【完結】デジタルモンスターゼヴォリューション~Another story~   作:行方不明

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第二十四話~王竜伝説~

 進化したオウリュウモンは、オメガモンを睨みつける。

 一方でオメガモンは、どうやら混乱と動揺の最中にあるらしい。その目は動揺で揺れていた。

 

「なんなのだ……なんなのだ!いつもお前たちは……!なぜそうまでして……!」

「なぜ、か。まったくおかしなことを聞く。……生きたいからに決まっておろうが!」

 

 それは、いつか誰かが言った言葉と同じで。

 その言葉を前にオメガモンは戸惑うしかなかった。そんなオメガモンが気を取り直したのは、オウリュウモンが迫って来たことを認識したその瞬間。

 そして、再び戦闘が再開する。

 

「っおぉおおおお!“永世竜王刃”!」

「“グレイソード”!」

 

 オウリュウモンの両腕の刃、“鎧龍右大刃”と“鎧龍左大刃”から放たれる十字の斬撃。“永世竜王刃”。そんな斬撃を前にして、オメガモンもグレイソードの斬撃で対応する。

 一瞬の拮抗。ぶつかり合った斬撃。その果てに、押し負けたのはオメガモンの“グレイソード”の方だった。

 

「なっ……っく!」

 

 その事実に驚きながら、オメガモンは跳んで迫り来たオウリュウモンを躱し、上空からオウリュウモンを襲う。が、上空から迫り来たオメガモンを、オウリュウモンはその背中の翼にして二対一本の刀である“鎧馬大名刃”をもって迎撃した。

 オメガモンが振り下ろしたグレイソードを、鎧馬大名刃に当てることで受けたのである。

 背中の翼での迎撃。自由な動きができる腕に比べて、ずっと扱いの難しいモノだろう。だが、それができるオウリュウモンは、まさに剣身一体というに相応しい。

 

「ぬっ!……“ガルルキャノン”!」

「くらわぬ!」

 

 一方で、オメガモンも負けてはいない。左手の剣が防がれたと同時に、即座に右手を突き出し、砲撃を放つ。放たれた閃光はオウリュウモンに直撃こそしなかったが、衝撃で僅かながらにダメージを与えることはできたようだった。

 とはいえ、言い換えれば、それは僅かながらのダメージしか与えられていないということなのだが。

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

 そして、戦いは接近戦に移り変わる。

 オウリュウモンの両腕の二本の刀が、オメガモンの左手の剣が、一瞬で幾度も交わり、火花を散らす。そのたびに辺りに広がっていく衝撃が、この戦いの凄まじさを物語っていて。

 だが、有利なのはどう見てもオウリュウモンの方だった。

 

「っく!」

「このまま押し切らせてもらう!」

「ロイヤルナイツを舐めるな!」

 

 オメガモンにそうと言われたものの、実際オウリュウモンは負ける気がしていなかった。

 進化する前のヒシャリュウモンだった時は必死で気がつかなかったが、進化した今ならオウリュウモンは気づけたのだ。オメガモンに迷いがあることに。

 あの騎士や自分にはない迷い。それがオメガモンにはある。その時点で、オウリュウモンはオメガモンに負ける気はしなかった。

 

「おぉおおおおお!」

「ぐぅううう!」

 

 もう何度目になるかもわからない刀と剣の交差。

 だが、ここに来てオウリュウモンは勝負を決めるべく、行動に移ることにした。その長い尾を使い、オメガモンを吹き飛ばしたのだ。

 オメガモンも防御姿勢を整えてガードしたものの、オウリュウモンと距離を離されてしまった。この状況になれば、オメガモンもオウリュウモンの狙いが読めていた。だからこそ、その左腕の剣に力を込めて――。

 

「“グレイ――」

 

 ――狙うは、大河の土砂流のごとく荒れ狂い、すべてを切り裂きながら突進して来るオウリュウモン。

 オウリュウモンのそれは、必殺技“黄鎧”だ。両腕と背中の計三本の刀を巧みに使い、突進する大技。

 そんな大技で迫ってくるオウリュウモンを前にして、オメガモンも左腕を全力で振るう。

 

