【完結】デジタルモンスターゼヴォリューション~Another story~   作:行方不明

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第三十一話~戦いは終わらず次なるステージへ~

 デジモンたちのおかげで、白い聖騎士(オメガモン)へと進化したウォーグレイモンとメタルガルルモン。二人のデジモンが一人になるというその進化の様は、まさに圧巻だった。

 しかも、ウォーグレイモンたちは元がX抗体持ちだったからか、進化したオメガモンもX抗体を持っていた。おそらく、スペックだけで見れば、ロイヤルナイツに名を連ねているオメガモンよりもずっと上だろう。

 

「ありがとう……君たちのおかげで助かった」

「ウォーグレイモンたちがオメガモンに……!?」

「トコモン……他のデジモンたちも。下がっていろ。終わらせる」

「……アウ!」

 

 驚愕から抜けきれないこの場の面々の一人に、オメガモンはそう告げた。

 ああ、もう大丈夫だ、と。それを聞いた瞬間に、デジモンたちはそんな安堵の思いに包まれる。

 いろいろと驚くことはあった。それでも、そんなオメガモンの決意のこもった言葉を聞いただけで安心できた。

 それほど、そのデジモンたちには、目の前にいるオメガモンが伝説に謳われるような騎士に見えたのだ。闇との戦いに終焉をもたらすという、そんな最後の騎士に。

 

「行くぞ……!」

 

 そして、オメガモンは自分の言ったことを現実とすべく、デクスドルゴラモンへと向かう。

 一方で、一時期はオメガモンの登場に呆然としていたようなデクスドルゴラモンも、戦闘再開の空気に正気に戻ったようだ。

 

「はぁああああ!」

「グギャグアアア!」

 

 オメガモンは左腕の籠手から伸びるグレイソードでもって、デクスドルゴラモンはその自分の拳でもって、それぞれ目の前にいる敵を倒さんとする。

 剣と拳。その二つの全く違う武器がぶつかり、その余波が辺りを吹き飛ばす。

 その余波は凄まじく、この戦いの観戦者となっているデジモンたちはそれに巻き込まれないようにするのが精一杯なほど。

 

「アウ!アウア~!」

「頑張れっ!オメガモン!」

 

 そうやってオメガモンのことを応援しながらも、傍から見ているデジモンたちはあることに気づいていた。

 オメガモンがデクスドルゴラモンを圧倒している、と。

 はっきり言って、余波に耐えることで精一杯であるデジモンたちは、そもそもの実力差があり過ぎて、この戦いに理解が及ばない。そんな状況で見ているデジモンたちでさえ気づけるほど、オメガモンはデクスドルゴラモンを圧倒していた。

 

「グギャァアアア!」

「……!ここだっ!“ガルルキャノン”!」

 

 見えた、と。一瞬の隙に、オメガモンはその右腕の籠手から出た砲をもって、デクスドルゴラモンをゼロ距離で撃ち抜く。

 世界を貫かんとばかりの凄まじい威力。貫通しなかったのが不思議なくらいの超威力の閃光をくらって、デクスドルゴラモンもただで済むはずがない。

 

「グァア……」

 

 予想以上のダメージを受け、苦しそうにうめき声を上げるデクスドルゴラモン。

 しかも、今デクスドルゴラモンにこのゼロ距離砲撃が当たったところは、奇しくも先ほどガイアフォースZEROが当たったところと同じだった。

 ダメージに次ぐダメージ。はっきり言って、勝負はもう着いたと言えるほど、デクスドルゴラモンは見るからにボロボロだった。

 

「グァアアア!」

 

 だが、それでも、デクスドルゴラモンは立ち上がる。

 フラフラと足元が覚束なくて、今にも倒れそうでも、デクスドルゴラモンは確かに立ち上がった。今のデクスドルゴラモンを動かすのは、たった一つ。屈辱という名の怒りのみ。

 

「グギャァアアアアアア!“メタル――!」

 

 だからこそ、デクスドルゴラモンはその怒りを、目の前にいる的に、最大火力の必殺技をぶつけることで発散せんとしていた。

 すべてを消し飛ばす死の鉄。その技を、デクスドルゴラモンは放とうとしたのだ――。

 

「来るか……!」

 

