【完結】デジタルモンスターゼヴォリューション~Another story~   作:行方不明

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第六話~価値観の違い!ロードナイトモン!~

 その突然の事態に驚いていたのは、オメガモンだけではない。

 先ほどまでオメガモンと戦っていたウォーグレイモンも同じだった。だが、まあ、ウォーグレイモンが驚くのも無理はないだろう。なにせ自分を助けてくれたのは、曲がりなりにも自分の敵の仲間の一員だったのだから。

 

「助けてくれた……のか?」

「ラララ~まさか~!私はた~だ~!醜い者の邪魔をしただけ~ですよ~!」

 

 ロードナイトモンは歌を歌うかのように、メロディーに合わせて話す。はっきり言って、かなり聞き取りづらい。だが、何とか言っていることを理解すれば、ロードナイトモンは別にウォーグレイモンを助けたわけではないようだった。

 ロードナイトモンの言う醜い者、というのはおそらくはオメガモンのことだろう。何をもってそう判断したのか、気になるところではあるが――。

 

「ロードナイトモン。なんのつもりだ?」

 

 ――それよりも、なぜ自分の邪魔をしたのか。オメガモンにとってはそちらの方がずっと大事なことであった。

 オメガモンは今、イグドラシルの命令を実行している最中なのだ。それを邪魔したとあれば、ロードナイトモンはイグドラシルに対する反逆者と取られてもおかしくない。

 だからこそ、オメガモンは聞く。何故、と。

 

「それはぁああ~もちろんんん~んんん~気に食わなかったからですよぉおおお~」

「なんだと?貴様……これがどういうことかわかっているのか?イグドラシルの命に背くということだぞ?」

「ラララ~当然です~……だってぇ~……」

 

 気に食わない。それだけで任務の邪魔をしたのならば、これはもう立派な反逆罪だ。

 自分たちを裏切ったことに対する怒りを抱いて、オメガモンはロードナイトモンに詰め寄る。だが、一方で当のロードナイトモンは飄々としたものであった。

 

「正気――」

「だって……」

 

 正気か。

 思わずロードナイトモンの頭の心配をしたオメガモンは、そう尋ねようとした――が、その言葉は続かなかった。その瞬間に、オメガモンをして、一瞬言葉を詰まらせてしまうほどの冷たい殺気がロードナイトモンから放たれたのだ。

 

「だって、そんなの……美しく、ないでしょう?」

「っ!」

 

 その殺気の発生元は、当然ロードナイトモンだ。

 そこには、先ほどまでの飄々とした雰囲気も、歌を歌うかのような芸術気質の話し方もない。ただ、無機的なまでの、人の上に立つ者という“王”としての姿だけが、そこにあった。

 同じロイヤルナイツであるオメガモンとて、そんなロードナイトモンの姿は数えるくらいしか見たことがない。

 そんな彼の姿を前にして、オメガモンは問答することを諦めるしかなかった。数えるくらいしか見たことはないが、こうなったロードナイトモンはテコでも動かない程の頑固さを発揮することをオメガモンは知っている。だから、問答するだけ無駄なのだ。

 

「なら、たった今から貴様は反逆者だ。イグドラシルの命により、貴様を抹殺する」

「やれるものならやってみなさい。せいぜい足掻くのですね」

 

 直後、オメガモンとロードナイトモンが激突する。

 ロイヤルナイツ同士の戦い。はっきり言って、今まで成り行きを見守っているしかなかったウォーグレイモンが手を出せる領域ではない。

 だが、ここはチャンスでもある。ロードナイトモンが何のつもりで乱入してきたのか、ウォーグレイモンには未だ理解が及んでいなかった。だが、はっきり言って、この両者ともに手一杯になっている今こそ、逃げるチャンスなのである。だからこそ、ウォーグレイモンは紛れて逃走を開始する。