「“黄鎧”!」

「――ソード”!」

 

 そうして、二つの必殺技が激突する。

 またも、一瞬の拮抗。だが、グレイソードの斬撃は、次の瞬間に刀そのもののオウリュウモンに切り裂かれた。

 それでも、オウリュウモンの勢いは止まる気配がない。

 そんな勢い止まることなく自分に迫り来るオウリュウモンの姿に、オメガモンは先日の破壊の権化の姿の面影を見て――。

 

「はぁっ!」

「がはっ……っく……」

 

 ――直後、オメガモンはオウリュウモンに切り裂かれた。

 

「ああ、やはり……私はたどり着かなければならぬ。貴方のところに……イグドラシル!」

 

 ボロボロになって倒れるオメガモン。

 そんなオメガモンは、倒れ伏したその中で一つの解を見た。ここ最近の悩みと迷い。その解を。

 オメガモンは、この尽きぬ生存の意思を見せつけてくる者たちが疑問だった。

 オメガモンは、あの死の進化によって生まれたバケモノを認めたくなかった。

 オメガモンは、秩序を乱してまでも自分の思いを貫く仲間が信じられなかった。

 オメガモンには、そのどれもが正しいように見えて、間違っているようにも思えて。何が正しいのか、わからなくなっていた。だからこそ、悩み、迷っていた。

 ここへ来て、オメガモンは思ったのだ。すべてを知るべきだ、と。他ならぬ、すべてを知っている者に尋ねることで。その上で答えを出すべきだ、と。

 

「……まだやる気か?」

「うおぉおおおおお!」

 

 そして、オメガモンはイグドラシルの下へと続くゲートを開き、傷だらけでボロボロの体を引きずって、空を飛ぶ。その先にある真実を目指して。

 

「……嫌な予感がするな」

 

 勝者となったオウリュウモンは、そんなオメガモンの姿に恐ろしい予感を抱いたのだった。

 ともあれ、これで当面の危機は去ったと見るべきだ。オウリュウモンは、戦いが終わったことである思いを抱き、空を飛ぶ。

 彼が目指したのは、このウルドターミナルの大陸の奥地に存在する、とある噂のある滝。陸路を行けば数ヶ月もかかるだろう複雑な場所にあるそこも、オウリュウモンほどの力を持った者が空を飛んでいけば、すぐに着いた。

 

「……これが、某か」

 

 滝の麓にある川にて、川に映った自分の姿を見て、オウリュウモンは感慨深そうに唸る。

 やはり、どこか似ていた。あの時に見た、幻影に。あの時に見た、黄金の神竜の姿に。

 

「ふむ。この奥であるな」

 

 そうして、そんな自分の姿を見た後は、オウリュウモンは川を漁り始めた。

 川を漁り始めたと言っても、別に川遊びがしたいわけではない。オウリュウモンは、この滝にあるという噂のあるものを探していたのだ。

 数十分後。果たしてそれは見つかった。それは、アクアオーブと呼ばれる宝玉。オウリュウモンが探していたもの。

 

「……やはり」

 

 それに触れた瞬間、オウリュウモンは感じた。

 アクアオーブに刻まれた力を。

 それはあの黄金の神竜と同じ波動を放っていて――オウリュウモンはすべてに納得をする。

 このNEWデジタルワールドが作られた時、旧デジタルワールドは捨てられた。だが、旧デジタルワールドからNEWデジタルワールドに運ばれたモノもいくつかはある。

 例を挙げるのならば、デジモンたちであったり、スレイプモンの守護する遺跡であったり。そうして運ばれたモノの中に、偶然だろうが、あったのだ。

 古き世界の、忘れられた黄金龍の神の力の欠片が。

 この世界に流れ着いたその力の欠片は、この世界に満ちてこの世界を安定させる要素の一つとなった。それが最も特徴的に現れたのが、このアクアオーブというわけだ。

 

「某が進化できたのは、貴方のおかげですか?」

 