 ――だが、デクスドルゴラモンがそう来ることをオメガモンは()()()()()

 そう。これこそ、X抗体を得たオメガモンだからこそ持つことができた能力。デクスドルゴラモンを圧倒できた理由。オメガインフォースと呼ばれる力。一瞬で先を読み、オメガモンのスペックも相まって、ありとあらゆる対応を可能としてしまう究極の力。

 この力がある以上、理論上オメガモンを倒すことができるデジモンは存在しないことになる。

 

「終わりにする……!“オール――!」

 

 そして、この時、オメガモンはこの能力で勝つための道筋が見えていた。だからこそ、オメガモンは打って出たのだ。

 デクスドルゴラモンの技が放たれる前に、オメガモンは左腕のグレイソードを光らせる。それは、オメガインフォースと同じで、X抗体を持ったオメガモンだからこそ使用できる技。戦いに終焉をもたらす最後の騎士として相応しい技。

 

「――インパルス”!」

「――デリート”!」

 

 “オールデリート”。断ち切ったすべてを消し去る最強の技が、デクスドルゴラモンの技を、デクスドルゴラモンごと、断末魔の叫びさえ上げさせずに消し去っていく。

 後に残ったのは、歓声を上げるデジモンたちと静かに佇むオメガモンだけだった。

 

 

 

 

 

 同時刻。三体のデクスドルゴラモンがすべて倒されたことは、戦っているデュークモンとマグナモンの二人も気づいていた。

 まあ、あれだけ派手にドンパチと戦っているのだ。戦いが終わったかどうかなど、実にわかりやすいものである。

 

「はぁっ!」

「効かん!」

 

 いたるところで、戦いがひとまずの収束を見せていく。その一方で、こちらデュークモンとマグナモンの戦いは未だ終わりの気配を見せていなかった。

 デュークモンは、右腕の槍と左腕の盾といった自分が有利なものをうまく使って戦っている。デュークモンが有利なもの。そう、リーチの差だ。

 マグナモンは、ロイヤルナイツの中でもとりわけて小さい。それはX抗体を得た今でも変わりない。その上で、無手。デュークモンとのリーチの差は、これ以上なく大きい。

 もちろん、マグナモンとて歴戦の戦士。リーチの差程度で戦いの有利不利を決定的に決めさせるような、そこら辺の雑魚と同じではない。

 とはいえ、それでもリーチの差があることは純然たる事実。デュークモンはそこを活かして戦っているのである。

 

「相変わらず硬い……いや、前よりも上がっている?」

「ふん。忌々しいことにな。異分子となって貴様と同じように力が上がったのだ」

「……やはりか。異分子と忌み嫌うなら何故。マグナモンお前はその異分子となったのだ」

「知れたこと。イグドラシルの命を確実に実行するため。そして、この世界の秩序のためだ!」

 

 会話をしながらも、二人はぶつかり合う。

 だが、戦いながら、デュークモンは嫌な予感を抱いていた。これ以上時間をかければ、これ以上なく、自分が不利となるのではないかという予感を。焦ることはよくないが、それをわかった上でやはり焦ってしまうかのような、そんな予感を。

 その予感を抱きながらも、デュークモンは堅実にマグナモンを攻める。一方のマグナモンも、防戦一方ながら、まるで何かを待っているかのように戦っていた。

 

「この世界の秩序か……ならば問おう。この世界の秩序とはどこにある!」

「無論、イグドラシルの下に」

「馬鹿な。あの死の進化を見て何も思わぬのか!」

 

 そのマグナモンの言葉は、デュークモンにも予想がついていたことだった。少し前までは仲間だったのだ。マグナモンがどういった性格であるかなど、デュークモンにもわかっている。

 だが、それでもデュークモンは言いたかった。あの死の進化についての真実を知っているがゆえに、どうしても口に出してしまったのだ。

 

「新たな秩序構築のための破壊。ならば、あのおぞましいものでも存在意義はある。だろう?」

「お前は……!あれはイグドラシルが作り出した忌むべきもの!それを利用することなどあってはならぬ」

「それは綺麗事だ。新世界の秩序のため……イグドラシルの命とあらば、必要とあるならいくらでも汚れるべきなのだ!」

 

