ーー山頂
「アブねえアブねえ。まさかエスデスと鉢合わせるたあ。こりゃ今回のお遊びも終了、だな」
大臣の息子である男-シュラが言う。右手には、帝具[次元方陣]シャンバラ。つい先程、その能力でエスデスともう一人を遥か南の無人島に飛ばした所だ。
「まあでも、倒すにも暫く時間、掛かるだろ。さーて、次は何をして・・・・!」
「う、オオオオ!!!」
上から黒い刀を持った少年が斬りかかる。シュラはその不意討ちを辛うじて避けた。
「ったく、今度は鬼呪帝具の使い手か。どうなってんだ?今の帝都は」
「お前、あの二人を何処に飛ばした!!」
少年-カタナがシュラに問い掛ける。それを笑いながら、
「さあな。巨大な人型危険種のいる場所に飛ばした、と言えばいいか?」
「なっ!!」
「まあエスデスが居るんだから、問題無いだろ。俺も遊び足りないんでな。おいとまさせてもらうぜ」
「待て!!」
「じゃーな」
「クソ!!」
カタナが左腰に装着された拳銃を抜く。ニ、三回発砲するが、シュラはシャンバラを展開する。次の瞬間、シュラは光に飲み込まれ、消えた。
「消えた・・・・だと・・・・」
自分が知る限りでは、消える帝具など、聞いた事もない。暫くすると、チェルシーが登ってくる。
「カタナ!!」
「チェルシーか。今の時間って、何時だ?」
「午前の2時ね」
午前の2時。タツミは奴の話では、巨大な人型危険種のいる場所に飛ばした、と言った。だが、ここら辺には、巨大な人型危険種はいない。かなり遠い場所だろう。
「ラバを呼ぼう。タツミは行方不明。明日から捜査を開始した方がいいと思う」
「タツミが、行方不明!?」
チェルシーの声が鳴り響いた。
まあ、あまり心配するような案件じゃ無かったらしい。翌日の夕方、タツミは帰ってきた。まあ、それなりに楽しかったらしい。そして、エスデスはもう説得出来ない所にまで来ている、とも言ってた。それからタツミ生還お祝いパーティー(第2回)を開き、ドンチャン騒いで、俺は自室へと戻って、眠りについた。
ーーここは・・・・
目の前には、赤髪の少女-チェルシー。その上に、何者かが乗っており、チェルシーの首を絞め、武器を首に定めていた。
ーーやめろ・・・・
武器を大きく振りかぶる。
ーーヤメ、ろ・・・・
チェルシーの瞳から、雫が溢れ出す。そして、
ーーヤメろおおおオオオ!!!!!」
そこでカタナは、眠りから覚めた。
「ハア、ハア、ハア・・・」
時間を見る。午前の3時。まだ夜中だ。もう一度、眠りにつこうとしたが、
「・・・・・・・・」
どうにも、眠れない。あの夢のせいだ。チェルシーが殺される夢。
「チェル、シー・・・」
チェルシーに無性に会いたくなった。この気持ちは、カエデとのそれに、よく似てる。
カタナは自室を出ると、チェルシーが居ると思う場所へと向かった。
アジトの前にくる。チェルシーが星を見上げていた。
「あれ、カタナ?」
チェルシーがこっちに気づいた。
「チェルシー、やっぱりここに居た」
「やっぱりって?」
「いや、ここに来ればチェルシーに会える気がして」
「そう」
沈黙が訪れる。暫くすると、チェルシーが
「何か、悪い夢でも見たの?」
と聞いてくる。何もない、と返すが、
「ウソ」
と言われてしまう。
「・・・・・・チェルシーが、死ぬ夢を見たんだ。もう、二度と大切な仲間を失いたくない。だから、怖いんだ」
「ふーん。ねえカタナ、知ってる?夢で誰かが死ぬと、その人は長生きするらしいよ」
チェルシーがこっちを見てくる。
「だから、大丈夫。私は死にはしないわ。だから、カタナも死なないで。一緒に革命の日をを、生きて迎えましょう?」
と言う。
「ああ。そう、だな・・・」
上を見る。すると、一瞬、流れ星が見えた。
(流れ星って、確か願いを叶えるっていう伝説があるんだよな・・・)
手を組み、お願いをする。願い事は、決まっている。
ーーこの革命を、皆で生きて達成出来ます様に・・・・。