 もちろん、ロードナイトモンもオメガモンも、そんなウォーグレイモンには気づいていた。だが、少しでも隙を見せればやられてしまうこの状況において、見逃す以外の選択肢を取ることができない。

 結果的に、ウォーグレイモンは無事に逃げ切ることができたのだった。

 

「はっ!」

「っふ!」

 

 ともあれ、ウォーグレイモンが逃げようと、戦闘は続く。ロードナイトモンとオメガモン。両者の戦いは、全くの互角だった。

 ロードナイトモンの鎧から伸びる四本の帯刃が、オメガモンに向かって貫き切り裂かんと迫る。対してオメガモンは、その左手の剣のひと振りでもってそれらを切り払う。

 膠着状態ではあるが、オメガモンとしてはロードナイトモンの技量が厄介だった。ロードナイトモンのスペックは、ロイヤルナイツ内でも高い方ではない。だが、ロードナイトモンは統率能力や戦闘技術に秀でているのである。スペックの低さを技量で補っているからこそ、オメガモンにとっては厄介なのだ。

 とはいえ、それはロードナイトモンの方も同じこと。自分の技量を、オメガモンはそのスペックで対応してくる。だからこそ、キツい。

 ようするに、お互いがお互いをやりにくいと思っているのである。

 まあ、ロイヤルナイツは各々がいろいろと突出していたり、曲者が多い。そんなロイヤルナイツ同士で戦いが起こったのなら、こうなるのは当然の帰結だろう。

 

「“スパイラルマスカレード”!」

「“グレイソード”!」

 

 両者の必殺技が、交差する。四本の帯刃による同時攻撃と剣圧による斬撃。それらがぶつかり合って、凄まじい衝撃波となって世界を削っていく。さながら人為的な天変地異だ。

 両者の力は互角である以上、いつ結末が訪れるかわからない。それこそ一瞬で終わるのかもしれないし、もしかしたら永劫の如き長き時を戦い続けるのかもしれない。これは、まさにそんな戦いだった。

 

「ふふん……醜くてもさすがはロイヤルナイツ、ということですか」

「……貴様こそ。反逆者の分際で」

「私はロイヤルナイツになろうとしてなったわけではありませんよ。イグドラシルが私を勝手にメンバーに加えただけの話です」

 

 このロードナイトモンの飄々とした感じが、オメガモンは嫌いだった。

 真面目なようで、不真面目なようで。捉えどころがなくとも、それでもどこか一本の芯があるような気がする。そんなロードナイトモンのことがオメガモンは嫌いだったのだ。

 

「貴様……!」

「別に私だけじゃないでしょう。むしろ、時折任務を受けていた私はまだマシですよ。あのスレイプモンやエグザモンなど……」

「……」

 

 ロードナイトモンのその言葉に、オメガモンは押し黙るしかなかった。ロードナイトモンが例として上げた二人は、なぜロイヤルナイツに名を連ねているのかもわからないほどの面々だったりするのだ。

 片方のスレイプモンは、普段はとある遺跡の守護をしていて、よほどのことがなければロイヤルナイツの任務に関わらない。

 もう片方の竜帝と呼ばれるエグザモンは、例外となる特殊な竜たち以外の竜たちの頂点たる存在。こちらもよほどのことでなければ、ロイヤルナイツの任務に手を貸すことなどしない。

 ロイヤルナイツの加入条件は、一概に言えばイグドラシルに認められること。要はその特殊性や通常ではありえないほどの功績を上げることである。その功績というものは一度や二度世界を救った程度では足りないほどだ。

 さらに言えば、ロイヤルナイツへの加入は半ば一方的だったりする。だから、という訳ではないのだが――この二人やロードナイトモンのように、普段全く動かない者も、いざという時に好き勝手する者もいるのである。

 それは、神話の中にのみ存在すると言われるあのロイヤルナイツも同じことで。

 

