砂漠の砂が沈殿しきっていた。魚が優雅に泳いでいる。

 ライトを上に向けてみる。岩肌が湿っており、水滴が湖面へと吸い込まれていた。潤った音、小さい波紋、ゆらゆらと水面が揺れる。その音は共鳴するように響き合う。

 ダメ男はおそるおそる手を浸してみた。ひんやりした冷たさが、手に程よく染み込んで気持ちよかった。水面から手を抜くと、ダメ男が作った波紋が湖の向こうへと伝わっていく。

「ここがどのようにしてできたのかは不明ですが、おそらくごく稀に降る雨水がきれいに()されて溜まったんだと思います」

鍾乳洞(しょうにゅうどう)みたいだけど全然違うな」

「地下に眠る水洞窟ですね」

 ダメ男はフーを取り出した。ぱかりと蝶番のように開き、カタカタと何か操作する。すると、

「ちょっとこっち来てくれ」

「?」

 メイドを呼び寄せた。フーを二人に向けると、

「はいチーズ」

「え?」

 カシャッ、とフーから電子音が聞こえ、突如光った。

「ほら、見てみ?」

 (おもむろ)にフーを見せる。ダメ男と困惑しているメイド、背景に綺麗な湖が写っている。

「ありがとな」

「……私、あなたに申し訳ないことをしました……」

「いまさら?」

「ごめんなさい」

 メイドは深々と頭を下げた。

「でも、無理ないよな。ここを守るためなら……」

「!」

 ダメ男の言葉に、メイドは目をぱちくりさせた。

「本当にお人好しですね。ダメ男の悪い癖です」

「……フーさんの言うとおりですね」

 メイドはダメ男に見られないように、湖の方へ顔を背けていた。

 先に行ってて、と告げた。それを聞いたダメ男は先にある道を進み、地上へ戻る梯子を見つけた。上を見ても光が見えないことから、蓋が閉まっていると判断した。

 ダメ男は梯子に足をかけていった。荷物の重さのせいか、リュックやウェストポーチの紐が肩や腹に食い込む。涼しい環境なのに、そこからじわじわと汗が滲んできた。

 一番上まで辿り着く。地上が近いのか、やけに暑く感じているようで、さらに汗をかいている。

 ダメ男はヘッドライトを外し、蓋を押し上げた。

「!」

 外からの光が丸く縁取られる。直接眼に突き刺さるように強烈で、まぶたが不意に閉じる。

「ふんっ!」

 渾身の力を込めた。ずしりと身体全体に重量感が伝わる。それを何とか横にずらした。

「……まぶしい」

 ダメ男の頭上にはお天道様が見下ろしていた。暗闇から光輝へ眼が移り変わるのに、一瞬だった。

 ダメ男は地上に登り切り、辺りを見回した。

「……なんだここ?」

 呆気に取られた。

「砂漠地帯を抜け、ステップの地帯に入ったようですね。しかし、これほどに緑が育つなんて初めて見ました」

 煉瓦造りの家の近くに、池があった。それを取り囲むように緑が育ち、木々がいくつも点在していた。緑は家の周り一面に生い茂っている。

 さすがに暑かったらしく、セーターを脱いで、タンクトップになった。

「これ、私が全てやりました」

 うひょぅ! とダメ男は飛び退く。メイドはダメ男の背後にいた。

「びっくりさせんなよ! 心臓止まるかと思った……」

「そんなことより、あなたが全て育てたのですか?」

「はい。水は違う村からパイプを引いてもらってますけどね」

「これほどの成果を出すのに、数年ではききません」

「そこそこ頑張りました」

 メイドは照れるのを隠せず、満面の笑みを浮かべた。

「地下にあった水は使わないのか?」

「あれは村用です。飲み水と冷房用に」

「冷房用?」

「つまり、洞窟内の冷気を村に流し込み低温化を図る、ということですか?」

「そうです。……水不足に困っていた村のために水源を探したんですが、オアシスを見つけたんです。しかも驚くことに、オアシスの奥に地下洞窟があるのも発見しました。そこで掘削して、オアシスの冷気をそれぞれの家に流すことを提案したんです。もちろん強制じゃないですよ」

「自然の冷房装置ってことか?」

「そして見事に成功したのですね?」

 にこりと微笑みかける。しかし、すぐに眉をひそめた。

「ただ、これは貴重な水源なために、旅人やその他の集団に侵略や略奪をされかねません。そこで、村長さんは“ダジャレ”という言い回しで、隠すことに決めたんです」

「? じゃああの科学者は? 二十八年間もデータ取ってたけど……」

「あの方は言わば洗脳役ではないですか? ダジャレの効果を本物と思わせるためのでっち上げだと思います」

「その通り」

「すごい周到だなぁ……」

「そうでもしないと水源を守れないんです。……私はてっきり、水源を偵察に来た悪党かと思いましたよ」

 ダメ男は池の水を(すく)ってみた。地下の水よりは少し(ぬる)い。それでも、飲んでも問題ない温度だ。

「オレが風呂に入った時と同じくらい……?」

「お風呂は本来使わず、シャワーで済ませる人が多かったんです。お風呂の水は入れてましたけど、温めてなかったみたいですね」

「……だから風呂場も水も冷えてたのか」

 ダメ男はリュックを下ろし、ボトルを取り出した。こくこくと喉を鳴らして飲む。水が喉から食道を通り、胃に到達する。その過程は“冷たさ”で感じた。

「ここはまだ砂漠地帯なんです。さらに西へ向かうと、砂漠地帯を完全に抜けて草原地帯に出ます。そこからもっと先に少し古い街があるはずです」

「そうか。……いろいろとありがと。これからも頑張ってな」

「はい。旅人さんも」

「ん」

「メイド様、ありがとうございました」

 二人は固い握手を交わした。そして笑い合った。

 その手が(ほど)かれて、ダメ男は歩いていった。

「行くか」

 ずっと歩いていくのをメイドは見送っていた。ダメ男が豆粒くらいに遠くなって、

「あんなに笑ったの久しぶり」

 ぼそりと呟いた。

 

 

「西だったよな」

「西ですね」

「涼しいな」

「涼しいですね」

「ちょっと日差しが暑いけど、昨日みたいな気温にはならなそうだ」

「ですね」

「ん? んぅ……はっはっ」

「どうしま、」

「クシュンッ!」

「ダメ男のくせにクシャミが可愛いですね」

「うるさいっ……ふっクシュッ!」

「まさか、風邪ですか?」

「今朝からだるかったんだけど……無理したなぁ……」

「だから訓練をしなかったのですか?」

「うん」

「いい判断ではありますが、体調管理がなっていませんね」

「あれだけ寒かったら仕方ないと思う」

「“ダメ男は風邪を引かない”というのに、おかしいですね」

「“馬鹿は風邪をひかない”な」

「同じことですね」

「……水没させんぞ」

「余計に風邪が悪化しますよ」

「む、それは言えてる」

「ダメ男の場合、馬鹿すぎて風邪だとも自覚できないでしょうけどね」

「風邪の前にストレスで倒れそうだわ……」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。