【完結】デジタルモンスターゼヴォリューション~Another story~ 作:行方不明
ので、お気に入りとかから飛んできた方は、前話からご覧下さい。
それでは、最後もよろしくお願いします。
デクスモンをオメガモンが倒せなかった事実から、アルファモンは気づいていた。体全体が完全消滅するまでに多少の猶予があるという“オールデリート”の欠点に。
とはいえ、普通のデジモンならば、完全消滅しなくとも、体の一部でも消滅しただけで十分致命傷。その欠点にもならぬ欠点に賭けてアルファモンは行動し、その結果がコレだった。
「「……ああ。これが結末か。随分と不毛なことをしたものだ」」
結局、アルファモンはオメガモンに勝てたわけではなかった。
最後だって、オメガモンは無傷でアルファモンをどうにかすることができただろう。オメガモンはワザとアルファモンの攻撃を受けたのだ。
これで勝てたなど、言えるはずもない。
「「本当に……いつだって私の予想を超えてくる、お前たち命ある者には驚かされる。……世界を救う
もう体が完全に消滅しかけているアルファモンは、目の前の光景さえも見えはしない。暗闇の中で、ただぼんやりと自分に話しかけてくるその声を聞いていた。
「「秩序ある平和な世界。誰もが生きられる時代。それを目指して、かつての混沌の時代に始祖たる聖騎士は戦った」」
体の感覚が消えていく感覚。それを感じるのは、アルファモンは二度目だった。
一度目は、いつかの時。誰かを守ろうとして、生を望んだ時。
「「平和の訪れた世界。だが、そんな世界において、生きる者はただ複雑かつ煩雑になっていった」」
「……」
「「夢も希望もなく、ただ生きる。いや、生きられることが当たり前となったが故に……誰も生きなくなった。訪れたのは平和な世界などではなく、ただ命を無駄に消費するだけの世界。……そんな世界だった」」
「……」
「「そこに、かつて私や始祖たる聖騎士の求めたものはない。だからこそ、私は世界を……」」
「でも、迷っていたんだろ?」
口を動かしている感覚も、声が出ている感覚もない。だが、アルファモンが言おうと思ったその言葉は、目の前の存在に自然と届いていた。
「「ああ。その通りだ。かつて始祖たる聖騎士が守った世界を、お前たちが守った世界を、私は知っている」」
「……」
「「こことは別の世界で、いくつもの秩序ある世界を知っている」」
「……?」
「「だからこそ、信じたかった。賭けたかった。この世界の生ける者に」」
「……やっぱり、そうだったんだな」
アルファモンは薄々気がついていたのだ。イグドラシルが自身の思いを押し殺していたことに。
最後の最後で、アルファモンはイグドラシルの真意を聞き出すことに成功していた。
「「
「……」
「「結局、結末はこうなった。この結末が訪れたのなら、私の行動は時期尚早だったのだろうな」」
「貴方は……」
「「今一度、見守ることにする。願っているぞ。いつか、彼方の遠き日に、私が同じ決断をしないように」」
そうして、その声は遠くなっていく。最後にアルファモンが見たものは、巨大なクリスタルの結晶体に寄り添うオメガモンの姿だった。
そして、
「起きたか」
「心配したぞ!」
「デュークモン……?オメガモン……?」
起きたドルモンを迎えたのは、オメガモンにデュークモンたちといった、共にイグドラシルの空間へと向かった仲間たちだった。
彼らはそれぞれがそれぞれの表情で、ドルモンが起きるのを待っていたようである。
「ここは……あれ?オレは“オールデリート”で消滅したはずじゃ……?」
「順を追って説明するか?」
「……お願いするよ」
なぜ自分は退化しているのか。ここはどこであるのか。あの後、どうなったのか。
はっきり言って、ドルモンは疑問がたくさんあった。だからこそ、一から説明してくれると言ったデュークモンの言葉は、とてもありがたかった。
「あの後、我々は戦っていた……が、その直後、イグドラシルの気配が消えた」
「イグドラシルが?」
「ああ。それと同時にあの空間も崩れ始めてな。我々も脱出するので精一杯だった」
「脱出したら驚いたよ。ここは、旧世界だったんだから。しかも、NEWデジタルワールドへは行けなくなってるみたいだ」
そう。イグドラシルとの決着が着いた辺りで、奇妙な崩壊に遭遇したデュークモンたちは、慌ててゲートを開き、脱出した。
そして、ゲートを抜けてみれば、たどり着いたのはNEWデジタルワールドではなく、かつての旧世界。しかも、
さらに、NEWデジタルワールドにいたはずのデジモンたちも、何故か全員この世界へと移ってきていると来たものだ。はっきり言って、この世界は大混乱の最中にあった。
「ドルモンと出会ったのはその時さ。なんで退化してるのかはボクたちにもわからないけど、オメガモンが連れてきてくれたんだ」
「……オメガモンが?」