 信じられない、と。戦いながらそう思ったデュークモンは、その時ダークエリアで聞いた真実を思い返していた。

 グランドラクモンから聞いたあの死の進化の真実。

 生命の持つ“存在し続ける本能”が生んだ、死してなお存在し続けようとする進化。

 かつてイグドラシルがとあるデジモン郡にその改造を施し、誕生したその進化。それは、その危険性を危惧したイグドラシル自身によって封印された進化であり、デジモンの潜在能力をより引き出すX抗体によって、引き出され、蘇ってしまった禁忌の進化である。

 世界の秩序を壊しかねない、いや、確実に壊すものだと、かのグランドラクモンは言っていた。

 イグドラシルは、自らが危険性を危惧し、そして封印したそんなものを、今自ら操っているのだ。

 このことを聞けば、誰だってイグドラシルの正気を疑うだろう。

 

「わかっているのか!」

「だからなんだ?今がこのように秩序が崩壊していく世界だからこそ秩序が必要なのだ。イグドラシルは秩序を再び作ろうとしているだけだ!」

「それが間違っていると……何故わからぬ!」

 

 死の進化についての危険性をデュークモンが訴えても、マグナモンは変わらない。ただ愚直なまでにイグドラシルのことを信じ、そして従っている。

 マグナモンがそんな反応をするであろうことも、デュークモンは予想していた。それでも、どうしても言いたかったのだ。どうしても、説得したかったのだ。

 まあ、結果はこの通りで、予想通りになってしまったのだが。

 

「どうしても道を揃えることはできぬか」

「愚かだな。イグドラシルに反旗を翻した者たちとこのマグナモンを同列に扱うとは……!」

「ならば、致し方ない。“ジークセイバー!」

 

 マグナモンの説得は不可能だと悟ったからこそ、デュークモンは穏便に済ますことを諦めた。

 直後、デュークモンの持つ槍が光を放ち、伸びる。長大な高出力の聖なる光の槍“ジークセイバー”。それが、X抗体を得たデュークモンの必殺技である。

 

「……そろそろだな」

 

 だが、それを前にして、マグナモンは不自然に佇んだままだった。まるで、それは恐れるに足りないと言わんがばかりに。

 そんなマグナモンの様子に、デュークモンは疑問を覚えつつも、マグナモンを攻撃して――。

 

「ふん!」

「何っ!?」

 

 ――その直後。デュークモンの槍は、全身が黄金に光り始めたマグナモンを貫くことができなかった。

 その現象を前に、デュークモンは先ほど抱いた自分の予感が当たってしまったことを悟る。

 どうなっているのか、今のマグナモンは絶対防御状態となっていたのだ。これでは、デュークモンでは傷つけることは叶わない。

 

「鎧の硬度が増しているとは思ったが……まさかジークセイバーでも貫けぬとは……!」

「これで……もう貴様は勝てない。これで終わりだ。諦めろ」

「……まさか。ここで諦めるようならば、このデュークモンはロイヤルナイツになっておらぬ。何より、大勢の諦めぬ者がこの世界で生きている。このデュークモンだけそのようなことはできぬよ」

「あくまでイグドラシルの決定に抗おうとするか。愚かな……!」

 

 だが、傷つけることが叶わないからといって、それでもデュークモンは戦いを放棄するつもりはなかった。

 今のマグナモンがどうなっているのかは不明だが、勝てなくても負けない戦い方をすることはできる。その間に、今のマグナモンに対する対抗策を見つければいい。

 デュークモンはそう思ったのである。

 

「ならば、ここで死ね」

「残念だが……負けるつもりはない!」

 

 そうして、デュークモンとマグナモンはお互いに向かって駆け出す。

 片や黄金の拳。片や聖なる槍。敵を討ち倒さんとする二人の武器が、再びぶつかろうとする。が、それは叶わなかった。なぜならば――。

 

「グギャアアアアア!」

「何!?」

「来たか」

 

 ――なぜならば、その直前でこの世界にソレが降り立ったから。

 そう。世界を滅ぼさんとする“死”が、この世界に降り立ったのだ。

 




というわけで、第三十一話。
オメガモン無双とデュークモンVSマグナモンの話でした。

さて、次回は今回の最後に繋がる話ですね。
なぜ今回の最後の事態が起こったのかが語られます。

それでは次回もよろしくお願いします。
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