本編を書く時間が無いので、生存報告も兼ねて閑話を投稿しようかと。
あと、ISの世界でのコードギアス放送時期を間違えていたので、前話に不備があると思います。見つけ次第改稿いたします。
あと、この作品だとセシリアさんが少し頭のネジがゆる……いえなんでもありません
イギリスの名門貴族オルコット家に生を受けた娘——セシリア。
彼女が如何にして、コードギアスにのめり込んでいったのか。
また、ルルーシュに狂信的なまでの愛情を抱くようになったのか。
それは、昔の噺であった。
セシリアがこの世に産まれた時、セシリアの母、父共に大いに喜び大々的なパーティーを三日間開催した程である。
セシリアも赤ん坊ながらに、深い愛情を与えられている事は感覚的に理解していたし、それを喜びのままに受けていた。
セシリアが笑えば、父は仕事に疲れていても、それをおくびにも出さずに構ってくれる。母だって、普段は物静かで近寄りがたい雰囲気を醸し出しているのに、セシリアのを抱けば途端に顔は弛み、だらけ切った笑顔で遊んでくれた。
時は経ち、セシリアは十一歳の誕生日を迎える。
流石にその歳にまで育つと、何も知らない無垢な赤ん坊のままではいられない。
毎日、朝は貴族令嬢としてのマナーを学び、昼から就寝まではひたすらに勉学に励む事となる。
それでもセシリアは、愛情を与えてくれる
しかし、幾らセシリアが努力家で母の愛情に報いようとしていても、まだ11歳なのだ。
日々、周りの期待や家の威光を背負い、オルコット家の遺産を狙う他貴族達や親類達から遺産を護るというのは余りにも残酷だった。
何時しかセシリアの心には、本人も気づかないうちに疲れが溜まり厚い層を形成してしまう。
* * *
セシリアside
「……今日はこの辺にしておきましょう」
何時も通りの勉学をこなした
ジワリジワリと自らの体温で毛布が暖まって来る事を感じながら、ドッと体から何かが抜け出していく感覚を私は知っていましたわ。
これは、きっと疲れなのでしょう。
やはり、今日のパーティーで話した狸親父とその息子のせいですわね……。
『これはこれは、オルコット嬢。本日も美しい限りですなぁ……おっと、これは失礼!これは私の息子でして————』
何度か顔を合わせた程度ですが、あの狸親父とその息子はギラギラと欲望や野望に満ちた目をしているから如何にも私は苦手で、きっと笑顔もさぞかし引き攣ってしまった事でしょう。
それでも、あのセシリア・オルコット個人を見るのではなく、後ろで輝くオルコット家を見る目の前に立つとどうにも……。
息子の方は品定めするかのように私を見てきますが、正直其方も鬱陶しい事この上ないですわ。
それに親子供揃って弛んだお腹を大衆に晒すのは如何なものか、何て。
「はぁ……」
無意識に吐き出してしまった吐息を、隠すように毛布の中に顔を沈めてみる。
夜の静寂は、痛いほどで、そこで漸く体の疲れだけでなく胸が苦しい事にも気が付きましたわ。
勿論、巷で聞く<恋>をすると胸が苦しくなるという現象とは似ても似つかない。
全てを投げ出したくなる、と言う意味では同じですわね……。
やけに感傷的になる心を無視して、瞳を閉じてみると将来自分はどんな男性と結婚するのだろうか?
というらしくない考えが思い浮かんできます。
少なくとも、自らの意思が全くない、腰が只低いだけの男とは無いですわ。
正直、容姿も確かに重要だが、優れるべき部分は其処では無く、器や我という人間的な魅力の部分がやはり重視すべき点。
「そんな人、見たこともないですわね」
自分の理想の高さに、クスリと笑ってから、ふと喉が渇いた事に気が付き紅茶でも飲もうかと、厨房へと向かう事にしました。
廊下を歩いていると、静まり返った屋敷の中で一室だけ、未だ光を放っている部屋を見つけ、誰の部屋かと気になり近づいてみると——お母様の部屋?
