【完結】デジタルモンスターゼヴォリューション~Another story~   作:行方不明

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今更かもしれませんが、これから独自解釈や独自設定がかなり出てくれるかもしれません。
ので、その辺りが苦手な方は注意してください。


第十三話~若造と師匠~

 オメガモンたちから無事に逃れられたウォーグレイモンたち。だが、無事に逃れられたというのに、彼らの顔は固く、未だ緊張状態にあることがわかる。

 まあ、ウォーグレイモンたちがそんな状態にあるのも頷けるだろう。

 なにせ、先ほどの撤退の最後のひと押しとなってくれたデジモンは、またロイヤルナイツの一人である――。

 

「助かったよ!スレイプモン!」

「やれやれ……アルフォースブイドラモン。もっと威厳を持てと言っているだろう」

「あはは……いやぁ……慣れなくてね」

 

 ――そう、スレイプモンだったのだから。

 スレイプモンは、ロイヤルナイツ内でアルフォースブイドラモンに並ぶほどの速度を誇るデジモンであり、赤い鎧を身に纏い、左腕には聖弩を持ち、右腕に聖盾を装備している六本の足を持つ異形の獣のようなデジモンである。

 スレイプモンは普段、とある北方の遺跡を守護しており、エグザモンに並ぶほどロイヤルナイツに関わらないデジモンだ。

 そんなスレイプモンがなぜ、ウォーグレイモンたちを助けたのか。

 

「しかし、珍しいな。お主が俗世に関わるなど」

「お前が言うことか?エグザモン」

「くははっ!違いない!」

「ふん……デュークモンに頼まれたからな」

 

 そう。先ほどデュークモン一人だけがウォーグレイモンたちと合流するのが遅れていた訳は、スレイプモンの下へと行っていたからなのだ。

 スレイプモンとて、初めは遺跡を離れてウォーグレイモンたちの下へと行こうとは思わなかった。だが、ドルモンのことを聞くと、あることに気づき、それを確かめようと思ったのだ。ウォーグレイモンたちを助けたのは、そのついでである。

 

「で?本当のところはどうなのだ?」

「……はぁ。エグザモン。やはりお前は聡いな。……そこの小僧を殺させるわけには行かなかった、と言うべきか」

「ふむ?」

「コイツはおそらく……この世界のキーとなる。いずれそれを自覚するだろう」

「どういうことだ?」

 

 何かを知っているようなスレイプモンと何かに気づきかけているエグザモンの二人ではあったが、その他の面々には二人が何を話しているのかわからない。

 ただ、ドルモンが何らかの重要なデジモンであるということだけは、蚊帳の外の面々にも理解できた。

 

「さて、それでは私は帰るぞ」

「えっ……ボクらと一緒にいてくれるんじゃないのか?」

「だからお前は青いだのなんだの言われるんだ。私はロイヤルナイツがどういう状況にあろうと知ったことではない。そこの小僧を庇っただけだ」

「ふむ。そうだな。儂もお主らの面倒を見る気はないからな。儂も行くとしよう」

「え?あ、ちょ、待って……」

 

 そうして、アルフォースブイドラモンの言うことも聞かずに、エグザモンとスレイプモンの二人は一瞬のうちにこの場から消えた。おそらく両者とも根城としているところへと帰ったのだろう。

 

「なぁ、ロイヤルナイツって……」

「言わないでもらえると助かる」

 

 もしかして、自分勝手な奴ばっかりじゃないのか、と。ウォーグレイモンは口には出さなかったが、言いたかったことはそんな感じである。

 そんな呆れたようなウォーグレイモンの呟きに答えたデュークモンだったが、その返答はどこか疲れた声色だった。

 

「これからどうするんだ?」

「しばしの間、共に行動させてもらえると助かる。スレイプモンやエグザモンがドルモンに何を見たのか……確かめたい」

「そうだね。ボクもそうしたい。……いいかな?」

「そうか。俺はいいけど……ウォーグレイモンは?」

「……助けてもらったんだ。断れないだろ」

「ふむ、ならよろしく頼む」

 