そう言ったアルフォースブイドラモンの言葉に、ドルモンはオメガモンを見た。だが、ドルモンに見つめられたオメガモンは、オレじゃないと首を振る。
その様子に、ドルモンは混乱して――そんなドルモンの様子を見かねて、ジエスモンが種明かしをする。
「そっちじゃねぇよ。ロイヤルナイツのオメガモンだ」
「……イグドラシルが!?」
「イグドラシル?何言ってるんだ?普通のオメガモンだったぞ?」
「……え?」
「ま、黙ってお前をオレたちに渡した後はどっかに行っちまったけどな」
鼻を鳴らしながらそう言ったジエスモンの顔は、どこか納得できないような顔だった。
いや、ジエスモンだけではないか。ガンクゥモンとデュークモンを除いたこの場の誰もが、そんなオメガモンに納得していなかったり、興味なかったりするようで――。
「気にするな。我が一番の盟友は答えを見つけ、自分の信念を持って逝ったのだ」
「最後まで堅物だったがな」
――そんな中で、ガンクゥモンとデュークモンの二人だけが、あのオメガモンについて何か理解しているようだ。
だが、どこか惜しんでいるような、寂しそうなそそんな表情を前にして、とてもじゃないが聞ける雰囲気ではない。
結局、ドルモンはオメガモンのことを想像することしかできなかった。
「結局、どういうことだったんだ?イグドラシルとは決着つけたんだろ?」
「ジエスモン。もう少し自分の頭で考えろ」
「がはは!若造に頭を期待しても無駄だろう!」
「……その通りかもしれないけど!エグザモン!スレイプモン!」
「ほぉ?やるか?」
「ラララ~それも~いいかも~しれませんねぇ~」
「なんで、ロードナイトモンまでやる気になっているのさ」
ジエスモンの言葉を発端にして、どんどん騒がしくなっていく。そこには、つい先ほどまであった緊迫した雰囲気の欠片も感じられない。それはつまり、正真正銘、すべてが終わったことを示していて――。
「はは……」
――ドルモンは、喉の奥から笑いがこみ上げてきた。
それは、本当に何もかも終わったとわかったからこその安堵の笑いだった。
「それで、結局どうだったのだ?」
そして、そんなドルモンに尋ねてきたのは、デュークモンだ。
やはり、あれほどの戦いの結末くらいは知っておきたいのだろう。ドルモンもその気持ちがわかるこそ、話し始めた。背後で未だからかわれているジエスモンを無視して。
「イグドラシルは、この世界をどうにかしたかったんだと思う。この世界を愛していたからこそ、きっと誰もが生きられる時代にしようと思ったんだ」
「今が誰もが生きられぬ時代であると悟り、だからこそすべてを仕切り直そうとした……と?」
「……どうだろう。結局、オレたちはイグドラシルに試されていたんだと思う」
「試されていた?」
「イグドラシルはきっと信じたかったんだ」
「試す……なるほど。本当に我々はイグドラシルに踊らされていたというわけだな」
イグドラシルは、世界に生きる者たちを信じたかった。だが、世界はどうしようもないところまで来ていた。
だからこそイグドラシルは試すことにしたのだ。そこに生きる者たちを。
世界を滅ぼし、仕切り直そうとしたのも本気だっただろう。だが、それと同じくらい、自分の思惑さえ超える何者かの存在も望んでいたのだ。
考えてみれば、簡単なことである。アルファモンが退化された状態で、世界に放たれたこと。まるで本来の姿に戻るかのように、急激な進化を繰り返していたこと。
すべて、イグドラシルが関わっていたのだ。場と環境を整え、世界が滅ぶか、世界が存続するか、そのすべての決定をそこに生きる者たちに任せたのである。
「……信じたかった、か」
「オメガモンとイグドラシルは、オレたちを信じてくれたんだろうか……」
「さてな。だが、それはこれから生きてみればわかることだろう」
「……そうだな。すべての命は生きるためにある。生きていれば、答えも出るか」
結局、本当のところはわかりようもないこと。だが、それでも考えてしまうその問いを胸に、デュークモンとドルモンは空を見上げる。
空は、今までの戦いが嘘だったかのように晴れ渡っていて、これからの未来を予感させる天気だった。だからだろうか。話題が自然とこれからの生き方に移っていったのは。
「これからどうするのだ?」
「オレ?オレはトコモンの所に戻るよ。約束したからな。デュークモンや他のみんなは?」
「このデュークモン、世界を旅する。ロイヤルナイツは解散状態だが、やれることもあろう?」
「ボクも同じかな。気ままに旅するのもいいかもね」
「ラララ~美を探求する旅です~ラララ~!」
「他のデジモンたちと合流した後は……そうするのもいいかもな」
元々、すべてが終わった後、ドルモンはトコモンの下へと戻るつもりだった。
だからこそ、ドルモンは即答したのだが、一方でオメガモンやデュークモンたちも即答だった。オメガモンやデュークモンたちは、この機会にいろいろと世界を見て回るつもりのようである。
