【完結】デジタルモンスターゼヴォリューション~Another story~   作:行方不明

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第七話~緊急招集~

 オメガモンがゲートを抜けたその先。そこは、神の領域だった。つまりは、この世界の神イグドラシルが存在する場所。

 ちなみに。ややこしい話ではあるが、この場所そのものもイグドラシルという名前だったりするが、それはともかくとして。

 

「オメガモン……ここに」

「ラララ~……まったくもって遅いですねぇ~!最後じゃあ~ないですか~」

「……」

 

 何故か、つい先ほどまで戦っていたロードナイトモンが我が物顔で席に着いていたりする。

 ともあれ、しゃあしゃあと言うロードナイトモンに若干イラついたオメガモンだったが、顔には出さない。ロードナイトモンを弾劾するのは、この後であり、今ではないのだ。

 

「では、はじめよう」

 

 そう言ったデュークモンの言葉で、彼らロイヤルナイツの会合が始まる。

 ちなみに、会合とは言うが、実際に顔をつき合わせているわけではない。それぞれの姿が見えるように、丸を描くように設置されたスクリーンに、それぞれが映っているだけ。それは、一見すると円卓に座る騎士たちのようにも見えるが――なぜ直接顔を合わせないのかというと、意見の相違で戦闘になった時が面倒だからだったりするからだったりする。

 まあ、それはともかくとして。

 

「待て、()()()()。他のメンバーはどうした?」

 

 そう、そこでオメガモンは奇妙なことに気づいた。先ほど、ロードナイトモンはオメガモンが最後にやって来たと言った。だが、足りないのだ。ここに、メンバー全員がいない。緊急招集であるというのに。

 ロイヤルナイツに名を連ねるデジモンは、十三体。その中で実在しない――名のみ存在するかの者を除けば、現在十二体。

 つまり、ここには十二のスクリーンがあって、それらすべてに映像が映ってなければならない――のだが、実際に映っているのは八。ようするにメンバーの三分の二しか集まっていないということになる。

 

「仕方ないだろう?」

「……ガンクゥモン」

 

 そんなオメガモンの疑問に応えたのは、ガンクゥモンと呼ばれたロイヤルナイツ。

 外見はバイザーをつけた、ただの赤毛のオッサンのようにも見えるデジモンなのだが、そんな外見はともかくとして、これでもれっきとしたロイヤルナイツに名を連ねるデジモンである。

 

「エグザモンのジジイはいつも通りだ。興味はない、と。スレイプモンの野郎も同じく。他の二人は――」

「そこから先が今回の緊急招集に関することなのだ」

「……なんだと?」

 

 ガンクゥモンの言葉を引き継ぐように、デュークモンが言う。ここからが本題なのだ、と。

 

「聞こう」

「我らロイヤルナイツから離反者が出た。イグドラシルの命令を聞けないとして……その二人がロイヤルナイツに反旗を翻したのだ」

「……!」

 

 離反者が出た。そのデュークモンの言葉は、オメガモンにとっても驚きに等しいことだった。

 先ほどまで似たような相手(ロードナイトモン)と戦っていたとはいえ、こうも何人もの者が立て続けにイグドラシルの命令に背くことが。

 

「ここにいない者……アルフォースブイドラモンとジエスモンか。エグザモンとスレイプモンは……」

「彼らはもとよりイグドラシルの命令に興味を持たないことが多い。気にする必要はあるまい。それよりもアルフォースブイドラモンとジエスモンだ。彼らははっきりとその意思を告げていた」

 

 これから離反し反逆者となるというのに、その意思を仲間に告げるというのもなんともおかしな話ではあるが、それでもそれが二人にとってのケジメだったのだろう。きっと。

 ともあれ、二人も同時に離反者が出たというのは驚きだったのは、オメガモンだけではないらしい。メンバーのほとんどが絶句しているようだった。

 

「この二人についての処遇を決める」

「決める?おかしなことを言いますな。話し合うまでもない。裏切り者には死あるのみ、だと思いますがのう」

 

 そう言ったのは、骸骨のシンボルが所々にあしらわれた鎧を着たロイヤルナイツであるクレニアムモン。見た目だけ見れば、どこぞの悪役のようにも見えるが、これでもれっきとしたロイヤルナイツのメンバーである。

 礼儀礼節や忠義を重んじる彼らしく、裏切り者に対する重い処遇を要求している。だが、それは彼だけではなかった。他のメンバーの言う処遇も、程度の差はあれど似たようなものだ。

 

「……ふむ。ガンクゥモン」

「なんだ?」

「ジエスモンは貴様の弟子で……貴様が連れてきたのだったな」

「そうだな」

 

 クレニアムモンの言葉を受けて、そう言ったのはドゥフトモンと呼ばれるロイヤルナイツ。獣の鎧を纏うデジモンだ。

 ドゥフトモンの言う通り、ジエスモンは最近ロイヤルナイツにその名を連ねるようになったデジモンで、名実共にガンクゥモンの弟子だった。

 だからこそ、弟子の不始末は師匠の不始末とでも言いたげに、ドゥフトモンはガンクゥモンを厳しい目で見ているのである。そして、そんな彼の視線の意味を正しく理解したガンクゥモンは、自らも厳しい目になるのを隠そうともしなかった。

 

「わかっている。あの馬鹿弟子の不始末はこの俺の不始末。責任は俺が負う」

「その言葉に二言はないな?」

「当たり前だ」

「……なら、ジエスモンのことはガンクゥモンに任せるとしよう」

 

 話が一段落着いたところで、デュークモンがまとめに入る。

 まとまった結論に対して、ジエスモンがガンクゥモンの弟子であるという点に一抹の不安を感じたものもメンバーにはいたのだが――ガンクゥモン自身が弟子の不始末を見逃すような性格ではないことは、誰もがよく知っている。