 メタルガルルモンが執り成した感はあったものの、こうしてウォーグレイモンたちとデュークモンたちは一緒に行動することとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 そうして、時は少し遡って。ウォーグレイモンたちがオメガモンたちと睨み合っていた頃。

 ウォーグレイモンたちがいた自然あふれる現在の世界(ベルサンディターミナル)とはうって変わった、近未来的な建物が立ち並ぶ未来の世界(スクルドターミナル)でのこと。

 

「……ふぅ」

 

 そんなスクルドターミナルの近未来的なビルが立ち並ぶとある都市の一角の地下に、彼――ジエスモンはいた。

 ジエスモンは最近ロイヤルナイツに加入したデジモンで、最も若いロイヤルナイツだ。とはいえ、実力的には申し分ないのだが、そういった理由で経験的な面の遅れを持つために、同じロイヤルナイツの面々からはしばし侮られることすらあるデジモンでもある。

 その姿は赤いマントの鉄色の鎧で、その体のところどころに剣がある。ともすれば、彼自身が一本の剣であるかのような印象さえ見受けられる。

 ジエスモンは、そんなデジモンだった。

 

「やっぱりどこに行ってもロイヤルナイツってだけで風当たりが強いな……オレはこんなことになるためにロイヤルナイツに入ったわけじゃねぇのに……」

 

 ロイヤルナイツを離反してから、彼はずっと単独行動中をしている。

 別に単独行動がどうということはないのだが、つい最近まで姉的存在の二人と一緒に行動していた彼からすれば、この別行動はちょとばかり寂しかったりするのだ。

 とはいえ、そんなちょっぴりだけ寂しがり屋の気がある彼がなぜ単独で行動しているのか。それは、今現在のデジモンたちのロイヤルナイツに対する不審に原因がある。

 というのも、誰かを助けることを心情とするジエスモンだが、ロイヤルナイツが信用されていない今の現状では、思うように動くことができない。誰かを助けても、その助けた相手に決死の覚悟で戦いを挑まれることすらあるのだ。

 無論、信用されてようがされてまいが、いざという時にはジエスモンは動くだろうが――平常からそれでは、周りのデジモンたちにいらぬ誤解を与えかねない。ゆえに、普段の活動を姉的存在に任せているのである。

 とはいえ――。

 

「ぬぐぅ……!落ち着かねぇ!」

 

 ――とはいえ、その現状にジエスモン自身が納得しているかは別だが。

 外のデジモンたちにいらぬ誤解と不安を与えないためにも、自分がこの地下に身を潜めている。それはジエスモンも理解できる。

 だが、ジエスモンはかれこれ数日も、この地下に篭もりきっているのだ。ジエスモンは、座して待つようなタイプではない。悪く言えば、落ち着きがないのだ。待つくらいなら、自分から動く。そういうタイプなのである。

 そして、そんなジエスモンだからこそ、彼は今、待つだけしかできない現状に歯がゆい思いを抱いていた。 

 

「相変わらずのようだな」

「っ!」

 

 だが、そんな時だった。この地下に、ジエスモン以外の者が現れたのは。

 自分に気配を悟らさせることなく近づいてきたその者に、ジエスモンは警戒して――そして、その者の姿が見えた瞬間に、ジエスモンはその者に向かって駆け出した。

 だが、それは奇しくも、その者とも同じ行動で。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

 一瞬の交差。拳と剣が交わり合り、次いで起こる凄まじい衝撃。

 まるで敵を見るかのような、鋭い視線でジエスモンは相手を睨む。だが、それは相手も同じこと。ジエスモンの剣を拳で受け止めたその相手も同じ視線でジエスモンを見ていた。

 その相手こそ――。

 

「久しぶりだなぁ!クソ師匠!」

「ふん……口と勢いだけは達者な若造が!」

 