「だから、非難される謂れはないですよ。むしろ、私はこの現状をおかしいとすら思ってます」

「……なんだと?」

「エグザモンやスレイプモンをロイヤルナイツに加えるほど……イグドラシルは基本放任主義。よほどのことがなければ動かない」

「だから何だというのだ?」

「そんなイグドラシルが急に動き始めた。これほど奇妙なことがありますか?」

「くだらん。イグドラシルの命令は絶対だ。いささかも揺るがん!」

「……だから、あなたは美しくないのですよ。あなたのそれは忠誠心ではない、ただの思考停止だ」

「……!死にたいようだな」

 

 そのロードナイトモンの言葉に、先ほど以上にオメガモンは怒った。まあ、それもそうだろう。自分の忠誠心を馬鹿にされたのだから。

 止まっていた戦いが動き始める。オメガモンとロードナイトモン。二人は時間が止まったように動かなくなり――そして、その一瞬後、空気がはじけ、二人は激突した。

 

「“ガルル――」

「“アージェント――」

 

 狙うは一撃必殺。ゼロ距離での必殺。

 奇しくも、お互いの狙いは同じで。

 

「――キャノン”!」

「――フィアー”!」

 

 お互いの必殺技がゼロ距離でお互いに放たれる。

 オメガモンの青き閃光が、ロードナイトモンのパイルバンカーが、互いの腹を抉る。

 だが、それでも決着がつかない。お互いの必殺技の余波がお互いの威力を減らしたのである。

 とはいえ、必殺技のゼロ距離直撃を受けて無事で済むはずもなく――。

 

「っぐ!」

「……!」

 

 二人は、相応のダメージを負っていた。

 それでもなお、二人は決着をつけようと動こうとしている。二人とも痛みわけで終わることを承認するような殊勝な性格をしていないのだ。

 だからこそ、痛みを無視してでも二人は再び構えて――。

 

「……む!?」

「……ん?」

 

 ――直後、仲間のデュークモンから送られてきた緊急メッセージにその動きを止めることとなった。

 メッセージの内容は、“すぐに戻れ、緊急招集だ”という簡潔なもの。だが、緊急という文字が使われている以上、急がねばらなないだろう。

 だが、今は戦闘中。相手がすんなり通してくれるものか、とそう思ったオメガモンはロードナイトモンを見て――驚いた。

 ロードナイトモンは集合場所へと行くゲートを開き、今にもその場へと行こうとしていたのだ。

 

「ラララ~な~に~を~……驚いているのですか~!遅刻は~美学に反し~ますぅ~!」

「これだから貴様は嫌いなのだ……!」

 

 もうやることはない、とばかりにロードナイトモンの調子が元に戻っている。しかも、反逆者と認定されながら、それでもロイヤルナイツの会合に参加しようともしている。

 そんなロードナイトモンのことがつくづくイラつくオメガモンだったが――そんなオメガモンを無視して、当のロードナイトモンはゲートをくぐっていく。

 しばらくして、オメガモンもその後を追うのだった。

 




というわけで、第六話。
ロイヤルナイツ同士の戦い。結果は強引な引き分けですね。

ロードナイトモンは、この作品の中では自分の美学に忠実な設定です。
彼が美しいと判断すれば、何よりも優先されます。
当然、彼の考える正義もその美学を基に形成されています。
スペック的にはロイヤルナイツ最下位クラス。が、その分、戦闘技量や戦闘技術が高いです。ついでにナイトモンの長ですので、カリスマ性も多少はあります。

また、ロイヤルナイツ選考方法とに入隊方法をこの作品内では強引に決めてしまいましたが、安心してください。イグドラシルは性格面も考慮しています。いくら功績が凄くとも、悪人を入れることはありません。
だから、無理矢理に名を連ねることになったエグザモンやロードナイトモンと言った者たちでも、いざという時は命令を受けるのです。根が良い(?)デジモンたちなので。

さて、次回はロイヤルナイツの会合。
全ロイヤルナイツ(名前だけ)大集合回です。

それでは次回もよろしくお願いします。
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