一方で、他の面々は、今までと変わらないことをするようだ。
「私は元の遺跡守護に戻る」
「儂もそうだな。気ままに生きるとするわ!」
「オレはシスタモンたちと合流して……後は今まで通りだな。助けを必要とする奴らは相変わらずいるだろうし、なんも変わんねぇよ」
「俺も同じだな。世界を回って、助けを求めた者たちを助け続けるつもりだ」
元から自分のやりたいこと、やるべきことをやっていた面々には、この機会に変わったことをするなどという選択肢はない。今までやっていたことを、これからもする。それだけだった。
「……?そういえば、イグドラシル側のロイヤルナイツは……?」
「奴らか。奴らなら……」
ドルモンが一瞬だけ気になったドゥフトモンたち。彼らは、イグドラシルの気配が消えた時点で、どこかへと去っていった。
彼らのその後は、この場にいる誰も知らない。だが、どこかで生きてはいるような予感だけはあった。
「そっか……そうだな」
彼らのその後についてそれぞれがそれぞれに考え、話し合った。が、すぐに気にしても仕方のないことだと、他の話題に移っていく。
それでも、この井戸端会議のような、こんな時間も長くは続かない。時間は過ぎ去って、いよいよ別れの時が来たのだ。
「それじゃ、ここでお別れか」
「何。どうせまた会えるさ。特にオレとお前はな。それじゃ、オレは行く」
別れはあっさりと。
そう言って、オメガモンが飛び立ったのを皮切りに、面々は次々と飛び立っていく。
「……いろいろとありがとう!」
そして、最後に残ったのは手を振るドルモンだけ。
久しぶりの正真正銘の一人。誰もいなくなったこの場において、ドルモンの中には若干寂しい思いがこみ上げて来ていた。だからこそ、ドルモンは早くトコモンに会いたくなって、歩き出した。
だが、まあ――。
「アウ!アウ~!」
「恩人さーん!今、ヒーローさんが恩人さんはここにいるって教えてくれまシター!」
焦る必要など、どこにもなかったのだが。
その声にハッとなって振り返れば、遠くからやって来るトコモンとプロットモンの姿があって。
「トコモン!プロットモン!」
ドルモンは、駆け出した。
数百年後――時代は再び繰り返す。
ファイル島にやって来た少年少女たちが出会うのは、今は無きロイヤルナイツたち。
少年少女たちは、否応なしに世界を揺るがす事件に巻き込まれていく。
溢れ出すXプログラム。阿鼻叫喚の地獄絵図となる世界。
少年少女が対峙するは、神に付き従う白き聖騎士。
そして、現れる空白の席の主。彼が現れる時、すべての真実が明らかになる。
「イグドラシル……いや。深淵なるものに君たちの価値と思いを見せつけろ」
再び繰り返す時代の結末は……!
デジモンワールド Re:Digitize Decode~慟哭のX抗体編 another story~
いよいよ次週から開始。
はい。冗談です。
デコードにクロニクルを匂わせる発言があったから、ちょっと考えただけです。
本当に始まりません。
さて、冗談抜きで、ここからあとがきです。
さて、ロイヤルナイツが全員集合したから書き始めた今作。
A&Aの息抜きとして書き始めた今作。
というわけで、無事に終わりました。
デジタルモンスターゼヴォ(略)。別名ロイヤルナイツ大戦。
執筆時期からして、約四ヶ月。読者の皆様。お付き合いありがとうございました!
いやー……まさかこんなに長く続くとは思いませんでした。
連載中、自分の作品で初めて評価が色付きになって感動したことも、色付きになってからの一週間で一気にお気に入りが十以上も増えたこともありました。
というか、総合評価は今までの作品の中で一番ですね。
評価が色付きであることの力をまざまざと見せつけられた気分でした。
どれもこれも、今までにない経験で嬉しかったです。
作品自体では書きたいことも書けたので、概ね満足です。が、一つだけ心残りがあるとすれば……アレですね。
感想で散々言われてしまったのですが、主人公の出番が少ないことですね。自分で書いておきながら、自分でもどうかと思いました。
本当に何度も何度も言われてしまって……申し訳ないです。
この辺り、まだまだ未熟だなと思いますね。次はもっと主人公を活躍させられるように頑張りたいです。
現在はA&Aの方を全速力で書いてますが……どうしましょうかね。次回作。
前に書いたサイスル二作のどちらかか、今構想があるオリジナル系デジモンモノを書こうと思ってます。
まあ、強烈なリクエストでもない限り、しばらくはA&Aでも書きながら、ゆっくりと考えるつもりです。
あと、これを投稿したおそらく数時間後に、この小説を完結扱いにします。
さて、ではこの辺で失礼します。
今作を読んで下さりありがとうございました。
またどこかの作品でお会いしたら、その時はまたよろしくお願いします。