 ――そう。その相手こそ、ジエスモンの師匠たるロイヤルナイツ。ガンクゥモンだった。

 あの会合の後、ガンクゥモンは真っ先にジエスモンを探し、そしてこの場にやって来たのである。ほぼ完璧に隠れていたジエスモンのことをあっさりと見つけたのだ。その手腕は、やはり師匠と言うべきか。ジエスモンの考えることをよく理解している。

 交わり合っている二人の拳と剣はギリギリと音を立てていて、その音が立つたびに二人の間にある緊張感が増していく。もう今にも戦闘が始まりそうだ。

 そして、この一瞬後――。

 

「ははは!なんだよ、おい。びっくりさせるなって!クソ師匠!」

「くくっ。生意気を言う若造が鈍ってないか確かめただけのこと。生意気を言うならそれを貫く……」

「生意気を言うならそれを貫く強さを持て、だろ?わかってるさ」

「……そうか。杞憂だったらしいな」

「当たり前だ!クソ師匠の教えはしっかりと覚えてる!」

 

 ――二人の間にあったのは、先ほどの緊張感など欠片も存在しない、和やかな雰囲気だった。

 再会を喜んでいるのだろう。ジエスモンの声には嬉しそうな色が含まれていて。一方のガンクゥモンも、表情にも声にもほとんど変わりはなかったが、よく見ればその口元が緩んでいる。

 このことからも、二人とも本当に再会を喜んでいるのだろう。

 ならば、先ほどの殺気立った交差はなんだったという話だが――ようするに、先ほどの一撃の応酬は、二人にとっての挨拶がわりのようなものだったのだ。

 

「それにしてもお前は……もう少し頭の良いやり方を思いつかなかったのか?表立ってロイヤルナイツを離反していいことはないぞ」

「わかってらぁよ。でも、つい……な」

「お前のその熱さは他のロイヤルナイツにはない。感情的になれるのはお前の良いところではあるが、もう少し冷静にもなれ。俺が他のメンバーを誤魔化すのにも限界がある」

 

 そう。ガンクゥモンは初めから知っていたのだ。

 イグドラシルによる凶行(Xプログラム)と、そしてトドメの全デジモン抹消命令。この二つを前にして、この感情的なジエスモンが大人しくしているというのは無理であるということを。

 そのことを、師匠であるガンクゥモンは見通していた。

 だからこそ、自分も納得できないながら、ガンクゥモンはロイヤルナイツに残り、陰ながら弟子(ジエスモン)のサポートをすることにしたのである。

 まあ、そのこと(サポート)を、当のジエスモンは今ここで初めて知ったのだが。

 

「っぐ……すまねぇ。また迷惑かけちまった」

「ふっ……若造のひよっこがよく言う。いつになっても弟子は弟子だ」

「ぬぐぐ……絶対いつか一人前って認めさせてやるからな!」

 

 そんなジエスモンの言葉を聞きながらも、ガンクゥモンはやってみろとばかりに彼から背を向けた。

 あまり長居をするのも、バレる危険がある。だからこそ、会った事実だけ作って、ガンクゥモンは帰るのだろう。逃げられたとか、そういった感じで誤魔化すために。

 そんなガンクゥモンの背中を見て、憧れたその背中は未だ遠いことをジエスモンは実感したのだった。

 




最近大学の講義でギリシャ神話を扱うものを受けているので、オリュンポス十二神族の登場する小説を書きたくなっている自分です。

さて……というわけで、第十三話。
新しく後半になりまして、前回の続きと新たなロイヤルナイツの顔見せ回でした。

今回のロイヤルナイツはガンクゥモンです。
作者が初めて見たとき、このおっさんがロイヤルナイツ!?と驚いたデジモンですね。
いずれ紹介するジエスモンと同じく、平常時も活動しているロイヤルナイツですので、デジモンたちが最も身近に感じるロイヤルナイツの一人ですね。
この小説内での立ち位置は、ジエスモンの師匠です。
とはいえ、次世代に譲るような行動をするあまり、サイスルと同じ運命を辿る可能性も……無きにしも非ずです。

さて、次回は存在だけ今回ちらっと出てきたデジモンたちが登場します。

それでは次回もよろしくお願いします。

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