 アクアオーブは答えない。当然だ。ここにあるアクアオーブは、その神龍本人の意識を表出するものでもなんでもなく、その力の欠片の現れでしかないのだから。

 だが、オウリュウモンは確信していた。進化できたのは偶然ではない、と。僅かだろうがその力を受けたからこそ、限界を超えてこの姿にたどり着けたのだ、と。

 

「まるで某に何かをさせようとしているみたいですな」

 

 アクアオーブは答えない。

 が、キラリ、と。一瞬だけ光った気がしたその直後、アクアオーブから放出された僅かな力が、オウリュウモンの中に入った。

 それきり、アクアオーブは壊れて消滅してしまう。

 

「一度は生を諦めかけた身。……やるしかない」

 

 本当のところはわからない、が。誰に知られることなく、世界を支え続けた者から、何か切実で大切なものを託されたような気がして――オウリュウモンは、奇妙な予感を抱きながら、この場を離れたのだった。

 

 

 

 

 

 一方でその頃。

 イグドラシルの空間に、ドゥフトモンはいた。X抗体を得たアルフォースブイドラモンの攻撃からなんとか生き残った彼は、こうしてここに戻ってきたのである。

 が、その体は見るからにボロボロだ。よほど、堪えたのだろう。

 

「戻ったか。ドゥフトモン。大丈夫か?」

「っぐ……はぁっ……まさか、我が敗れるとは……!」

「オメガモンも先ほど戻った。今のお前に負けず劣らずボロボロだったな。奴も地に落ちたものだ」

 

 傷つきながらも倒れまいとするドゥフトモンに、マグナモンは現状の報告をする。

 だが、そんなマグナモンの言葉をドゥフトモンは聞いていなかった。

 

「ドゥフトモン……?」

「例え……異分子となってでも……!」

 

 ドゥフトモンは、どうやって自分に課せられた任務を達成するかというその点だけだった。そのための策を次々と思い浮かべている。

 その中には、ロイヤルナイツとして最低の方法でさえあって、マグナモンは不安を隠せなかった。

 

「何を考えている。馬鹿なことはやめろ」

「マグナモン。我らロイヤルナイツにとって最も重要なことはなんだ?」

「無論、イグドラシルの命だ」

 

 ドゥフトモンの言葉に、マグナモンは即答する。

 そんなマグナモンの言葉に頷いて、ドゥフトモンは自分が間違っていないことを悟る。とにもかくにも、すべては身体が治ってからのことだ。

 だからこそ、ドゥフトモンは自分の傷を癒すために、体を休めようとして――。

 

「「ならば、このイグドラシルから新たな命を与えよう」」

「っ!」

「お前は……!?いや、貴方は……!これは、一体どういうことだ……!?」

 

 ――その直後、聞こえてきた声に、ドゥフトモンたちは驚愕する。

 その声は、自分たちが聞き慣れている声でありながら、聞いたことのないような声だったのだ。ドゥフトモンとマグナモンが驚くのも無理はない。

 だが、そんな驚愕の最中にある二人に構うことなく、その者は姿を現し、そして告げる。新たな命を。

 

「「手段は問わん。異分子となっても構わん。どのような方法であれ、我が用意した死の駒と共に、急ぎ全デジモンを排除せよ」」

 

 そうして、役者は揃う。

 すべてが収束する、今という時。現代という時代。ベルサンディターミナルに。

 




というわけで、第二十四話。
オウリュウモン対オメガモン戦。そして、ラスボスの(声だけ)登場でした。

あ、ちなみに言っておきますと、この小説の王竜伝説については、作者がこの話を書くにあたってネットで調べた情報を元に書きました。
ので、公式ではありません。公式で王竜伝説と黄金の神龍に関わりがあるとか、そういうことは不明です。ご理解ください。

さて、この話をもって、この小説の中盤まで終わりました。
次回からはいよいよ後半。最終章に入ります。
主人公も……出番がとられ気味なのは相変わらずですが、美味しい見せ場は他のロイヤルナイツたち一人一人に比べて主人公らしくいくつもあります。

それでは、最後までよろしくお願いします!

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