余り夜更かしをしないお母様が何をしているのか気になり、薄く開いた扉から中を覗いてみると、何やらテレビを齧り付く勢いで見ているようですわね……。
普段はテレビを余り見ないお母様が、興味津々で見ている番組が気になり目を凝らして、お母様の背中越しに見えるテレビ画面を見る。
『あの日から俺は、ずっと嘘をついていた』
『生きてるって嘘を。名前も嘘、経歴も嘘……嘘ばっかりだ』
独特な声で紡ぎ出される、心情のセリフ。
気が付けば、私も引き込まれるかのように何も考えず、只目の前のキャラクターの一挙一動に目を配っていましたわ。
『全く変わらない世界に飽き飽きして、でも嘘って絶望で諦める事も出来なくて』
昂ぶる激情を、抑えつけてひたすらに吐き出される声。
私の胸は何やら、このキャラクターに同調するかのようにして昂ぶり、顔は熱を帯びていく。
最早、創作の人物である等と言う考えは失せて、自分自身がその場に入り込んだ……否、キャラクター本人になってしまったかのような感覚。
『だけど手に入れたッ、力を』
そして昂ぶり、歪んだ口元を隠すこともせずに彼は前を向いた。
『——だから』
そして、画面は暗転しテレビ画面には反射した私が映ってしまい、お母様が此方を少し驚いた様にして振り向きましたわ。
それでも、私は先ほどの彼の事が頭から離れず近づいてくるお母様に対して、何の反応も示せない。
「セシリア、貴方……いえ、何でもない。コードギアス、一緒に見ましょう?」
こうして私、セシリア・オルコットは運命の出会いを果たした。
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セシリア・オルコット 十四の歳
『ロロ……散々使い倒して、ボロ雑巾のように捨ててやる』
「あぁ、何と甘美なお言葉なのでしょうか……
リアルタイムで放送されているコードギアスを、かつての母同様にテレビへ齧り付く勢いで見ているのは、セシリアだ。
彼女は既に学校を終えて、ヴァイオリン等の習い事も全て極めて迅速な速度で終了させている。
コードギアス反逆のルルーシュ第一期が放送されていたのは、深夜だったので視聴層は無論成人したご婦人や、暇を持て余した貴族達であったのだ。が、第二期の放送は夕方、子供なら貴族の様な特殊な生まれで無い限りはとっくに帰路に着いている時間なので、それはもう子供達はコードギアスにハマっていった。
セシリアは、第一期から見ていたという事もあり、学校の友人達からある種の崇拝に似た感情を向けられている程だ。
そして今、セシリアは全国の子供達の例に漏れずコードギアス反逆のルルーシュR2にのめり込み、ルルーシュへの狂信的な愛情を深めすぎて、遂には自身の性癖をも変えてしまった。
コードギアスに、ルルーシュに出会う前のセシリアは、どちらかと言えば
しかし、これはセシリアだけではなく全国の、ご婦人達がルルーシュの被虐性に溢れた笑顔にやられてセシリア同様に目覚めてしまった。
「ルルーシュ様……いつか必ず、お会いできる筈ですわ」
潤み、熱に侵された瞳を体育座りの状態でテレビ画面に向けるセシリアを見たら、全国の男達は挙って求婚してしまうであろう、それ程に恋に落ちた彼女は美しい。
仮にルルーシュがこの現実に現れたとして、その時セシリアはどうなってしまうのだろうか?という疑問は、彼女の学校の同級生達全員が思っている事だ。
しかし、アニメのキャラクターという普通に考えれば絶対に実らぬ恋をするセシリアに思いを寄せる同学年の男達は、悲惨の一言に尽きる。
例えば
「セシリア・オルコットさん、僕と生涯を全うしてください!!」
「自分を世界さえも~♪……はい?何か仰いましたか?」
告白をした男子生徒は、手紙で呼び出すと言うベターな手を使い、おまけに大衆の面前で告白すれば断りずらいであろう。という小狡い考えの元に告白したのだが、セシリアの返答は、何か仰いましたか?である。しかも歌を口ずさんで、だ。
男子生徒の心は折れた。そして、大衆の面前でそんな恥を晒したという情報が回り、セシリアに告白をしようとする男はいなくなったという。
因みにセシリアが小声で歌っていたのは、コードギアスのオープニングだ。
といった風に、セシリアはコードギアスにひたすら溺れていたのだが、アニメには最終回がある。
それは変わる事のないものだ。
そして普通のアニメであれば、ハッピーエンドなのだがコードギアスは一味違う。