 ゆえに、その不安は抱いた者の胸の内にしまわれたのだった。

 

「では、アルフォースブイドラモンの方は……」

「彼奴についての適任は……ここにはいないな」

「であるな」

 

 アルフォースブイドラモンというデジモンは、ロイヤルナイツ内で一二を争うほどに速い。別に他のメンバーでも対応できない訳ではないのだが、相手に優位性を確保させないという点を重視するのならば、彼に対応できる速さを持つロイヤルナイツを宛てるべきであることは、自明の理だ。

 だが、この場にいる面々でアルフォースブイドラモンに速さで敵うような者はいない。妥協案を探すべきか。そう思った面々だったが――。

 

「なら、この我が行こう」

「ドゥフトモン。お前が行くのか?」

「ああ。エグザモンもスレイプモンもいない。この場に速さで彼奴に敵う者がいない以上、我の策略をもって相対するしかないだろうよ」

「……確かに、それが次善か。なら、アルフォースブイドラモンのことはドゥフトモンに任せる」

 

 それが、この会合の結論だった。あとに決めることはない。ひとまずの結論が出て、会合はこのままお開きになりそうで。

 先ほどのロードナイトモンについて言うなら今である。そう思って、オメガモンは切り出した。

 

「残念だが……この場にもいる。反逆者ともとれる行いをした者が……!」

「……何?本当か?」

 

 オメガモンの言葉に対して、デュークモンが反応し、他のメンバーは沈黙を貫いている。それは、心の中でありえないと否定しているからなのか、やましいことがあるからなのか、それとも。

 

「ロードナイトモンだ。この私の任務中に乱入し、削除すべきデジモンを故意的に逃がした。奴らと繋がっている可能性すらある」

「ロードナイトモン。どういうことだ?」

 

 オメガモンの言葉を聞いて、ロードナイトモンにそう尋ねたのは、黄金の鎧を身に纏ったロイヤルナイツだ。

 彼はマグナモンと呼ばれるデジモンで、ロイヤルナイツ内で唯一究極体ではない。そのせいもあってか、そのスペックはロイヤルナイツ内では最下位であるのだが――それでも並の究極体に匹敵するだけのスペックはある特異なデジモンである。

 

「ラララ~別に彼を助けたわけじゃありませんよ~」

「なら、なぜだ?なぜ、あのような行動をした?」

「別に私は~プロジェクト・アークなどどうでもいいんですよ~!それに~先ほども~言ったでしょう~」

「何?」

「そんなの、美しくないと~。まったくもってぇ~私の美学に反しているの~です~!」

 

 ロードナイトモンのことをよく知らない者がこの言葉を聞けば、意味のわからなさに首を傾げるだろう。だが、彼とそれなりに付き合いの長いオメガモンたちはロードナイトモンの言いたいことをだいたい分かっていた。 

 つまり、ロードナイトモンはこう思っているのである。

 一度は滅ぼされながらも、見事にX抗体デジモンたちは生き残った。そして、そんな彼らがこの世界に逃れてきた。それは、削除しきれなかったという、ある意味でイグドラシル自らの失敗だ。今のイグドラシルの命令は、そんな自分の失敗を、部下(ロイヤルナイツ)に押し付けてなかったことにしようとしているようにも見える。そんなのは――美しくない、と。

 

「まったくもって~イグドラシルは~美しくな~い~のです~!」

「貴様っ!?」

 

 自分たちの主さえも侮辱するようなその言葉に、オメガモンのみならずロイヤルナイツの大半の者たちからロードナイトモンへと向けて殺気にも似たモノが放たれる。が、当のロードナイトモンは飄々としたものである。

 そんな雰囲気を前にして、今回も荒れそうだ、とデュークモンは疲れた溜息を吐いていた。

 

「貴様……裏切りと見なすぞ!」

「どうぞ~ご勝手に~」

「……!貴様ァ!」

 

 というか、もうすでに荒れ始めている。

 現在、ロードナイトモンに突っかかっているのは、デュナスモンと呼ばれるロイヤルナイツだ。彼は飛竜の力を持つロイヤルナイツで、その鎧もどこか竜のような形をしている。

 そんなデュナスモンの怒りに満ちた声をかけられながらも、ロードナイトモンは飄々としたものだ。

 

「それでは~裏切り者はぁ~失礼しますよぉ~」

 

 飄々としたままに、この場を去っていった。逃げたともとれるが、彼自身はそんなことを思ってもいないだろう。もう会合が終わったからこそ、彼はこの場を去っていったのだ。

 

「……次々に盟友たちが離反していく……か。他のデジモンたちと同じく、我々も動乱の時代となっていると見るべきかな」

「そんな戯言では済まされない!イグドラシルの命令は些かも揺るがん!離反者も速やかに処罰するべきだ!」

 

 デュークモンの呟いた言葉に、オメガモンは憤りながらもそう返して、この場を去っていく。

 そんなオメガモンに続いて、他のメンバーもこの場を去っていくのだった。

 




というわけで、第七話。
ロイヤルナイツ緊急招集の回です。
原作ではレジスタンスに対しての召集でしたが、この作品ではより緊急を要する内容があったので、そちらの議題で召集されました。

そして、遂にロイヤルナイツ(名前だけ)全員登場。
いや、個人的に登場タイミングが集中しすぎてる気もあったんですけど、だからといってここで出さないと不自然なんですよね。さすがに。
一気に説明するのもアレなので、今回は流石に恒例の紹介はしません。

さて、そんなこんなで、次回。
逃げた後のウォーグレイモンと新たなロイヤルナイツの接触回です。
相変わらず主人公が空気ですが……次々回くらいには主人公らしい出番が……。

それでは次回もよろしくお願いします。
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