セシリアの様なルルーシュ狂信者が見たら、一体どうなってしまうのか————。
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「セシリア様、本日は此処までにしておきましょう」
「とても勉強になりましたわ」
ヴァイオリンのレッスンも無事に終わり、荷物を纏めてやや急ぎ足で部屋へと向かう
音を発てずに歩く、等と言う貴族令嬢としての最低限のマナー、いえ常識さえも無視してしまいたくなるほどの出来事——コードギアスの最終回が放送するからと言う他にありませんわね。
とはいえ、レッスンの先生もコードギアスを大層お気に召している様でしたので、
それにしても……愈々を持って、わたくしの生き甲斐とも言えるコードギアスが終わってしまうのですわね……。
何とも感傷的になりながら、先ずはキッチンへ向かい厨房で夕餉を作っているであろうシェフに少々我儘を聞いて貰って、最高級の紅茶とそれに似合う、お茶菓子を一品頼んでから自室へと向かいます。
まだまだ放映時間まであるけれど、その前に入浴や髪のお手入れを施さなければいけないし、令嬢としても一人の女としてもルルーシュ様のお姿を目に焼き付けるのに、やはり多大な準備を要すると私は考えていますわ。
「此方マックウッズの紅茶と、簡単なモノですがスコーンでございます」
「ありがとう、我儘を聞いて頂いて申し訳ありませんわ」
そう、セシリアが言うと無言で一礼してシェフは去っていく。
現在時刻的に見ても、あと五分ほどで放送が始まりますわね……。
何時ものように昂ぶる胸を、いつもなら集中する為に無理やり抑えつけるのですが、今日は……今日だけはそのままに。
明日からは、またオルコット家を狙う者達から家を護らなければいけないのですから……。
今はこの瞬間に、全てを捧ぎましょう
『予定通り、世界の憎しみは今、この俺に集まっている』
放映が始まり、気が付けば既に物語は進み、ルルーシュ様とスザク様の話し……親友同士でこんな事、酷い様に見えますがルルーシュ様が望んだことならばわたくしは見届けますわ。
『軍事力では無く、話し合いと言うテーブルにつくことが出来る。明日を迎えることが出来る。それが……ゼロ・レクイエム』
なるほど、ゼロの仮面を被っているのはスザク様……そして、悪逆皇帝の名を付けられたルルーシュ様の元へ……何故?
『——撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ』
不意に、ルルーシュ様が初期に発したあのセリフを思い出す。
因果応報、という言葉が日本にはありましたが、ルルーシュ様はまさか!?
慌てて、思考する事を止めて画面へと再度目を向けると
『そのギアス……確かに受け取ったッ』
涙を流して剣を突き刺すスザク様と、憔悴しつつも満足げな表情で甘んじて剣を受けたルルーシュ様がわたくしの目に飛び込んでくる。
呆然とするわたくしを尻目に、ルルーシュ様はフラフラと大衆が見守る中ゆっくりと、まるで何かに会うために力を振り絞った様子で歩き、倒れてしまう。
倒れた先には傾斜、そしてその先には
『お兄様……?』
ナナリー様の純粋な疑問と、ルルーシュ様の手に触れて全てを知り、どうしてどうして、と泣く声がわたくしの部屋に響く。
わたくし自身も何も言葉を発せない、何も考える事が出来ない
『あぁ……俺は』
何も聞こえないわたくしの耳に不意に入ってきたのは、しゃがれたルルーシュ様のお声。力を振り絞り、というよりは満足感から無意識的にでたような声色は世界から音を無くすようで
『世界を、壊し……世界を、創る』
そう言ってルルーシュ様が目を安らかに閉じた瞬間、流れ出すBGMも相まって気が付けばわたくしの目からは大量の涙が零れていましたわ。
それと同時に、湧きだしたのは悲しみではなく、使命感。
ルルーシュ様は果たして、今この世界を見たらどう思うのだろうか。
恐らく、悲しみますわね。
涙を拭いて、わたくしは決意を新たにしました。
——わたくしが優しい世界を創る、ルルーシュ様の意思を引き継ぐ
只、それだけですわ。
なんなすいません。
ISキャラ全員好きなんで、全員こういう番外編みたいなことやりたいです
あと、セシリアがISの世界でルルーシュと初めて会った時、というか見た時を書きたいと思っています。
まぁそれは全員分書きたいのですが…まだ登場していないラウラとかシャルとかラウラとか千冬さんとかラウラとか!!!